NEXCO中日本 企業情報サイト




安全性向上3カ年計画の具体的な取組み内容(2013~2015年度)

1. 安全を最優先とする企業文化の構築

(1)安全への意識改革

主な取組み:

  • 安全を最優先とする経営理念への見直し
  • NEXCO中日本グループの「安全の日」の制定(12月2日)
  • 「行動指針」の浸透、「安全に関する職場討議」の定着化
  • 安全啓発室の整備と、グループ会社を含めた社員への「安全啓発研修」の開始
  • 経営陣による安全を最優先とする具体的なメッセージの継続的な発信
  • 経営陣を中心とし、現場が参画する全社的なリスクマネジメント体制の確立
  • 抜本的な組織改革(支社を主軸とした組織構造、現場の保全担当要員等の増員など)
「安全の日」の職場での黙とう

「安全の日」の職場での黙とう

笹子トンネル事故を決して忘れず、再発防止と安全性向上に取り組むため、毎年12月2日をNEXCO中日本グループの「安全の日」としています。
「安全の日」には、追悼慰霊式を執りおこなうとともに、全職場での黙とう、「安全に関する職場討議」を行っています。

安全に関する職場討議」

「安全に関する職場討議」

各職場で、「安全に関する職場討議」を定期的に毎月1回以上行い、お客さまの安全を何よりも優先するための具体的な行動などについて議論しています。
安全性向上に関する社長のメッセージを、自らの職場での具体的な業務に落とし込んだ討議も行われています。

安全啓発室での「安全啓発研修」の実施

事故の被害にあわれたワゴン車や、事故に関わる記録・資料等を保存・掲示した「安全啓発室」を、川崎市内に整備しました。
事故でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、事故に関する記録・資料等から学び、事故を決して忘れず、安全を最優先とする一人ひとりの意識の徹底を図るため、グループ会社も含めた社員約6,000名を対象とした安全啓発室での「安全啓発研修」を2015年9月から開始しました。
2015年度は、半年余りの期間で約800名のグループ会社を含む社員が、この研修を受講しました。

資料室での説明
資料室での説明
グループディスカッション
グループディスカッション

(2)安全に対するグループ内の連携・コミュニケーションの強化

主な取組み:

  • 経営陣と社員との直接的な対話の推進(社長の現場訪問・意見交換、経営陣の基本点検※1参加など)
  • 「建設・保全合同会議」、「技術開発戦略会議」(およびその後身の「技術戦略会議」)、「構造物のリスクに関する調査検討会」などでの部門を超えた安全に関するコミュニケーションの充実
社長の現場訪問および意見交換

社長の現場訪問および意見交換

全ての支社(4支社)並びに事務所(工事事務所および保全・サービスセンター:36事務所)を対象とし、社長との意見交換を実施しました。事務所においては、協働するグループ会社社員も参加しました。

経営陣の基本点検への参加

経営陣は、毎年4月から5月にかけて行われる保全・サービスセンターでの基本点検に参加し、意見交換の場を持つことで、現場の社員とのコミュニケーションを図っています。

※1 基本点検とは、構造物における第三者等被害を未然に防止することも含め、管理区間全体の構造物の状況を把握するために、年1回以上実施する定期点検です。

2. 構造物の経年劣化や潜在的リスクに対応した業務プロセスの見直し

(1)PDCAサイクルの再構築

主な取組み:

  • 「構造物のリスクに関する調査検討会」の設置
  • 「建設・保全合同会議」に関する運用ルールの制定
  • 新技術・新工法の適切な採用、保全事業への確実な引継ぎ(採用手続き等のルール化)
  • 工事段階における「設計・施工技術検討会議」のルール化(ガイドラインの制定)
  • 設計図書や技術関係資料などの確実な保存、建設事業における各種情報を保全事業に確実に引き継ぐための規則、要領等の改正
  • 保全事業のプロセスの見える化(「保全業務の手引き」、「維持修繕計画要領」の制定)
  • 点検計画の立案、点検の実施、判定、補修にいたる一連の業務プロセスが適正な手続きのもとに行われているか、点検、補修補強等の記録が確実に保存されているかなどを照査する仕組みの構築(「維持管理サイクル照査要領」の制定)

維持管理しやすい設計・施工の取組み事例(「建設・保全合同会議」などでの提案例)

大規模標識の点検通路確保
立ち入り防止柵への簡易扉の設置

照査担当者の役割(詳細点検業務の例)

