NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2013年04月25日金子社長定例会見

会見要旨

 

【司会】

皆さまお待たせいたしました。ただいまから第84回の定例会見を始めさせていただきます。

 

【金子社長】

本日の定例の会見に先立ちまして、一言申し上げます。

昨年12月2日、当社の管理する中央自動車道笹子トンネル上り線で発生した天井板落下事故により、お亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。そして、ご遺族の皆さまや被害にあわれた方に対しまして、心よりおわび申し上げます。

この事故を受け、私が先頭に立ち、事故後の対応や安全性向上に向けた取り組みの策定などを進めてきましたため、昨年の12月以降、定例の会見を休止させていただきました。大変申し訳ありませんでした。

現在も「安全性向上3カ年計画」の策定を進めているところですが、状況のご報告も含めて、今月より定例の会見を再開したいと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

【安全性向上に向けた取り組み状況】

2月1日に「安全性向上に向けた取り組み」を発表させていただいていますが、「二度とこのような事故を起こしてはならない」との強い決意のもと、いま一度私たちの役割・原点に立ち返り、国民の皆さまからの信頼を取り戻せるよう、再発防止に向けてできることから直ちに取り組むとともに、「安全性向上に向けた取組み」を具体化した「安全性向上3カ年計画」を策定しているところです。

本計画策定にあたり、より実効性を高めるため、当社が設置した外部有識者からなる「安全性向上有識者委員会」においてご意見をいただき取りまとめることとしています。

また、3つの外部委員会が設置されました。1つは、事故の原因究明について審議を進めている、国土交通省が設置した「トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会」、2つ目は、基準類のあり方について調査・検討している「社会資本整備審議会道路分科会道路メンテナンス小委員会」、そして3つ目がNEXCO3社で設置し長期保全のあり方を議論している「高速道路資産の長期保全及び更新のあり方に関する技術検討委員会」です。この3つ委員会からのご意見を「安全性向上3カ年計画」に反映させるべく、検討を進めているところです。

「安全性向上3カ年計画」はできるだけ早く策定したいと思っていますが、策定するまでの取り組みとして、次のとおり実施しています。お手元にお配りした資料をご覧ください。

 

まず、天井板を有する恵那山トンネル下り線、都夫良野トンネル下り線の左右ルートについては、今年度中に天井板を撤去する方針とし、撤去に向けた協議を実施しています。撤去するまでの間はセンサーや映像監視システムを利用して監視体制強化に取り組んでいます。

恵那山トンネル下り線の天井板撤去時期については、いろいろな報道がされていますが、当社としては関係機関と協議中であり、合意形成が得られた段階で発表させていただきます。また、都夫良野トンネルにつきましても、工事の内容や具体的な時期が確定した段階でお知らせいたします。

また、換気ダクトのようなトンネル内の重量構造物や、接着系ボルトで固定された情報板や大型標識の構造物についても、撤去または移設を基本とし、撤去または移設ができない場合は補強をするなどのフェールセーフ対策を実施してまいります。

また、社内の体制強化として社内の安全管理を横断的に担当する私直轄の組織「安全管理部」を2月12日付けで設置しています。安全管理部では、外部有識者からなる「安全性向上有識者委員会」の客観的・中立的かつ幅広い視点からのご意見を踏まえて、今年度から取り組む「安全性向上3カ年計画」を策定し、グループの総力を挙げて強力に推進します。

 

次に、当社では現在、「安全性向上3カ年計画」を策定中でありますが、実施すべき直ちにおこなえる点検業務の強化策として、次のことをおこないます。

1.点検から補修実施、履歴集積までのPDCAサイクルを、安全管理部などによるチェック体制を確立します。

2.点検の実施計画の確認や点検結果の評価を行うにあたり、他部署による確認等の、審査機能の強化に取り組みます。

3.過去に橋梁などの構造物が補修に至った経緯や、不具合が起きた事例等を社内やグループ会社と情報共有し、分析のうえ原因箇所を見つけられる点検計画や、その原因を予防できる補修に取り組みます。

4.NEXCO3社で、点検のあり方について、ワーキンググループを設置し検討しております。

5.赤外線カメラや画像解析を使った非破壊調査など、高度な調査点検技術を導入してまいります。

6.構造物などの点検・補修計画や健全度の評価に関する情報をホームページなどでわかりやすく公表します。

 

また、構造物の潜在的リスクに対する対応として、建設時に振り返り、構造物、道路附属物などにおける設計上の考え方の再確認、施工方法や経年劣化を考慮した点検や補修、フェールセーフ対策等に取り組んでまいります。

 

