NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2011年10月26日金子会長兼社長定例会見

会見要旨

【司会】

皆さまお待たせいたしました。ただいまから第72回の定例記者会見を始めさせていただきます。

 

【金子会長兼社長】

 

お忙しいところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

本日は、定例の会見に先立ちまして、一言お詫びを申し上げます。

本日、弊社社員の所得税法違反容疑により中日本高速道路株式会社が強制捜査を受け、弊社社員が逮捕されたことは、大変遺憾なことであり、高速道路をご利用いただいているお客さまをはじめとする、国民の皆様に対して、深くお詫び申し上げます。

社内においても、事実関係を調査しておりますが、今後、捜査に全面的に協力す るとともに、事実関係について確認のうえ、厳正かつ適正に対処して参ります。

この件に関してのご質問については、後ほどお受けさせていただきます。

 

 

事業の現況についてご説明申し上げます。

9月の料金収入は、404億1百万円と、対前年同月比9.5%増でした。一方、9月 の通行台数は、日平均183万台と、対前年同月比7.6%減でした。料金収入が前年同月と比べプラス、通行台数がマイナスとなった理由は、無料化社会実験の凍結や、休日特別割引の地方部上限千円の終了によるものです。

建設の状況とETCの状況については、お手元の資料のとおりです。

次にサービスエリアの状況です。9月のサービスエリアの売上高は125億3千5百万円と、対前年比96.1%でした。これは、台風15号が中日本エリアを横断する形で通過し、お客さまの出足に影響を与えた結果と考えています。

9月の事業の現況は簡単ではございますが以上です。

続きまして、先月の定例会見でもお知らせしました東名高速道路音羽蒲郡ICから豊田JCTの渋滞対策工事ですが、工事が順調に進み、今月21日より暫定的に3車線で運用しています。

速報として、運用開始日から昨日10月25日(火)までの交通状況を、お手元の 資料にご用意しております。運用開始前と比較をすると、交通量はほぼ同水準だったのに対し、渋滞規模(渋滞量)は68%減の効果を確認しております。なお、一定期間効果を確認した後、あらためて結果をお知らせします。

また、本区間は、車線幅員が狭く、規制速度が時速60kmになっております。当社としましては、各種交通安全対策を実施しておりますが、規制速度を守り、安全に走行して頂けますよう、よろしくお願いします。

 

次のトピックです。10月に入ってから、NEXCO中日本管内の高速道路において、交通事故で6人の方が亡くなられており、例年に比べ急増しています。高速道路での交通死亡事故削減に向けて、お客さまへの交通安全啓発活動を行うとともに、各種交通安全対策の継続的な展開や、新たな交通事故防止策の検討など、交通安全対策を推進しますのでお知らせします。

お客さまにおかれましても、安全に走行していただけますようお願いします。

 

以上が本日ご用意したトピックスでございます。

 

【司会】

それでは、これから皆さまからのご質問をお受けしたいと思います。

 

【記者】

逮捕された山田容疑者の経歴を教えてください。

 

【金子会長兼社長】

山田真己の当社での経歴ですが、昭和63年4月1日に当時の日本道路公団に入社しました。その後、名古屋管理局の一宮管理事務所、名古屋建設局の名古屋工事事務所、美濃工事事務所、一宮工事事務所に異動しています。平成3年4月に美濃工事事務所に異動したときから用地課に所属して、以来ほとんど用地業務に従事している社員です。

一宮工事事務所のあとは、静岡建設局掛川工事事務所に平成11年3月まで、沼津工事事務所に平成16年3月まで用地を担当しています。その後中部支社の新城工事事務所に異動し、平成19年6月まで、庶務および用地に従事しています。平成19年7月から平成22年6月まで名古屋支社豊田工事事務所、その後平成22年から平成23年1月まで東京支社の沼津工事事務所で従事し、平成23年1月から名古屋支社総務企画部に異動しています。このような経歴です。

 

【記者】

山田容疑者の仕事ぶり、人柄を教えてください

 

