NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2007年04月25日矢野会長定例記者会見

会見要旨

(会長)

NEXCO中日本代表取締役会長CEO・矢野弘典 みなさんこんにちは。
最初に事業の現況から始めたいと思います。そのほか、数件のトピックスがありますので、順次説明をさせていただきたいと思います。
3月分の事業概況ですが、料金収入は529億、対前年同月比96.6%、マイナス3.4%となっています。これは時間帯割引額の拡大の影響とみています。通行台数は、日平均で171万台、対前年同月比プラス1.6%。台数が増えたのも、時間帯割引の誘発効果だと考えております。高速、一般有料道路どちらも料金、通行台数とも同じような傾向で、高速道路の料金がマイナス3.2%、一般有料がマイナス5.4%です。通行台数は高速道路がプラス1.7%、一般有料道路がプラス1.2%です。
年度累計ですが、これはまだ速報値です。確定値は少し時間がかかってからまとまりますが、料金収入は6,103億円で対前年度比マイナス2.0%。通行台数は日平均1,651千台でプラス2.7%となっています。それぞれの原因については、3月分と同様の分析ができると思います。通行台数について年度の内訳を申し上げますと、高速がプラス4.0%、一般有料道路はマイナス2.6%です。一般有料道路については、豊川橋や油坂峠道路、真鶴道路の無料化、公社への引継ぎによって減少したものです。
それから、ETC割引がどの程度なされたかを補足的に説明しますと、3月については料金収入529億円と申しましたが、割引額をプラスすると674億円になります。つまり、割引額が144億円ということで、割引率が約21%ということになります。年度累計ですと、料金収入6,103億円ですが、割引前が7,652億、割引額が1,549億円、約20%の割引率となっています。ETCの普及に伴って、この傾向が強まりつつあるといえると思います。

次に建設の状況ですが、2007年度開通予定としては、首都圏中央連絡自動車道、圏央道が9.6km、東海北陸自動車道の飛騨清見〜白川間が25kmです。
また、先日既に発表済みですが、2008年春開通予定の第二名神について、開通後の名称を「新名神高速道路」と決定しています。

主な工種の工事契約落札率ですが、3月は落札率が84.85%でした。年度累計で82.13%となっています。

ETCの状況ですが、直近の4月13日から19日までの間に関しては利用率が70.3%ということで、前月の9日から15日の期間に比べて1%ほど増加しています。合計で70%台に乗ったというところです。内訳ですが、平日が73.3%、休日が62.5%ということで、やはり休日の利用率が高まりませんと、これから先、大幅な利用率の向上が望めないと思っており、どうすればこれを高められるかということが今後の課題になってくると思います。セットアップ台数は1,477万台です。

SAの状況ですが、売上高は11,091百万円で対前年比98.6%となっています。年度累計では1,390億円となっており、対前年度比5%の増となっています。売り上げ98.6%と申しましたが、飲食、物販、サービス部門は100%を超えているのですが、ガソリン部門が92.5%と落ちまして、全体として、98.6%となっています。ちなみに飲食部門は100.7%です。このうちレストランコーナーが96.5%と減っており、スナックコーナーが101.8%と増加しております。物販部門は100.9%、サービス部門が105.7%となっています。

以上が事業の現況です。

次にトピックスですが、ハイウェイテレホンでの「#8162」のサービス拡大です。これはお手元に資料を差し上げていますが、本日からハイウェイテレホンの電話番号を「#8162」に統一しました。ハイウェイテレホンは現在1日平均で約5,000件の利用をいただいています。これまで「#8162」は一部地域でのみご利用が可能でしたが、このたび、当社エリアの全域にわたってこれが使えるようになりました。従来のハイウェイテレホンの番号、局番をかけて、最後に「1620」を使っていただいているものも、引き続きご利用いただけます。
資料次ページ、7番の「目で見るハイウェイテレホン」の情報提供範囲も、今回を機に拡大しました。

次にSA・PAでの宅配サービスの拡充です。これは4月27日から中日本エクシスが運営している、ほぼすべてのSA、PAで宅配サービスを開始するというものです。中日本エクシスが運営する現在営業中の131ヵ所のうち、128ヵ所で取次ぎを行います。残る個所でも、順次実行していくことにしています。また、地域の特産品をヤマト宅急便で送る場合には、エリア独自の料金体系、一般取次ぎの料金体系よりも大分安くなっています。

次に資料はないのですが、FMラジオ番組を開始していることをご報告します。これは、2007新経営計画「チャレンジV」の改訂版に記載している項目を具体化したもので、4月からFM愛知で毎週土曜日の昼12時から約30分間、音楽や季節のドライブスポットを紹介する番組を始めました。番組のタイトルは「NEXCO中日本Lovin’Drive」です。5月からは各地域ごと、当社の管轄する全域でFMラジオ番組の提供をする予定です。
それから、車の旅を題材としたテレビのミニ番組も6月から放送開始の予定で、ただ今準備中です。また具体化した際にご報告できると思います。