最後に、当社が設置している、「安全性向上有識者委員会」の委員の皆さまからの厳しいご指摘を踏まえて、当社の経営課題に対する抜本的改革に取り組むことといたしました。

具体的には、グループ全体の役員・社員の一人ひとりの仕事に対する基本姿勢を改めて、権限や責任を明確にし、責任感をもって、業務に努めることが必要と考えています。

それを実現するための組織や制度・仕組みなど抜本的改革を図るべく、私が取締役・執行役員のうちから数名を指名して、「組織改革諮問委員会」を設置し、具体的な課題検証と解決策・ロードマップの作成をスタートしました。この改革計画をとりまとめ、実行に着手することとしています。

 

【事業の現況】

12月から会見を休ませていただいていましたので、昨年11月から今年3月までの月別の営業状況、ETCの状況、サービスエリア・パーキングエリアの状況を参考資料としてお配りしています。

2012年度の料金収入は、4,974億円と対前年度比4.3%の増、また、通行台数は、日平均186万2千台と対前年度比0.6%の増でした。昨年4月に開通しました新東名の開通による影響が大きくはたらき、2012年度は料金収入・通行台数ともにプラスとなりました。

 

次に建設の状況です。

2013年度は、圏央道 相模原愛川IC~高尾山IC15㎞の開通を予定しています。圏央道茅ヶ崎JCT~寒川北IC5㎞は4月14日に開通しました。そのほかにも2012年度末に2区間が開通していますので、併せて後ほどご説明します。

 

次にETCの利用状況です。3月の日平均利用率は90.6%でした。

 

次にサービスエリアの状況です。

2012年度のサービスエリアの売上高は1,804億円と、対前年度比111.8%でした。これは、NEOPASA(ネオパーサ)をはじめとした新東名のサービスエリア・パーキングエリアが好調であったことが理由です。なお、新東名開通1年後の状況については、後ほどご説明します。

 

【2013年度 事業計画】

まず建設事業ですが、先月の30日と今月の14日に一部開通しました圏央道については、引き続き、相模原愛川IC~高尾山IC間15Kmの事業進捗を図り、東名高速道路と中央自動車道間の環状道路ネットワークを完成させていきます。また、新東名の愛知県区間にあたる浜松いなさJCT~豊田東JCT間や、新名神の四日市JCT~亀山JCT間、舞鶴若狭道の小浜IC~敦賀JCT間などの事業を鋭意進める一方、本格的な事業に着手した東京外かく環状道路の東名~中央道間や東海北陸道の白鳥IC~飛騨清見JCT間の4車線化事業を着実に進めていきます。

高速道路の維持・修繕事業については、さきほど申し上げた安全性向上に向けた取り組みに加え、橋梁の老朽化対策など道路構造物の耐久性向上のための緊急補修を進める一方、渋滞ボトルネック箇所の対策として、東名の大和トンネル付近の渋滞解消に向けた対策を早期に実施するための検討に着手するなど、お客さまに安全で安心してご利用いただける高速道路をめざし、常に良好な状態に維持するための事業を進めていきます。

また、サービスエリア事業、海外事業、新規事業などの「拡大・成長」の分野については、歩みを止めることなく、お客さま第一に徹して事業を進めていきます。

 

【新東名開通後1年間の状況】

新東名開通後1年間の1日平均断面交通量は、新東名が約4万台、並行する東名が約4万3千台でした。新東名と東名の交通量を合わせると約8万3千台となり、開通前の前年同時期と比較して約14%増加しました。

一方、東名の交通量は約4割の減少となり、新東名への転換が図られました。この交通の転換により、御殿場JCT~三ヶ日JCT間を先頭とする渋滞は、開通前に比べて約9割減少しました。静岡県警から公表された開通後1年間の事故件数でも、昨年に比べ約14%減少しています。

次は、ご好評いただいているNEOPASA7箇所の利用状況です。1年間のご来場者数は延べ約3,700万人と非常に多くのお客さまにご利用いただきました。サービスエリアとパーキングエリアの売り上げは、新東名の13箇所で195億円、並行する東名の20箇所で104億円、合計で299億円でした。新東名開通前における昨年同時期の東名の売り上げが168億円であったことから、131億円の増加となります。なお、東名の交通量が新東名に転換したことによって、東名のサービスエリアの売上は64億円の減少となりました。

 

【GW時期の高速道路における渋滞予測と対策】

ゴールデンウィークが近づきましたので、改めて渋滞予測についてご説明させていただきます。今年のゴールデンウィーク時期の渋滞のピークは、下り線が5月4日、上り線が5月5日と予測しています。

10km以上の渋滞回数は108回、うち30㎞以上は11回で、昨年とほぼ同じくらいの規模になると予測しています。

なお、当社では、お手元にお配りした渋滞予測ガイド、公式WEBサイト、スマートフォンでも分かりやすくご覧いただける「アイハイウェイ中日本」などで、渋滞予測情報や道路交通状況の最新情報を提供しております。

出発前にご活用いただき、渋滞を避けた分散利用をお願いします。

 

以上が、本日ご用意したトピックスになります。

 

【司会】

それでは、これから皆さまからのご質問をお受けしたいと思います。

 

【記者】

組織改革諮問委員会はいつ設置したのですか? 策定はいつ頃を予定していますか?