【金子会長兼社長】

私自身、本人をよく知りませんが、周りの同僚の意見を聞きますと、特別目立った、何か変わったことをする人物ではなかったと聞いています。

 

【記者】

一部報道で採石会社と「確認書」を結んでいるとありましたが、NEXCO中日本として、良くある事例なのか、また個人の判断なのか、工事事務所の判断なのか、「確認書」の位置づけを教えてください。

 

【金子会長兼社長】

昨年12月査察を受けた後、社内で調査委員会を立ち上げ、事実関係を現在も調査中です。「確認書」があったのか、なかったのかを含め、それがどのような位置づけなのか、組織の問題を含めて調査委員会を中心に調査中です。明らかになった時点で公表いたします。

 

【記者】一般の用地交渉では、「確認書」を交わすことはよくあることなのでしょうか?

 

【社員】

用地の取得につきましては、地権者さんと合意に達したのちに、土地売買契約書や物件移転契約書などの契約書を交わすことが定められており、定められたやり方で進めることが一般的で、確認書を結ぶことは一般的ではありません。

 

【記者】

過去に「確認書」が1例もないことを把握しているのでしょうか?

 

【社員】

実際に事例があったかどうか、全ては把握していませんが、用地の交渉としては定められたやり方ではありません。

 

【記者】

定められたやり方ではないと思いますが、日常的にあったどうか、公団時代も含めていかがですか?

 

【社員】

実際にそのような事例があったかどうかは、現時点では確認できていません。

 

【記者

長く用地を担当していると言われましたが、通常の人事の異動の中では、よくあることなのか、特例なのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

当社では、配置転換が頻繁に行われます。用地のような特殊な業務は専門性が高いので、その業務を長く経験することがあります。

 

【記者】

「確認書」を交わした際に、山田容疑者のほかに上司もその場に一緒にいたと相手の採石会社の社長が発言していますが、確認されていますか。また「確認書」は物理的に存在するか確認しているのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

捜査中であるため、確認書の存在や誰が交渉したかについては、コメントを差し控えたいと思います。

 

【記者】

調査委員会を立ち上げて、社内の調査は半年以上経過しているのに、事実関係も分からないのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

コメントは差し控えさせていただきます。現在捜査中のため、捜査に影響を及ぼす可能性があるためです。

 

【記者】

捜査は所得税法違反で調べているため、「確認書」については直接は関係ないと思いますが?

 

【金子会長兼社長】

直接関係ないかも含めて捜査中ですので、コメントは差し控えたいと思います。

 

【記者】

採石会社は「確認書」があると実名を出されて主張しており、工事長も立ち会っていたと言っていますが、それについてはコメントはないのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

相手方のご発言はご本人の判断で言われていますので、こちらからのコメントは変わりません。

 

【記者】

去年の12月から、調査委員会を立ち上げているとのことですが、どういうことを調査して、今明らかにできることはどういうことがありますでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

どういった事実があったのかを調査をしており、本人および、本人が勤務していた事務所にヒアリングをしています。今明らかにできることは、何度も同じ答えで恐縮ですが、捜査中、また社内で調査中です。だいぶ時間が経っているとご批判もございますが、現段階では調査中であるため、しかるべき時にきちっとお話しします。

 

【記者】

社内調査は、内部調査でしょうか、またどういったメンバーでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

外部の弁護士、不動産鑑定士などで、調査委員会のメンバーは内部、外部の方々です。お名前は差し控えたいと思います。

 

【記者】

山田容疑者は、特捜部の調べに対して概ね容疑を認めているとのことですが、社内の調査に対してはお金を受け取ったことは認めていることでよろしいでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

その件に関しても、内容に踏み込みますのでコメントは差し控えたいと思います。また、本人が捜査当局にどのように話したかは確認できていません。

 

【記者】

会社としてのコンプライアンスとして、どのようにお考えでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

弊社社員が所得税法違反ということで、強制捜査および逮捕に至ったことは誠に遺憾であります。高速道路をご利用いただいている国民の皆さまに大変申し分けなく思っています。

