安全を第一に優先し、信頼性の高い高速道路ネットワークと
お客さまに満足いただけるサービスを24時間365日お届けします。
東名高速道路 赤渕川橋リニューアル工事
道路構造物の計画的な保全
1963年の名神高速道路の開通を皮切りに日本の高速道路ネットワークは順次拡大し、我が国の社会・経済や国民生活を支える重要なインフラとなりました。この間、日々の構造物の点検や損傷の補修、高機能舗装の施工などの走行環境の改善、橋梁の耐震補強による大規模地震への備えなど、最新の技術を導入しながら高速道路の維持管理に努めてきました。
当社は、高速道路ネットワークを健全な状態に保ち、次世代に引き継いでいくために、定期的な点検を実施して早期の維持・補修を行います。また、構造物の大規模な取替えや耐震補強工事などを着実に実施し、高速道路の安全性と信頼性を高めていきます。
高速道路リニューアルプロジェクト
当社管内の高速道路2,077kmのうち、開通後30年を超える区間は約6割におよび、老朽化や大型車交通の増加、凍結防止剤の影響、近年の異常気象などに起因する著しい変状が顕在化しています。
高速道路リニューアルプロジェクトは、高速道路構造物のライフサイクルコスト(計画・設計・施工から、維持管理に要する費用)の最小化、予防保全(故障や不具合が生じる前に行う保全方法)及び性能向上の観点から、必要かつ効果的な対策を講じることにより、高速道路ネットワークの機能を長期にわたって健全に保つために行うものです。
2018年度の工事予定
※現在の計画であり、今後関係者との協議により変更する場合があります。
お客さま・沿線住民の皆さまへの広報
お客さまや沿線住民の皆さまへ、各種メディアやウェブサイト、ポスターなどを活用した事前広報を展開し、長期にわたる交通規制へのご理解・ご協力をいただけるよう努めています。
また、Blue tooth®を活用した所要時間をはじめとするきめ細やかな情報提供を行うなど、お客さまのご迷惑を極力軽減するよう取り組んでいます。
プロジェクトを効果的に進めるための取組み
本プロジェクトは、大規模な工事を行うため対面通行などの交通規制を伴います。お客さまへの工事規制の影響を最小化すべく、より安全性・快適性の向上をめざした交通規制や防護柵の工夫を行います。
また、本プロジェクトに資する技術開発を進めます。
高速道路リニューアルプロジェクトを推進するための技術参照
移動式防護柵設置状況
通行規制の例
耐震補強対策の推進
熊本地震における橋梁の被災状況を踏まえ、お客さまに安心して高速道路をご利用いただけるよう橋梁の耐震補強を一層推進します。
耐震補強対策の施工例:完全自立構造(ロッキング橋脚)
対策前 |
対策後 |
メンテナンスサイクルの着実な実施
道路構造物の変状を早期に発見し、適切な措置を行い、長期的に良好な状態を保つための基本となるのは点検です。日々の点検のほか、法令に基づき5年に1度、橋梁やトンネルなどの構造物の詳細点検を近接目視により行っています。点検により損傷が確認された構造物は、補修計画を策定し早期に補修します。
詳細点検結果はこちら
詳細点検(法令に基づく構造物の点検)の点検計画
(年度)
・2015年8月時点の計画です。このほかに、溝橋(カルバート)の点検を1,171カ所計画しています。
高度な点検技術の採用
狭隘な場所にある橋梁など点検が困難な構造物の状態を的確に把握するために、橋梁点検車やロープアクセスを用いた点検など新たな技術を積極的に採用します。
(技術開発参照)
橋梁点検車を用いた詳細点検
ロープアクセスを用いた詳細点検
重量違反車両の取締り強化
道路構造物の劣化に多大な影響を与え、重大な交通事故につながる恐れのある重量違反車両に対する取締りを強化しています。IC入口などに専門の取締隊を配置し、重量違反車両に対し高速道路からの退出を求める措置命令のほか、重大な違反者に対しては積荷を軽減させるなどより厳しい措置命令を実施しています(2017年度は292件の積荷の軽減を実施)。特に悪質な違反者に対しては刑事告発も実施しています。
また、新たな取組みとして、違反者に対する大口・多頻度割引停止措置などの適用を強化するとともに、自動計測装置の整備を進め、重量違反車両の常時取締りに取り組んでいます。
重量違反車両の取締り状況
高速道路を「賢く使う」
ETC2.0サービスの推進
「ETC2.0」は、高速道路通行料金の支払いだけではなく、渋滞回避や安全運転支援などドライバーにとって有益なサービスを提供しています。
当社では、ETC2.0サービスを活用した道路管理・渋滞情報の高度化をめざし、安全運転支援技術の開発や混雑を緩和するための料金について関係機関と連携し検討を進めます。更に利用を増やすため、ETC2.0車載器の普及支援に取り組みます。
また、新たな料金施策として、良好な運転環境を実現するため、高速道路から一時退出し、指定のガソリンスタンドでの給油や、最寄りの道の駅での休憩などを可能とする試行を実施します。
ETC2.0のロゴ
企画割引の拡充
地方公共団体や観光施設と連携したドライブプラン、東京オリンピック・パラリンピックなどを契機に一層増加が予想される訪日外国人旅行者向け「Central Nippon Expressway Pass(CEP)」や「Japan Expressway Pass」、二輪車向け「ツーリングプラン」などの周遊型割引商品の利便性を高めて、地域の活性化や高速道路の利用促進をめざします。また、交通混雑に対する料金調整・割引についても検討を進めます。
