NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2009年04月22日矢野会長定例記者会見

会見要旨

(司会)

では定例会見を始めさせていただきます。


(会長)

NEXCO中日本代表取締役会長CEO・矢野弘典

みなさんこんにちは。
本日は事業の概況のほかに、いくつかトピックスがあります。最初に、それらを続けて説明させていただきます。
それでは、最初に3月分の事業の概況です。3月の料金収入は対前年同月比マイナス14.6%でした。内訳は、高速がマイナス14.3%、一般有料はマイナス17.3%となっています。これは高速道路料金の割引などETCの普及に伴う割引額の増加や景気後退の影響があって、大幅な減収になったものと考えています。一般有料も同じ理由です。通行台数は、前年同月比マイナス6.2%です。車種別のご説明をしますと、対前年同月比の率で申し上げますが、軽自動車が101.5%、普通車が96.8%、中型車が86.4%、大型車が80.0%、特大車が74.9%となっています。ちなみに3月の通行台数は去年の通行台数が4,380万台でしたが、この3月は4,130万台弱となっていて、だいたい260万台くらい減っています。その内訳を見ますと、普通車と中型車と大型車で250万台くらい減っています。普通車が100万台、中型車が60万台、大型車が90万台という状況で、もともとこの3種は交通量の多いところですので、その影響がでているものとみています。
全体でマイナス6.2%と申し上げましたが、高速がマイナス5.8%、一般有料はマイナス7.8%です。
ETCの割引額は184億円で、対前年同月に比べて、14%割引額が増えています。ETC割引がなかったとして計算すると、料金収入は626億円で、割引がないとしても対前年同月比マイナス7.8%となります。ETC割引率は29.4%となっています。

建設の状況は先日18日に東海環状道の美濃関JCTと関広見ICの間が開通しました。大勢の地元の方や、報道の方にご参加いただきまして、ありがとうございました。まだ数日ですが、1日あたりの通行台数が約1,500台となっています。開通した翌日の日曜日は2,500台だったのですが、平日になって落ちている状況です。
また、4車線化の計画が進行していまして、これは15日に名古屋支社から既に発表している内容ですが、東海北陸道の郡上八幡ICからぎふ大和IC間で、5月26日から新設した上り線に車線を切り替える工事を行います。これが現在4車線化を行っている最後の区間ですが、1日でも早い4車線化を目指して、懸命にやっており、夏休み前には4車線化になる見通しとなっています。詳しい完成日時などについては、決定しだい、あらためてお知らせしたいと思います。

次にETCの利用状況ですが、4月3日から9日までと、1ヵ月前の3月6日から12日を比べますと、直近のところで利用率が81.4%でプラス2.0%となっています。平日が81.6%、休日は80.8%となっており、実は休日で80%を超えたのは初めてで、これはやはり料金割引の影響が出ているものと思います。私どもはETCの普及については目標を掲げてやっていますが、3月の日平均利用率は、この表にもありますが79.4%です。私どもの年度末目標が76%でしたから、これをクリアしたと考えています。

SAの状況ですが、今月は対前年比94.9%です。年度の累計で100.2%となっています。飲食部門は99.2%、物販部門が104.3%、GS部門が74.2%で、まだ低い数値ですが少し回復しています。3月28、29日の最初に新料金体系を導入した2日間ですが、この日だけを前年と比較しますと、飲食で107.3%、物販部門が112.9%、GS部門が82.5%となっています。単価の違いもありますので、金額でやるとGSの場合はなかなか比較が難しいですが、給油量でいいますと、109.5%となっています。
以上が3月の状況です。

それから、年度の合計ですが、詳細は現在まとめておりまして、次回のこの場では確定値を報告できると思っていますが、傾向を報告しようと思いまして、速報値ですが、概要だけ申し上げますと、2008年度の料金収入は5,577億円で、1年前に比べてマイナス7.7%でした。通行台数は1日平均168万台でマイナス0.6%。ETC割引額は1,972億円で、1年前の1,706億円に比べてプラス15.6%。ETC割引率は26.1%となっています。
ETCの日平均利用率は今年度が77.6%で、1年前が72.3%ですから、5ポイント強増えています。
SAの総売上高は100.2%で横ばいをちょっと超えたところで落ち着きそうです。
詳しくはまた、あらためて報告させていただきますので、きょうは概要だけにとどめさせていただきます。