いろいろご質問いただいていますが、今われわれがやるべきことは捜査に全面協力し、社内でも事実関係を確認のうえ、厳正・適正に処分したいと思います。

 

【記者】

捜査は進行中ですが、今も不正が行える可能性があるという点で、ガバナンス上どこに問題があったのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

どこに問題があったかについては、まさに調査委員会により原因を追及し、再発防止策につながるところであり、コンプライアンスにかかわる問題と認識しています。どこをどのように直すのか、直していけばよいのか、まずは事実を確認し、その事実に基づく再発防止策を早急に作りたいと思います。

 

【記者】

昨年の査察を受け、新聞報道された際に会社として今回の土地取引そのものには問題が無かったというコメントを出されていますが、現在でも同様な認識でいるということでよろしいでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

まだ、調査中でありますが、今までの段階では問題がなかったと考えています。

 

【記者】

問題が無かったという判断の理由をもう少し詳しく教えてください。

 

【金子会長兼社長】

内容になりますと、何回も申しあげておりますように、コンプライアンスの問題にしろ何の問題にしろ事実関係を解明してからお話ししたいと考えております。

 

【記者】

新東名が現在工事中で、来年には開通する区間があります。開通の時期に今回の事件が影響してくるのか教えてください。また、このようなケースがおきましたが、ステークホルダーなどの取引先と問題が起こらないように確認したり、監視する仕組みなどあると思いますが、そのような制度、体制などあったのか教えてください。

 

【金子会長兼社長】

1点目につきましては、8月に発表させていただきました新東名御殿場JCTから三ヶ日JCT間162kmについては、まったく問題はありません。三ヶ日以西についても、お客さまから期待の高い新東名でありますので、極力、お約束した時期に開通できるよう最大の努力を重ねていくつもりでおります。もう1点のコンプライアンスに関する社内のチェック機能に関するシステムなどがあったのかという質問ですが、ありました。しかし、残念ながらこのようなことがおきましたのでこれでは十分ではないと考えており、今後強化していかなければならないと考えております。どこをどのようにするのかは、これも事実関係がすべて明確になってからと思います。

 

【記者】

今回のケースでいくと、どのようなチェック機能が働くはずだったのですか? 取引先の方から何らかの報告があるとか、上司が必ずレポートを受けるとか、どこが働かなかったのですか?。

 

【金子会長兼社長】

いろいろなプロセスがあると思いますが、今のこの場では、ご質問へのお答えは差し控えさせていただきます。

 

【記者】

チェック制度があったなら、それは言っていただいた方がいいと思います。

それは社長がわからないということですか?あることは事実なので是非とも言うべきだと思います。先ほどからお聞きしていますと、全部判ってからと言いますけど、新東名はあった方がいいと思いますが、このような不正のもとで造ってもありがたいということではないので、そこはクリアにして、なおかつ企業として真摯な姿勢をだすべきではないでしょうか?せめてプロセスくらいは言えせんか。

 

【金子会長兼社長】

会社としてのどのような態度が真摯な態度として認めていただけるのかということですが、少なくとも私が或いは会社として考えているのが、事実を解明し、そしていままであったシステムやプロセスなどを見直しし、再発防止計画の中でお示しすることが、重要であると考えています。本人の逮捕ということになりましたので、事実解明に長い時間がかかるとは思いませんので、その時期をもってご説明したいと思います。

 

【記者】

今回の社員の不正は、会社としては全く気付かなかったという認識でよろしいでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

気づきませんでした。

 

【記者】

なぜ、気付かなかったと今お考えですか?

 

【金子会長兼社長】

その辺を含めて、今どこがどのようであったのかをということであります。これが起きたのは何年も前の話であります。それが、昨年の12月の査察があるまで判らなかったこと自体が問題であると認識しています。

 

【記者】

査察が入ってから今まで相当時間がたっていますが、社長自身が問題があると思っている点があればお聞かせいただけませんか?