4番目のトピックがプレミアムドライバーズカード会員限定キャンペーンというものでして、お手元にパンフレットをお配りしていると思いますが、会員限定で春のSA・PA幸せキャンペーンと称するキャンペーンを行います。4月28日から5月31日までの期間にプレミアムドライバーズカードのEdyで1回あたり1,000円以上のお買い物をされた場合には、ご利用額の15%をEdyでプレゼントする、というサービスです。

次が企画割引です。ひとつは東名のGW夜間半額割引という企画です。これは4月6日に発表させていただいたもので、4月28日から5月6日までの間、東名の大和トンネル付近を先頭にした渋滞緩和のために、夜の時間帯について半額割引をするという企画です。お正月にも1月2、3、4と3日間行いました。TDM、Traffic Demand Management、交通需要マネジメントと呼んでおりますが、以前担当の横浜支社長がここに来てご説明したと思います。その際の報告では3日間で1勝1敗1分けと申していたかと思いますが、今回はもう少し期間を長く取ってやってみたいということです。渋滞緩和の効果が必ずあるだろうと思っていまして、もちろん突発的な事故その他がありますと効果が測定できない場合がありますけれども、やってみようということとしまして、もうまもなくですが実施段階に入ります。
もうひとつは富士周遊WEEKDAYドライブキャンペーンです。4月10日に発表させていただきましたが、こちらはマイレージポイントを300ポイントプレゼントし、抽選で地域の特産物をおつけするというものですが、4月23日から受付を開始しています。
もうひとつ。これは4月16日に発表させていただいたものです。以前から実施していた北陸3県のETC週末フリーパスについて、先日の能登半島地震の復旧支援という観点から期間を延長します。この点については、能登半島地震に際してのNEXCO中日本の地域支援の状況とまとめて、金沢支社長の日野からご報告します。日野さん、よろしくお願いします。


(支社長)

金沢支社の日野です。能登半島地震の復旧支援ということで、お手元の資料に沿って説明したいと思います。
地震の概要と当社の道路の状況は、3月25日の9時42分に地震が起きまして、震源地が能登半島沖、マグニチュードは6.9、最も震度の強いところが石川県の能登で震度6強。その他の震度は記載のとおりです。
地震後の当社の道路の状況ですが、地震発生後ただちに金沢西IC〜富山IC間、小矢部JCT〜福光IC間を通行止めして点検を行いました。異常が無かったため、11:15に通行止めを解除しました。
以下、被災からきょうまで、NEXCO中日本が復旧支援している概要をご説明します。
ひとつめとして、被災当日より1ヵ月間、災害救助車輌の無料の徹底ということで、援助物資などを運搬する車輌について、無料という措置をしました。これは5月末まで延長しています。全国の有料道路全ての全区間が対象です。4月23日までで、金沢支社管内で約630台ほどの取り扱い台数があります。
二つめとして、石川県からの要請を受けたものなのですが、水道管の断水箇所を早く復旧するために通水試験が必要でした。通水用には飲料に適した水が必要だったため、当社から飲料水を運べる10tの散水車1台を支援しました。金沢支社管内に飲料水に対応できる散水車がありませんでしたので、名古屋支社からただちに借り受け、3月30日〜4月7日までの9日間、通水試験などで活躍しました。このようなことがありましたので、今後当支社で散水車を更新する際には、飲料水にも対応できるような車輌に更新したいと思います。
三つ目として、サービスエリアでの募金活動ですが、全てのインフォメーションのあるサービスエリアにおいて、高速道路を利用される方々からの義援金を受け付けております。
四つ目として、地震災害による風評被害といいますか、観光客の出足、または予約等が非常に影響を受けていまして、これらに何らかの支援をしたいということで、つぎのようなことをやっています。当初は4月16日までだったETCの週末フリーパスを、連休期間を越えて5月21日まで延長しています。連休中は、金、土、日、月にかかわらず2日間何曜日でも利用できるようになっています。追加の募集等も順調にきています。あと、4月の14日、15日に北陸道で「北陸道春まつり」というイベントを行いましたが、そこで北陸3県の観光PRのチラシと道路の復旧状況がわかるようなものを配布しました。あわせて「能登は元気に営業中」という看板を4月14日から全てのSAで掲示して、お客様に能登は大丈夫だということをアピールしています。
4月17日に石川県で「ようこそ能登」という実行委員会が設立されました。能登半島地震の風評被害を払拭するためのキャンペーンを大々的に行いたいということで、当社としてもキャンペーン事業の一環として、中京圏および関西圏の主要なSA、PAで4月下旬から観光ポスターを貼って、北陸能登方面に来ていただくということを支援したいと思います。
それ以外に、NEXCO中日本としてだけでなくNEXCOグループとして、技術的な支援等もいろいろやりたいと石川県に申し入れています。
先ほど、一般の方からの募金活動についてお話しましたが、NEXCO中日本としての義援金、または社員から募りました義援金を、連休明けに会長から石川県にお渡しする予定になっています。


