NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2014年03月27日金子社長定例会見

会見要旨

【司会】

皆さまお待たせいたしました。ただいまから第93回の定例会見を始めさせていただきます。

 

【金子社長】

 

お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
本日は、5つほどトピックスをご用意しています。

【事業の現況(2014年2月)】

資料1をご覧ください。

2月の料金収入は、339億1千2百万円と、対前年同月比3.8%の減、また、通行台数は日平均169万2千台と、対前年同月比4.6%の減でした。
関東・甲信地方を中心とした記録的な大雪による影響により東名や中央道などの通行止めが2週に及ぶなど長期間にわたりご迷惑をおかけしたこともあり、全体で収入・台数ともにマイナスとなりました。

次に建設の状況です。

2014年度開通予定道路の進捗状況については、国交省と共同で事業を進めている圏央道の相模原愛川IC~高尾山IC15kmについては、本年6月の開通を目指し、国交省から引継ぎを受け、順次、舗装工事や設備工事を進めているところです。
また、寒川北IC~海老名JCT4kmについては、現在、一部の橋梁で架設工事を進めるとともに、舗装や諸設備などの準備に着手しています。

新東名の浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクション間の55kmは、いくつかの課題はありますが、引き続き地元の皆さまのご理解とご協力をいただき、2014年度内の開通目標に向け努力してまいります。
舞鶴若狭道の小浜ICから敦賀JCT間の39kmは、2014年度内の一日も早い開通に向け努力してまいります。

次にETCの利用状況です。2月の日平均利用率は91.6%でした。

次にサービスエリアの状況です。
2月のサービスエリアの売上高は111億7千1百万円と、対前年同月比3.9%の減でした。
「飲食・物販部門」の売上は、対前年同月比11.6%の減でした。これは、関東・甲信地方を中心とした大雪の影響により、東名・新東名・中央道など主要路線の売り上げが大きく減少したことが要因と考えています。
「ガソリン部門」の売上は、大雪の影響により大きな増加にはなりませんでしたが、ガソリン単価が7円プラスになっていることから、対前年同月比14.0%の増でした。

 

【安全性向上3カ年計画】

初めに、4月から移行する新たな事業執行体制についてです。資料2をご覧ください。

昨年11月1日に、事業執行体制を、2014年度第一四半期を目途に見直すことを公表させていただきました。社内に私を委員長とした組織改革推進委員会を設置し、組織構造などの詳細検討を進めてまいりましたが、このたび、「安全性向上3カ年計画」のより着実な実行に向けて、今年の4月から事業執行体制を見直すことといたしました。

見直しの内容ですが、1点目は、安全を中心とした現場の課題を迅速かつ的確に解決するとともに、指示命令系統・権限責任の明確化を図るため、高速道路の建設と保全にかかわる事業を担当する建設事業本部と保全・サービス事業本部が現在有している機能のうち、事業計画策定や執行管理などの事業執行機能を地域拠点である支社へ集約し、支社を主軸とした組織構造とします。

本社は、安全をはじめとする経営上の基本方針や計画・規程等の策定、サービスレベルの地域差を生じさせないための審査・調整、支社支援、国などとの対外調整などを担当します。これらを円滑に進めるため、建設事業本部と環境・技術部を統合して技術・建設本部とし、保全・サービス事業本部は保全企画本部とします。

高速道路の事業に係る本社組織については、当初、建設事業と保全事業に係る組織を統合し「高速道路部」に改組することを考えておりましたが、その後、長期保全計画などの大きな枠組みが明確になり、その円滑な導入・実施に向け、現場体制強化とあわせ全社的に企画・指導・支援する体制を本社に構築する必要があると判断しました。

また、東京外かく環状道路などしばらく建設事業がある中で、建設と保全の本社組織を統合するとかなり大きな組織となることも考慮して、今回発表した形としました。なお、安全性向上に向け、建設と保全のさらなる連携強化は必要不可欠であるため、建設・保全合同会議の実施などを通じて安全に関するコミュニケーションを強化してまいります。

