NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2009年05月21日矢野会長定例記者会見

会見要旨

(司会)

では定例会見を始めさせていただきます。


(会長)

NEXCO中日本代表取締役会長CEO・矢野弘典

みなさんこんにちは。最初に事業の現況です。
高速道路の状況ですが、4月の料金収入は対前年同月比マイナス22.4%でした。高速はマイナス21.9%、一般有料はマイナス27.7%となっています。理由は、これまでと同じで「緊急総合対策」、これは昨年秋から実施しております。それから、3月28日から始まりました生活対策での割引が大きく影響しています。通行台数は、日平均マイナス3.7%でした。高速はマイナス4.0%、一般有料マイナス2.9%です。
ETC割引額は247億円で昨年の同月の153億円に比べ、61.3%、94億円割引額が増えています。この結果、ETC割引が無かった場合の料金収入は619億円であり、これと371億円と比較するとETCの割引率はマイナス39.9%になっています。これまでの29.8%とか28.8%に比べると10%ほど増えています。

建設の状況については、変わっていません。後ほど東海北陸道の4車線については、あらためてご説明いたします。

戻りますが、通行台数の車種別の内訳について説明します。軽自動車が103.4%、普通車98.9%、中型車86.6%、大型車82.2%、特大車76.8%、合計96.0%です。これは一般有料を除いた数字ですので、先ほどご説明した96.3%と少し違います。参考までに「台・km」では、軽自動車が109.3%、普通車108.2%、中型車87.2%、大型車86.5%、特大車83.0%で、全体で101.1%となっており、旅行距離が伸びていることが分かります。これは、新しい政策の影響だと考えています。これが、全体の高速道路の状況です。

次にETCの状況は、割引額は先ほど申し上げたとおりですが、直近の利用率は5/8~5/14が82.5%、前月の4/3~4/9が81.4%ですから全体で1%増えていることになります。平日・土日休日ともに増加しています。
車載器の取付け累計台数は、約2,503万台です。記載はありませんが再セットアップ約2,979万台ということで、もうじき3,000万台になります。

サービスエリアの状況ですが対前年比で106.8%で若干の売上げ増になっています。内容別にみると、飲食部門106.0%、物販部門107.5%、サービス部門、これはレストインやお風呂ですが、これが106.1%、ガソリン部門106.4%、広告部門85.0%になっています。

これは、4月単月の報告でありますが、1年間が終わりましたので2008年度がどうであったのか、料金、台数、SA事業についてご説明いたします。
まず、料金収入は対前年度比マイナス7.7%、通行台数はマイナス0.6%でした。料金収入のグラフがありますが、昨年4月から100%を下回っており、カーブがだんだん右肩下がりになってきています。毎月お話してきたものを年間で追いかけると、このようになります。
ETC割引の状況も、いろいろな施策が増えていくにつれて、金額的も、ETC利用率も増えています。
通行台数ですが、3月時点で軽・普通車とも下がりましたが、4月は若干上向きに転じています。中型車、大型車、特大車は、2月あたりから横ばい状態になっていて、4月も同じ状態になっています。
東名の東京料金所の出入交通量は、2007年度と2008年度を比較すると平日でマイナス2.7%、休日でマイナス1.6%になっています。業務用交通の多い平日の方が減少しているのは、景気の影響を受けているからだと思います。路線別にみますと中央道と東海北陸道が100%を超えている状況で、その他については100%を切っている状況です。
次のページの「2008年度料金および収入通行台数」は、冒頭に申し上げた数値の高速と一有の内訳です。
サービスエリアにつきましては、総売上高1,402億円でほとんど横ばい、若干のプラスです。飲食・物販は105.2%で5%ほど増えましたが、ガソリン部門の売上げが落ち込み、全体では、ほぼ横ばいでした。このページの一番下に書いてあるとおり、ガソリン価格がだんだん落ち着いてきまして、下期後半は単価が下がり、給油数量が回復傾向となって、前年にだんだん追いついてきました。先ほどお話したように、昨年4月は一旦単価が下がった時期なので、5月の状況を見なければいけませんが、4月は数量的に前年比で20%ほど増え、全体的にも少しプラスになっています。
以上で、事業の状況について説明を終わります。

3番めはGWの交通状況です。7日に速報として報告させていただきましたが、日も経ちましたので、分析を加えたご報告と、新たにGW期間中のお客様アンケートの調査結果がまとまりまして、これは当社だけなく、他社とも一緒になって調べたものですので、それをご報告します。
本件は担当部長の峯村から報告いたします。

 


(峯村部長)

