NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2008年03月26日矢野会長定例記者会見

会見要旨

(司会)

年度末のお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
では定例会見を始めさせていただきます。


(会長)

NEXCO中日本代表取締役会長CEO・矢野弘典みなさんこんにちは。
きょうは、案件が多くて申し訳ありません。社内の各部門から、ぜひこの機会に皆様に紹介して欲しいという案件が行列していまして、本日初めて発表するものだけではなくて、いろいろ混ざっているのですが、お聞きいただければと思います。

最初に事業の概況です。道路の状況ですが、2月の料金収入は対前年同月比マイナス4.2%です。内訳は、高速でマイナス5.3%、一般有料はプラス7.6%です。高速は2月はだいぶ雪が降りましたのでその影響と、ETCが着実に普及しているということが原因になっています。一般有料は圏央道の開通効果によるものです。
通行台数は同じくマイナス3.4%となっています。高速がマイナス3.7%、一般有料もマイナス2.1%です。
ETC割引額は140億円で、ETC割引がなかった場合の料金収入572億に比較すると24.5%の割引となっています。

建設の状況です。新名神はご承知のとおり、1ヵ月前に開通しましたが、その後の交通状況については、後ほど名古屋支社長のほうからご報告させたいと思います。
また、毎回ご質問の出ている東海北陸道ですけれども、飛騨トンネル本体の工事は年末に完了していまして、トンネル内の舗装工事も3月中旬に完了しました。順調に進んでいると言って良いと思います。10日ほど前に久しぶりに見てきましたけども、私自身もそう思いました。
現在、どういった工事を行っているかといいますと、トンネルの中の非常用設備、照明設備といった設備の取り付けを行っているところです。4月からは取り付けが済んだ設備から順番に単体での試験を進め、5月ごろからは総合的な試験をやる予定にしています。飛騨トンネル以外の区間につきましては、舗装工事も施設工事もほぼ完了している状況で、施設の総合的な試験を行っている状況です。
開通日については、決定次第、ご報告させていただきたいと考えています。遅くとも来月の記者会見が4月23日であったかと思いますが、その日に、早くできるようであれば、もっと前倒しして発表させていただこうと考えています。 主な工種の工事契約落札率ですが、2月は平均落札率は92.14%でした。年度累計が86.47%となっています。

次にETCの状況です。当月は75.2%で、特定の1週間のデータを見ますと、3月7日から13日までと2月8日から14日までを両方ここに書いていますが、ほぼ横ばいという状況です。いろいろ天候のせいなどもあり、ちょっと一服している状況です。平日の利用率が高く、休日の利用が低いという傾向は相変わらずです。

SAの売上げは99.2%です。内訳は、飲食部門が95.6%、物販部門が97.9%、サービス部門が96.4%、ガソリン部門が106.3%です。
以上が事業の現況です。

次にトピックスを説明します。
新東名夢ロード懇談会についてご報告します。お手元に資料がございますが、3月14日に行いました。世界をリードする高速道路を造ろうということで、ご覧の先生方にご意見を伺っているところです。4ページにあるように、先だっての懇談会では、基本戦略を決めるための意見交換を行いました。5、6ページに先生方のご意見が出ております。クリーン、エコ、安心・安全、あるいはストレスのない道路というようなこととか、人と物の分離は可能なのかなど、ITSを利用したさまざまな新しい施策がここで実行できないかといったご意見をいただいています。また、死亡事故の問題、長期燃費改善、燃料電池、国際競争力の向上など、いろいろなご意見をいただきましたので、それを取り入れまして、最終の案を4月中にはまとめたいと考えています。
9ページをご覧いただくと、大きなタイムスケジュールが書いてあります。2020年度までと、それ以降に分けています。2020年度とは協定で全線開通と定められた時期でして、そこまでを短期目標サービス、その後を長期目標としています。ここに書いてありますようにいろいろな施策をやっていこうということです。実証実験というのが左側にありますが、再来年度の2009年度には、静岡県の工事区間になると思いますが、そこを活用しまして、いろいろここに書かれているような施策の実証実験をやってみるつもりです。
いろいろ目標を立てていますが、10ページに書いていますように、安全・安心、環境、多様なライフスタイル対応とか、活力ある社会実現ということで、それぞれ左に目標が書かれていて、現在、達成計画としてどの程度可能であるかというのが右側にあります。11ページ以降は現東名と新東名のイメージ比較です。全体の大きなスケジュールは14ページに書いてあるとおりです。
これが新東名夢ロード懇談会の内容です。

