NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2009年07月22日矢野会長定例記者会見

会見要旨

(司会)

では定例会見を始めさせていただきます。


(会長)

NEXCO中日本代表取締役会長CEO・矢野弘典

みなさんこんにちは。最初に事業の現況です。
高速道路の営業の状況ですが、6月の料金収入は対前年同月比マイナス17.4%でした。高速はマイナス16.6%、一般有料はマイナス24.3%となっています。また、通行台数は、日平均プラス2.2%でした。高速はプラス2.0%、一般有料プラス3.4%です。
高速については、台数は若干増加したものの、昨年秋から実施している「安心実現のための緊急総合対策」における高速道路料金の割引や3月28日から実施している「生活対策」における高速道路料金の割引など、割引額の増により減収になりました。
一有についても、高速と同様に台数は増加したものの同様な理由により減収になりました。

ETC割引額は大幅に増えまして、24,240百万円で前年同月の14,644百万円に比べ、65.5%割引額が増えています。なお、ETCの割引率は約40.0%ということになりました。ETC割引が無かった場合の料金収入は60,529百万円で、前年同月比でプラス3.4%となっています。

いつもお話をしている車種別の交通量についてご説明します。軽自動車が108.9%、普通車105.5%、中型車90.9%、大型車86.7%、特大車78.4%です。これはこれまでの各月と似たような傾向になっています。走行台キロも数字は違いますが、同じような傾向になっています。

6月の通行台数がプラス2.2%でしたが、一年前の6月に大幅にさがっており、その関係で6月の交通量が増えました。去年は7月にまたあがっており、また来月の傾向をみたいと思います。
基本的な傾向としては、大型車両について今年の2月以降ずっと80%台を横ばいから若干持ち直した感じですが、基本的には景気の影響などから脱したものとは考えられません。

次に建設の状況についてはこれまでと同じであります。7月17日に東海北陸の郡上八幡からぎふ大和間が4車線開通しまして、これで一宮から白鳥までが全部4車線化が実現しました。今後は白鳥から先、飛騨清見までの4車線事業に取り組んでいきたいと考えています。
この3連休の渋滞の状況を見てみますと、去年はあった渋滞が今年はありませんでした。むしろ、渋滞が白鳥以北に移行しており、4車線化の効果がありました。今後この先の計画も着実に実行していきたいと考えています。

ETCの状況は、去年は76.3%でしたが当月は83.2%の利用率でした。1週間単位で見ますと、7/3~7/9が83.3%、1ヵ月前は83.1%であり、全体では横ばいで推移しています。
車載器の取付け累計台数は、約2,624万台で、5月末と比べて、2.7%増えています。

サービスエリアの状況ですが対前年比で106.2%となっています。売上高106.2%増を部門別に見ますと、飲食部門108.9%、物販部門113.6%、両方あわせますと111.9%となります。休日が114.8%、平日が110.1%ですから、平日も売上げが高まっています。
サービス部門117.9%、ガソリン部門89.2%です。給油量は相当増えていて125%ですが、単価差が50円ほどあり、なかなか100%には達していない状況です。広告部門は222.2%、これはもとが小さい数字で全体に対する影響が小さいです。ガソリン部門以外は、前年比を上回る売上げになっています。

次にトピックスの一番目です。
入札状況の四半期報告をさせていただきます。
4月から6月がどうであったかという報告です。図の1をご覧ください。これは、4・5・6月別の平均落札率と件数を示したもので、3ヵ月で合計51件、83.2%になっています。表の1ですが、高い落札率を示した、鋼上部工工事、PC上部工工事を見ますと、価格だけではなく技術力も評価する総合評価方式で入札をしまして、総合的に当社として有利な業者を落札者とした結果、このような落札率になりました。また、電気工事、造園については、いずれも低入札調査の対象になりますが、資料の確認や、ヒアリングの結果、工事を履行できると判断して契約にいたっています。図の2ですが、これは低入札の発生状況を示したものです。07、08年度と比べると、58.8%と上昇傾向にあります。この発生率の高さは、暮れの12月から続いています。その要因としては、低入札の基準の見直しを行ったことがあります。ただし、6月1日以降の公告を行った工事について、一定の要件を満たしていない者を失格とする。低入札重点調査の強化対策を行っており、今後は、低入札の発生率の抑制を期待しています。図3ですが、入札不調の発生状況を示したものです。3件でその発生率は5.3%になっており、08年度と比べ、大幅に低下しています。これは、公募型見積協議方式を適用するなどにより入札不調対策の効果が現れてきたとみています。