NEXCO中日本代表取締役会長CEO・矢野弘典

まず交通量です。資料左上のグラフはGWの12日間トータルの交通量です。7日の速報でも報告しておりますが、全車で12%の増となっています。小型車は18%増という結果になっています。右のグラフは後半の5連休の交通量です。グラフ内の一番左の棒は料金割引が始まって8日間の土日の平均値です。まんなかの棒は昨年のGWの交通量です。右が今年のGWとなっています。小型車は昨年のGWに比べて22%、新料金が始まってからの土日と比べると47%の増加ということで、大幅な増加が見られます。全車でも同じく20%、37%という数値になっています。
2番めは交通混雑状況です。これだけ交通量も増えましたので、渋滞も増えてしまいました。10km以上の渋滞回数で比較しますと前年のGWに比べ78%増、30km以上で43%の増となっています。グラフの白い部分が後半の5連休の時のものですので、ほとんどは後半の5連休に発生したということです。
3番めはETC利用率です。後半5連休のETC利用率は82%で、昨年のGWに比べると15ポイントの増加と大幅に増加しています。
4番めに東名名古屋ICの出入り交通はどのくらいの距離を走っているのかを分析してみました。それがページ中央の棒グラフです。割引直後の3月の土日は、割引前と比べると24km増えていました。それまで60kmだったものが84kmとなりました。今回のGWは昨年のGWが86kmだったのに対し、36km伸びて122km、平均して100kmを超えているという結果が出ています。その下のグラフに距離別の分布を示しています。50km以下では若干増加していますが、100km以下はやや減少しています。200km、300km、400kmでは率にすると大幅な増加となっています。1,000kmを超えるようなお客様のご利用もありました。
つぎにアンケート結果です。これは後ろにカラーの資料もありますが、そちらは4会社の合計で、こちらは中日本高速の分だけです。
まず、高速道路の利用の目的です。調査は3回行っており、第1回は3月最初の割引当日、第2回はGWに入った初日、第3回は後半5連休の初日である5月2日です。やはり、観光・レジャーのご利用が多く、増加傾向にあります。5月2日の段階では約8割のお客様が観光・レジャー目的とお答えになっています。
「今回の休日特別割引がお出かけのきっかけとなりましたか」という質問に対して、「きっかけになった」とお答えになったお客様が5月2日の段階では、半分強の52%という結果になっています。また、宿泊の日数をおうかがいしたところ、5月2日の段階では3分の1のお客様が「2泊以上」とお答えになっています。
「地域経済の活性化に効果があると思いますか」との質問に対し、「大いにある」「ある程度ある」は合計で95%を占めています。
次に渋滞をなんとか減らしたいということで、例年GWに問題となる東名上りの大和トンネル付近の渋滞、これを減らそうということで、時間帯をずらしてご利用いただいたお客様に対して、SA・PAのお買い物券などをプレゼントするといったキャンペーン「東名GW渋滞減らし隊キャンペーン」というものを行いました。その結果報告です。
真ん中あたりのグラフをご覧ください。夜間20時から翌日の10時までのキャンペーン時間帯にご利用いただいたお客様がこのキャンペーンのプレゼント対象となります。昨年と今年の折れ線グラフを見ると、夜間の時間帯にシフトしていただいているのがよく分かると思います。後半5連休で交通量を比べますと、日平均交通量が4%増えていますが、キャンペーン時間帯に走行されたお客様は7%増と、平均を上回っていますし、この大和トンネルを先頭とした渋滞は昨年と比べると64%減少、渋滞最大長も56%減少となっており、ワースト20から大和トンネルの名前が消えました。ある程度の効果があったと考えています。お客様のご利用の分散というご協力もあったおかげもありますが、このキャンペーンも効果があったのではないかと思っています。
次にカラーの資料ですが、これは本日、4会社で発表しているものです。同じような内容のアンケートを4社でとっています。
中日本管内で「お出かけのきっかけになった」は52%ですが、全国で調べると61%と、当社管内を上回る結果が出ています。目的が「観光・レジャー」いうことに関しても79%に対して84%とかなり大きくなっています。「地域経済の活性化に効果があったと思いますか」という質問に関しては当社が95%に対し、94%とほぼ同じになっています。
渋滞に遭われたお客様には大変ご迷惑をお掛けしましたが、比較的大きな混乱にいたらなかったのは、お客様のご協力のおかげだと感謝しております。
以上です。

 


(会長)

次に東海北陸自動車道郡上八幡ICからぎふ大和IC間の4車線化の完成について、ご報告します。
これまで、瓢ヶ岳PAから白鳥の間で整備を進めてきた4車線化の工事のうち、最後まで残った区間がこの区間になります。4.6kmです。これが、夏休み前の7月17日の金曜日に完成し、その日からご利用いただけるようになります。
全体の約18kmが7月17日に全て完成することになり、その結果、一宮JCTから白鳥ICまで77kmあるのですが、これが連続して4車線になります。この区間の渋滞解消のお役に立てるのではないかと思っています。
なお、この4車線化事業の完成を記念しまして、翌日になりますが、4月18日に完成式典を予定しています。詳細については、あらためてお知らせさせていただきます。

