NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2009年10月21日矢野会長定例記者会見

会見要旨

(司会)

それではお時間になりましたので、ただいまより定例記者会見を始めさせていただきます。それでは、よろしくお願いします。


(会長)

NEXCO中日本代表取締役会長CEO・矢野弘典

今日は案件が数件ございます。最初に恒例の事業の現況についてご説明します。
9月分ですけれども、まず高速道路の状況でありますが、9月の料金収入は対前年度同月比マイナス19.8%です。高速がマイナス19.3%、一有がマイナス24.6%ということになっております。通行台数ですけれども日平均でプラス5.0%です。高速がプラス3.9%、一有がプラス9.5%となっております。
この数字の意味合いでございますけれども、9月はシルバーウィークの影響もありました。それに加えてこれは従来と同じ理由ですけども、色々な割引制度が増えまして、その影響が出ていると判断しております。
ETCの割引額ですけども318億ということで、昨年に比べてほぼ倍増しております。去年が160億でございました。
ETC割引率は約45.8%となってます。ETC割引がなかった場合の収入ですが、695億円でありまして、昨年比でプラス10.3%ということに相成ります。次に建設の状況ですが、これは先月と変わっておりませんので省略します。

いつも申し上げております、車種別の交通状況を申し上げますと、これは通行台数でどうであったかですけども、軽自動車108.7%、普通が107.7%、中型が90.3%、大型が89.1%、特大が87.5%、全体で103.9%ということでございます。
それからこれを走行台キロで見ますと、軽自動車が126.1%、普通が128.1%、それから中型が92.1%、大型が92.5%、特大が91.6%、全体で116.3%ということです。これもやはり、シルバーウィークがあってトリップ長が長くなったという事の結果だと思います。

次に、ETCの状況でございますけども、当月は84.6%の利用率でした。直近の1週間で見ますと10月2日から8日で85.1%、前月の9月4日から10日で84.3%、およそ1%増えておりまして、これは平日土休ともに似たような傾向になっております。車載器の累計取付け台数は2,825万台であります。

次に、サービスエリアの状況ですけども、売上高が124.1%となっております。飲食・物販を見ますと両方あわせて126.6%ということであります。休日が149.1%、平日が103.4%ということでありまして、休日の影響が出ているのはこれまでと同じ傾向です。飲食・物販の内訳を見ますと、飲食部門では123.2%、物販で128.7%となっております。ガソリン部門でございますが、これは117.1%であります。単価差が45円/Lありましたけれども、給油量が158.2%増えまして、全体で17.1%の増ということになっています。サービス部門は125.8%、広告部門が91.7%でございました。以上が事業の概況でございます。

次にトピックスです。
数件ございますが、四半期ごとにご報告しております入札状況について、その分析結果をご報告します。
7月から9月の3ヶ月で落札件数は79件ありまして平均落札率は82.6%です。図1を見ますと、4月~9月では138件、83.4%となっています。表1は、この3ヶ月の主な工種別の落札率でありますが、特徴的な点だけ申し上げますと、PC橋の上部工、これは100.4%となっています。この工事はその特別な条件がある場合、施工技術競争型総合評価方式というのを私どもはやっているわけですが、それによって入札をいたしまして、契約制限価格を上回っても契約できる、こういう仕組みにしたことから、100%をこえる落札率となりました。
それから、比較的落札率が低い工種、電気・造園・遮音壁ですが、これらの工種の場合、中を見て見ますと入札時の応札者が増えておりまして、より競争性が働いたと見ております。
次に図の2でございますけども、低入札の状況です。
2007、2008年度に比べますと、この4月から9月の発生率は50.0%と高くなってます。この発生率が高い状況は昨年の12月以降続いています。その要因ですけども、ひとつとして、去年の12月以降の工事につきまして、低入札の際に調査を行う基準価格、この見直しを行いましてこの基準価格が高くなったことが原因と考えてます。
ただし今年の6月以降に新たに導入した、低入札重点調査というのがあるのですが、これについては調査が必要になる落札率、75%ですけども、これを下回る低入札の発生率は導入以前に比べまして半減しておりまして、その効果が現れていると考えます。また同時期に導入しました失格基準によりまして、最低価格提示者が契約できなかった案件も2件出てきております。
図3は入札不調、不落と不成立でありますが、その発生状況を表したグラフです。この3ヶ月で不調件数は16件、発生率は11.6%となっています。昨年度までに比べますとおよそ半分くらいのところまで低下しています。これは公募型見積協議方式といった入札方式の適用によりまして、この不調対策の効果が現れてきたと見ております。不調の件につきましては、発注の方式の見直しとか対応方針を決まり次第、順次手続きを進めておりまして、すでに3件の工事について契約に至っています。
以上が最初のトピックス、入札状況についての四半期報告でございます。