詳細点検業務の流れ

点検判定会議の状況

点検判定会議

保全・サービスセンターでは、支社の照査者(照査担当者による任命)の出席のもと、点検判定会議および対策検討会議を定期的(原則1回/2カ月)に開催しています。
点検結果(変状状況・判定区分内容)の確認や補修状況の確認、点検データ管理システムへの点検および補修データの入力状況の確認などを行っています。

(2)構造物の経年劣化や潜在的リスクに対応した要領・マニュアルの見直し

主な取組み:

  • 「保全点検要領(構造物編)」の改訂、「施設保全管理要領」の制定
  • 安全性を最優先し、将来の維持管理に配慮した「設計要領」の改訂

「保全点検要領(構造物編)」の改訂概要

項目 改訂概要(2014年7月および2015年4月)
定期(詳細)点検の手法
  • 近接目視、触診や打音等
    • 第三者等被害想定箇所:近接目視かつ触診や打音等
    • 上記以外の箇所:近接目視、必要に応じ触診や打音等
近接目視の定義
  • 肉眼により構造物の変状の状態を把握し、評価が行える距離まで接近して目視をおこなう方法
定期(詳細)の点検頻度
  • 1回以上/5年
診断
  • 診断区分の分類:従来からのNEXCOにおける個別判定および健全度評価の結果を、法令で定める診断区分に分類
    (I:健全、II:予防保全段階、III:早期措置段階、IV:緊急措置段階)
法令点検外の点検手法の制定
  • 対象構造物:舗装、土工構造物、防護柵、遮音壁、トンネル附属物本体(取付部は法令点検)
  • 点検手法:構造物の重要度から点検頻度、点検手法を設定
点検困難箇所への対応
  • 点検困難箇所:高橋脚の上・下部工、鉄道交差箇所、狭小部・隠蔽部、土中部、水中部
  • 近接目視に替わる点検手法:高解像度カメラ、赤外線カメラ、トンネル覆工表面画像について、定められた適用範囲で活用可能
記録
  • 点検・診断・措置の記録の保存(対象構造物が利用されている期間)

【点検困難箇所への対応】

点検が困難で変状を確認できない箇所を、潜在的リスクとして「構造物のリスクに関する調査検討会」などを通じて洗い出しました。代表的な点検困難箇所や変状発生時に調査が必要な箇所、その対応手法について、保全点検要領に記載し、点検困難箇所は近接目視、触診、打音と同等の成果を得られる手法により対応する旨を明確にしました。

安全性を最優先とした「設計要領」の改訂

【配慮すべき事項の記載】

  • 「点検のしやすさ」、「維持管理のしやすさ」へ配慮した点検施設などの設置
  • 「長期耐久性」を考慮した設計、材料や構造への配慮など
  • 落下物による「第三者等被害の確実な防止」(必要に応じ二重の安全対策の実施)

【個別事項】

  • 標識や情報板の設置位置への配慮(明かり部は土工部への設置の推奨)
  • 緩み止めナットの性能規定の設置
  • 点検のしやすい遮音壁構造の見直し(落下防止ワイヤー等の設置位置の見直し)
  • 跳水や溢水を配慮した用・排水溝の構造の見直し
  • 情報板支柱地際部の防錆対策
  • 料金所アイランド周りの安全対策(地下通路への漏水防止対策)
  • 耐久性を向上させたFRP製検査路の規定の設置 など

二重の安全対策の施工例

トンネル内装板
トンネル内装板
標識板
標識板

(3)点検・補修技術の承継・高度化

主な取組み:

  • 点検データ管理システムの継続的な改善
  • 長期にわたり構造物の安全性を確保するための技術開発
    (非破壊検査手法の開発など)
  • 道路上の重量構造物に対して、変状を把握するためのセンサや集中監視できる技術の開発
    (ICT技術による道路附属施設構造検査手法の開発など)
  • 国のプロジェクトと連動したインフラモニタリングの技術開発

技術開発の例

あと施工アンカーの健全度(アンカーボルトの断面欠損やアンカー定着箇所のコンクリートの損傷)の評価のための打音の周波数解析を用いた非破壊検査手法の開発

道路附属施設のうち、支柱構造物の損傷・異常を把握するためのセンサによる点検手法の開発

3. 安全管理体制の確立

(1)社内の安全管理体制の強化

主な取組み:

  • 安全に関する情報を収集・共有する仕組みとして、「安全掲示板」を構築し、運用を開始
  • 現場の安全に関する情報(安全提案やヒヤリ・ハット報告)に対する確実なフィードバック
  • 安全監査、安全指導、工事の品質向上に向けた現場の技術指導(品質管理巡回指導など)

「安全掲示板」の概要

安全に関する情報を収集・共有する仕組みとして「安全掲示板」をグループ内ポータルサイトに立ち上げ、運用を開始しました。

  • 社内および海外を含む社外の安全に関する情報が、約1,900件登録されています。
  • 「安全掲示板」の安全情報は、2カ月ごとに分類・整理を行い、経営会議で報告するとともに、「安全掲示板」に登録しグループ内で情報共有を図っています。
  • 安全に関する情報(安全提案、ヒヤリ・ハット報告、社内外の事故・不具合事象等の情報、お客さまの声など)が組織横断的に共有され、グループ全体で業務に活用することができるようになりました。

(2)有識者委員会への報告と検証

主な取組み:

  • 3カ年計画の実施状況を取りまとめ、安全性向上有識者委員会へ報告
  • 安全・安心に関する重要業績評価指標(KPI)(146KB)の公表、その定期的な進捗管理
  • 点検計画および点検結果をウェブサイトで公表

2014年度の詳細点検(法令に基づく構造物の点検)の結果

道路施設 単位 管理施設数 点検実施数 点検実施率 判定区分
I II III IV
橋梁 4,396 379 9% 3 296 80 0
トンネル カ所 375 2 1% 1 1 0 0
道路附属物等 施設 2,462 344 14% 200 137 7 0

判定区分

区分 状態
I 健全 構造物の機能に支障が生じていない状態
II 予防保全段階 構造物の機能に支障が生じていないが、予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態
III 早期措置段階 構造物の機能に支障が生じる可能性があり、早期に措置を講ずべき状態
IV 緊急措置段階 構造物の機能に支障が生じている、又は生じる可能性が著しく高く、緊急に措置を講ずべき状態

〈点検計画については、「メンテナンスサイクルの着実な実施」に掲載しています。〉

4. 体系化された安全教育を含む人材育成

「点検から維持補修にいたる業務のマネジメント能力」に関する体系的な人材育成計画(マスタープラン)を策定し、人材育成を進めてきました。

「体系的な人材育成計画(マスタープラン)【点検から維持補修にいたる業務のマネジメント能力】

(1)安全管理に関する技術力の向上

主な取組み:

  • 構造物点検の基礎知識の習得のための「構造物点検基礎研修」の開始
  • 保全マネジメント、構造物診断等についての知識を確認する「点検・補修マネジメント能力認定研修」の開始
  • 点検や診断の信頼性向上等をめざしたNEXCO3会社合同での資格制度の創設
  • 高度な能力を有する専門技術者の育成をめざした「高度専門技術研修」の拡充
  • 専門的知見による現場への技術支援
  • 次世代の専門家社員の育成(「次世代スペシャリストコース」の創設)
  • グループ会社との人事交流を含むジョブローテーション
「構造物点検基礎研修」
N2U-BRIDGE(ニュー・ブリッジ)

N2U-BRIDGE
(ニュー・ブリッジ)

全国で更新に伴い撤去された橋梁を再利用した、名古屋大学構内にある構造物点検の研修施設です。

「点検・補修マネジメント能力認定研修」
E-MAC技術研修センター

E-MAC
技術研修センター

高速道路で使用していた各世代の電気設備やトンネル非常用設備を使用し、点検・各種作業を実体験で学ぶことができます。

現場への技術支援
現場への技術支援

本社組織の構造技術・支援部は、台風被害によるのり面崩落等に際して、即時に現地において原因究明、応急復旧方法等について技術支援を行いました。

(2)自ら考え安全を優先する人材の育成

主な取り組み:

  • 道路管理をおこなう者としての自覚と自律の醸成に向け、階層別研修において、「道路管理に必要な知識に関する講義」、「リスクに関する講義」および「リーダーシップに関する講義」を拡充

(3)社員のモチベーションの向上

主な取り組み:

  • 点検・維持補修業務の「見える化」による社員の達成感の醸成
  • 資格取得や学位取得のための支援制度の拡充
  • 褒賞制度の見直し(安全提案、ヒヤリ・ハット報告の表彰など)