次に5番目のトピックスとして、紀勢自動車道大宮大台ICから紀勢大内山ICまでの開通後3ヵ月の交通状況について報告いたします。
交通量は日平均約53百台で、平日約41百台、休日約75百台となっています。この紀勢道と並行する国道42号線の状況ですが、建設中の紀勢大内山ICから長島ICまでの間の区間は、平日、休日ともに交通量が増加しています。また、大宮大台ICから紀勢大内山IC間で並行する国道42号線への出入り口である大宮大台ICで、出入り交通量が約35百台減少し、紀勢大内山ICの出入り交通量は日平均約53百台となりました。
この区間の開通により、大宮大台ICあるいは紀勢大内山ICと他の地域である三重、愛知、滋賀、静岡以東のIC間の利用交通量は、約51百台から約66百台に増加しています。
この地域は休日の交通量が多い観光道路で、沿線地域では入れ込み客の増加が最大4倍と確認されまして、効果をあげていると思います。そのほか、救命救急搬送が23件あり、命の道という役割も十分に果たしていると思います。
資料を添付しておりますので、ご参照ください。

次にSA・PAでの新しい店舗のオープンです。これは本日記者発表した内容です。
SA・PA7ヵ所で6月から7月初旬にかけて、コンビニを4店舗、カフェショップ2店舗、飲食コーナー2店舗をオープンします。詳しい内容は別紙に記載のとおりです。
この結果、当社が運営しているSA・PAでのコンビニの数は43店舗、カフェは22店舗です。今年度中に、コンビニはさらに5店舗、カフェは2店舗追加する予定です。
トピックスとして、スターバックスが長野県内の高速道路では初出店となります。また、奥伊勢PAは今まで、物販コーナーだけを営業していましたが、新たに飲食コーナーをオープンすることになりました。紀勢道が延伸した2月7日の2日前となる2月5日に、奥伊勢PAはオープンしたのですが、地元の奥伊勢ハイウェイパークという会社が地元の支えもあって、なるべく早く飲食コーナーをつくりたいということで、6月1日に実現することとなりました。

最後の話題ですが、環境施策としてどのようなことをやっているのかという事例を本日も紹介したいと思います。てんぷら廃油のリサイクルで、バイオディーゼル燃料、BDFをやっています。
富士保全・サービスセンターで2006年12月から標識車2台で開始しました。2008年度は5台の車両で14,000リットルを利用しました。約36トンのCO2排出量の抑制になったと推計されます。
2008年9月からは彦根保全・サービスセンターでも開始し、こちらは始めたばかりですが、軽油に5%のバイオディーゼルを混合した燃料を使用しているということで、まだ、量としては600リットル程度で、約1.6トンのCO2排出量の抑制になったと推計しています。
環境施策については、会社の重要な経営方針として、これからも進めていきたいと考えており、また、この場を利用させていただいて、事例について報告させていただきたいと思っています。

以上で、説明を終わります。

 


(司会)

では、ご質問がありましたらよろしくお願いします。


(記者)

ETCの割引に関する評価を教えてください。先日発表された東海道新幹線の乗車率は対前年比11%減でした。高速道路の4月も全体では通行台数が前年割れしている状況ですが、ETCの割引がなければ、より落ち込んでいたのでしょうか。つまり、底上げの効果というのはあったのでしょうか。
また、そのほかにメリットやデメリットなどをふまえて、あらためてご感想をお願いします。


(会長)

ご承知のような景気低迷の中で、経済対策として行われた政府の料金割引政策というのが効果をあげていると考えています。「料金割引なかりせば」ということについては、なかなか数字を把握できかねるのですが、大型車両の減少ほどではないと思いますが、かなりの影響が出るのではないかと思っています。そのへんについては、今後、課題として分析を続けていきたいと思っています。
今回の5月の連休で特徴があらわれまして、実際には3月下旬の土日からその傾向があらわれているわけなんですが、やはり長い距離を走るということなので、地方部で貢献が大きいと思います。大都市部はそんなに交通量が増えているわけではなく、地方部でその影響が出ていると思います。5月の連休はその傾向が最も顕著にあらわれていると思います。そういったことで、観光あるいは実家に帰るなどいろいろな旅行目的があったと思いますが、そういう点で道路を走行されたドライバーやご家族は、これを有効に活用されたと思います。
迎えた側の観光地、観光施設を広く調べてみましたが、入れ込み客が増加したということですから、大変効果をあらわしたのではないかと思います。当社の管内で言いますと、岐阜県や北陸3県で特に大きな交通量の増大の恩恵を受けたのではないかと思います。


(記者)