次に皆さんに大変ご心配をかけました、東名牧之原地区の震災復旧状況でございますが、先般の台風18号もさしたることがなく、乗り切ることができました。その後の委員会を進めながらも、色々な付帯的工事を進めてきておりまして、その辺についての現状を吉川常務からご報告させていただきます。

 


(吉川常務)

保全・サービス事業本部長の吉川でございます。
それではお手元の駿河湾を震源とする地震の東名高速被災応急復旧(現況報告)の資料に基づきまして、ご説明いたします。8月11日5時7分頃発生した地震によりまして、東名高速道路牧之原SA近くの盛土のり面が崩壊しました。これまで2回委員会を開催してきました。8月17日と9月28日です。今回は、第2回の委員会で審議されました調査ボーリング結果、原因分析、本復旧対策工(案)の検討を行いましたので、概況を報告させていただきます。なお、当該箇所の本復旧対策と条件の類似する地域の抽出については、10月27日(火)に開催を予定している第3回の検討委員会で審議いただきます。
1ページ目は被災状況と復旧状況です。
2ページをご覧ください。現地の状況と現在の作業状況です。現地では、変位や路面クラックの発生もなく、現時点では安定した状況にあります。当該区間は連続雨量300mmで通行止めとなる区間でしたが、応急復旧ということを加味して、連続雨量150mmで通行止めにする基準で行っておりますが、会長からお話がありましたように、10月8日の台風18号が通過したときは我々も大変心配いたしました。幸いにも降雨量43mmと比較的少なかったこともあり、変位などもなく済みました。現在の作業状況ですが、本復旧工事に備えて①仮排水工、②工事用道路、③仮橋、④作業ヤードの整備、⑤崩積土の河川流出対策を実施済みです。
続きまして3ページです。応急復旧した盛土の追加補強対策の進捗状況について報告いたします。台風や秋雨前線による大雨も予想されたことから、斜面の安定性向上を目的に検討委員会の先生方のご意見もいただきまして、強化対策を実施、あるいは現在実施中であります。追加補強対策の内容としては、下記図にありますように集水ボーリングを13本予定しており、図で赤色の箇所は既に完了しているもので、青色は未施行の箇所です。13本うち、下の段の8本は9月19日に完了しています。また、もう一つの補強対策の抑止杭の打設ですが、延長が最大で16.5m、本数は16本を予定していましたが、10月18日に完了しました。集水ボーリングは地下水位の低下を目的としますし、抑止杭はすべりを抑止します。今後は上の段の5本のボーリングを、今月末を目途に進めていく予定です。
4ページをご覧ください。実施しておりました調査ボーリング結果の報告です。図は、東名と垂直方向への断面図を「主断面①-①」、東名と平行する横断面図「副断面②-②」で表しています。図のうぐいす色の面が相良(さがら)層泥岩といいまして、ここの基盤岩であります。その上に堆積層として、谷床(こくしょう)堆積物の層があります。そしてその上に、東名の建設時に盛土をしているというのが表されています。図中のピンク線が、想定される地下水位面で、赤線が崩壊した想定すべり面です。地層構成表は記載のとおりです。
次の5ページで、どういう経過でのり面が崩落したかのメカニズムについて簡単にご説明いたします。図「①道路建設前(40年前)」は、工事発注時の平面図と今回の地質調査の結果からの推定です。泥岩層の基盤岩があり、その上に谷床堆積物があるだろうという推定です。図「②道路共用時(風化しやすい泥岩の使用)」は共用時のもので、道路盛土の下部路体部分に泥岩を利用して盛土をしている部分があるというもので、さらにその上には良質材である牧之原礫層で盛土をしているといった構造であると推定されます。図「③道路共用数年後~地震直前(泥岩の風化・地下水上昇)」ですが、この構造自体は長年の水の浸入により、風化しやすい泥岩が、水の作用で乾燥したり湿ったりを繰り返し、徐々に泥になり粘土層のようになり、強度の低下と透水性の低下によりまして、地下水が上昇したものと思われます。そういった状態にあったところに、8月11日に計測震度5.9の地震が発生し、これが起因となり、図「④地震後」のようなすべりが発生したと。これは盛土内ですべりが発生しただろうと思われるわけです。これについては、次のページに簡単に書いておりますが、取りまとめますと原因分析としては、1)①のり面崩落は盛土内で発生している。これは調査ボーリングの結果と盛土のり尻の擁壁が動いていない、崩落前と同じ位置にあるということから、すべり面でのり面の崩落が起きたと考えられるわけであります。②として、当該地は水が集まりやすい地形・地質条件であったと思われます。それから③崩落箇所の地下水位は高かったと思われます。④は盛土の下部には風化しやすい泥岩が、上部には良質な砂礫が使用されていたということで、⑤は、建設時は規定どおりに盛土は施工されていたということです。先程申し上げましたように、推定される原因が2)で記載してありますが、盛土下部の泥岩が長年の水の作用によりまして、強度の低下、透水性の低下をきたし、その結果、盛土内の地下水位が上昇したことにより、今回の地震が誘因となって崩落が発生したものと推定されるわけであります。