5. 安全性向上に向けた事業計画

(1)顕在化した損傷などに対して集中的に実施する施策【3カ年で達成する施策】

主な取組み:

道路上などに設置された構造物(トンネル天井板や換気ダクト等の重量構造物など)の撤去・移設又は二重の安全対策を最優先で進め、完了しました。

  • 道路上の重量構造物に対する安全対策
道路上の重量構造物に対する安全対策

※4 標識類や情報板類が添架されている門型柱について、路面標示にて代替できる門型柱の撤去数量と、F型柱に移設できる門型柱の数量を計上しています。

換気ダクトの撤去

北陸道 今庄トンネル(上り線)

ジェットファンの二重の安全対策

トンネル内大型標識の撤去・移設

主な取組み:

重要交差箇所および変状があり機能低下している箇所のコンクリート剥落対策を完了しました。

  • コンクリート剥落対策

橋梁の剥落対策

連続繊維シート施工後
連続繊維シート施工後

(2)潜在的リスクへの対応を含め安全を長期的に確保していくための施策
【3カ年およびそれ以降も継続する施策】

主な取組み:

道路構造物の耐久性向上や、点検環境改善などの安全を長期的に確保していくための施策についても、3カ年計画として計画した工事を完了しました。

  • 道路構造物の耐久性向上
    橋梁補修(変状が発生しており、早期におこなう補修):166橋
    橋梁補修(軽微な変状が進行する前に計画的におこなう補修):200橋
    舗装(深層部打換え):93km・車線
    トンネル照明設備更新:59チューブ
    トンネル非常用設備更新:22チューブ
    橋梁床版取替え:2橋
  • 点検環境改善施策(トンネル監視員通路設置):4チューブ
橋梁床版取替え
床版撤去 中央道 上長房橋(上り線)PC床版施工
トンネル監視員通路の設置
設置前 東海環状道 猿投山トンネル(外回り) 設置後

(3)商業施設の建物の安全対策

主な取組み:

商業施設の建物についても、3カ年計画として計画した安全対策を完了しました。

  • テレビなどの高所設置物の二重の安全対策:78エリア
  • 天井点検口の追加設置:130エリア
  • 旧耐震基準の建物の劣化・耐震診断:40エリア
    および、これに基づく耐震補強工事:13エリア

3カ年計画に基づく安全対策に係る事業費

3カ年計画に基づく安全対策に係る事業費

3カ年計画の取組みの成果と課題

取組みの成果

安全性向上に向けた種々の施策を体系化・見える化し、経営陣が先頭に立ち、全社的にチェック・フォローアップしながら今後も継続的に進めていくことができる体制を確立しました。

3カ年計画の実行を通じた具体的な成果は、次のとおりです。

  • 3カ年計画の58項目の具体的な施策のうち、「5.安全性向上に向けた事業計画」として定めた施策は、全て完了しました。事業計画以外の4つの取組み方針に係る54項目の具体的な施策に関しては、それぞれの施策のPDCAサイクルを確実に回しながら着実に取り組み、今後も継続的に実行していく仕組みができました。
  • 安全に関する意識調査の結果から、一人ひとりの安全やリスクに対する意識は、3カ年計画の取組みを通じて高まっていることがうかがえます。また、中・長期的な視点から体系的な人材育成計画(マスタープラン)を策定し、安全を支える人材を育成しています。
  • 組織改革として、以下の取組みを実行しました。
    • 安全を中心とした現場の課題を迅速・的確に解決するとともに、指示命令系統・権限責任の明確化を図るため、事業計画策定や執行管理などの事業執行機能を地域拠点である支社へ集約しました。
    • 点検から維持補修にいたる業務のマネジメント能力を強化するため、本社の技術・建設本部に環境・技術企画部、技術管理部および構造技術・支援部を設置し、技術力向上のための体制を強化しました。
    • 保全・サービスセンターなどに約130名の保全担当要員の増員を行い、現場の体制を強化しました。
  • 業務プロセスの見直しとして、建設事業におけるルールや仕組みの整備により、将来の安全や維持管理を重視した設計・施工の取組みが行われるとともに、建設事業における各種情報が、確実に保全事業に引き継がれるようになりました。また、保全事業でも、「保全点検要領(構造物編)」の見直しをはじめとするルールや仕組みの整備や、点検データ管理システムの改善などにより、点検から維持補修にいたる業務の役割・責任をより明確にして、点検計画の策定、点検の実施、点検・診断結果に基づく補修の実施、点検・診断・措置の記録の保存、これらのデータの次の点検計画への反映という一連の維持管理サイクルが、現場でより確実に回り始めました。さらに、グループの衆知を集めて潜在的リスクを洗い出し、その対応方針を策定するなど、道路構造物のリスクへの対応を継続的におこなう仕組みが整いました。
  • 進行する道路構造物の老朽化等への抜本的な対策として、高速道路リニューアルプロジェクト(大規模更新・大規模修繕)に係る事業許可を受け(2015年3月)、現場体制を強化して、これに着手しました。

