NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2017年09月27日宮池社長定例会見

会見要旨

司会

皆さまお待たせいたしました。
資料1から4のほかに、本日はご説明しませんが、資料5として「EXPASA富士川(上り)大観覧車「Fuji Sky View」シースルーゴンドラを増設します」も配布していますので、ご確認ください。
それでは、ただいまから第128回の定例会見をはじめさせていただきます。

【事業の現況(2017年7月、8月)】

資料1-1をご覧ください。
営業の状況ですが、7月の料金収入は585億1200万円で対前年同月比2.2%の増加、また、通行台数は日平均199万2000台で対前年同月比0.1%の増加となりました。
8月の料金収入は683億6800万円で対前年同月比2.5%の増加、また、通行台数は日平均213万2000台で対前年同月比0.3%の増加となりました。
7月、8月は、両月とも天候に恵まれなかったものの、東名および新東名を中心としたネットワーク効果のほか大型車の利用が堅調であったことから、料金収入はやや増加、通行台数は横ばいとなりました。

続いて建設の状況ですが、2017年度に開通を予定している区間の工事概況についてご説明します。
新東名 海老名南ジャンクション(JCT)から厚木南インターチェンジ(IC)間2kmにつきましては、現在、厚木南IC部の土工、橋梁上部工などの道路本体工事を実施中です。
また、道路本体工事が完了したところから、舗装工事や標識工事、料金所の建物など設備工事に順次着手しています。
東海環状道 養老JCTから養老IC間3kmにつきましては、先月、すでに公表していますが、10月22日に開通することとなりました。今回の開通により、沿線地域の観光産業の支援、地域開発の促進など、沿線地域の活性化などが期待されます。
また、資料1-2のとおり、開通当日は、10時から開通式典を開催し、15時に開通する予定です。開通式典の詳細につきましても、資料に記載していますので、報道関係の皆さまには、ぜひ開通式典のご取材をお願いします。
なお、開通に先立ち、報道関係の皆さまを対象とした現場公開を、10月17日に予定しています。詳細が決まりましたら、あらためてお知らせしますので、ぜひご参加ください。
また、資料1-3のとおり、今回の開通を記念して、ETCのマイレージポイントを抽選でプレゼントする「つながる ようろうキャンペーン」を実施します。応募条件などをご確認のうえ、皆さまからの多数のご応募をお待ちしています。
次にサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の状況です。
資料1-1の裏面をご覧ください。
7月のSA・PAの売上高は168億3100万円で対前年同月比4.7%の増加、飲食・物販部門の売上高は対前年同月比1.3%の減少となりました。
休日の天候に恵まれなかったことにより、7月の売上高は対前年比98.7%となりました。
ガソリン部門の売上高は、昨年に対し販売価格が上昇したことと、軽油の販売数量が増加したことにより、対前年同月比19.5%の増加となりました。
8月のSA・PAの売上高は232億4900万円で対前年同月比4.1%の増加、飲食・物販部門の売上高は対前年同月比0.2%の減少となりました。
8月は、長雨や台風など全般的に天候に恵まれず、売上高は前年比99.8%となりました。
ガソリン部門の売上高は、7月と同様、昨年に対し販売価格が上昇したことと、軽油の販売数量が増加したことにより、対前年同月比17.6%の増加となりました。

【秋の大規模工事規制の予定について】

資料2をご覧ください。
大規模工事規制の概要につきまして、すでに発表済みの工事を含め、この秋以降に実施する集中工事やリニューアル工事の予定を取りまとめましたので、お知らせします。
まず、東名集中工事ですが、10月2日(月)から10月14日(土)までの10日間、東名・東京ICから小牧JCT間で工事を実施します。
工事期間中は、本線の昼夜連続車線規制の他、夜間通行止めやランプの夜間閉鎖などを実施しますので、お出かけの際は最新の交通情報をご確認ください。
次に、高速道路リニューアル工事ですが、9月25日(月)に中央道・調布ICで、ランプ橋の床版取替え工事に先立ち、仮橋設置を完了しました。
同じく中央道では、10月16日(月)から12月1日(金)までの47日間、岡谷JCTから伊北IC間で、また、北陸道では、10月16日(月)から12月13日(水)までの59日間、米原ICから長浜IC間で工事を実施します。
各工事とも、工事期間中は渋滞の発生が見込まれます。ご利用のお客さまには大変ご迷惑をおかけしますが、老朽化の進む高速道路の補修に必要な工事ですので、ご理解をお願いします。
お出かけ前には、渋滞情報や通過所要時間などを専用WEBサイトや専用ダイヤルでご確認いただき、高速道路ネットワークを利用した広域迂回や一般道への迂回など、ご協力をお願いします。
この他の路線でも工事を予定しています。具体的な日程が決まり次第、あらためてお知らせします。