 

【金子社長】

安全性向上有識者委員会の第1回委員会の中で、組織に関わる仕事の仕方やあり方、権限、責任について、グループを含めて抜本的な改革をすべきとの厳しいご意見をいただき、すぐに委員会を立ち上げました。安全性向上3カ年計画と並行していますが、組織改革諮問委員会は組織やグループのあり方の観点からの諮問委員会です。秋頃までのできるだけ早い時期を目指して策定する予定です。第1回の諮問委員会は3月11日に開催されています。

 

【記者】

恵那山トンネル下り線の天井板撤去時期は調整中ということですが、目安を教えて下さい。

 

【金子社長】

2月8日に当社より発表していますが、撤去時期についてはGW明け以降のもっとも社会的影響の少ない時期におこなうことを基本とし、関係者の皆さまと協議・調整した上で決定します。

 

【記者】

JR東海が大規模改修の状況をメディアに公開しました。壊れる前に補修をするという考え方のようです。高速道路についても今日の15時から長期保全等検討委員会の中間とりまとめをするようですが、その金額は出ていますか?

 

【金子社長】

NEXCO3社で設置した長期保全等検討委員会の中間とりまとめで大まかな金額が出ると思います。考え方としては、我々も点検し補修を事前におこなうという趣旨から予防保全に取り組む方向です。

 

【記者】

組織改革諮問委員会は、安全性向上3カ年計画とは別に並行して実施しているということですか?

 

【金子社長】

委員会としては別々です。安全性向上3カ年計画は、企業文化の構築、経年劣化に対応した業務プロセスの見直し、安全管理体制の確立、人材育成などを取りまとめます。組織改革諮問委員会は、経営上の課題の検証と、組織や制度・仕組みを改革のための道筋を整理します。

 

【記者】

以前社長は、安全性向上3カ年計画はできることからやるとお話されていましたが、この取り組みの中で既に着手しているものはどれですか?

 

【金子社長】

中央道恵那山トンネルの天井板の撤去については、すでに工事実施に向けてどのような方法で撤去するのか、地元の関係機関と協議しています。

フェールセーフの機能強化については、重量構造物等は撤去・移設が基本方針で、それができない場合の対策として、万が一の時でも落ちないように、場所の選定や工法の検討をはじめています。

社内の安全管理体制については、2月12日に安全管理部を設置しました。

また、点検業務の強化については、保全・サービス事業本部を中心に検討をはじめています。社会資本整備審議会道路分科会道路メンテナンス小委員会でも、点検のあり方、頻度、方法などについて審議が進んでいます。科学的な点検方法については、当社の技術部門で検討を始めています。中央道恵那山トンネルや東名都夫良野トンネルの天井板撤去はおそらく数ヶ月先のことになると思いますが、監視体制の強化として、遠隔監視カメラをトンネル内に設置したり、ミリ単位の動きを感知するセンサーをトンネル内に100mピッチに設置しています。

 

【記者】

本日15時から、長期保全等検討委員会の中間とりまとめの発表があると聞いてますが、発表内容の意義を社長としてどのように受け止めていますか?

 

【金子社長】

高速道路ネットワークを管理するNEXCO3社で、大規模更新や大規模補修といった言葉の定義や進め方を統一的におこなうことが大切だと思っています。また、何をもって大規模更新とするのか、何をもって大規模補修とするのか、そういった基準についても決める必要があると思います。本日、今後の更新費や補修費について大まかな規模感が出て、原資はどのようにという話に結びついていくと思います。

 

【記者】

最終的な取りまとめはいつごろを目途に進められているのでしょうか?