環境懇談会、こちらは3月13日に開きました。昨年はこの環境懇談会の先生の意見を取り入れまして、当社として初の環境報告書を出させていただきましたけれども、来年度からはこれをCSR報告書とすることにしました。 環境報告書がいちばんの元になりますが、それ以外に多くのステークホルダーのためにどういったことができるのかを考えたCSR報告書を発表することにしました。それに伴いまして、環境懇談会もCSR懇談会というふうに名前を変えることとしました。CSR報告書は本年の6月末の発行を予定しています。去年の環境報告書が8月でしたが、少し前倒しをしようということです。
環境懇談会の模様については、資料に書かれているとおりですが、環境とか、景観とか、コスト縮減とかそういったいろいろな角度から現在、建設が進んでいる新東名、こちらの建設現場を実際に委員の方々に見ていただき、率直な感想をいただきました。長い目で見て、やはり長寿命化の問題を本格的に検討していく必要があるという意見がありました。その他の意見については5ページにありますが、いろいろここにありますように、新東名がやはり道路つくりにおいて、さまざまな意味で重要な事業であるから、そこでいろいろなことが実現できるような取り組みをして欲しいとの意見がありました。
その他の内容については、ここに書かれているとおりですが、ちょっと注釈をつけますと、8ページに交通安全セミナーの実施というのがあります。これは既に実行をしているのですが、当社の名古屋支社が始めたもので、当社の社員を講師として、いろいろなところに派遣しています。これを新年度からは全社に広げるということにしました。それから、11ページにハイウェイ緑の里プロジェクトというのがあり、これも少しずつ進んでいて、最初、皆様にご説明したときは緑の里親という名称でしたが、こういった企画を親というのもおかしいのではないかという地元の方からの意見もありまして、親という字を取って、緑の里プロジェクトにしようということにしました。そのほかいろいろと事例が書かれていますが、こんなことも織り込みながら、新しいCSR報告書ができればと思っています。

次に新名神開通後1ヵ月の交通状況ですが、こちらは名古屋支社の稲葉支社長から話をしてもらいます。


(稲葉支社長)

NEXCO中日本 名古屋支社長・稲葉英憲みなさんこんにちは。
名古屋支社長の稲葉でございます。よろしくお願いします。
新名神高速道路が開通して1ヵ月経ちました。その交通状況について、当社の管内のご報告をさせていただきます。
まず、最初に新名神高速の交通量ですが、1ヵ月間の平均断面交通量が28,000台でした。表の中に亀山JCTから甲賀土山ICなど3つの区間が書いてありますが、1ヵ月間をならすと28,000台という内容です。
次に現在の名神高速道路の交通量の変化を表にしています。下の表を見ていただきますと、関ヶ原から米原JCTの交通量が約25%の減少、台数にして14,000台弱です。同様に大垣から関ヶ原の交通量が約24%、一宮JCTから岐阜羽島までが18%の減少です。東名高速は、豊田JCTから豊田が12%、約8,000台の減少です。
中部圏と近畿圏を結ぶ主な区間の断面交通量の変化についてご説明します。(図を示しながら)ここが第1断面、以下2、3、4、5という形で高速道路の断面をとり、その断面を通過する交通量を表しています。
まず、一番最初にお話したいのは数字としては逆になりますが、第5断面、この豊田JCTから岡崎あたりの交通量です。これは見ていただくと、ほとんど交通量としては変化していません。これは、現在の名神高速道路と新名神高速、東名阪道、伊勢湾岸道の2つのルートが、こちらのほうに集まっています。新しい道路ができても、全体の交通量はほとんど変わらなかったということが、ここで読み取っていただけると思います。
それでは、それぞれの断面についてですが、第1断面、この区間です。ここは左上に書いてありますが、15,000台の交通量が増えたことになっています。従前は56,000台の交通量でしたが、新たに新名神が開通して、名神が42,000台、新名神が29,000台、合計71,000台です。結果として15,000台の交通量が増えています。名神だけで見ますと14,000台分の交通量が減少しています。おそらく、この14,000台が新名神に移ったのだろうと推定しています。
同じく第2断面です。名神は大垣から関ヶ原、東名阪は四日市から鈴鹿の断面です。この区間もトータルの交通量は125,000台が124,000台とわずかな変化はありますが、ほぼ変わっていません。それに比べて、名神は13,000台の減少があります。同様に、東名阪はそれだけの交通量が増加したという結果です。
次の断面です。名神は一宮JCTから岐阜羽島、東名阪は弥富から長島、伊勢湾岸道は湾岸木曽岬から湾岸長島の断面です。3つの数字を足した結果ですが、176,000台が177,000台とほとんど変わっていません。名神は75,000台が62,000台と13,000台の減少しています。同じように新名神の開通により、現名神の交通が名古屋市の南側に移った結果ではないかと思っています。
第4断面の東名の部分ですが、こちらも118,000台が119,000台、豊田JCTの少し北の部分です。ここについては、東名が8,000台の減少で、その分、伊勢湾岸道が増えているという結果です。
以上が、交通量としてのこの1ヵ月間の変化でした。
推定をしますと、やはり、名神から1万数千台の交通量が名古屋市の南側の東名阪道から伊勢湾岸道の方面に転換が図れたのではないかと思っています。
以上でございます。