次のトピックスは、お盆時期の渋滞予測と混雑対策です。これは、8月6日から19日の14日間の予測と見込みですが、今月の17日に発表をすでにさせていただいておりますが、だんだん間近にせまってきましたので、私からも改めてお知らせさせていただくものです。
交通分散を図って、なんとか混雑を小さくしたいと考えています。上り坂の速度低下を注意喚起する、駐車場の整理員を増やすとか、仮設トイレを設置するなどいろいろな対策を取っていきたいと考えています。また、熱さも盛りですのでその対策も講じていきたいと思っています。ぜひ、ドライブに出かける前には、最新の道路情報をご確認いただけるといいと思います。
渋滞発生の傾向ですが、下りでは13日から15日、上りでは14日から16日に多く発生すると見込みをしております。このゴールデンウィークで思い切った渋滞対策をしましたが、さらにそれに強化する対策を講じています。ゴールデンウィークとの比較では、少なくとも1割から3割増の対策を強化し、去年のお盆対策と比較すると多い項目で2.2倍、少ない項目でも1割増しの強化策を取り、概ね去年のお盆の倍くらいの対策を行います。特設トイレの設置は、今回は278基設置、ゴールデンウィークで258基、この258基も昨年のゴールデンウィークの4倍、去年のお盆対策で133基、2倍強になります。それから、特設トイレは、水洗式またはバイオ式に改善を図ります。
これは、いままで行ってきた強化ですが、新たに実施する対策として、大型車駐車スペースの確保を53ヵ所、トンネル照明の照度アップによる走行環境の向上を48のトンネルで行います。また、仮設LED板による休憩施設の混雑情報の提供を86ヵ所で行い、ドライバーがどこで休むかを走りながら分かるようにします。
休憩施設での熱さ対策として、テントやドライミストを考えています。サービスエリアでのお客さま案内の拡充や、エリアコンシェルジュの対応時間を延長し、情報提供の強化も図る予定です。
分散利用のお願いとして、今回は「東名お盆渋滞減らし隊キャンペーン」を行っていきます。ぜひ、施策にご協力いただき、少しでも混雑が減るようにお願いしたいと思っています。それから渋滞予測情報メール配信サービスあるいはアイハイウェイ中日本の情報サービスも引き続き強化していきたいと考えています。
最近、燃料切れやタイヤのパンクが増えており、走行前には車の点検をお願いします。お客様のちょっとした心がけで状況が変わってきますので、速度を低下させないとか、車間距離を詰めすぎないとか、追い越し車線に集中しないなどの点を、お考えいただき、道路を利用していただければよいと思っています。この予測と対策は17日に発表しましたが、そのときの資料も添付しましたのでご参照ください。

次にプレミアムドライバーズカード入会特典です。プレミアムドライバーズカード入会特典「ETC車載器コース」を6月16日からはじめています。幸い好評をいただき、本日までに多くのお客様にご入会のお申し込みをいただいています。現在も本キャンペーンを実施中でございますので、まだ、ETC車載器をお持ちで無いお客様は、お早めにお申込みいただけますようお願い申し上げます。車載器コースは、8月以降も準備ができ次第、順次拡大して行きたいと思っています。

次にハイウェイ観光ナビゲーターを設置します。7月16日に八王子支社から発表させていただいた内容です。山梨観光推進機構と北斗市と話が進み連携し、このようなことを始めることになりました。談合坂SAの下りと双葉SAの上りに、この推進機構の方が2人一組でつめていただき、この18日から2011年3月末まで、年末年始を除く土日祝祭日にこの場所に駐在して、案内していただきます。時間は、資料に書いてある計画になっています。双葉SA下り線につきましては、北斗市のご協力を得て行うもので、始まりは18日で談合坂と同じですが今年10月末日までの計画で行うことになっています。少しでも、旅行されるお客様のお役に立てればということで県と一体となって取り組んでいきます。
ご存知のとおり県とは包括協定を結んでおり、災害対策だけではなく観光振興についても一緒に行っていくことになっており、その1つです。