本復旧対策工ですが、基本方針としましては、(6.①)本線通行に重大な影響を及ぼさない施工方法とするということで、本線外からの施工を原則とすると考えております。②にありますように、施工にあたりましては安全性を第一、そして早期完成、施工性、経済性等を総合的に考慮して工法等を決定するということであります。それから設計条件として、ここは崩落しているうえに、応急復旧していることもありますので、①にありますように、本復旧では崩積土は可能な限り置き換えるという方法をとりたいと考えております。また②のように、当該箇所の盛土構造は、応急復旧のため特殊性を考慮するというということで、盛土の路体内には大型の発砲スチロールや大型土嚢、それからセメントで安定処理した土など、一般部の盛土の構造と異なっているため、地震に対する安全性を考慮した設計とすると考えております。それから制約条件としまして、近接する側道や墓地に影響を及ぼさない範囲で施工を行うと考えており、(図の説明として)簡単に申しますと、水の対策を重点に考えて、適切な排水処理を行うとともに、透水性の良い良質材で盛土を行うということと、既に打設しているものもありますが、盛土の安定性を確保するために抑止杭を施工すると。それから、のり面の安定を確保するために保護工を施工するということを、図(横断面)にあるように保護工を仕上げたいと考えております。

最後のページに参考として、災害検討委員会、これまで2回開催して、太田委員長以下、委員の方々に色々と討議をいただいてきているところであります。今回、第3回を10月27日(火)開催予定でありまして、これを最終報告とするということで、内容としては、災害原因及び本復旧対策工のまとめ、それと牧之原地区類似盛土箇所における対策について、ご議論いただく予定であります。以上でございます。

 


(会長)

それでは次にハイウェイキャンペーン三重2009秋という案件についてご説明します。
これは実は10月8日に名古屋支社から発表させていただいたものでございますが、三重県の観光連盟とタイアップしてやろうというものです。今までは春にやってたんですけども、その後、料金割引で交通量が増えるということもあって、今年は秋もやろうということであります。
いろいろな優待券とか、抽選でプレゼントが当たる企画が入ってますが、熊野古道世界遺産登録ちょうど5周年なんですね。それと伊勢神宮の式年遷宮イベント、11月に宇治橋の架け替えの渡り初めがありますし、そういうようなことを記念したキャンペーンという位置付けにいたしております。

次に速弁の関係につきまして、これは今日発表する内容でございますが、ユニーという会社がありまして、この会社が愛知・岐阜・三重で展開しておりますアピタという店舗があるんです。その一部で開催する全国有名駅弁名物弁当フェアというのがありまして、これにこの31日から来年の2月14日までの間、土日曜あわせて合計10日間販売しようということであります。秋のメニューから始めまして、冬メニューに12月になると入るのですが、そういう風に変わっていきますが、これをやって行こうということであります。

