ニュースリリース
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新たな舗装補修工法の開発の取組み ~舗装を開削することなく、深層を補修する技術の開発をはじめます~
NEXCO中日本は、コンクリートコーリング株式会社および東亜道路工業株式会社と共同で、舗装を開削することなく路面から深層部の脆弱化した箇所を補修する技術を開発することとしましたので、お知らせします。
開発の背景と目的
高速道路の舗装は、一般的に表層、基層、上層路盤、下層路盤の4層で構成されています。
これまでの舗装の損傷は、主に表層・基層で発生し、損傷部分の舗装を打ち替えることで補修をおこなってきました(図-1)。しかし、近年、舗装の深層部(上層路盤・下層路盤)における損傷が増加傾向にあり、この傾向は今後も続くと推察されます(図-2)。これは、交通荷重、舗装の支持力低下、水の浸入など複合した要因により、路盤に疲労ひび割れが発生し、そこに水が浸入することで路盤の土砂化や永久変形が発生するといったメカニズムであることが、(株)高速道路総合技術研究所の調査・分析で判明※1してきました(図-3、写真-1)。
この土砂化や永久変形の発生で脆弱化した深層部を含めて舗装を補修するには、上層部(表層・基層)を含めて打ち替える必要があるため、工事に要する車線規制時間が長く、コストも大きくなってしまうという課題があります(図-4)。
そこでこの課題を解決するために、舗装を開削することなく路面から脆弱化した箇所を補修する技術を開発する必要があると考え、2021年11月から「深層改良による舗装補修工法の開発に関する技術公募」をおこないました。
その結果、提案のあったコンクリートコーリング株式会社および東亜道路工業株式会社と共同で開発に着手することになりました。
※1 参考文献:(株)高速道路総合技術研究所. 長寿命舗装の作り方
図-1 これまでの舗装の損傷メカニズム
図-2 上層路盤の補修延長の推移(当社管内)
図-3 深層部における損傷メカニズム
写真-1 深層部の滞水・泥土化に水が浸透している事例
開発に取り組む技術の概要
今回、開発に取り組む技術は、路面から注入用の機具を脆弱化した深層部まで差込み、セメント系やアスファルト系の材料を注入することで、予防保全として舗装の損傷範囲が拡大する前に補修するものです。
図-4 現在の打替え工法イメージ
図-5 深層改良による補修イメージ
期待される効果と今後の展開
本技術の開発に成功した場合、脆弱化した深層部のみを補修対象とすることが可能となるため、補修に伴う車線規制時間とコストの削減が期待されます。
また、本技術開発では、当面は部分的な損傷への補修を適用対象として、2023年度末までの開発完了を目指し取り組んでまいります。