次に8点ほどトピックスがあります。最初に、入札状況とその分析です。これは四半期ごとに報告しているものです。1月から3月の落札件数は64件で平均落札率が82.6%でした。契約制限価格を上回って契約できる公募型見積協議方式等が20件ありました。2008年度ですと、落札件数が242件で、平均落札率が83.8%です。表の1のご説明です。
次に表の2ですが、主な工種を10種あげて分析をし、その落札率の分布を示しています。落札率が低いところについてご説明しますと、トンネル工事の72.9%、造園工事の77.4%は、他の工種と比べて低い落札率となっていますが、これは応札者が他の工種と比べて多いということで、これはだいたい年間を通して同じ傾向ですが、そこに競争性が働いたと私どもは見ています。それから高い落札率の部分ですが、鋼橋上部工工事が99.0%、PC橋上部工工事が99.6%というものがあります。鋼橋上部工工事については、総合評価方式で入札をやりまして、価格だけでなく技術力も評価するわけです。総合的に当社にとって有利なものを落札者とするということでありますから、結果として高い落札率になったと思います。PC橋上部工ですが、当初入札において不落札となり、再度入札により落札したものです。そういう事情がありました。いずれも件数は1件ずつです。
表3は、年度での低入札の発生状況を示したグラフです。2008年度は前年度に比べて増えているわけですが、1月から3月の発生率が54.7%ということで高い発生率であったことから、2007年度よりも率が伸びる結果となりました。12月までの発生率も33.7%で60件あったわけで、そういうことで増えている傾向にあります。
表4は年度別の入札不調、不調とは不落、不成立がありますが、その発生状況を示したものです。1月から3月までの発生件数は13件で不調発生率は20.3%となっています。発生率が低下する傾向にあります。契約制限価格を上回っても契約できる公募型見積協議方式を去年の6月から始めましたが、その採用による施策が結果にあらわれてきているのではないかと思います。公募型見積協議方式は12月までに29件あったわけですが、それが1月から3月で20件となっています。なお年度の詳細につきましては、6月にホームページで公にさせていただきます。

次に、新料金割引に関するトピックスです。まず、特別区間割引などの料金引下げについてご説明します。これは4月17日に記者発表したものです。政府の「生活対策」ということで、4種類の料金割引が5月13日から始まるというものです。
「特別区間割引」は、時間帯割引が適用されない時間帯で30%割引をするということです。これに伴いまして、東海北陸道全通記念割引につきましては、5月12日をもって終了いたします。
「東海環状自動車道連続割引及び圏央道連続利用割引」は、環状道路と他路線の特定IC間を相互に通行するETC車全車種を対象に通常よりも150円引くという施策です。
「圏央道全線利用割引」は、圏央道の全線を通行するETC車全車種を対象としたもので、他の区間と同程度の負担感となるようなレベルを設定して、利用促進に繋がるようにということを考えています。これが17日に発表したものです。
改めて申し上げるまでもないと思いますが、3月13日に発表した内容で、休日特別割引に乗り継ぎの特例が4月29日から始まります。適用には条件がありますので、パンフレット、ホームページをご確認の上ご利用いただきたいと思います。乗り継ぎの特例として複数の支払い単位の地方部料金を合算して1,000円上限が適用されるものです。