次に技術開発・共同研究の契約です。最近1つの契約が出来上がりました。これは、総合交通流監視設備に関する研究であり、停止、低速、避難走行、落下物などの交通情報を画像処理技術で収集して、速やかに情報提供を行うための技術開発のプロジェクトです。新東名の高速道路のテストコースで実証実験を行うことをご報告していますが、現東名でも海老名地区を利用して、その研究を進めていきます。今月締結をしまして、来年の9月末まで行っていきます。契約先の相手は、ここに書いてある8社です。

次に環境に配慮した取り組みです。毎回この場で環境対策・自然環境保護という観点で私どもが取り組んでいる事例の報告をしていますが、今日はゲンジボタルのことをお話しします。
新東名の引佐JCTで1999年から2000年に橋梁下部工の工事を行う時に、その下を流れるゲンジボタルが生息する河川がありまして、その流れを替えてゲンジボタルの保護をするというものです。写真にあるように自然型構造護岸方式を採用して、幼虫を飼育したり放流したり、あるいは餌になるカワニナを上流に放流することをやってきたところ、2001年にホタルの生息を確認できまして、その後毎年ホタルは元気に飛んでいます。地元でもホタルの鑑賞会をやってきたりしています。ここにありますようにホタルの保護に成功しまして、これをずっと大事にしていきたいと考えています。
いずれにしましても、道路はエコ・ロード、それからサービスエリアはエコ・エリアということで、環境問題は私どもの会社の重要方針でありますので、それをいろいろな所で具体化していきたいと思っています。今日はその一例をご報告した次第です。

本日ご報告するテーマは以上ですが、とびきり美味しいお茶を発売することになりまして、帰りに試しに味わっていただくようにしています。世界のコンクールで三ツ星を取ったお茶です。私が能書きをいうよりも皆さんに一口でも味わってお帰りいただけたらいいのではないかと思います。私どもの直営のサービスエリアで売り出して、そしてオンラインモールでも注文できるようにします。
以上でご報告を終わります。

 


(司会)

では、ご質問がありましたらよろしくお願いします。


(記者)

お盆の対策について、繰り返しになってしまう部分もあるかと思いますが、高速道路1000円になって、ゴールデンウィークは渋滞が起きて、それを経験して、課題として残ったものはどういうところかということと、また、今回のお盆はそれをふまえて、どういったところを強化していきたいか、もう少し具体的に教えてください。


(会長)

渋滞はもっと増えるだろうという予測をしていまして、そのための対策を行います。道路本線上の対策もありますし、SAの対策でもありますが、それは基本的にはゴールデンウィークでやった経験をさらに強化するという方策です。
ゴールデンウィークと異なるのは、真夏ですので、暑さ対策を考えなければいけないということです。それから、ゴールデンウィークの時に、いくつか反省事項がありまして、それをいくつか具体化しようと考えています。
まず、大型車の駐車スペースに普通車が止まっているということがあって、物流やバスの事業者から、なんとかしてもらえないかという要望がありまして、そういうことを反映させて、駐車場の整理員による誘導やラバーコーンを設置して大型車が止まれるような場所を確保しておくということです。
それから、スピードが遅くなるひとつの要因として暗くなるということがあります。これはトンネルなのですが、照明を強化しようということで、48のトンネルで照明の明るさを高め、走行環境を高めることをします。
それから、LED板というのがあるのですが、これはなかなか威力を発揮します。諏訪湖SAには空きスペースがありますよとか、その先のみどり湖PAはいっぱいですよとか、そういったものを事前にLED板で路側に表示すると効果があるということが前回分かりましたので、だいぶ数を増やしてやるようにしています。
また、先ほど言いましたが暑さ避けです。混んで暑いというのは、やはりつらいものだと思うので、ここは相当力を入れたいと思っています。ドライミストというのは今まで固定式しかないと思っていたのですが、移動式の装置があることが分かり、それを全部で95ヵ所に設けようと考えています。そのほかにもテントとかパラソルなどの設置も行います。
そのほかには情報サービスです。これはなかなか、100%満足いただけるところまでというのは難しいですが、なるべく事前にわかるようにということで全力を挙げていきたいと考えています。実際にSAに到着して、問い合わせをして状況が分かるということもありますから、エリアコンシェルジュの勤務時間を交代制にして、できるだけ長くいて、お客様の問い合わせに応えられるようにするというのと、道路に上がる前にいろいろ分かるように情報サービスをするとか考えています。
とにかく、みんなでブレインストーミングしまして、いろいろ意見を出し合って、良いと思ったことはみんなやろうということで準備しています。


