東海北陸自動車道飛騨トンネルの施工にあたっては、完成後に道路本体として利用される本坑の掘削に先立ち、地山の水抜きや地質データの確認および完成後に避難通路として利用することを目的とした先進坑の掘削を行なっています。
先進坑は白川村側より直径4.5mのTBM(トンネルボーリングマシン)による掘削を行なうとともに、飛騨市側より発破を主とした通常工法(NATM)による掘削を行なっています。一方、本坑は白川村側より直径12.84mのTBM(トンネルボーリングマシン)による掘削を行なうとともに、先進坑同様飛騨市側より発破を主とした通常工法(NATM)による掘削を行なっています。
現在までに先進坑は白川村側より7.2kmのTBM掘削を、飛騨市側より3.3kmのNATM掘削を終え、全体の98%の掘削が完了しています。一方、本坑は白川村側より5.4kmのTBM掘削を、飛騨市側より2.4kmのNATM掘削を終え、全体の73%の掘削が完了し、予定通り進捗しております。

貫通まで約300mとなった白川村側の先進坑掘削において9月17日、地表面から約800mの地下で厚さ3m程度の粘土層に突入し、TBMの前部は無事に通過しましたが、後部が粘土層に高い圧力で挟まれ前後の動きが不可能となり作業が停止しました。その後トンネル専門家らによる検討会の意見と、地質調査ボーリングの結果等から、先進坑TBMについては、周辺地山の安全を確認した上で、トンネル支保の一部として活用することとし、内部を解体・搬出して、工作車両等が通行できる断面を確保する方針としました。
【先進坑TBMについては、堅固な岩盤部を約6km掘進したため、磨耗も著しく、飛騨トンネルの工事完了後に、他のトンネル工事現場で再使用することが困難な状況でした。】
また、残りの約180m区間の掘削は、飛騨市側からのNATM工法により掘削することとしたが、地質調査ボーリングにより高圧大量湧水が確認されているため、白川村側から水を抜きながらの掘削となります。飛騨市側からの掘削が順調に進めば、先進坑の貫通は概ね今年3月末となる見込みとなっているものの、2%の下り勾配の施工であるため慎重に掘削をすすめます。
なお、本坑TBMが今回の粘土層の位置に到達するまでには約8ヶ月要することから、当該粘土層の本坑掘削時の対策を検討し、対策を行なうことによって本坑の進行を確保していきたいと考えております。従いまして、現時点では予定の全体工程への影響はないものと考えております。
お問合せ先 中日本高速道路(株)中部地区清見工事事務所 工務課 TEL 0577-68-2494