次が新料金割引の実施状況です。3月28日から順次やることで始まった割引ですが、4月19日までの23日間の状況をまとめました。まず交通量ですが、高速道路全体の断面交通量の平均を前年同時期と比べますと、休日では小型車で約30%の増、全車で約23%の増、平日では全車で約4%の減でした。
それから、交通混雑状況でが、5km以上の渋滞が発生した回数を前年同時期と比較しますと、休日は約35%の増、回数で47回の増。平日は、約46%の減、34回の減ということです。最大渋滞発生個所については、資料に記載しているとおりです。
ETCの利用率は、4月18日、19日のつい先だっての週末では、ETC利用率は81%でした。安定して高い利用率となっています。
休日特別割引による平均利用距離の変化を分析してみました。東名の名古屋ICの出入り交通の平均利用距離がどう変化しているかの分析でして、当社管内全体がどうであるかというところまではいっておりませんので、代表的な例としてご理解ください。1つの特徴は、平均利用距離が約24km増加しています。プラス40%です。また100kmを越える利用の増加が顕著です。2番目にグラフがありますが、50km未満では、ほんのちょっと増えただけで、100km未満はそれよりも少し多いけれどもプラス11%。100kmを越えたところから大きな変化が生じていまして、プラス156%ということで、2.56倍ということです。いまを100%としますと、256%ということです。その下の横棒グラフの利用距離別シェアですが、50km未満69%、100km未満18%、両方たしまして、87%であったものが、50km未満58%、100km未満16%ということで74%ということですから、ここで13%減っているわけです。その分が100kmを越えた部分で増えているわけで、昨年は13%であったものが、今は26%になっている。つまり、100kmを越える長い距離を走る比率が倍増しているということです。
それから、東名高速名古屋IC出入交通の地域別利用の変化というものを調べて見ました。比較的長距離となる関東甲信越、北陸、近畿の利用台数の増加が顕著です。表に書いてあるとおりでして、甲信越地方が2.5倍、関東地方が2.0倍、北陸地方が4.1倍、近畿地方が2.0倍というふうになっています。もっと遠いところの倍数は大きいのですが、台数が少ないので台数の多いところを中心に説明しますと、今のような特徴をみることができます。
周辺観光施設管理者へのヒアリングをしてみました。これは、高速道路周辺の観光施設に直接伺ったわけですが、そこでの答えを調べますと、より遠くからこられるお客様が増えたというご意見でした。例を申し上げますと、東海北陸道沿線のレジャー施設でいうと、「近場の観光施設よりも遠距離に出かけられたのではないか」というご意見でありますし、東海環状道沿線の商業施設でお伺いしてみますと、「遠方からのお客様、特に日本海側からが多かった」というお話でした。東名沿線の愛知県内のレジャー施設ではどういう反応かと言いますと、「遠くからのお客様が増えた。特に北陸からのお客様は昨年より3倍に増えた。」ということです。入り込み客数の変化は資料に書かれているとおりです。これは、当社の管内の18ヵ所の施設について入り込み客数などについてのヒアリング調査を実施した結果です。
一方、サンプル数は1,344のお客様の声を集めましたが、非常に顕著な傾向があらわれています。まず、3月28日からの料金割引を知っていたという方が98%で、これは報道の皆様のおかげだと私は思っています。大変ありがたいことだと思っているしだいです。4つめに「今回のお出かけはこの割引があったからですか」という質問に19%の人が「はい」と答えています。つまり5人に1人は誘発利用というふうに分析できるというわけです。今後は割引によってさらに利用したいということで、相当大きな動機付けになっていると考えてよいのではないかと私どもは、今は思っています。
その中身ですが、今回のおでかけの目的はという質問には、レジャーというのが77%となっていますが、割引によって誘発されていないお客様に聞いてみますと、レジャーが74%で5分の4のお客様の傾向です。誘発利用である5分の1のお客様というとレジャーが85%ということですから、観光などのレジャーの潜在需要を刺激したというふうに言えるのではないかと思っています。
さて、その地区別の誘発利用されたお客様の割合を分析してみますと、東京近郊の休憩施設に立ち寄られたお客様よりも、中部地方、北陸地方の地方部の休憩施設に立ち寄られたお客様の方がずっと高いのです。中部地方で23%、北陸地方で36%でありますから、今回の割引は地方部での交通の誘発に貢献したものと考えることができると思います。
以上が新料金割引の実施状況です。まだひと月も経っていない状況ですが、とりあえず私どもが把握できる範囲のところで分析した結果です。