2点目は、点検から維持補修にいたる業務のマネジメント能力を強化するため、技術・建設本部内に環境・技術企画部、技術管理部、構造技術・支援部を設置し、技術力向上のための体制を強化します。
環境・技術企画部では点検の高度化等に向けた技術開発や人材育成、技術管理部では維持管理に配慮した技術基準の策定、構造技術・支援部では専門的な知見により経年劣化や潜在的リスクに対する技術支援をおこない、組織全体としてPDCAサイクルを回すマネジメント能力の強化に取り組みます。

3点目は、これまでもコンプライアンスの徹底に注力しているところですが、今回の事業執行体制の見直しに合わせ、グループ全体のコンプライアンス推進体制をより強化し充実させる目的で、倫理・法令順守担当役員(CCO)を新たに配置いたします。また、新規事業の研究および開発を担当している事業創造部を関連事業本部に統合し、収益部門のより一層の連携強化や効率的な事業執行を目指してまいります。

資料2の2ページ目に、ただ今ご説明した組織体制を組織図としてお示ししております。また、3ページ目に機能などを書き加えた資料を参考として添付しております。組織図において、事業執行機能のラインと、全社的な方針を明示しつつラインを審査、支援する機能を有するスタッフを明確にし、指示命令系統が明瞭となるようにいたしました。

さらに、「安全性向上3カ年計画」を確実に進めるため、これまで保全・サービスセンターなどへ保全担当要員を90名増員してまいりましたが、1月1日にはそれを101名に、そして今年の7月までには約130名とし、点検から維持補修にいたる業務の体制強化を完了させます。

また、資料2の4ページ目に、今回発表した事業執行体制に対応した取締役及び執行役員の体制をお示ししております。新執行体制においては、取締役常務執行役員 高松隆久の担当業務を東京支社長 兼 東京オリンピック・パラリンピック担当としました。

東京支社長については、技術的に高度で多方面にわたる調整が必要となる東京外かく環状道路などの大規模プロジェクトを強力に推進するとともに、重要事業拠点である東京支社のガバナンスを現地において一層強化する必要があること、また、2020年の東京オリンピックおよびパラリンピックへの対応については、一支社だけではなく会社全体としての課題であることから、開催地となる東京に経営陣である取締役常務執行役員の一人を常駐させ、迅速かつ適切に対応できる体制としました。

以上、ご説明いたしました新たな事業執行体制のもとで、「安全性向上3カ年計画」をはじめとした当社グループに課せられた使命を果たしてまいります。

もう1つの『安全性向上3カ年計画』における取り組みは、トンネル内を高速で走行しながら画像処理により異常を検出する技術開発の開始についてです。資料3をご覧ください。
この技術は、トンネル内の壁面を高速度カメラで撮影した画像と、前回撮影した映像との違いから、異常を自動的に検出するものです。小型で安価な高速度カメラのみを使用するため、日常的に巡回している当社の車両に搭載することができ、例えば、トンネル内に設置されているジェットファンの固定金具の位置ずれやコンクリートのひび割れの進行を発見することが可能になります。

今回は、高速画像処理技術を研究開発している東京大学の石川正俊教授との共同研究です。石川教授は、必ずじゃんけんに勝つロボットを開発するなど、高速画像処理に関して日本を代表する研究者です。これまでの実験により、時速100kmでも鮮明な画像を取得することに成功しており、今後は機器精度の向上をおこなうとともに、さまざまな損傷事例を撮影し判定精度の向上を図っていきます。

昨年の12月の定例会見で「レーザー」を使って点検する技術の共同研究を始めたことをご紹介しましたが、こちらも実用化に向けて研究を進めています。
当社では、従来の点検に加えこのようなICT技術の導入や機械化などにより、維持管理の効率化や高度化が期待でき、点検から維持管理までのマネジメント強化につながると考えています。

 