 

【金子会長兼社長】

いろいろあると思います。プロセスですとかコンプライアンスですとかあるいは社員の人材ですとか教育の問題などいろいろ問題があると思いますので、再発防止の中に盛り込んでいきたいと思います。

 

【記者】

問題になっている社員の取引上の役割を教えていただきたい。どのような担当をされていたのか教えてください。

 

【金子会長兼社長】

用地の担当者です。

 

【記者】

複数いる担当者の中の責任者ですか?

 

【金子会長兼社長】

上には管理職がいます。その上には組織的に副所長、所長といます。

 

【記者】

実際の交渉役をするのは、山田容疑者の担当であったのですか?

 

【金子会長兼社長】

そうです。

 

【記者】

山田容疑者の部下の方は、直接交渉に携わることは無かったのですか?

 

【金子会長兼社長】

部下はいないと聞いております。

 

【記者】

基本的に相手方と会うときは、山田容疑者が1人で行って話をするような状況であったのですか?

 

【金子会長兼社長】

そのように聞いております。

 

【社員】

本件がどうなっていたのかは調査中でありますので、一般論でのお話ですが、用地交渉は1人では行かずに2人以上の複数名で行くのが基本になっております。

 

【記者】

社長のお答えで、山田容疑者1人でということでしたが、それは違うということですか?

 

【金子会長兼社長】

おそらく何十回交渉したのか正確には把握していませんが、1人の場合も複数の場合もあったのではないかと思います。

 

【記者】

用地交渉には、難しいもの、すぐまとまるものがあると思いますが、採石会社との用地の交渉については、会社としては話を続けるのは難しい交渉だという認識だったのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

色々な物件を抱えていますけれども、この物件については難しい分類に入るのではないかと思います。

 

【記者】

社内の調査委員会の進捗状況についてですが、6月の定例会見でも、進み具合はどうですかと質問させていただきましたが、「そう時間がかかるもだとは思っていない、月単位の話にはなると思うが」という、お話を伺えたのですが、そのときと比べて、当初の想定よりも遅れているのでしょうか?遅れているとしたら原因は何でしょうか?

 

【金子会長兼社長】

いままで社内の調査委員会が3回終わりまして、4回目が早々に開かれるのではないかと思います。これからまた長期にわたる調査があるとは思っていません。おそらく4回目ないしその次でクローズになるのではないかと思います。

 

【記者】

調査結果の公表とそれに伴って山田容疑者の処分もあるかと思いますが、目途はいつ頃になるのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

捜査が終了した時点が一つの目途ではないかと思います。捜査がどの程度かかるのかは私は判りません。数か月かかるとは思っていません。

 

【記者】

それは、起訴を指していますか?それともその後長く公判になりますが、刑が確定する時期ではなくて、起訴をもってということでよろしいでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

社内の規定に準じて処分は行いますけども、通常は起訴が基準ではなかろうかと思います。

 

【記者】

先ほど、愛知県内の新東名の工事についても、目標どおりにできるように努力をしていくとの話でしたが、音羽の区間が遅れているということを聞いているのですが、現時点で努力していくこと以外で、目途としてはどれくらいですか?

 

【金子会長兼社長】

開通が平成26年の年度内がこれまでお約束している時期です。その時期は何としても守りたいと思っております。ご指摘のようにこのようなことがありましたので数ヶ月遅れたことは事実であります。それを何とか努力して今申し上げた時期に開通できるよう社内で努力をしていきたいと考えています。

 

【記者】

一般的な用地の買収で、地権者さんが要求する金額をどうしても支払えない場合、払える上限を払ったのちに別の名目で支払うことがあるのでしょうか。

 

【社員】

用地の補償につきましては、国で定められた補償基準に基づき適正に算定し、その算定額にご理解いただき契約いただくことになります。別の名目で支払うということはありません。

 

【記者】

国の定めた補償基準とは、国交省が定めているものですか?

 

【社員】

国の方で以前に閣議了解された補償基準要綱があり、そこに考え方が示されており、それに基づいて国を含めた各公共事業者が補償基準を定めて、それにより補償額を算出しています。

 

【記者】

現場の用地の担当者の場合、最大限支払える額は、国の基準に従うといくらまでなのでしょうか?