次が今度のゴールデンウィークの渋滞予測と混雑対策です。去る10日に渋滞予測について発表しました。ゴールデンウィークが間近かになりましたので再度ここで簡単ですがご説明させていただきます。相当な混雑が予想されますので、ご利用なさるドライバーの皆様には是非ゆとりのある旅行計画を作っていただくよう、お願いします。渋滞の傾向ですが、2日から5日の4日間に多く発生するとみています。25km以上の長い渋滞が各路線で発生すると予測しています。その時期の混雑・事故防止対策ですが、昨年のゴールデンウィーク時期以上のサービス強化に取り組んでいきたいと考えています。例えば、速度低下防止を図るLED標識車の設置は去年の1.6倍。LED標識車やLED表示板による渋滞情報提供や渋滞末尾警戒の実施が1.8倍。それから休憩施設等への仮設トイレの設置が57基から226基ということで4倍。休憩施設における駐車場整理員の配置が去年の251人に対して291人で1.2倍。休憩施設のショップにおける営業時間の延長が1日あたりの時間ですが、去年のゴールデンウィークが215時間、今年が326時間で1.5倍ということです。
それから渋滞緩和対策ということで、どういうことを考えているかということですが、1つは、「東名ゴールデンウィーク渋滞減らし隊キャンペーン」で、これは10日に発表したものです。東名の上り線で大和トンネル付近を先頭とする渋滞は本当によく発生していますが、これについて登録をして時間をずらして走られた方について、抽選でお買い物券を5,000円分を5日間で1,000名の方に差し上げようというものです。
それから情報サービスという面で2つあって、携帯電話短縮ダイヤルの「♯8162」の全国サービス開始で、これは4月15日に発表したものです。当社が先行してやってきたものですが、NEXCO東日本、NEXCO西日本も一緒にやるということになりまして、この4月24日から全国の高速道路でこれがご利用いただけることになります。
それから携帯電話での道路交通情報サイト「iHighway中日本」、これは当社にとっては新しいサービスです。実は、NEXCO西日本で既に提供しているサービスで、これを私たちも活用しようということで、このゴールデンウィークに間に合うように、今準備中です。いつ始めるかという詳細は後日発表させていただきます。
観光など、関係機関と連携したキャンペーンの実施ですが、包括協定というものを各県と次々結んでおりまして、当社の管内には、1都11県あるのですが、そのうち8県と包括協定が締結されました。これは、観光、それから災害対策といったようなことを柱にした協定です。観光協会とか旅行会社との連携を深め、また東名は今年全通40周年ですので、40周年イベントといったイベントも含めまして、一層観光振興に取り組んでいきたいと思っています。善光寺御開帳とか、横浜開港博Y150のイベントチケットの取り扱いとか、今、申し上げた東名40周年を記念する会社イベント、それから沿線自治体の観光キャンペーンやイベントとの連携による地域活性化支援を長野県、山梨県と一緒にやっていこうということにしています。

次に今、少しお話した横浜開港150周年記念にちなみまして、タイムズ駐車場券付テーマイベント入場券を発売するというもので、これは本日初めて発表する内容のものです。
高速日和から申し込みいただく予定にしていまして、横浜開港150周年記念テーマイベントのベイサイド普通入場券、当日券1名分と駐車場券をセットにした、「タイムズ駐車場券付横浜開港150周年記念テーマイベント入場券」を、パーク24という会社と共同企画して、4月28日から9月24日まで当社のウェブサイト高速日和で販売します。
内容については、ここにありますように200円安くして販売する予定です。大人3,000円とありますが、これは通常の入場券2,400円とタイムズチケットという駐車場のチケット、2時間分で800円を両方足すと3,200円なのですが、それから200円引いて3,000円で販売します。
入場券についてはSA、PAでも販売しています。当日、会場についてから購入しなくても済むように、自動車で遠乗りされる方もいらっしゃると思いますので、販売していきます。

次もきょう、新しい発表で中央自動車道談合坂SAの上下線に速弁が新登場します。
これは5月1日からで、高尾山のふもとに暖簾を掲げて95年の老舗料亭がありまして、そこから2種類のお弁当を出していただく予定になっています。地元の旬の素材を使ったもので、中央道では他にやっていませんので、これを機にさらに他のところでも増やせれば増やしたいと考えています。
速弁は四季に応じて春夏秋冬のメニューを出していますが、春メニューはこの結果、22種類となりました。製造元が12社、メニューが22種類で、販売エリアが21エリアです。

