2015年09月18日宮池社長定例会見
会見要旨
【司会】
皆さまお待たせいたしました。ただいまから第106回の定例会見をはじめさせていただきます。
【宮池社長】
それでは、本日ご用意したトピックスをご説明します。
【東名高速道路宇利トンネル照明灯具落下事象】
資料1をご覧ください。
8月15日土曜日、17時30分頃東名高速道路豊川インターチェンジ(IC)から三ヶ日ジャンクション(JCT)間の宇利トンネル上り線において、照明灯具と電源ケーブルが垂れ下がり、大型貨物車が接触して、左サイドミラーなどを破損させる事象が発生しました。この事象により、お客さまの車両を損傷させてしまったこと、また、直後の安全確認のための点検により、東名高速道路をご利用のお客さまに渋滞などでご迷惑おかけし、高速道路をご利用されるお客さまにも大変ご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
当社では、今回の事象を踏まえ、原因究明と今後の対応方針について、技術的かつ専門的な見地から検討をおこなうことを目的として「東名高速道路宇利トンネル照明灯具落下事象調査検討会」を設置し、9月11日金曜日に第1回の検討会を開催しました。
検討会では、落下した照明灯具の仕様、点検状況、周辺の環境について確認していただくとともに、原因の究明に向けて、落下した灯具などの詳細な調査を踏まえ、引き続き、検討を進めることとされました。落下に至った原因と今後の対応方針について、年内を目途にまとめていただく予定です。
次に、宇利トンネル上り線と同種の照明灯具を使用しているトンネルの緊急点検結果について、ご報告します。
当社では、宇利トンネル上り線の照明灯具が落下した事象を受けて、事象発生当日の深夜から同トンネルの緊急点検に着手しました。その後、同トンネルと同種の照明灯具を使用している11本のトンネルについて緊急点検を実施しました。
宇利トンネルと同種のトンネル照明灯具を使用している11本のトンネルの照明灯具は、約1万3千灯あり、緊急点検の結果、3本のトンネルで合計18灯の照明灯具を撤去いたしました。撤去した灯具はすぐに落下する状況ではありませんでしたが、安全を最優先して撤去をおこなうこととしました。
なお、この3本のトンネルは照明灯具の更新工事を施工中であり、2016年3月までに照明灯具の取替が完了する予定です。
一方、安全性向上3カ年計画で、従前よりすすめているトンネル照明灯具にワイヤーロープなどを巻き付けて落下の防止をはかる二重の安全対策は、2016年3月までに全てのトンネル照明灯具で完了させます。
また、全てのトンネルの照明灯具の緊急点検も今後実施し、2016年3月までにおおむね全てのトンネルの点検を完了させます。通行止めが必要となる対面通行区間の舞鶴若狭道の一部のトンネル10本については、2016年6月末までのできる限り早い時期までに完了させたいと考えています。
【事業の現況(2015年7月、8月)】
資料2の1ページをご覧ください。
営業の状況ですが、7月の料金収入は、560億7千万円と対前年同月比1.1%の増加、また、通行台数は日平均193万6千台と対前年同月比1.9%の増加となりました。
8月の料金収入は、658億4千6百万円と対前年同月比1.6%の増加、また、通行台数は日平均209万9千台と対前年同月比3.2%の増加となりました。
料金収入については、4月から6月までは前年の緩和措置により、今年と比べて休日割引に2割の割引差がありましたが、7月以降は緩和措置が終了し、前年と同じ割引条件となりました。7月、8月は、圏央道の利用が好調なこともあり、7月は1.1%の増加、8月は前年に台風による通行止めが発生していたことも影響し、1.6%の増加となりました。
通行台数は、料金収入と同じ要因で7月は1.9%の増加、8月は3.2%の増加となりました。
建設の状況です。
2015年度に開通を予定している区間の工事概況です。
新東名浜松いなさJCTから豊田東JCT間55kmは、本年度末の開通を目標に、全線にわたって、舗装や標識、休憩施設内の建物などの工事を実施中です。また、切土のり面対策など、開通遅延の要因となった対策工事も進捗し、この秋には完了する見込みです。
新名神四日市JCTから新四日市JCT間4kmおよび東海環状道新四日市JCTから東員JCT間1kmは、本年度末の開通を目標に、全線にわたって工事を進めているところですが、台風18号により切土のり面で土砂崩れが発生し、9月10日に公表させていただきました。現在、復旧作業を進めているところで、今後、地質の専門家のご意見を踏まえ、対策について早急に検討する予定です。
次にサービスエリアの状況です。
サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の総数は、177カ所で変更はありません。