 

【社員】

本事案に関しては調査中ですのでお答えは控えさせていただきます。

 

【記者】

一般的に、用地交渉で一番最大の水準、最大の基準になる、補償費が高くなる場合はどのような場合でしょうか?

 

【社員】

補償金額の算定については、現地を調査してその結果に基づいて、補償基準を適用して算定していますので、恣意的要素はございません。

 

【記者】

現地調査とはどのような調査をするのでしょうか?

 

【社員】

一般的に、買収する土地の上に建物が建っている、あるいは木を植えているような場合には、それらを移転していただく費用を算出します。建物であれば大きさや構造、部材、木であれば種類や幹回りの大きさ等を調査して算出しています。

 

【記者】

プラントの採石権に関しても一般的な基準があるのでしょうか?

 

【社員】

プラントに関しては、一般的な建物に比べて特殊なものになりますが、基本的な流れは一緒です。

 

【記者】

採石権については?

 

【社員】

権利につきましては、物件とは違うものになりますが、調査をしてそれに基づいて算出しています。

 

【記者】

移転費用は補償費用に組み込まれているのか、別に払われるのですか?

 

【社員】

用地の補償は、土地を買収する土地の売買と物件を移転して頂く補償の2本立ての契約になります。物件がない場合は土地の売買だけです。契約については2本立てになりますが、同じように交渉して同時期に契約する流れになります。

 

【記者】

難しい物件と説明がありましたが、今までにも採石場の移転の事例はあったのでしょうか?

 

【社員】

現時点では把握しておりません。

 

【記者】

難しい部類の物件と判断しているのはなぜですか?

 

【金子会長兼社長】

プラントの施設があり、採石権が設定されているなど多くのことがあり、一般的な物件よりも難しいということです。

 

【記者】

数カ月遅れたと言われましたが、以前の会見では工事の影響はないと言われています。工事の遅れが出たいうことでよろしいでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

お約束している平成26年度の完成を目指していることは変わりません。

 

【記者】

多少は遅れが生じたが、これから間に合わせたいということか?

 

【金子会長兼社長】

平成26年度開通に向け最大の努力をして行きたいということです。

 

【記者】

山田容疑者は担当者と言うことでしたが、一般的に、担当者が用地買収をする過程で相手側と話をまとめて最終的に締結すると思いますが、社内での決裁または稟議書は最終的にどの部署まで上がってくるものなのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

私自身も、大きな物件、難しい物件でも一律に同じプロセスではなく、もっとチェック機能を果たさなければいけないと考えています。したがって、再発防止策の中では、チェック機能などを見直していこうと思っています。チェック機能が十分ではない、したがって強化すべきと思っています。

 

【記者】

本社の用地担当部署まで話として最終的に上がって、了解を経て契約が締結されるという考えで良かったのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

そのあたりも含め、今回どこまで決まっていたのか、どこまで話が入っていたのか、現在調べていますので、分かり次第お話ししたいと思っています。

 

【記者】

決裁などの紙があるのですからわかると思うのですが、そんなに時間がかかりますか?

 

【金子会長兼社長】

時間がかかるし、今捜査中ということです。

 

【記者】

あり得ないですよね、紙があるのに。紙があってハンコがあるのだから今回のケースは誰が押したかわかるわけですよね。それを答えられないというのは全く理解できないですが。

 

【金子会長兼社長】

調査で全部わかり次第そういったことの解明は明快にお応えします。

 

【記者】

それは出したくない事情ですよね

 

【金子会長兼社長】

出したくない事情ではなく、今捜査中だからということです。個人的に出したいとか出したくないとかいう感情の問題ではなくて、いま捜査が行われておりますのでそれを最優先に協力していきたいと思っておりますし、我々も内部の調査委員会についても時間がかかるというご指摘はありますけど、いま全部が解明できているかというとまだ不十分なところもありますので十分に極めてからお話を申し上げたいということです。

 

【記者】

用地買収の一般的なお話をお伺いしたいのですけど、先ほど国の算定基準があってそれに基づいて数字を出すと、そこに恣意的な要素が入ることはないとのお答えだったと思うのですが、御社の側からこの土地はいくらですと提示して向こうがその金額ではうちは売らないと、そういう回答をしてきた場合はもうそれで終わりということなんですか?