次に環境に配慮した取り組みについて報告します。
おととし、環境報告書を発表して、昨年はCSR報告書を発表しましたが、環境施策は当社の重要な柱でして、いろいろなことをやっていますので、折に触れて、これから時々、トピックスを報告させていただこうと思っています。
今日は3件です。
ひとつめはゲンジボタルとモリアオガエルの保全、保護です。新東名を現在、建設していますが、その地域の動植物の生息環境の影響をへらそうということで、6ヵ所で動植物の移殖を行いました。そのひとつがここにご紹介するもので森掛川ICと金谷ICの間に位置する掛川PA付近で生息していたゲンジボタルとモリアオガエルの保護を目的として、多自然型水路を整備して、だいぶ前になりますが1997年にホタルの餌となるカワニナの移殖したり、モリアオガエルの卵塊を近くの池に移殖をするといったことを行いました。
その結果、移殖から5年経った2002年に、モリアオガエルの産卵、ゲンジボタルが飛んでくるのを確認できました。最近では2008年5~6月にも確認できております。写真を添付していますのでご覧ください。
ふたつ目は環境負荷低減を目的とした共同研究募集の開始です。4月7日から共同研究の募集を開始して、現在も募集中なのですが、2つテーマがありまして、ひとつはアスファルト舗装の中温化技術に関する研究です。アスファルト混合物の製造温度は非常に高いもので、それを低下させる技術を開発しようとするものです。もうひとつは維持管理植物発生材を活用した木質ペレット製造技術に関する研究ということで、実は新しい道路を造るときも、今ある道路を維持管理するときも、木を伐採したり、剪定したり、草を刈ったりと、大量の草木を処理するということをやっています。これらから品質の安定した木質ペレットを、小さなものですが、これを製造して、高速道路のSA・PAで燃料として使うというものです。既にいくつかのSA・PAでデモンストレーションをやっていますが、これによってリサイクルというか、内部循環を高め、地球温暖化防止や一般廃棄物の低減に寄与したいと考えています。
もうひとつの事例が遮音壁なのですが、環境負荷の少ない資材を使用した例をご紹介します。遮音板というのは、吸音という役割があるのは当然なのですが、これまではグラスウールを利用してきました。しかし、これは再利用が難しいということで、アルミでやれないかと考えました。これならリサイクル性にも優れ、細かい穴を開けて使えば問題ないのではないか。また、アルミ製造時のCO2排出量はグラスウールに比べて少ないので、長島IC付近で試行的に100mほど設置しました。写真にあるとおりです。設置前からいろいろと調べましたが、効果は良いということなので、今後どうしていくかということを検討しています。
これが、環境関係のご説明でした。

最後に第5回新東名夢ロード懇談会について報告します。これは4月14日に行いました。
今回は3つのテーマについて委員の先生方に意見を伺いました。いよいよ秋から始まりますが実証実験計画、新しい貨物輸送システムのロードマップ、それから休憩施設に関する検討状況です。先生方からは、いろいろな角度からご意見をいただいたしだいです。こういったご意見をふまえて、世界をリードする高速道路システムを作っていきたいと考えているものです。
詳しくは担当TLの源島からご説明させていただきます。

 


(源島TL)