【世界で初めて高速道路を走行中の脳活動の可視化に成功】

資料4をご覧ください。

当社は、東京大学生産技術研究所の須田義大教授、株式会社脳の学校と共同で、開通前の新東名高速道路で実験をおこない、世界で初めて、脳機能近赤外線分析測定法・エフニルス装置を車両に載せて、高速道路を走行する車両のドライバーの脳活動の可視化に成功しました。

この技術により、ドライバーが外部からの刺激に対しどのように感じているのかを客観的に表すことが可能となりました。ドライバーがヒヤリ・ハットする状況や不快に感じる状況などを把握することにより、交通事故を引き起こす要因や交通安全対策の効果を把握することができます。この技術を活用し、たとえば、資料の2ページ目に紹介していますが、新東名や東名に設置した光の点滅による速度抑制や速度回復啓発などの、より効果的な「交通安全対策」や「渋滞対策」、目に入りやすく分かりやすい標識や情報板などを、客観的に評価することができ、より効果の高い施策を実施することが可能となります。

当社は、有識者を交えた委員会を設置し、この成果をもとに、脳科学の視点から、安全で走りやすい高速道路を目指して、研究を進めてまいります。

 

【入札不調の場合に特命見積協議方式に移行できる特例措置】

資料5をご覧ください。

昨今の当社が発注する工事において、競争入札の結果、最低入札価格が契約制限価格を上回り落札者が決定しない「不落札」や、競争入札をおこなっても入札参加者がいない「不成立」といった「入札不調」が増加しています。
資料5の表のとおり、入札不調は年々増加傾向にあり、今年度は1月末現在で71件と、2010年度の約2.5倍となっています。また、入札不調発生率も約25%と、2010年度の3倍以上に増えております。

入札不調になった場合には、公告内容や設計図書を見直したのちに再度入札手続きをおこなっていますが、一般競争入札の場合、再入札の手続きまでに数か月を要することや、工事によっては再度入札手続きをおこなっても入札不調になるケースも発生しており、事業執行に支障をきたす事態が懸念されます。

こうした状況に対応するため、特例措置として、当初入札が入札不調の場合に「契約制限価格」を「契約目安価格」に読み替え、最低価格の提示者など特定の相手から見積書を提出していただき、その見積価格が契約目安価格を上回った場合でも、見積価格のうち設計単価を上回った項目について確認協議をおこなった上で、協議後の価格で契約できる新たな入札契約制度を導入することにしました。

特に、安全性向上3カ年計画対象工事などに適用してまいります。この措置により、入札不調が改善され、適切な事業執行が図れることを期待しています。

 

【第3回 ハイウェイぐるめ まちなか大集合!】

資料6をご覧ください。

2011年5月に初めて高速道路以外の「まちなか」で開催してご好評いただきました「ハイウェイぐるめの祭典」を、今年は5月17日(土)と18日(日)の2日間、2年ぶりに久屋大通公園で開催します。

このイベントは、東海地区のサービスエリア、パーキングエリアでご好評いただいているスナックやスイーツなどの自慢の逸品を、来場されたお客さまに召し上がっていただき、投票で『うまいものNo.1』を決めるグルメの祭典です。
会場には東海エリアのローカルアイドルが大集合し、「ハイウェイぐるめ応援隊」として一緒に会場を盛り上げます。さらに、高速道路沿線の地方自治体にもご協力いただき、地域の観光名所や名産品の情報を発信するなど、魅力あふれるイベントを予定しております。

このほか、NEXCO中日本のオリジナルキャラクターがイベントデビューをいたします。キャラクターの名称は「みちまるくん」です。当社ではサービスエリアやパーキングエリアをはじめとする高速道路空間の「おもてなし」・「快適性」・「楽しさ」を、お客さまや地域の皆さまにより身近に親しんでいただくために、この「みちまるくん」を制作しました。「みちまるくん」は皆さまに愛されるキャラクターを目指して、ご来場のお客さまをおもてなしいたします。
盛りだくさんの催しでお客さまをお待ちしていますので、ご家族で、お友達同士でご来場いただき、ハイウェイぐるめをご賞味ください。