【橋梁の鋼床版に発生する疲労き裂に対する新たな点検手法の開発】

次に、技術開発に関するトピックです。資料3をご覧ください。
当社は、安全性向上のための取組みの一環として、「点検高度化・効率化」を目指した技術開発をおこなっています。
その一つとして、今回初めてのご紹介となります「橋梁の鋼床版に発生する疲労き裂に対する新たな点検手法の開発」についてご報告します。
本件は、名古屋大学・三菱日立パワーシステムズ検査株式会社との当社の3社で開発した技術です。
現在、高速道路の構造物は、5年に1度、近接目視や打音、触診により点検をおこなっています。
今回の技術は、橋梁の鋼床版に発生する疲労き裂を把握することができるものです。
鋼床版は、名港トリトンなどの軽量化が必要な特殊な形式の橋梁に採用されています。
鋼床版は、図1、2のようにデッキプレートとUリブから構成されており、過積載を含む大型車交通荷重が多く通過すると、図4のようにその接合部からデッキ進展型き裂とビード進展型き裂という2種類の疲労き裂が発生することがあります。
このような疲労き裂が発生し貫通すると、上部の舗装の損傷などの変状を引き起こし、お客さまの走行安全性に影響を及ぼすおそれがありますので、できる限り早期に把握し対策をおこなうことが必要です。
そこで、こういった鋼材内部のき裂を非破壊で検査できる超音波探傷法につきまして、図5のように従来の2次元の探傷をおこなう技術ではなく、図6のように3次元の探傷をおこなう技術であるフェイズドアレイ超音波探傷法に着目し検討を進めました。
その結果、今回開発したフェイズドアレイ超音波探傷法は、2種類の疲労き裂を初期段階で同時に精度良く検出することを確認できました。
具体的には、デッキ進展型き裂は、疲労き裂の深さ2㎜程度から検出可能であり、ビード進展型き裂は深さ3㎜程度から検出可能です。
また、本技術は、この2種類のき裂を自走で探傷することができ、今まで確認できなかった内部のき裂をより正確に把握できるものと期待しています。
現在は、点検運用体制の確立を検討しており、2018年度の実用化を目指します。
当社グループでは、今後もICT技術を活用した点検の高度化と効率化に向けた技術の開発をおこない、点検の信頼性をより向上させていきます。

【訪日外国人の旅行を1万kmの高速道路が応援します】

続いて、資料4をご覧ください。
昨日発表しました、レンタカーをご利用される訪日外国人旅行者向けの全国版の高速道路定額乗り放題パス(Japan Expressway Pass)のご紹介です。
当社では、観光先進国の実現に向けて、政府が掲げる「2020年までに訪日外国人旅行者数4000万人」という目標や好調なインバウンド需要を背景に、これまでもインバウンド対応に積極的に取組んできました。
その一環として、これまで各高速道路会社がそれぞれ企画・販売してきました、レンタカーをご利用される訪日外国人旅行者向けの高速道路定額乗り放題パスに加えて、このたび新たに、「全国版の訪日外国人向け高速道路定額乗り放題パス(Japan Expressway Pass)」を2017年10月13日から販売することとしました。
この商品は、外国からのお客さまが、指定のレンタカー店舗でレンタカーを借りてこのパスにお申込みいただき、ETCを使って高速道路をご利用いただくと、全国を対象としたエリアで高速道路が定額で最大14日間乗り放題となる、お得で便利な商品です。
なお、当社で従来から販売している、中部エリアを対象とした地域版の定額乗り放題パス「Central Nippon Expressway Pass」も販売状況が好調で、昨年度は約5,000件のお申込みがあり、ご好評をいただきました。今年度も昨年度の約1.4倍のペースで伸びています。
また、訪日外国人のお客さまが、安心して、快適に高速道路をご利用いただけるようさまざまなサービスの提供にも取組んでいます。
例えば、お客さまにわかりやすい道路案内として、ナンバリング標識を2020年までに概成します。
また、当社管内51箇所のSA・PAのコンシェルジュで、翻訳タブレットを用いて多言語に対応した高速道路案内や付近の観光地案内をおこなうなど、高速道路をご利用される旅でのお困りごとにお応えしています。
さらに、当社管内161箇所のSA・PAで、Free Wi-Fiサービスを提供しています。
当社グループでは引き続き、インバウンド観光需要に対応するサービスを充実させ、質の高い観光先進国の実現に貢献していきます。