SA・PAで新しい店舗が開店するということですが、全体のSA・PAに対する割合というか、コンビニの43店舗やカフェ22店舗というのは、どれくらいの割合を占めているのか教えてください。


(会長)

売上高比ということですと、数字を発表できる状況にないですが、コンビニやカフェショップなどの新しい店舗を設けたSAの売り上げは上がっています。また、当社は全体で166ヵ所のSA・PAを持っており、そのうち営業施設があるのが150ヵ所です。その中には第3セクターが運営しているところもあり、当社のグループ会社中日本エクシスが管轄しているところが139ヵ所です。その中で、ご報告させていただいたようにコンビニは43店舗ということですから、相当大きな比率を占めてきたと思います。カフェは22店舗で今後も増やしていきます。コンビニは今年度中に48ヵ所になりますので、3割くらいの場所に設置されるということになります。お客様も、街中感覚でご利用されるということが増えてきていると思います。高速道路だけの特殊な商品ではなく、街の中でも、高速道路でも買える、わたくしどもは「標準化」と呼んでいますが、そういう点について、関心が高いと思います。
その一方で当社は広く各地を走っていますので、きょうはこの標準化の施策を報告しているのですが、「やさい村」などの地域の特徴を生かした個性化の部分というのも、もう一方の重要な休憩施設施策です。そちらも充実させていきたいと思っています。


(記者)

今後のことについて、2点うかがいます。
1点は、新型インフルエンザに関することです。きょう、社員の方はマスクされていますが、今後、御社にはどういった影響が出てくるとお考えですか。
2点めは、お盆の平日にも1,000円割引が導入されるという話がありますが、そのことへの期待や効果など、お考えを教えてください。


(会長)

新型インフルエンザに関して、当社は少し早めに準備を始めていまして、昨年の11月から勉強を始め、3に行動計画を全社方針として作成しました。新型インフルエンザの海外での感染拡大を受けて、4月27日に対策本部を立ちあげました。まだ、国内に入ってくる前です。マスクや消毒液を各出先に配布して、グループ会社や業務従事者も含めまして、消毒液による手洗いや、うがいを励行などの対応をしてきました。5月18日になり、国内での感染拡大を受け、休憩施設や料金所などのお客様との接点となる場所の業務従事者に、マスクの着用をさせると同時に、手洗い、うがいの励行を徹底させ、感染拡大の防止に努めています。4月27日に対策本部を立ち上げて、5月18日にひとつレベルアップをしたということです。
グループ会社を含めて、全社員には出勤時の体温チェック、消毒や通勤時のマスク着用を義務付けまして、社員への感染防止に努めています。
わたくしどもは、非常に公益性の高い事業をしており、道路を止めたくない、なんとしても道路を止めずにやっていきたいと思っています。しかし、もし、社内に感染が発生した場合は、影響を最小限に抑え、道路を止めないということに全力をあげます。そのほかのところは止めることもありえるという観点で、膨大な行動計画を作成してあり、それを逐次実行していくことにしています。
これまで、大阪と成田の報告がなされていましたが、川崎や八王子など当社の管内でも感染した人がでてきたということで、今まで以上の緊張感を持ってやっていこうと考えています。
国や地方公共団体もこの問題に関して、真剣に対策をしていますので、よく連携してやっていきたいと思っています。
お盆の扱いについては、報道で承知していますが、きちんとした話をわたくしどもも聞いていません。ですから、問題意識は持っていますが、話がもう少し固まったところで、検討したいと考えていますので、きょうの段階では、お答えする状況になっていません。


(記者)

「道路は止めない。そのほかでは止めることもある」ということでしたが、高速道路は鉄道や飛行機と違い、大量輸送をせず、車両はきわめてプライベートな移動であるので、道路を止めるという状況が具体的にイメージできないのですが、どのようにお考えなのでしょうか。また、「そのほかでは止めることもある」というのは具体的には、どのようなことを想定されているのでしょうか。


(会長)

お話のとおり、わたくしどもが車両を運転して輸送を行っているわけではありません。ドライバーが運転できなくなるということがありえますが。
当社の事情で止めるということが無いようにしたいということです。
ご承知のとおり、維持管理業務にはたくさんの人が従事しています。道路の清掃、メンテナンス、パトロール、料金収受といったところにたくさんの人が従事しています。そういったところには感染がおよばないようにしています。もし感染した場合は、その人は当然休むし、その職場も場合によっては全部止めなければならない状況になりますが、その場合、他の職場から応援を出すということで、とにかく現業のところに全力投球するということです。ですから、本社とか支社で発生したら、その職場は休みになるということは十分にありえるのですが、とにかく現業の仕事を止めないということに全力を尽くしたいと考えています。


(司会)

その他特にご質問がなければ、第43回の定例記者会見をこれで終了させていただきます。
どうもありがとうございました。