 

【社員】

決して終わりということではなくて、ご理解いただくまで粘り強く交渉するということであります。

 

【記者】

それは交渉の仕方としては金額の上積みは無く、今回出ているような項目をどうしますとかいう約束もなく、ただひたすらお願いしますと頭を下げる交渉をするということですか?

 

【社員】

我々としては基準に基づき適正に算定しておりますので、その中身を十分にご説明させていただいてご理解をいただくということになります。

 

【記者】

一度出した金額について途中で変えたりすることは一切無いということでよろしいでしょうか?

 

【社員】

地権者さんからのそういった要望を受けて変えるということはございません。

 

【記者】

相手側の要求で金額を上積みすることは無いということですか?

 

【社員】

一般論ですけども、社内で補償金額を算定して決裁等の手続きをとって金額が決まりますので、その金額を地権者さんにお示ししてご理解いただくということになります。

 

【記者】

今までも上積みはしたことは無いということですか?

 

【社員】

過去の例がどうかということはすべてを把握しているわけではありませんけども、一般的なやり方についてはご説明したとおりです。

 

【記者】

どうしても折り合いがつかない場合は土地収用ということになるかと思いますが、今回NEXCO中日本で土地収用をされた例はあるのですか?

 

【社員】

新東名につきましても、どうしてもご理解いただけない場合には収用手続きをとる例はございます。

 

【記者】

収用の事例は、本件のような事業所用地についてですか?

 

【社員】

内容につきましては用地補償に関することですので説明は控えさせていただきます。

 

【記者】

さきほどの決裁の件ですが、今回難しい交渉であるかは別として、普通の交渉ですと誰が決裁した段階で交渉を開始するのですか?

 

【社員】

補償金額の算定の手続きにつきまして一般論としてお話いたしますが、先ほど申し上げた通り、用地の契約は土地売買契約と物件移転補償契約の2本がございます。土地につきましては実際に現地を測量して買収する面積を確定し、土地の単価に関しては不動産鑑定士等の専門家の鑑定評価を頂いて単価を決定して土地売買代金を算定していくという流れになります。物件の補償につきましては先ほども少しご説明しましたが、実際のその物件の数量ですとか、種類ですとかそういったものをすべて調査し、補償基準を適用して金額を算出するという流れになります。

 

【記者】

決裁はどの段階で?

 

【社員】

補償金額の決定の決裁につきましては最終的な決裁権限は支社長にございます。実際に現場で仕事しているのは工事事務所になりますが、工事事務所で案を策定してそれを支社の審査を受けて支社長が決定するという流れになります。

 

【記者】

山田容疑者なんですけど、どこまでの権限を持ってらっしゃるんですか?たとえば測量会社を選ぶ権限があるとかどのあたりまでの権限を持ってらっしゃったんですか?

 

【社員】

補償金額の決定に関しては先ほど説明したとおり事務所で案を作り、事務所の中でも事務所長まで決裁をとってそれを支社で審査を受けて決定するという流れになりますが、担当者としてはその案の作成等を行うというのが一般的かと思われます。案を作成しそれを役職者、最終的には事務所長の決裁をとって支社に上申して審査を受けるということになります。

 

【記者】

山田容疑者はどこまで関わったんですか?

 

【社員】

本件がどうであったかはコメントを控えさせていただきますが、一般論といたしましては担当者が案を作成して、役職者の了解を得るという流れで仕事を進めております。

 

【記者】

担当者の案が大体通って行くものなんですか?用地業務は専門性が高いということを話されていましたが。

 

【社員】

当然役職者の審査あるいは支社における審査の中で内容が不適切であればそれを修正するということもありますし、案が適正なものであれば原案のままで承認されることもあります。

 

【司会】

ご質問が途切れたようですので、以上で定例記者会見を終了いたします。