お手元の第5回新東名夢ロード懇談会抜粋とあるものをご覧ください。こちらでご説明いたします。
1ページ目はスケジュールです。2007年度に3回議論し、基本的な方向性を出していただき、第4回、第5回と個々の準備状況を報告し、ご意見をたまわり、具体のサービスあるいは実験を経て、取り組んでいくというスケジュールを考えています。
2ページ目は実証実験の位置づけで、全体的なサービス導入工程ということで、静岡県内が開通する予定の2012年、全線開通する時期の2020年のこの間を短期と長期に設定して、表に記載したようなサービスを提供するわけですが、その前段階で準備期間というものがありますが、ここで実証実験をやったらどうかという位置づけです。
3ページ目は目的・意義で、1つは当然技術的な検証を図っていこうというトライアルな部分と、2つめはこういったわれわれの取り組みをできるだけ多くの皆様に知っていただいて、ご理解をたまわろうという情報発信の面。こういった2つの面を目的として、取り組んでまいりたいと考えています。
4ページ目がその実験走路の位置、概要です。静岡県の西部、IC名で言いますと金谷ICから浜北ICの間に2ヵ所予定しています。トンネル連続区間と土工・橋梁区間で、それぞれ8km、9kmです。次のページがこの区間の概要ですが、まず、土工・橋梁区間が7つの橋梁、赤い部分で、浜北ICを含む約9kmの区間。次のページがトンネル連続区間ということで、金谷トンネル、掛川第一トンネルの2つのトンネルと掛川PAを含む8kmの区間です。
次のページが実験センターということで、それぞれの区間にこういった建物を建てまして、実験状況をモニタリングするということと、右の平面図にあるようにトイレモデルルームとありますが、こちらに実際にトイレを用意し、実際に用が足せるようにして、こういった休憩施設で予定しているトイレに対してもご意見をいただこうと考えています。真ん中には展示スペースと書いていますが、ここではいろいろなパネルや資料など使い、訪れていただいた皆様にわれわれの取り組みを紹介したい、いわゆる情報発信の部分といった機能をもつ実験センターを設置していきたいと考えています。
そして、具体的なスケジュールですが、8ページ目です。現在、現地では舗装工事を行っていまして、だいたい秋くらいから車が通れるようになるだろうと考えていまして、そこから少しずつ始めまして、電気や情報通信関係が通るのが年内くらいかかりそうですので、年明けから本格的な実験開始といった形で進めていきたいと考えています。後ほどの説明と関連しますが、貨物車両の隊列走行という実験も予定していまして、これについては車両の準備の関係で2011年1~3月を予定しています。
次のページは社会貢献施策などへの活用ということで、実験のすき間といいますか、実験しない時間を活用して、ここにあるような交通安全セミナーやエコドライブセミナーを行います。実際のフィールドを使いますので、非常に効果が高いのではないかと考えています。また、われわれが予定している実験以外にも、いろいろな企業や団体などで検討されているメニューがあれば、このフィールドを使っていただこうと思っていまして、こういったことについても、今後調整していきたいと考えています。
以上のような内容を1つめのテーマである実証実験として報告しました。
次のページからは2つめのテーマである新しい貨物輸送システムのロードマップです。これは東京~大阪、東京~名古屋といった幹線部分に現在、トラック、鉄道、船舶といった輸送機関があるわけですが、ここに貨物車両が列を組んで走るような隊列走行という新しい貨物機関を現在勉強しています。前回の懇談会で、この件についてタイムスケジュールというかロードマップをしっかり組んで検討したらどうかというご意見があり、今回、報告したというものです。
次のページですが、大きなテーマが3つあると考えていまして、1つは本線走行形態です。高速道路のどこを走らせるかということで、こうした隊列車両を右側か左側か、あるいは物理的な壁を設けるかどうか、そして、専用の入口を設けるかどうかといったところです。それぞれ特質がありますので、総合的に検討していく必要があると考えています。
12ページ目が2つめのテーマで、ターミナルのあり方についてです。こうした車両に切り替える基地、いわゆるターミナルが必要であろうということで、それについては大都市圏に近接する拠点のターミナルと中間部分のドライバーの休憩、場合によっては周辺地域との切り替えに必要な中間ターミナルといったものを設けていく必要があるのではないかという報告をしています。
13ページは、車両そのものです。資料の上は、車両が機械的につながった連結した車両です。下のほうが電子的に前の車を追っていく車両で、先頭だけ有人、あとは無人といったもので、最終的に開発目標として設定されています。
これらを全体的に組み合わせてロードマップとしたのが14ページ目で、先ほどの実証実験の間に、本線のどこを走ったらよいかとか、車そのものの安全性、他の車両との関係といったものを検証していき、その結果をふまえて、インフラ整備、車両開発につなげていくということです。
ターミナルについては、たとえば、一般貨物車が利用できるようなトラックターミナルといった形でスタートして、全線開通時に連結走行などが走るようになれば、その機能を付加していき、そして、隊列走行、いわゆる後続車が無人という最終形になると、20XX年と書いていますが、専用車線を設けて、そういった機能を付加していくという形でロードマップを組んだらどうかと報告させていただきました。
3つめのテーマですが、新規休憩施設で、15ページ目が現在、当社の管内で予定している休憩施設の一覧で、赤い丸がそれを示しています。上下線別カウントで、全部で34ヵ所あります。この中で、今回は新東名にかかわる中でも最も早い、2012年度とある引佐JCTから御殿場JCTの中にある7つのSA・PAに関する検討状況を報告しました。
16ページがその開発方針とコンセプトの整理です。基本理念としては「次世代高速道路に相応しい、地域と連携する、常に新鮮で、おもてなしの心を持った、お客様本意の休憩施設」で、新東名の位置づけや現東名との役割分担、休憩施設の機能、お客様の声、これについてはさまざまなアンケートをとっており、その声、それから消費のトレンドといったものを反映して、「快適」という言葉であらわしていますが、さまざまなお客様が快いサービスを適切に受けることができるということで、コンセプトとして、共通部分はレイアウトで安全性とゆとりある空間を確保するということです。それから商業施設、これは個性を持ってやっていこうということで2つのコンセプトをもってやっていこうと考えています。その具体の例が17ページにあります。レイアウトということで、これは共通部分で7つの休憩施設全て、この絵の真ん中にあるように商業施設やトイレがあります。これを中心に小型車と大型車のマスを分け、だいたい100mくらいで、ここに行けるように考えています。一番大事なことは安全性ですので、車道横断回数の最小化とあるように基本的に歩行者の方が施設に行く時の車との交差する回数を1回にするレイアウトを考えています。また、バス専用駐車マスは観光バスなどでいらっしゃったお客様は施設に直接ご利用していただけるといった形で安全性を確保しようということです。このほかにも逆走防止や、緑陰駐車場ということで緑を多くして、ゆとりのある空間にしていこうとか、防災備蓄倉庫やドクターヘリといった有事の対応といったものを図っていきたいと考えています。
最後のページですが、商業施設の部分ですが、これは個性を出していこうということで、さまざまなお客様のニーズに対応しつつ、それぞれのSA・PAごとに下にあるような開発コンセプト、テーマを掲げ、たとえば、沼津SAならば駿河湾が一望できる非常に景色の良いところですし、伊豆も近いということで「リゾートマインド」というテーマを掲げ、その考えに基づいて、建物のデザインや中のレイアウトをやっていこうと考えていることを報告しました。
これに関して、意見としては、全般的には非常に前向きな取り組みだということで、評価をいただいています。個々の内容については、実証実験は多岐にわたるので、その部分をなるべく分かりやすく示すメッセージ的なものが必要ではないかということ、貨物輸送システムについては、もっとスピードをあげて検討していくようにということ、休憩施設については、地域との連携、環境負荷といった面を重視してやっていったらどうかというご意見をいただきました。これをふまえ、引き続き検討を進めていきたいと思います。
以上です。