7月のSA・PAの売上高は153億8千7百万円で、対前年同月比0.1%の増加となりました。飲食物販部門の売上高は、対前年同月比1.2%の増加となりました。
増加の要因としては、今年の7月は全般的に天候に恵まれ、足柄SA下り線のエヴァンゲリオンなど3件のコラボイベントを開始したことなどにより、前年実績を上回りました。ガソリンの売上高は、対前年同月比2.2%の減少となりました。要因としては、全油種とも前年の販売価格を25円下回っているためです。
8月のSA・PAの売上高は220億9千5百万円で、対前年同月比1.5%の減少となりました。飲食物販部門の売上高は、対前年同月比1.0%の増加となりました。
増加の要因としては、交通量と同じく、昨年8月の台風の影響です。ガソリンの売上高は、対前年同月比8.5%の減少となりました。要因としては、全油種とも前年の販売価格を27円下回っているためです。
【NEOPASA清水のトイレが日本トイレ大賞「国土交通大臣賞」を受賞】
資料3をご覧ください。
当社の取組みが、日本トイレ大賞「国土交通大臣賞」を受賞しましたので、ご紹介させていただきます。
「日本トイレ大賞」とは、女性の「暮らしの質」の向上に資する取り組み、とりわけすべての女性が暮らしやすくなる空間へと転換する象徴となるトイレに関連する優れた取組事例を選定することによって、すべての女性が輝く社会づくりに資することを目的に創設されたものです。
この大賞には、378件の応募があり、このうちの28件に賞が贈られ、新東名高速道路NEOPASA清水のトイレが「国土交通大臣賞」を受賞しました。
受賞理由としては、これまで当社が先駆者として進めてきた高速道路における休憩施設での「より快適、より便利、より楽しい、より美しい」トイレ空間の創造への取り組みが、道路・旅客施設の公共トイレの改善に資することが評価されたものです。
さらに当社では、清掃スタッフを「エリアキャスト」と呼び、24時間365日休憩施設やトイレをきれいに保ち、お客さまに気持ち良くご利用いただくために、清掃はもちろん、おもてなしの心でお迎えするため、お花を活けるなどのトイレ空間の演出や観光地のご案内をしています。
今後も、長時間の移動での疲労やストレスを解消する場所としての役割を担うトイレ空間の創造を目指し、これらの活動を継続していきます。
ぜひ、生まれ変わった高速道路のトイレをドライブの楽しみの一つとして、ご利用ください。
【イベント情報】
9月の大型連休に向けて、サービスエリア、パーキングエリアで開催するイベントを2つお知らせします。
1つ目は、創立10周年を記念した感謝イベントです。
資料4-1をご覧ください。
日頃の感謝を込めたイベントを、明日、9月19日から10月4日まで開催します。ハズレなしの「スクラッチくじ」のプレゼントや、「新メニュー・限定メニュー」の販売など、お得な割引・サービスをご用意しています。
2つ目は、昨日オープンし、来年の3月31日まで開催する「北海道物産展」のイベントです。
資料4-2をご覧ください。
昨年、EXPASA海老名で開催して、大変好評でした「北海道物産展」を今年も開催します。今年は、さらに充実した商品を取り揃えるとともに、北海道を応援する人気キャラクターのオリジナルグッズを、道外で初めて販売します。
今年のシルバーウィークは、NEXCO中日本のサービスエリアで、ご家族揃ってお楽しみください。
【9月の大型連休期間の管内の渋滞予測と交通安全のお願い】
9月の大型連休期間の渋滞予測につきましては、すでに8月21日に発表させていただき、多くのマスコミの皆さまに取り上げていただきました。ありがとうございます。
当社管内の渋滞のピークは、下り線が9月19日(土曜日)、上り線が9月21日(月曜日)と22日(火曜日)です。また、期間中の10km以上の渋滞回数は85回、うち30km以上は19回と、ゴールデンウィーク並みの渋滞の発生を予測しています。
当社では、お配りした渋滞予測ガイドの他、公式ウェブサイトやスマートフォンでも分かりやすくご覧いただける「アイハイウェイ中日本」などで、渋滞予測情報や道路交通情報を提供しています。出発前にご活用いただき、渋滞を避けたご利用をお願いします。
また、資料5のとおり、今年に入ってから9月17日現在で40件、43人の交通死亡事故が発生し、民営化以降で最も早いペースで増え続ける状況となっております。
今年は車外放出や二輪車の事故が、昨年の3倍と大幅に増加しています。また、例年10月から11月にかけては、二輪車による死亡事故が多発する傾向があります。運転をされる際にはすべての席でシートベルトを着用し、十分な休憩をとり体調を万全にして、安全で快適なハイウェイドライブをお楽しみください。
【首都圏の新たな高速道路料金の具体案】
資料6をご覧ください。