(会長)

次に富士周遊プランという企画について、ご説明します。
これはきょう、横浜支社と八王子支社から発表しているもので、ちょうど良い機会だと思いまして、こちらでも同時にお配りさせていただきます。
今度から「速旅」というブランドでやっていこうということにしまして、その第一弾の企画として富士周遊プランを考えました。
当社はこれまで色々と企画割引をやってきまして、これで18件目になるのですが、今回は4月19日から7月18日までやることにしています。以前もこの地区でご提供したのですが、今回は「御殿場・河口湖コース」と「静岡・山梨ワイドコース」という2つのコースを用意しました。昨年は、「御殿場・河口湖コース」だけでした。それから、昨年はマイレージプレゼントで、ポイント方式でご提供したのですが、今回はこのように料金という形でやろうということです。また、昨年は平日だけだったのですが、今年は休日も入れて、早く申し込むと少し安くなるとか、この資料にありますように、さまざまな特典や旅行会社との提携など、いろいろな企画が盛り込まれています。
当社の企画割引はコンスタントにやっているせいか、認知度が上がってきまして、発表する都度、それに参加される方が増えてきていまして、ひとつの企画あたり1,200人とか1,500人といった方が応募しています。
2008年度、この4月から始まる新年度については、今、申し上げているようなものも含め、全部で8つほど企画していきたいと考えています。

次に亀山PAのスマートIC、安宅・流杉PAのスマートICについてです。これもすでに発表済みですが、亀山については工事が終わりまして、この30日から再開します。それから安宅・流杉につきましては安宅が23日から運用を始めており、流杉も29日から社会実験を開始する、ということです。
資料の2ページ目に図がありますが、ご覧のように橙色の6ヵ所が現在本格運用中で、緑色の個所が社会実験継続中のもの、そして赤色の個所が社会実験準備中です。このうちの赤1ヵ所、緑1ヵ所で社会実験を実施するということと、亀山では営業再開ということです。その他ご利用になるお客さまへのPR資料なども添付しています。

次に料金収受子会社の新ユニフォームについてです。これはこのたび新しく決めたもので、明日から着用を開始します。

料金収受員 新ユニフォーム(モデル入室)
このようなもので、今までと違った新しいユニフォームを使うことにしました。この料金収受の会社は中日本エクストールといいまして、横浜と名古屋に1社ずつ、おととしの10月30日に設立しました。営業開始以来1年以上が経ち、ユニフォームも新しくブランドカラー、ロゴマークを使ったものとしています。またETCの普及に伴い、収受員の安全の確保も重要な課題となっていますので、そういった点にも配慮したものとしています。衣替えの対象となる収受員の数は3,200名です。では、どうもありがとうございました。(モデル退室)

次が電子契約サービスの導入についてです。実はこれまでもグループ内の取り引きについては電子契約を行っていたんですが、このたびグループ会社以外の取引先の皆さまとの契約にも、その範囲を拡大しようと考えています。支社発注の案件ということで、入札公告などでその旨お知らせすることにしています。電子契約にするか、これまでどおりの文書契約にするかは取引先の選択に委ねるということにしています。運用開始はこの4月以降に入札公告などを行う案件です。これはきょうの記者発表案件です。

次にハイウェイメディカルコールサービスの開始です。これも新しい発表事項です。高速道路関連社会貢献協議会の協力を得て、この4月1日からやるサービスです。当社管内45ヵ所のコンシェルジュがいるSAで提供します。これは高速道路をご利用の方が体調を崩されたようなときに、SAから専用の電話で救急専門医などに取り次いで、救急医療を受けることができる、あるいは相談をすることができるもので、24時間無料で相談に応じる体制をつくるというものです。コンシェルジュが勤務していない時間帯については、ショッピングコーナーのレジの従業員に引き継ぎますので、24時間継続してサービスを提供できるというものです。携帯電話をお渡しして、簡単な短縮ダイヤルですぐに電話が通じるようになっていまして、看護師または救急救命士が対応し、必要があれば常駐する救急医が応対するというものです。