司会

以上が本日ご用意したトピックです。それでは、これから皆さまからのご質問をお受けします。

記者

8月に中央道で相次いで事故があり、瑞浪で6人が重軽傷、多治見では10人が死傷する痛ましい事故が起きたわけですけど、あらためて両案件に関して、社長のお受け止めと御社のご対応、それから今後この件に関しての御社が取るべき何らかのご方針があれば教示いただきたいと思います。

社長

瑞浪の土砂流出につきましては、皆さまご承知のとおりですが、お怪我をされた方にはお見舞いを申し上げます。現在、事故が発生した地域は通行できるようになっていますが、防護施設として大型土のうを並べて制限速度を50㎞としています。安全が確認されれば、大型土のうは撤去して最終的にはガードレ-ルなどを設置し、元の80㎞での走行ができるようにしたいと考えています。現在、警察と県が調査を進めており、廃棄物を流出した企業にも撤去命令などが出されていますので、作業の進み具合を見ながら、当社としましても原形復旧を進めていきたいと思っています。今回の件で土砂の撤去などの費用も含め、現在、相談している状況です。
高速道路の敷地外から色々なものが飛び込んでくるということに関してのご質問もあると思いますが、私どもは道路敷地の周りを含め定期的に巡回・点検をおこない、仮に危険な物が見つかり、撤去して欲しいものがあった際は、土地所有者に撤去するようお願いするといった対応はこれまでも続けています。そのような対応が取れない場合には、防衛のため自衛的な対応を取る場合もあります。今回のような産業廃棄物は、外から見ても分からない点で対応が難しく、どう対応したら良いか考えているところです。
多治見の事故につきましては、車線を規制して作業をおこなっていたところですが、残念ながら、作業員が死傷するという大きな事故が起きてしまいました。新聞報道によりますと、運転手はスマートフォンを見ていたといったことも書かれていますが、いずれ警察で最終的な原因が究明されると思います。当社としましては、車線規制内に車が飛び込んでくるという事故が多いので、できる限り安全な体制や設備・資機材の開発に取組んでいるところです。例えば、トラックが進入して来ても車線規制内まで進入してこないようにすること、警報を早めに鳴らすこと、できる限り道路の中での作業を機械化して少ない人員で作業することなど、色々な対策があると思いますが、そういった対策により、同様の事故をできる限り減らしていきたいと考えています。
また一方で、スマートフォンを見ながら運転すると、残念な事故を招く危険がありますので、国全体でこのようなことをなくす方向に進めていただきたいと考えています。報道関係の皆さまにもお願いします。

記者

先程の瑞浪の土砂流出事故に関して、費用がかかっているので先方にご相談されているということですが、これは御社が被った損害に関しての負担を先方にお願いするという意味での示談交渉を進めていると理解すれば良いのかでしょうか。

社長

法律的には、原形に復旧するような、事故が起きる前の状態に戻すまでに生じた費用を請求できることになっているということです。

記者

可能な限りで結構ですが、いつぐらいからそのようなお話合いが始まったのか、具体的にどういった費用が対象で、大体いくらくらいになるのかを教えてください。

社長

土砂が流出してきたわけですから、土砂の撤去費用、撤去した土砂の運搬費用、一方でこれから発生してくるガードレ-ルの復旧費用などがありますが、これから発生する費用もあり、どれくらいかかるか分かりませんので、そういうことがあるということを先方にお話しているということです。