先週9月11日、国土交通省から「首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)」が発表されたところです。今回、この具体方針(案)に基づき2016年4月からの「首都圏の新たな高速道路料金の具体案」を作成しましたので、お知らせするとともに、本日より国民の皆さまから意見募集をおこないます。
今回の料金案では、具体方針(案)を踏まえ、「整備重視の料金」から「利用重視の料金」に移行するとの考えのもと、圏央道の内側の料金について、料金水準や車種区分を整理・統一し、対距離制を基本とした料金体系に移行します。その上で、都心を迂回して圏央道を利用する場合でも料金の面において不利にならないよう、経路によらず、起終点間の最短距離を基本に料金を決定するなど、都心の渋滞緩和を目指して圏央道や外環道をより賢く使う料金体系を導入します。
なお、意見募集の期間は9月30日までとし、ご意見はウェブ上の特設サイト、もしくは郵送で受け付けます。当社ウェブサイトなど1から特設サイトにアクセスが可能です。より良い料金とするため広く国民の皆さまのご意見を募集しますので、ご協力よろしくお願いします。
以上が、本日ご用意したトピックです。
【司会】
最後に、本日、記者発表させていただいた通行止めなどの交通規制をご説明します。
来月10月から、東海環状道・舞鶴若狭道・東海北陸道の夜間通行止め、名古屋二環の夜間IC閉鎖、東名高速の昼夜車線規制をそれぞれ実施します。
路面の修復や橋梁・トンネルなどの補修、標識の落下防止対策工事やスマートインターチェンジ建設に伴う工事など、今年の秋に多くの交通規制を伴う工事を実施させていただきます。
渋滞を伴う交通規制については、当社のウェブサイトから確認できるようにいたします。
工事の詳細につきましては、お手元の資料と本日発表させていただいた各プレスリリース資料をご確認ください。
工事期間中は、渋滞の発生や混雑により、大変ご迷惑をおかけしますが、皆さまのご理解とご協力をお願いします。
それでは、これから皆さまからのご質問をお受けいたします。
【記者】
宇利トンネルの照明灯具の落下は、宇利トンネル固有の環境によって起こったものと認識されているのか、それとも、この時期に建設されたトンネルに起こり得る事象と認識されているのでしょうか。
【宮池社長】
固有の事象とは、現時点ではまだ断定できません。したがって、その他のトンネルでも緊急点検を実施し、一部の照明灯具を撤去しました。撤去した照明灯具は、すぐに落ちそうな状態にあったわけではありませんが、揺すって少し動きがあるものは、念のために全て撤去しました。それらの灯具の損傷状況や設置されていた環境について分析し、年末ぐらいを目標に検討会でとりまとめていただきたいと思っています。検討会のとりまとめを踏まえて、必要な対策を実施してまいります。また、安全性向上3カ年計画の中では、当初よりこのようなことを想定し、二重の安全対策としてワイヤーで固定する作業を実施しています。
【記者】
全トンネルの照明についても、緊急点検していこうということですが、その一方で、安全性向上3カ年計画の最終年度で、一部の項目については前倒しで達成という状況と聞いております。宇利トンネルを受けた緊急点検の流れなど、3カ年計画の進捗とはどのようにリンクするのでしょうか。
【宮池社長】
3カ年計画は当初から、照明灯具のニ重の安全対策や更新についても計画的に進め、来年の3月に終わるという計画になっています。宇利トンネルは、そのような工事をしていた矢先に落ちてしまったということで極めて残念ですが、ニ重の安全対策と照明灯具の更新は、引き続き実施します。緊急点検についても、同時に進めていきます。
【記者】
3カ年計画は今年度で最終年度を迎えますが、来年度以降の計画についてお聞きかせください。
【宮池社長】
まずは、3カ年計画を完成させるということです。今後、調査検討会など新しい知見が出てきましたら、点検の仕方や更新の方法を反映させていきたいと思っております。
【記者】
トンネル照明灯具の緊急点検結果について、すぐに落下する状況ではなかったものの18灯を撤去したということですが、今回の落下事象以前の点検においても、同じ基準で撤去していたのでしょうか。
【社員】
同じ基準で撤去しています。
【記者】
今回の落下事象を受けて、課題はありますか。
【社員】
3年前に点検した灯具が落下したことについては、調査検討会で原因を調査したうえで、点検方法などに反映させたいと考えています。
【記者】
検討会の調査結果以外に、社内で何か検討していますか。
【宮池社長】
まずは、同種灯具の緊急点検をおこない、落下の可能性があるものはすべて撤去しました。二重の安全対策は計画通りに実施しています。また、全てのトンネル照明灯具についても、年度内に点検を完了する予定です。
【記者】
これまでの点検基準に課題はないのでしょうか。