私からの冒頭の説明は以上です。


(司会)

では、ご質問がありましたらよろしくお願いします。


(記者)

国会でガソリン税の暫定税率が議論されています。おそらく一時暫定税率が無くなる、という見方が多いんですけれども、高速道路のGSではどういう対応を考えていらっしゃいますか。
そして、高速道路で初というメディカルコールサービスについてです。私自身、高速道路はかなり事故対応などがしっかりしているというイメージがあったのですが、これまでこういったことを行われていなかったんですか。


(会長)

ガソリン税がどうなるか、決まった上でという前提で、万一暫定税率を維持する法案が可決されない場合、石油の元売り会社がどういう対応をするかにということにもよりますが、私どもとしては新しい販売価格がお客さまに誤解を与えないように、石油元売りなどの判断で適正に決定して欲しい、と考えています。いろいろと聞いてみますと、古い価格で買った在庫が残っているなどいろいろな問題がありまして、すぐ一律にすべて安くなるかどうかということについてはいろいろな意見もあるようですので。そのあたりについて誤解が生じないようきちっとお客さまにPRができるよう、また店頭表示もはっきりとしたものにするよう、お願いしていきたいと考えています。あと、私どもの高速道路上のガソリンスタンドでのガソリンの価格は、これまでと同様1週間前の実勢価格を上限価格とする仕組みを変えないでいきたいと思いますが、状況を見ながら弾力的にやっていかなければならないかな、と思っています。
それからメディカルコールサービスについてですが、私どもはこれまでも社会貢献協議会で拠出された資金をもとにしていろいろなことをやってきたんですね。AEDの設置やオストメイトトイレの整備、非常用救援物資の備蓄などですが、その一環といいますか、延長上としてこういうサービスをやろうということです。これは当社だけではなくて、東日本や西日本も含めて全国で200ヵ所ほどのサービスエリアでやろうということで、緊急の場合の対応ですからどれほどのご利用があるかは予測がつきませんけれども、やはり気分が悪くなったり、いろいろなことが起こりえると思いますので、そういう場合のサービスとして、高速道路としては初めてとなるこのサービスを始めようということになりました。


(記者)

東海北陸道の開通についてですが、少なくとも7月の下旬には開通できるような状況でしょうか。


(会長)

はい。「7月ごろ」と申し上げていますが、7月に開通させるつもりです。7月のどの日かを今詰めていまして、決まり次第お知らせすることにさせてください。


(記者)

環境懇談会には委員として静岡芸術文化大学の川勝平太さんが入られています。川勝さんは非常にユニークな方だということで、どういったご意見だったかを伺いたいのですが。


(会長)

新東名を初めてご覧になったということで、すこしくすぐったくなるくらい褒めていただきました。環境や景観に本当によく配慮して進めている、そして高度に工学的な成果は非常に美的なものを持っている、といったことを、あの先生らしい独特の言葉でおっしゃっていただきまして、とてもありがたく思いました。将来の問題についてはここにもいろいろいただいていて、どの意見が今後の新しいCSRに向けた意見であったかまではちょっと失念しましたが、森山リーダーに川勝先生からの意見を紹介してもらいます。


(森山リーダー)

川勝先生からのCSRについてのご意見ですが、2点頂戴しています。お手元資料の5ページ「主なご意見」の上から2点目、「高速道路ののり面の樹林化において、開発前に樹木があった場合は、樹林化との差し引きを行わないとミスリーディングとなるため注意が必要」。そしてその次の「中日本がその周辺地域の森林へ間伐や枝打ちといった投資を行うと森林が活性化しかつ社会貢献になるのではないか」といったご意見です。


(会長)

現地視察の感想の部分も、正確を期すために紹介してください。


(森山リーダー)

はい。お手元資料の4ページです。先ほど会長からも紹介のあった、「橋梁の形式検討において、力学的美しさを追求していくことは、実はコスト面、材料面、工期、いろんな面でコストを下げて、材料も少なくしているということ、また、それが結果的に視覚的にも美しくなっているという事例があった」というご意見をいただいています。


(会長)

以上です。


(司会)

その他特にご質問がなければ、第29回の定例記者会見をこれで終了させていただきます。
本日はどうもお忙しい中ありがとうございました。


(会長)

どうもありがとうございました。