記者

話しているということは、先方は誠意をもって対応する方針を御社に示されているのですか。

社長

私も状況を把握していませんが、これから交渉していくことになります。

記者

交渉は始まっているということですか。

社長

交渉と言ったらいいのか、そういう問題は投げかけています。

記者

土砂が敷地外から飛び込んで来るという、いわば想定外に近いような事象が起きたと思いますが、あの事象が起きた後に同様のリスクがないかということで、例えば点検を実施したり、あらためて土地所有者との話し合いをしたりなど、その後何か具体的に対応したところはありますか。

社長

先ほど申し上げましたように、定期的に巡回して危険な箇所を点検しています。今回の事故のように見えないような物は別ですが、例えば、谷筋を横断するようなところは、土石流の防止装置や土砂が溜まるようなスペースがあるかなど、そういったことも含め点検をしています。

記者

多治見の事故に関して、報道ベ-スではスマホが最たる原因と指摘されていますが、逆に御社の車線規制のあり方という部分で、今回は御社側の過失があったという認識なのか、それとも問題はなかったけれども、こういうことが再発しないように先ほどお話された対策を強化されるというスタンスなのか、教えてください。

社長

今回の車線規制もルールに従って実施していますので、特に問題はなかったと考えています。今後は、事故が避けられるように、できるだけ規制状況をわかりやすくする資機材の開発や、事故に至らないような自動化などを進めていきたいと思っています。

記者

新東名の新静岡ICから森掛川ICまでの区間で最高速度110㎞を試行するという話が以前からあり、それが11月から開始されるというような話が最近出ています。これに対する受け止め方と、これに伴い速度表示の変更など、色々と対応を求められていると思いますが、スケジュ-ル感や安全面で課題などもあろうかと思いますので、どのような感じか教えてください。

社長

いつから110㎞を試行するかというのは、警察で決められると思いますが、大まかな行程というのはありますので、私どもとしては、速度表示板の変更などを進めています。具体的には、これまで50㎞、80㎞、100㎞の表示だったものを、110㎞という表示ができるように、警察と連携しながら準備を順次進めているところです。

記者

110㎞というのは、設計面で安全に走行できる速度とは思いますが、安全面でさらにやるべき対応があれば、教えてください。

社長

今、新しいことを考えている訳ではありません。元々の設計はご承知のとおり120㎞でも安全に走行できるような線形にしています。走行方法や速度規制のあり方などは警察が色々と検討されるのではないかと思います。

記者

東名阪の津島高架橋で一部損傷があり、コンクリ-ト片が下の市道に落ちたという事案が以前ありました。幸いにして、人や車に当たるということなく済みましたが、9mの高さから重さ8㎏のものが落ちてくると、当たればそれなりのことになるような事案だったと思います。地元の者としては、同様なことが起きてしまっては困るなということもあります。高架橋はそれなりに年数の経過したものと聞いていますが、同様の事故が起きないような対策、類似の事案についてどの程度把握されていて、どういった対応をされているのかを教えてください。

社長

コンクリ-ト構造物につきましては、建設してから随分と時間が経過すると、ひび割れや、ひび割れから水が浸み込んで中の鉄筋がさびて剥離するなどの事象が発生します。対応としましては、特に橋の下に人や車が通る箇所を打音点検で確認し、変状が確認された所には繊維シートを張るなどの落下防止の対策を進めてきています。先ほど市道と言われましたが、国道などの影響の大きな箇所から進めてきており、今回コンクリート片が落下した箇所は、繊維シートなどの落下防止の対策まではやっていなかったため、今回のような事案が発生してしまいました。今回コンクリート片が落下した高架橋につきましては、早急に点検し安全を確認するとともに、似たような箇所につきましても剥落防止シ-トを張るなどの対策を早急に進めていきたいと考えています。

記者

国道から優先ということになると、同様な場所はたくさん残っているということですか。

社長

人が通るような小さな道も、全部打音点検はしていますが、今回は、点検はしたけれども、変状が発見されなかったという結果になり、申し訳ありませんでした。点検はきちんと進めていますので、色々な所でコンクリート片が落下するということはないと考えています。

記者

瑞浪の土砂流出事故に関して、土砂を流出させた業者とはすでに話し合いがスタ-トしているということですか。

社長

接点はあるということです。

記者

すでに請求した、という言い方ができますか。

社長

先ほど申し上げましたように、まだ費用の総額が決まっていませんので、こういうことがありますよ、という話をしていると理解していただきたいと思います。

司会

ご質問が途切れたようですので、これで定例会見を終了させていただきます。