課題

高速道路の安全性向上への取組みを体系的にマネジメントする枠組みはできたものと認識していますが、トンネル照明灯具落下事象など、道路構造物のリスクに起因する事象が発生しています。NEXCO中日本では、次に示す課題が最も重要であると考え、さらに注力して取り組んでいく必要があると認識しています。

  • 安全を最優先とする自律的な行動が展開される安全文化をグループ全体で醸成し、根付かせていくこと。
  • 整備したルールや仕組みを日常業務の中で定着させ、ルールや仕組みが形骸化しないようにすること。
  • トンネル照明灯具落下事象などについては、同種箇所の緊急点検の実施や、外部有識者による委員会を設置して原因究明等を行い、再発防止に取り組んできましたが、今後は、こうした道路構造物のリスクに起因する事象の未然防止に向けて取り組んでいくこと。
  • 道路構造物の老朽化等への抜本的な対策を計画的かつ着実に進めていくこと。

安全性向上有識者委員会のご意見(骨子)

3カ年計画の取組みについて、2016年6月8日に、安全性向上有識者委員会に報告しました。有識者委員会からは、取組みの成果に対するご意見と、今後の安全性向上の取組みにあたって留意すべき点についてのアドバイスをいただきました。その骨子は、次のとおりです。

「安全性向上3カ年計画」の取組みに対する意見(骨子)

  • NEXCO中日本では、経営陣が先頭に立ち、取組みをチェック・フォローアップしながら組織的に継続して安全性向上に取り組んでいくことができる枠組みをつくり、その枠組みのもと、具体的な施策を体系化し、実行プロセスを見える化して全ての施策に精力的に取り組んできたこと、そして、以下のような成果をあげたことは、評価できる。
    • 安全性向上に向けた事業として計画した道路上などに設置された構造物の撤去、移設又は二重の安全対策など、現時点で必要と考える対策を完了させたこと。
    • 個々の具体的な施策の成果を検証し、課題を認識した上で、今後も継続的に取り組むべき内容を明確にしたこと。

今後の取組みに際しての留意事項(骨子)

  • 事故の記憶や安全を希求する気持ちを風化させることなく、安全性向上の取組みを継続していく必要がある。そのためには、経営陣が強いリーダーシップを発揮し、グループ一丸となって、粘り強く取組みを積み重ね、「安全」を日常業務の中に組み込んで定着させることが重要である。
  • 高速道路の安全を現実的に支えているのは、グループ会社を含めた現場の社員であり、その安全意識を高いレベルに間断なく保つとともに、意欲と誇りを向上させる必要がある。そのためには、経営陣は常に現場に向き合い、現場で起こっている事実を迅速かつ正確に聞こうとする姿勢、現場を重視する姿勢を、率先して具体的な行動で示し続けることが重要である。
  • 今後も劣化していく道路構造物では、これまでに経験していない事象が発生し得ることも考え、リスクに備えていく必要がある。そのためには、リスクに対する意識や感度を高めるとともに、経営陣と現場とがリスクを共有して、組織全体でリスクマネジメントを地道に継続していくことが重要である。
  • 「人」と「技術」は、高速道路の安全を支える基盤であり、「人」と「技術」に磨きをかけていく必要がある。そのためには、中長期的な視点から、安全を担う専門性をもった人材を育て、責任と誇りをもって、十分力を発揮して働ける環境を整えるとともに、高速道路の安全性を高める技術開発を推進することが重要である。

今後の取組み

当社の経営計画である「経営計画チャレンジV」における経営方針の柱の一つとして「高速道路の安全性向上と機能強化の不断の取組み」を位置づけ、3カ年計画を継承した『安全性向上への「5つの取組み方針」』に基づく取組みを、たゆむことなく継続していきます。

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