(記者)

トンネルの照明をあげるというのは、設備として入れるということなのですか。それとも、その照明で強く照らすということなのですか。


(会長)

明るさを増す方法はいろいろあります。その方法は、担当部署から説明します。


(斉藤TL)

トンネルの照明ですが、灯具を増やすということではなく、曇りの日などですと、外が暗いので、もともと少し照明を落としているのですが、それを全照状態といいますか、外が最も明るい時と同じような状態に合わせるということです。


(記者)

このお盆の渋滞対策でかかる費用はどのくらいになるのでしょうか。


(会長)

お盆だけでは勘定していませんが、全体としてこの割引が始まってからかかる費用、つまり3月末から1年間でかかる費用としては15から20億程度と見込んでいます。


(社長)

GW前に想定したのが、トイレやガードマンの設置など全体で15億でした。しかし、GWで反省し、このお盆期間は対策を強化したので、15億では納まらないので、20億近く必要になるのではないかと思います。


(記者)

その額は年末なども含めた年間トータルの額ということでよろしいでしょうか。


(会長)

そうです。例えば、特設トイレは1度設置したら、常設ではないですが、ずっと置いておくことになりますから、一時的に発生する費用ではありません。


(記者)

衆議院が昨日解散し、次の選挙で民主党は高速道路無料化を掲げて戦うということになると思います。また、自民党は高速道路1000円が続くような内容のマニフェストが出てくると思いますが、会社経営のサイドから見て、どのようなご意見があるか、お話いただける範囲で教えていただきたいです。


(会長)

私が社員に申していることは、世の中に必要な事業は経営環境がどうなっても、必ずずっと栄えていくものだというものです。ですから、こういう時こそ、我々は経営する一番大事な原則に戻ってやろうじゃないかということです。
会社には経営理念というのがありまして「良い会社で強い会社にしよう」。つまり、社会の信頼を得て、喜ばれる会社にしようということです。それを実現するための方法として、お客様を第一にするとか、周知を集める、現場に立って考え行動する、変革を続ける、約束を守るといったことを、社員あるいはグループ全体の目標にしているわけです。そういった原点に立ち返って、我々本来の事業にまい進するということが今こそ最も大事なことだと考えています。経営環境というのは本当に変わるのです。経済情勢はここ1、2年で本当に様変わりしました。社会情勢だって、少子高齢化とか、人口減少などいろいろと大きく変わっている最中です。政治情勢も、あるいは国際情勢も私達の重要な経営環境のひとつだと思います。それが、どのようになろうとも本当に社会が必要としている事業というのは、決して重要度が落ちるということはないと、私は信じていますから、社員には事あるごとに訴えて、みんなで心をひとつにしてやろうと、こう思っています。
選挙の結果がどうなるかについては、なんとも言いようがないことで、これはそれぞれみなさん個人の行動であるわけで、当社にはグループ会社も含め1万人近い社員がおり、いろいろな考えの方がいらっしゃいますから、それぞれにみなさん、自分の意思でやっていただけばよいと思います。
会社の事業というのは、みんなでちゃんと遂行していくものですから、その基本姿勢を忘れずにやろう、もう1回確認しようということを、今、みなさんに言っています。


(記者)

細かい話になってしまいますが、先日契約されたという技術開発(共同研究)契約ですが、資料を見てもあまりイメージがわかないので、具体的なイメージとしてどういったことをやるのか教えてください。


(赤坂TL)

今回の共同研究は本線を走る車の走行環境を、動画カメラの画像処理技術を使って、人や落下物、停止車両といったものを検知して、それを情報提供に役立てようというものです。従来、トンネルの中では、設備として導入しているものですが、検出精度を高めるというのを研究のポイントにしています。


(司会)

その他特にご質問がなければ、第45回の定例記者会見をこれで終了させていただきます。
どうもありがとうございました。