渋滞対策
交通集中による渋滞対策として、東名高速道路大和トンネル付近や中央自動車道 小仏トンネル付近、東海北陸自動車道 飛驒清見IC ~小矢部砺波JCTで付加車線の設置などを進めています。
2017年度は、東名阪自動車道
鈴鹿IC~四日市IC間(上り線)の約8kmの区間において、暫定3車線運用を、鈴鹿IC付近では、LEDライトを用い視線誘導する渋滞対策(ドライブ・アシスト・ライト)の運用を開始しました。圏央道
八王子JCTでは、本線2車線運用を開始しました。
上記により対策区間の渋滞量は減少(1.6千km・時間)し、一定の効果がありましたが、当社管内の道路全体としては、2016年度に比べ交通量が増加傾向にあり、特にゴールデンウィークやお盆の交通混雑期に交通が集中したことにより、渋滞量が増加しました。
また、休憩施設における駐車マスの混雑対策として、駐車スペースの有効活用、混雑情報の提供などを進めています。
なお、2017年度から地域の交通特性を熟知した「高速道路ドライブアドバイザー」による交通混雑期における渋滞回避のポイント紹介など、よりきめ細やかな情報発信をしています。
渋滞量(総計)
(年度)
主な渋滞ポイントと対策
ドライブアドバイザーによる情報提供
交通事故対策
交通事故防止のため、高機能舗装やガードレールの改良、高輝度レーンマークの整備など走行環境を改善するハード対策と、お客さまの安全意識の向上を図るソフト対策を展開していきます。
交通安全の啓発活動
無料出張講座「NEXCO中日本高速道路交通安全セミナー」の開催や交通安全キャンペーンなどの交通安全啓発活動を実施しています。
重大事故防止に向けた事業の推進
暫定2車線区間の正面衝突事故防止に向け、2017年度は東海環状自動車道、紀勢自動車道、舞鶴若狭自動車道の一部区間に従来のラバーポールに代えてワイヤロープを設置しました。
ワイヤロープへの接触事故は17件発生したものの、正面衝突事故には至りませんでした。2018年度は更に設置区間を拡充します。
ワイヤロープ施工例
正面衝突事故防止事例
死亡事故の発生推移
逆走対策の強化
高速道路の逆走は、逆走以外の事故と比べ死傷事故となる割合が4倍、死亡事故では40倍となり、非常に危険です。
当社管内では年間約30件の逆走事案が発生しており「2020年までに高速道路での逆走事故をゼロに」をめざし、ハード・ソフト面での重層的な対策を講じていきます。
ハード対策
逆走防止のため全ての高速道路の合流部に路面標示、ラバーポール、矢印標識を設置しました。2018年度は、逆走対策技術の公募の結果、有識者委員会で有効と認められた技術など更なる逆走対策を現地に展開していきます。
ソフト対策
「無くそう・逆走」をキーワードに、休憩施設などでの呼びかけのほか、テレビCMや新聞広告などのマスメディアを活用した交通安全啓発活動を実施しています。
逆走事案と逆走事故の発生推移
逆走対策公募技術の例
ETC2.0車載器による逆走情報の提供
(イメージ)
ラバーポール設置の進行方向表示
(イメージ)
歩行者・自転車等の進入対策
道間違いや誤進入による高速道路への立入りが多く発生しており、IC入口部などに看板による注意喚起、路面標示による進行方向の明示及びラバーポールの設置による物理的な立入防止対策などを進めています。この取組みにより、高速道路への立入りの未然防止や事故防止などの効果が期待されます。
災害に強い高速道路
大規模災害時の高速道路ネットワークを活用した迅速な緊急輸送ルートの確保は当社の重要な役割の一つです。大規模災害や大雪に備え、関係機関との連携強化や防災機能の強化を進めています。
通行止め時間(総数)
(年度)
・雨、雪、事故、工事等に伴う年度の通行止め時間です。
地震など大規模災害時の対応力強化
国の「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」や「首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画」などに対応し、関係機関の参集拠点での連携強化や機能強化、高速道路ネットワークを活用した迅速な緊急輸送ルートの確保のため、大規模災害などに備えた資機材を備蓄しています。また、防災訓練やお客さまの安全確保を目的に避難誘導訓練を実施し、訓練により顕在化した課題への対応及び関係機関との連携などに努めています。
備蓄資機材を活用した段差修正訓練
休憩施設における避難訓練
自力走行困難車両の移動訓練
自力走行困難車両の移動状況
大雪など荒天時の通行確保強化
大雪による通行止めを極力回避するため、除雪体制の強化や立ち往生車両を早期に発見するための監視カメラの増設、救援車両の配備を実施しています。
また、大雪が予想される場合の事前広報や関係機関との連携強化を図り、高速道路ネットワークの機能確保に努めています。なお、2017年度冬期の北陸地方を中心とした大雪事象などを踏まえ、大規模な車両滞留の抑制と通行止め時間の最小化を図る取組みを推進します。
10年先を見据えた保全・サービス事業運営の改革
人口減少、老朽化社会インフラの増加、事業量増に伴う従業員不足などに対し、IoT(Internet of Things)やビッグデータ、人工知能(AI)等の進展など劇的な環境の変化を捉え、現状の業務手法を抜本的に見直し、未来志向型のパラダイムシフトによる新たな事業環境を検討します。