NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2012年11月28日金子社長定例会見

会見要旨

 

【司会】 

皆さまお待たせいたしました。ただいまから第83回の定例会見を始めさせていただきます。

 

【金子社長】 

お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、7つほどトピックスをご用意しています。

 

【事業の現況】

10月の料金収入は、429億9千8百万円と対前年同月比3.2%の増、通行台数は、日平均189万9千台と対前年同月比2.5%の増でした。

路線別にみると、北陸道、伊勢湾岸道、名二環などの路線が昨年に比べて3~10%程度増えていますが、やはり4月に開通した新東名の効果が大きく作用し、収入、台数ともに増となっております。

次に建設の状況です。

資料に記載しているとおり、新東名と東海環状道は予定どおり開通しました。残る3区間については、鋭意工事を進めているところです。正式な開通日時が決定しましたら、改めてお知らせいたします。

 

次にETCの利用状況です。10月の日平均利用率は90.0%でした。

 

次にサービスエリアの状況です。

10月のサービスエリアの売上高は148億7千3百万円と、対前年同月比110.4%でした。これは、ご好評いただいているNEOPASA(ネオパーサ)をはじめとする新東名のサービスエリア・パーキングエリアに加え、リニューアルした伊勢道安濃サービスエリア(上下線)が好調であることが理由です。

 

【東名阪自動車道四日市インターチェンジ付近の暫定3車線化について】

東名阪道では、渋滞対策として、今年5月より四日市インターチェンジ付近の暫定3車線化工事を進めてきましたが、四日市インターチェンジから四日市東インターチェンジ間の上り線約3kmを12月13日の午前6時から、四日市東インターチェンジから鈴鹿インターチェンジ間の下り線約5kmを12月19日の午前6時から、暫定3車線での運用を開始します。

これにより、上り線は四日市インターチェンジから四日市ジャンクションまで、下り線は四日市ジャンクションから鈴鹿インターチェンジの途中までが、全て3車線になります。

本区間は、1日約10万台のお客さまにご利用いただいている区間であり、朝夕の渋滞に加え、混雑期は激しい渋滞が発生しています。暫定3車線化により、四日市インターチェンジ付近を先頭にした交通渋滞はほぼ解消され、定時性・安全性の向上が図られます。

また、四日市ジャンクションから亀山ジャンクション間全体の渋滞も、上下線で5割程度減少すると想定しています。

暫定3車線区間では、資料にありますとおり、車線や路肩の幅が通常より狭くなっていますので、安全運転を心がけていただきますようお願いします。

 

【安房峠道路のETC専用レーンの運用開始について】

安房峠道路開通15周年の記念日に当たる12月6日の午前11時から、平湯(ひらゆ)料金所でETC専用レーンの運用をスタートします。

これにより、NEXCO中日本が管理するすべての料金所でETC専用レーンが設置されることとなります。

安房峠道路では、これまでもETCカードで通行料金をお支払いいただくことは可能でしたが、車載器からETCカードを抜いて精算する必要があり、お客さまにご不便をおかけしていました。

これからは、車載器にETCカードを入れたままETC専用レーンを通過することができます。ただし、通常の高速道路の料金所と違い、ETC開閉バーの手前で一旦停止していただく、スマートインターチェンジと同じ通行方法になりますので、ご利用いただく際にはご注意いただくようお願いします。

なお、当日は、ETC専用レーンの運用開始と安房峠道路開通15周年を記念し、料金所を通行されたお客さま先着100台に、長野県松本市と岐阜県高山市の民芸品など記念品を贈呈させていただきます。

 

【交通死亡事故の状況について】

当社管内の高速道路で交通死亡事故が急増していることを受け、当社では、11月1日付けで社内に「交通死亡事故緊急対策本部」を設置し、11月を「重点啓発強化月間」として「交通安全キャンペーン」などの交通安全啓発の取組みを強化しています。

しかしながら、11月に入ってからも交通死亡事故が後を絶たず、昨日27日までに7件の交通死亡事故が発生、8人の尊い命が失われ、民営化以降で深刻な状況であった昨年を上回るペースで増え続けている状況となっています。

死亡原因としては、車外放出による死亡者が11人と一番多くなっています。次は高速道路上で後続車にはねられる事故で10人、自動二輪車の事故で9人の方が亡くなっています。曜日別では休日の死亡事故割合が高く、時間帯別では深夜から午前中までが危険な時間帯になっています。

この秋から冬にかけての観光・レジャーや年末年始の帰省等で高速道路をご利用される方も増えると思います。お出かけの際には、後部座席もシートベルトを必ず着用し、眠気や疲れを感じたら、早めにサービスエリアやパーキングエリアで休憩をとるようにお願いします。

 