 


(会長)

長時間にわたり、たくさんの項目についてお聞きいただき、ありがとうございました。
以上で説明を終わります。

 


(司会)

では、ご質問がありましたらよろしくお願いします。


(記者)

いまの貨物輸送、隊列走行ですが、採算性はどれくらいのものが基準で事業化の有無を考えられているのですか。また、SPC(特別目的会社)を作って、このようなものを手がけていくことだと思いますが、SPCは、ターミナルの管理に当たるのですか、それとも輸送業みたいなものも考えられているのか教えてください。


(TL)

ただいまの質問ですが、最初の採算性については、他のトラック、船舶、それから鉄道の貨物といった輸送モードに対して、この新しい輸送モードが、特に人件費の面で、先頭だけ人が乗るので、人件費が浮くなど、コスト面で優位性があると思っています。そういったところを、今後つめていく必要があると思っています。
2つめのSPCですが、これも検討途上ですが、ターミナル及び車両の運行をするような、特別目的の団体と申しましますか、そういったところが運んだり、運営したりといったことを、今は仮に想定しております。たとえば、高速道路版のJR貨物と思っていただければいいと思います。


(記者)

採算性でどれくらいの需要があれば、ゴーサインが出せるのか、どれくらいの数値が見込めるとか、数値的なものはないでしょうか。


(TL)

今の東名の幹線部分の利用の数値の状況は、把握しています。今の運送業者にお聞きしますと、「今よりも安くならないと使えない」と言っていますので、今後、その部分を狙って、検討を重ねていきたいと思います。


(記者)

2点伺います。
1点は、貨物輸送システムですが、資料の10ページ目では専用車線を作ってやるということになっていますが、専用車線を作るという前提で、新東名は動いているのですか。作らないという選択肢もあるのですか。
2点めは、高速料金引き下げ後の交通状況ですが、休日は全車で23%増えていますが、当初予想では5~15%増えるという記憶があるので、計画より交通量がずいぶん増えている印象を持つのですが、一方、実感ベースで日本全国、あちこちで大渋滞が発生している印象はありません。このギャップを埋めるような、ご解説をお願いします。


(会長)

2番目のご質問からお答えします。予測を5~15%と申し上げましたが、うれしい誤算だったと思っています。このような厳しい経済状況の中で、これだけの人がドライバーとして登場していただいたことが誠にありがたい限りだと思っています。渋滞の問題は、割り引きが土・日の終日ということもあって、交通が分散化した結果ではないかと内部では議論しています。それから、計画的に旅行計画を立てるということが一方で行われているのではないかと考えています。なんといっても一番大きな山がゴールデンウィークですから、そこを乗り切って、もう少し深い分析ができたらいいと思っています。


(TL)