 

【金子社長】

きるだけ早くまとめていただきたいと考えています。

 

【記者】

新東名が開通して1年が経ちました。ご説明いただいたように交通動向は相当変わりつつあります。まだ未開通の部分がありますけども、今後の戦略や新たに見えてきた課題などをお願いします。

 

【金子社長】

新東名は昨年4月14日に162kmを開通させていただきましたが、ご指摘のとおりまだ全線開通ではありません。したがって、全線開通に向けて予定どおり工事を進めていくことが一番重要なことだと思っています。特に、浜松いなさJCT~豊田東JCTまでの工事はなかなか難しい工事です。また御殿場以東の東京方面についても、圏央道や外環の工事と連携して、予定どおり工事を進めていくことが重要です。また、細かい点でいくつか改善点がありますので、地元の皆さまといろいろ協議をしながら進めることが大切だと考えています。

また、静岡県も新東名の沿線に力を入れていただいていますが、災害に強く魅力ある先進地域を内陸部に築く特区を申請して、先日国から許可が出たと聞いています。こういった静岡県の動きに対し、例えば工業、産業、観光について地元の皆さまといろいろご相談して、地元の経済や生活レベルの向上に少しでもお役に立てるよう、皆さまと協議をしていきたいと思います。

あとは、東名のサービスエリアやパーキングエリアの売り上げが64億円減ったと申し上げましたが、今後どのような工夫をしてお客さまにお越しいただけるようなエリアにするのかというのも課題と考えています。

 

【記者】

安全性向上3カ年計画を策定する時期の目途を教えて下さい。

 

【金子社長】

安全性向上の取り組みを国土交通大臣にご報告した時に、6月末を目途に計画を策定するということを申し上げました。いくつかの委員会が設置されていますが、例えば点検のあり方については、この3カ年計画の柱になる部分と思っています。それぞれの委員会ではいろいろご審議いただいていますので、これらの状況を踏まえると当初予定していた6月末というのは少し厳しいかもしれません。

 

【記者】

都夫良野トンネルの天井板を撤去する時期の目途を教えて下さい。

 

【社員】

都夫良野トンネルの下り線左右ルートの天井板を撤去するには、交通規制が必要です。関係機関との調整が終わる前に時期を具体的に申し上げることは控えたいと思いますが、できるだけ早い時期で、かつ地元の皆さまにも影響の小さい時期を選んで撤去したいと考えています。

 

【記者】

お盆、年末年始、年内、年明けなど、タイミングとしてはどの辺りでしょうか?

 

【社員】

1年、2年という単位ではなく、できるだけ早い時期と考えていますが、具体的なことはまだ申し上げられる段階ではありません。

 

【記者】

長期保全等検討委員会の中間とりまとめの発表の内容を社長もご存知だと思いますが、規模感についてどのように考えていますか? また、中日本高速道路として、どこに重点を置くつもりかを教えてください。

 

【金子社長】

どういう考えに立って大規模更新・大規模修繕をするのかがとても難しく、それを今審議していただいているところだと考えています。したがって、規模感にもかなりの幅をもっていると承知しています。どこを重点に置くかということにつきましては、現段階では決めておりません。

 

【記者】

事故後、社長ご自身の立場について、再発防止あるいはご遺族や被害者への対応に専心されるという立場を表明されていましたが、安全性向上に向けた取り組みの見通しがある程度たってきたという印象がある今、改めてご自身のお立場についてお聞かせください。

 

【金子社長】

安全性向上に向けた取り組みはまとめましたが、具体策である安全性向上3カ年計画は策定途中です。まずは何といってもご遺族の方に誠心誠意対応することが第一です。次に、当社は刑事事件として捜査を受けており、捜査に対して最大限の協力をすることが重要です。そして3点目が、再発防止に向けて抜本的な改革を踏まえた上での安全性向上3カ年計画です。計画を立てた後、それを実行することが一番大切だと思っています。したがって、この3つのことを進めていくのが私自身の責任だと考えています。

 

【記者】

ご遺族の方への対応や金銭的な部分の話し合いがどのように進んでいるのか教えて下さい。

 

【金子社長】

ご遺族との対応内容については、回答を差し控えさせていただきたいと思います。

 

【記者】

新東名の開通により、サービスエリアとパーキングエリアの売上が合計で299億円ということですが、この売上について社長の感想をお聞かせ下さい。また、東名のサービスエリアとパーキングエリアのテコ入れについて、今後の方針を教えて下さい。

 

【金子社長】

昨年度から売上が増えているのは大変ありがたいと思っています。売上は計画より上回っています。NEOPASA7箇所の来場者数が3,700万人と、多くのお客さまにお越しいただいたことに感謝申し上げます。初年度、多くのお客さまにお越しいただきましたが、2年目以降も引き続き多くのお客さまにお越しいただきたいと思います。高速道路をご利用いただくお客さまだけでなく、ぷらっとパークをご利用してお越しいただいている地元のお客さまに対しても、今後どのように使い勝手のよい魅力のあるサービスエリア・パーキングエリアにしていくかが課題だと思っています。

 

【司会】

ご質問が途切れたようですので、これで定例記者会見を終了いたします。