以上が、本日ご用意したトピックスです。

 

【司会】

それでは、これから皆さまからのご質問をお受けいたします。

 

【記者】

入札不調の場合に特命見積協議方式に移行できる特例措置について、どのような工事が入札不調になっているのか教えてください。

 

金子社長

橋梁の下部工など、土木工事で発生しています。

 

【社員】

2013年度の入札不調発生件数は71件です。そのうち土木工事が24件、道路補修工事は9件、防護さく関係の工事が8件です。入札不調になるのは、例えば交差道路や鉄道の上にかかる橋のコンクリート剥落対策工事、安全性に資する道路補修工事や、時間的な制約があったり施工環境が厳しい工事などです。

 

【記者】

入札不調により高速道路の安全性が確保できないような懸念や、開通時期に影響があるのでしょうか。

 

金子社長

当社は、安全性向上3カ年計画の着実な実行のために、2015年度までにかなりの工事をおこないます。入札不調によって工事が発注できずに長期間遅れるようなことがあってはなりません。今回の措置は、このような事業の進捗に遅れが出ないようにするための特例措置です。現段階で、入札不調が原因で開通時期が遅れることはありませんが、早め早めに対応することが重要だと思っています。

 

【記者】

今回の特例措置により、当初予算より増えることもあるのでしょうか。年間にどのくらいの費用が増えるか試算されていますか。

 

【金子社長】

相手方があることから試算することは困難です。今回の特例措置をせずに開通時期が遅れるようなことになれば大きな影響が出ると思います。

 

【記者】

NEXCO西日本が昨年から同様の措置を実施していますし、入札不調はかなり前から起きていると思います。なぜこの時期に今回の特例措置を実施するのか教えてください。

 

【金子社長】

工事の条件や、例えば東日本大震災の影響などもありますし、判断はそれぞれの会社がされると思います。当社としては、工事入札執行件数の約4分の1の25%が不調になっている状況から、今回導入することとしました。

 

【社員】

入札不調発生件数71件のうち、46件が応札者なしと非常に増加しています。再発注をするとなると、数ヶ月単位の時間がかかるので、今回の特例措置をルール化することにより、工事着手までの時間短縮を図り、事業を進捗させたいと考えています。
また、当社では2008年から公募型見積協議方式を導入しています。それは、入札不調が多かった時代に、限定した工事において契約制限価格を契約目安価格に読み替え、契約目安価格を上回っても、相手の見積りを確認し審査した上で契約するという制度です。
今回の特例措置は、安全性向上3カ年計画対象工事や、入札不調が見込まれる工事に対象を広げ、入札不調の場合に特定の一社と契約ができるということを加味した措置です。入札不調の場合に再入札の手続きをおこなわないため、契約先を選定する時間をかなり短縮することができます。

 

【記者】

NEXCO西日本以外でこういった取り組みをすでに実施しているところはありますか。

 

【社員】

他会社のことは分かりません。

 

【記者】

安全性向上に向けた事業執行体制について、11月に体制を改めるということを発表されていますが、どこが変わったのか教えてください。

 

【金子社長】

今回公表した組織形態は、昨年11月に公表したものを一部見直しています。11月の時点では、建設と保全のコミュニケーションを強化しようと考え、高速道路部と称して建設部門と保全部門をひとつに統合しようと考えていました。しかし、長期保全計画などの大きな枠組みが明確になったことや、建設事業が少なくなるとはいえ、東京外かく環状道路や新東名などの大きな建設事業があるため、統合すると非常に大きな組織になってしまうことを考慮し、建設部門と保全部門を分割することとしました。
また、サービスエリアなどを管轄している関連事業本部と事業創造部の収益部門を一本化して効率性を追求したことも11月からの変更点です。

 

【司会】

ご質問が途切れたようですので、これで定例記者会見を終了いたします。