【ハイウェイキャンペーンについて】

お客さまから「毎年楽しみにしている」とご好評をいただいている「スノ-ランド岐阜ハイウェイキャンペーン」を、今年も12月1日より実施します。

このキャンペーンは、岐阜県と締結した、お客さまサービスの向上や高速道路を活用した観光振興を通じて地域経済の活性化を図ることなどを目的とした包括協定に基づきおこなうものです。

高速道路を利用して岐阜県内でスキーなどを楽しんでいただくために実施するもので、お手元にお配りしたパンフレットに付いている券をご利用いただくと、岐阜県内のスキー場ではリフト券が割引になり、高速道路のサービスエリアではコーヒーや周辺の温泉施設の割引入浴券などをプレゼントします。

さらに、高速道路をご利用された後に、当社公式WEBサイトのキャンペーンサイトなどからご応募いただければ、スキー場共通リフト1日券の引換券や、金額に換算して最大で4000円相当のマイレージポイント「500ポイント」を抽選で700名様にプレゼントします。

魅力いっぱいの岐阜県内のスキー場へお出かけの際には、ぜひ高速道路をご利用ください。

 

【技術研修サービスについて】

高速道路の建設や管理で培ってきた技術を基に、民間企業や各種団体における技術者の育成や技術力向上にご活用いただける「技術研修サービス」を、12月1日からスタートします。

多様なニーズに応えられる技術力を背景に、お客さまのニーズに合わせて研修のプログラムをカスタマイズするサービスです。

土工・橋梁・トンネルなどの道路建設時における留意事項や環境を保全する手法、または道路の管理における点検、診断、補修、補強方法などについて、講義と現場研修を組み合わせて、それぞれの専門家によるNEXCO中日本にしかできない研修プログラムを提供します。

お客さまの技術力アップに、ぜひ当社の「技術研修サービス」をご利用いただきたいと思います。

また、お手元にお配りした資料は、当社の技術サービスを取りまとめた冊子です。WEBサイトでも公開していますので、技術的なお困りごとがありましたら、NEXCO中日本技術支援室にご相談ください。

 

【高速道路の維持管理用電気自動車(EV)の開発について】

当社は、電気自動車の普及を通じて持続可能な低炭素社会の実現に貢献するために、東京大学や民間会社など6組織と連携し、2トン級トラックをベースにしたEV自走式標識車の開発と、EVへ給電するためのワイヤレス給電システムの共同研究を開始しました。

自走式標識車は、高速道路上で工事規制をする際、お客さまに規制箇所を明示したり、注意喚起するために使用する車両です。EV化に向け、仕様の確認、運用方法などについて共同研究をおこない、来年には高速道路上で実験的に運用を開始します。

また、EVの次世代の給電システムの主役を担うと考えられている非接触のワイヤレス給電システムについても、2つの給電方式について共同研究をおこないます。磁界共鳴方式については、来年には試作機を制作、導入します。当社は引き続き、環境・持続可能社会に貢献してまいります。

 

以上が、本日ご用意したトピックスになります。

 

【司会】

それでは、これから皆さまからのご質問をお受けしたいと思います。

 

【記者】

東名阪道四日市IC付近の3車線暫定運用について、現在と3車線暫定後の規制速度を教えて下さい。また、「暫定」の意味を教えて下さい。

 

【金子社長】

現在の規制速度は80㎞/h、3車線暫定運用後も80㎞/hで変わりません。「暫定」の意味は、現在並行して建設を進めている新名神が開通するまでの間の暫定的な措置であるためです。

 

【記者】

東名の岡崎地区の3車線暫定区間は規制速度が60㎞/hですが、今回の区間はなぜ80㎞/hなのでしょうか?

 

【金子社長】

今回の四日市IC付近の3車線暫定区間の延長は、上り線が3km、下り線が5kmと短いため、規制速度が頻繁に変わる方が安全性に問題があるのではないかと思います。岡崎地区は暫定区間の延長が15kmと長いため、規制速度が60㎞/hになっていると思います。最終的に決めたのは公安委員会ですが、そのような議論がされたと聞いています。

 

【記者】

3車線暫定区間は、幅員が狭くなっているので安全運転に心掛けくださいとのことですが、設計上、安全性に問題はないのでしょうか?

 

【金子社長】

幅員を3.25mにした東名の岡崎地区では、昨年の10月に運用を開始してから1年ほど経過しておりますが、車線幅を狭くしたことに起因する交通事故は起きていませんので、安全性に問題はないと思っています。

 

【記者】

技術研修サービスの講師は、NEXCO中日本の社員が務めるのでしょうか?価格はどのくらいを想定されていますか?また、将来的に研修を受けた方に独自の資格の付与などを視野に入れられていますか?