(司会)

それでは引き続き質疑の時間を取らせていただきます。何かご質問などがありましたらよろしくお願いいたします。


(記者)

サービスエリア、パーキングエリアでの宅配サービスについてです。エリア独自の料金体系ということですが、具体的にエリアごとにどれくらいの違いがあるのでしょうか。


(会長)

北海道、沖縄を除くとほとんど差はありません。例えば大きさに関係なしに1個500円といった価格になります。普通の一般取次ぎの場合、私も正確に何cmということはわからないのですが、160サイズでいうと北海道で2,210円、関東で1,690円、沖縄だと3,790円という例があります。それがこのたびの土産品等取次ぎ業務になると、北海道でどこから送っても1,000円、関東ですとどこから送っても500円、沖縄だと1,100円です。東北から九州までは500円から700円とあまり大きな差はありません。こういったサービス体系になっています。


(記者)

目標の売り上げや取扱高は決められていますか。


(会長)

大体の推測ですが、2007年度に全体で4,000万円ぐらいかなという感じを持っています。すでにやっている分も含めてこのたび128ヵ所になるわけです。亀山の上下、嬉野も6月1日から始めようと思っているのですが、そういった予定も含めての数字です。


(記者)

昨年度の料金収入に関して、昨年度の割引率は約20%とのことですが、一昨年の割引率はどの程度だったのでしょうか。


(会長)

一昨年度は約17%です。去年の3月は1ヵ月の累計で約19%でした。


(記者)

通行台数、料金収入ともに対前年度比プラスとなるのが望ましいのだと思います。昨年度の料金収入が一昨年度を下回ったことについてはどのようにお考えですか。


(会長)

これについては万博の影響があったと考えています。それとETCの普及が重なっての結果だと思います。万博の年は交通量、売り上げともにすいぶん増えたようです。万博は9月までだったということで、昨年度も前半はその影響が出ていました。そういったことからも、やはり経済が良くなっていかないと、いくら踏ん張ってもだめなんですけれども、今のような状態が続いていけばこれからも交通量の増、売り上げの増が見込めます。そしてETC利用のお客様への料金還元を進めていっても何とかやっていけるのではないかと思っています。収入が増えるに越したことはありませんが、やはりわれわれの事業の公共性から、特に料金の部分ではETCで社会還元をやろうということに決めていますので、この割引がだんだん年々増えていって、最終的にはETC利用率90%という目標を持っていますけれども、利用率の増加とともに実質、ネットの収入は逓減していくということになると思います。総額で減るかどうかということについては、そうならないようにと思っていますが。


(記者)

きょうの発表とは、ずれてしまいますが、会長は岩井克人さんの「会社はだれのものか」を推薦図書として社員の皆さんに薦めておられるそうですが、この本の内容は御社の経営とどのように関わってくるとお考えですか。


(会長)

私が個人的に勉強して、たいへん共鳴する点があったので、幹部社員が自己啓発するうえで何か参考になればと思って推薦しました。会社推薦図書というわけではなくて、私自身の推薦図書なんですが、あの岩井さんが言っているのは、会社は会社を支えている多くの人のもので、単に株主のものではない、ということです。私どもの経営でいえば、会社はステークホルダーのものなんだということです。ステークホルダーというのはお客様であり、従業員であり、そしてもちろん株主、当社の場合株主は国民ということになります。それから取引先です。納入している取引先もあるし、あるいはお金を借りている金融機関もあります。そういった広い意味での取引先。そして地域社会ですね。こういったもののために会社は存在していると思っているわけです。そういう意味では岩井さんの言っていることと、私ども考えている会社の経営方針には、相当通じるものがありまして、今度のチャレンジⅤの2007新経営計画もステークホルダーのために会社は存在するんだ、CSR、企業の社会的責任をそういう観点で果たすんだ、ということをはっきりさせたつもりです。
よくご存知ですね。


(記者)

私も以前読んだものですから、会長も読まれたのかと思いまして。


(会長)

あの方は最近だと3冊本を書いておられて、どれもいい本ですね。


(記者)

一橋大学の伊丹先生と同じようなスタンスだと思うんですが。


(会長)

伊丹先生はどちらかというと従業員をもっと大事にするべきだという方で、ステークホルダーなんだけれどもむしろ従業員について「人本主義」という言葉でもっとそこを強調しようとされているんですね。岩井先生の場合もっと広いんじゃないかと思います。
伊丹先生とは私もいろいろなところで一緒で、ずいぶん議論もしましたし、書かれた本もほとんどみな読んでたいへん勉強になりますけれども、私どもはもっと広く、この会社を支えている人はたくさんいて、その人たちのために事業をやるんだという気持ちでいきたいと思っています。


(司会)

その他特にご質問がなければ、本日の定例記者会見はこれで終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(会長)

どうもありがとうございました。