専用車線の取り扱いですが、今の新東名の建設の中には、専用車線の構想は入っていません。仮に大きな車両を走行させるとしたら、こういったものが必要なのではないかと、そういった前提の基に検討しています。今、東名をご利用いただいているユーザーの方にご意見を聞くと、やはり、大型車と一般の車を分けてほしいというご意見があり、それを踏まえて想定しケースを設定しています。


(記者)

実験では、専用車線を作ってやることで進んでいるのですか。


(TL)

先行的に整備している区間で、3車線の空間を使って、その部分を仮に専用車線と位置づけて、走らせてみて検討を重ねることになると思います。


(記者)

実験では、専用車線を作らないけれど、専用車線と見立てて実験を行って、その結果を踏まえて、専用車線を作るかどうか決める、協議をするという理解でいいのですか。


(TL)

それで結構です。


(会長)

最終的に決める段階では、専用車線を作るのにどのような条件が必要なのか詰めきらないといけないと思っています。そういう意味での実証実験だとも思っています。


(記者)

基本的に専用車線での隊列走行は、6車線供用開始以降ということですね。4車線のときでも、ありえるのですか。


(会長)

6車線供用開始以降という考えでいいと思います。そういう意味で専用車線を含む隊列走行の問題は、長期計画の中に入れており、すぐにやれるということではありません。


(記者)

6車線の内側なり、外側を専用車線にするのですか。まさか8車線にする計画もあるのですか。


(会長)

8車線までは、考えていません。


(記者)

今回の高速料金の引き下げの影響ですが、財務面の影響についてお伺いしたいです。機構と収支予測の見直しの協定を結ばれたと思いますが、従前と何が変わったのですか。ポイントを教えてください。


(会長)

最終の数値は、これから詰めますが、考え方としては社会実験で行われている部分と、新しい施策として行われている部分をどういう風に最終的な決算に反映させるかということですね。リース料が減る形で出てきますので、当座のところ、本日お話したことでもお分かりだと思いますが、数字が減るわけですけれど、リース料が減りますので、そこでトントンになります。非常に大雑把にいいますと、そういう仕組みになっています。
また、渋滞対策、安全対策、SAでの対策を考えると、自社で負担すべき費用が出てくると思います。これについては、国の政策の中には、入っていませんので、その点については、出費になると思います。
そういうことを含めて、まとめて答えを出すことになると思います。


(記者)

料金収入の予測のところで、2017年度までは従前の予測より収入が減るような予測になっていて、2018年度以降、もとにもどるという前提になっていますが、なぜ、このタイミングでもどる前提なのですか。


(会長)

実際問題としては、景気の動向などいろんなことがあるので、一概に言えないところがあります。長期的にみると料金は、こういう経済情勢の中で減っていくと思います。具体的には、毎年度の予算のなかで反映することで具体化しようと思っています。枠組みとして減る方向か、増える方向なのかというやり方ではなく、このご時世、臨機応変に変えながら数字を見ていくことが大事だと思っています。


(記者)

今回、税金の補填が入ることによって、新規路線の建設における採算性の判断に、何か影響はありますか。


(会長)

今まで行われてきたB/Cなどがベースになっている点では、変わらないと思います。むしろB/Cは、定量的に量られるものが指標として用いられており、それだけでいいのかという新しい問題もあると思います。景観など、いろいろな数字に表せないベネフィットとかコストがあるのではないか。このような議論が、今後出てくればいいと道路を作って運営している会社としては思っています。


(記者)

3月単月部分の利用台数が6.2%落ち込み、2008年度も同様に台数0.6%減となっています。収入もETC割引で減っています。年度の台数も減ってきていることをふまえ、分析、評価を教えてください。


(会長)

年度については、時間をかけてまとめていきたいと考えています。通行台数の6.2%減については、やはり、土日は増えましたが、トラック、大型車両の減が全体を押し下げていると思っています。この傾向は、去年から発生していますが、だんだんと強くなってきており、料金施策でどれだけ支えきれるかが問題だと思っています。大変重たい重りを足に付けて、歩いている気分ですが、さいわい、交通量を増やす施策が行われているということで、底支えがなされていると思っています。これは、目を離せない状態であり、月々追いかけて分析していきたいと思います。毎月、この場でご説明したいと思いますし、新しい発見があれば、それも一緒にご説明をさせていただこうと思っています。


(司会)

その他特にご質問がなければ、第42回の定例記者会見をこれで終了させていただきます。
どうもありがとうございました。