 

【金子社長】

研修講師は、NEXCO中日本グループの社員がおこないます。社内にそれぞれ土工・橋梁・トンネル等の専門家がいます。料金については、お客さまからのご要望に応じた研修の企画と見積りをご提示したいと思っています。資格については、当社は民間会社ですので、研修を受けたからと言って公的資格を付与することは考えていません。ただし、ご要望により土木学会継続教育(CPD)プログラム等への申請・証明等の手続きはおこないます。

 

【記者】

民間企業や各種団体に研修を提供するとありますが、具体的にどのような会社、団体に提供できると考えていますか? また、このサービスを展開することによるメリットや収益の目標がありましたら教えてください。

 

【金子社長】

提供先は、一般の会社や建設関連の会社等を考えています。

メリットですが、このサービスによってたくさんの利益を上げることより、我々の持っている技術を知っていただく、利用していただくことで、当社のブランド向上にもつながっていくと思います。売り上げですが、100万円ほどの売り上げを今年度の目標としています。

 

【記者】

「みちのことはお任せください」というパンフレットですが、「人材育成」のところが12月1日から始まるサービスと考えてよいでしょうか? それともパンフレット全部がこれから始まるサービスという考えでよいでしょうか?

 

【社員】

このパンフレットは、お客さまのニーズを確認するために、当社の技術サービス全体をご紹介するために作成した冊子です。今回事業化したのは、「人材育成」の中の「様々な研修プログラム」という部分です。

 

【記者】

パンフレットの中に、「用地交渉が必要なお客さまにNEXCO中日本グループの社員を派遣し、サポートします」ということが書いてありますが、そういったサービスもやられているのですか?

 

【社員】

お客さまからのニーズがあれば、今後事業化について検討していきたいと思います。

 

【記者】

高速道路で死亡事故が多発している件で、11月に緊急対策本部を設置されていますが、もともと期限を区切っていたものなのか、今後も継続するのか、解散するとしたらどのような条件なのか、位置付けを教えて下さい。また、11月は「重要啓発強化月間」となっていますが、12月はどうなりますか?

 

【金子社長】

残念ながら、秋から高速道路における交通死亡事故が多発していたため、急遽キャンペーンを立ち上げました。キャンペーンは、マスコミの皆さまに周知をお願いしたり、トラック協会等で講演をおこなったりしています。また、交通警察や関係団体などと共同イベントを実施したり、サービスエリアやパーキングエリアでのチラシの配布、WEBサイトでの情報提供もしています。

 

【社員】

キャンペーンは、10月の状況を踏まえ、11月から1ヶ月間、短期的、集中的に始めました。残念ながら11月に入っても8名の方が亡くなっている状況で、もう少し延長することを検討しています。年末年始の交通混雑期や雪氷に対する安全対策も並行しておこなう必要があり、解散の時期は決めていませんが、少なくとも減少傾向など効果が出てくるところを見極めて判断したいと思います。

 

【記者】

維持管理用EVの開発について、同業他社で研究事例はあるのでしょうか?

 

【社員】

今回の自走式標識車両の開発は、当社が初めてだと思います。

 

【記者】

特殊車両がたくさんある中で、自走式標識車をEV化することにした理由を教えて下さい。また、EV化のメリットを教えて下さい。

 

【社員】

NEXCO中日本には非常に多くの車両が存在していますが、自走式標識車は概ね走行のパターンが限られており、現状の走行距離から考えてEV化が可能という判断をしました。EV化のメリットは、CO2の削減と、EVの利用範囲が広くなることで社会的に貢献できると考えています。

 

【記者】

衆議院選がはじまるということで、先日民主党のマニュフェストが出ましたが、3年前と違って高速道路の無料化がありません。社長は、政権交代後、民主党政権の目玉の1つの「民間人の登用」という形でNEXCO中日本の社長になられたと思いますので、これに関する率直な感想をお願いします。

 

【金子社長】

高速道路の無料化だけではなく、民主党の前回のマニュフェストに書かれたいくつかの項目が、今回のマニュフェストにはありません。今回はできるものだけをピックアップしたと聞いています。新聞報道などによると、政調会長の発言として高速道路の無料化という考え方はまだ党内に残っているということですが、いずれにせよ、民主党や自民党などの意見はそれぞれ違うと思っています。個人的には受益者負担という考え方がよいと思っていますが、今の段階では、これ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 

【記者】

自民党は、国土強靭化基本法案で高速道路の整備等を考えていると思うのですが、そのあたりの影響が選挙に出てくると思います。これについてはどうでしょうか?

 

【金子社長】

NEXCO3社は、2005年10月1日に民営化しました。民営化時の法律にも書いてあるとおり、民営化後10年の見直しが目の前に来ています。どういう政権になっても、しっかりやらないといけないと思っています。その前に高速道路の料金問題があります。料金割引の原資が2013年度内になくなるということで、そのままであれば料金に反映されてしまうことになります。そういったことを含めて、高速道路会社としてのあり方の問題が問われることは間違いないと思っています。我々は、道路の管理・運営についてJH時代から長い間やっていますので、経験・知見とも持っています。しかるべき場を通して我々の意見を申し上げたいと思っています。

 

【司会】

ご質問が途切れたようですので、これで定例記者会見を終了いたします。