【宮池社長】
検討会で議論していくこととなります。
【記者】
今回撤去した18灯は、これまでの基準においても撤去すべきものということでしょうか。
【社員】
高所作業車を使って近接目視や触診をおこなっています。18灯については直ちに落下するような状況ではありませんでしたが、ぐらつきがあったことから、撤去しています。
【記者】
今回のような緊急点検ではなく、従来の基準に基づいても、撤去するものだったのでしょうか。
【社員】
今回は念のため撤去していますが、これまでと点検方法は同じです。
【記者】
点検方法は同じとのことですが、今回の緊急点検では撤去基準が変わったということでしょうか。
【社員】
今回の緊急点検では従来の点検方法に加え、灯具を揺することにより、わずかなぐらつきが確認されたものも対象に緊急的に撤去しました。
【記者】
それは基準が上がったということでしょうか。
【社員】
上がったということではなく、更なる安全を優先するために撤去したものです。
【記者】
宇利トンネルの照明灯具落下事象や先日の新名神新四日市JCTでののり面の土砂崩れは想定されていない事態だと思いますが、社長は常日頃、安全対策は永遠の課題とおっしゃっています。改めて2つの事案を受けて、安全対策についてのお考えをお聞かせください。
【宮池社長】
昨年、新東名開通時期の見直しの要因となった大規模な地すべりが起きています。そのようなことが供用を開始してから起きないように、しっかりとのり面対策の工事を実施しており、今年の秋をめどに大体の工事が完了します。ご質問のあった新名神については、先日の降雨で切土のり面の土砂崩れが発生しました。現時点で原因は特定されていませんが、現地を確認すると、地下水が出ている地層もありますので、開通してからこのような土砂崩れが起きないように、対策を実施してまいります。
【記者】
この切土のり面の土砂崩れによって、新名神は年度内に開通できるのでしょうか。それとも遅れる可能性はあるのでしょうか。
【宮池社長】
現在、調査をおこなっており、調査結果を踏まえて判断することとなりますので、現段階では申し上げられません。
【記者】
新東名は、2015年度の末に開通ということでよろしいでしょうか。
【宮池社長】
新東名は2015年度末ということで、のり面工事が今年の秋に大体終了しますので、それを踏まえて、具体的な時期を検討していくことになります。年度末には開通するということです。
【記者】
遅くとも3月には供用ということでしょうか。
【宮池社長】
その予定です。
【記者】
交通事故が非常に多いということで、多発している原因について教えてください。
【宮池社長】
社外放出と自動二輪の事故が多いということが特徴です。事故の原因については言及できませんが、結果として車外放出されているのは、シートベルトが効果的に働いていなかったということですから、シートベルトをしっかり締めていただくこととが大事だと思います。また、自動二輪の事故も多くなるシーズンになりますので、皆さまもぜひ気を付けていただきたいと思います。
【記者】
民営化してまもなく10年になりますが、改めてこの間の歩みや安全対策など、この10年の振り返りをお願いします。
【宮池社長】
民営化10年のとりまとめは、すでに国交省からレポートが出ています。整理すると、1つ目は、この10年間で大きな債務を着実に減らしてきたこと。2つ目は、新規に建設している新東名も含めて、コストダウンしてきたこと。3つ目は、サービスエリアを含めて、民間の手法を導入して、お客さまに喜んでいただけるサービスやトイレの美化活動を展開してきたこと。民営化してから10年間で新しく出てきた課題は、笹子トンネルに端を発した大規模な設備の老朽化です。すでにご説明した、大規模更新・大規模修繕工事を今年からスタートしました。さらに、東日本大震災のような大災害の時には、高速道路は最初に救援部隊が乗り込んでいく一番大事な幹線道路です。この地域であれば、東海、東南海地震が起きても、24時間以内に早期に開通させるという非常に大きなミッションを当社は担っています。そのため、まずはミッシングリンクになっているところを開通させること、それに対する防災機能を充実していくことが新しい課題です。今後、更に少子高齢化になっていきます。技術革新ということでITS、自動運転などの技術開発も当社として取り組んでいかなくてはいけません。また、安全性向上3カ年計画の中でも点検をどのように高度化していくか、例えば、ITを使って精度高くモニタリングできないか、などやるべきことがたくさんあります。話題的なことでは、土岐のテラスゲートのような、お客さまに喜んでいただける、地域連携、地域開発につながる新たな事業にも取り組んでいきたいと思います。
【司会】
ご質問が途切れたようですので、これで定例会見を終了させていただきます。