それから、最後に環境の関係、これは毎回最低1つテーマを用意しまして、皆様にご報告しているわけですが、今日ご報告するのは、小学校、小学生の協力を得まして、地域性苗木のどんぐり拾いをやろうという内容であります。
これはどんぐりは地域性苗木として当社で育成しまして、そして高速道路緑化に使用しているものであります。
平成7年度からはじめているのですが、これまでどんぐり拾いは11回やって、およそ1,100人の人が参加してます。植樹のほうは12回開催して、延べ2万本を植樹してまいりました。今回企画してるのは相模原市内の小学校なんですけど、ひとつは湘南小学校というところで、19日に終わりました。1、2年生あわせて9名が参加しました。
それから、10月30日の金曜日に広陵小学校というところで、1、2年生約80名を予定しております。最初に申し上げた学校は、小さい学校で、9名というと少ない人数なんですが、全校生徒で60余名ということですから、よく参加していただいたということであります。下に写真を付けてございます。
以上で、私の説明を終わりたいと思います。

 


(司会)

それでは、ご質問をお受けしたいと思います。


(記者)

先月の会見では、政権交代の話があったが、今日の会見までに補正の執行停止により4車線化の見直しとか、あるいは、新年度の予算(概算要求)で、社会実験の話がでたが、またそれは見直したほうがいいとか、野田副大臣の発言があったりしたが、この2点についてどのような意見をお持ちか聞かせて欲しい。


(会長)

4車線化の問題は、「留保」ということを私ども承っています。中止ではないということです。設計とか測量の関係ですが、すでに発注している業務がありますが、それはそれで進める。まだ、発注していない業務については、この後の推移をみて考えることになると思います。
地元の皆様の期待の大きい事業なんですけど、これは国の方針でありますから、私どもも同調しまして、次の展開を待っている状況であります。
それから、本予算の関係の方は、無料化で数千億円の原資を用意しているということも、私どもも皆様(報道)を通じて、伺っています。伺ってみますと、中身は決まっていないということで、これから全体の予算編成の中で、どのような規模になるかも含めて、決まっていくと理解しております。いつになるのか、年度内なのか、年内どこまで詰められるのか、そのような点や具体的な内容がハッキリしないということがありますので、しばらく状況を見て、その結果によって、いろいろ考えて行きたいと思っています。


(記者)

例年であれば、この時期概算要求が見えてくるなかで、政権交代で仕方が無いというか、先がよく分からないというか事業がとまるとか、このようなことについて、現場ではどのように考えているのか。


(会長)

いろんな期待感を持って、今まで来ておりますので、その点は少しブレーキ掛けて、状況の変化に対応していく、このような大きな変化はめったにあることではありませんので、これはこれできちんと対応していくということで、そういう風に考えています。それ以外の既定の事業はたくさんあり、私どもとしては粛々と予定通りに進めて行きたいと思っています。社内は、いままで申し上げた考え方で意思統一していますので、それでいけると思います。もちろん具体化された案が出てきて欲しいという思いは持っています。


(記者)

東名高速の関係ですが、のり面崩落の原因分析をされて、地質とか状況とか影響していたと思われるのですが、御社の路線の中で同様な事態が発生しないか、今後調査されるとか再発防止をどうするのか。


(会長)

類似の箇所については、点検を行っていきたいと思います。原因がはっきりしますと、その類似の箇所もだいたい想定できますので、そこをチェックして手を入れて行きたいと思います。


(記者)

本復旧対策工は、いつごろからはじめられるのか。工事には……現段階では、どれくらいになるのか。


(吉川部長)

第3回の委員会が、10月27日ございますので、その結果を踏まえて、速やかに着手していきたいと思っています。


(記者)

着手時期は。


(吉川部長)

対策の中身を検討しまして、行っていきたいと思っています。先ほど説明しました応急復旧と補強工事をやっています。補強工事の一部が本復旧にも使用可能であり、その補強工事の進捗に併せて、本格的な本復旧を開始したいと思っています。


(会長)

詳しくは、本委員会の後にご説明できると思いますので、是非ご都合つけておいでいただくとありがたいと思います。


(司会)

よろしければ、これをもちまして本日の定例記者会見は終わりといたします。ありがとうございました。