NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2017年12月20日宮池社長定例会見

会見要旨

司会

皆さまお待たせいたしました。ただいまから第131回の定例会見をはじめさせていただきます。

【はじめに】

笹子トンネル天井板落下事故から、今月2日で5年がたち、同日、山梨県内で追悼慰霊式を執りおこないました。
追悼慰霊式には、ご遺族様をはじめ多数の皆さまにご参列いただき、私どもからお亡くなりになられた皆さまやご遺族の皆さまに心からのお詫びを申し上げ、御霊の安らかならんことをお祈りいたしました。
私どもは、今後も「安全」を経営方針の最上位に位置づけ、安全性の向上という永遠の挑戦課題に取り組んでいくこと、また、NEXCO中日本グループ全体で、事故の教訓を決して風化させることなく、次の世代へ継承することをお誓い申し上げました。
当日は、多くの報道関係の皆さまにご取材いただき、誠にありがとうございました。

【事業の現況(2017年11月)】

資料1をご覧ください。
営業の状況ですが、11月の料金収入は580億400万円で対前年同月比4.7%の増加、また、通行台数は日平均204万2000台で対前年同月比1.9%の増加となりました。
11月は、休日の日並びが良く11月3日から3連休となったことや、引き続き大型車のご利用が増加していることから料金収入・通行台数ともに増加となりました。
建設の状況につきましては、のちほどご説明します。
次にサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の状況です。
資料1の裏面をご覧ください。
11月のSA・PAの売上高は171億6300万円で対前年同月比9.9%の増加、飲食・物販部門の売上高は対前年同月比3.1%の増加となりました。
11月は、休日の日並びも良く、また昨年と比べ天候に恵まれたこともあり、売上高は前年を上回る結果となりました。
ガソリン部門の売上高は、昨年に対し販売価格が上昇したことと、軽油の販売数量が増加したことにより、対前年同月比25.3%の増加となりました。

【新東名高速道路 海老名南ジャンクション(JCT)から厚木南インターチェンジ(IC)の開通について】

2つ目のトピックです。
資料2-1をご覧ください。
新東名高速道路の海老名南JCTから厚木南ICまでの約2kmにつきまして、2018年1月28日(日)15時に開通することとなりました。
今回の開通により、東名の海老名JCTや厚木IC周辺の交通混雑の緩和に加え、物流の効率化による生産性の向上や地域開発の促進などが期待されます。
なお、開通式典につきましては、あらためてお知らせします。
また、開通に先立ち、報道関係の皆さまを対象とした現場公開を予定しています。詳細が決まりましたら、あらためてお知らせしますので、ぜひご参加ください。
今回の開通を記念して、資料2-2のとおり、ETCのマイレージポイントを抽選でプレゼントする「開通記念ETCマイレージポイントキャンペーン」を実施します。応募条件などをご確認のうえ、皆さまからの多数のご応募をお待ちしています。

【E1A 伊勢湾岸道路の全線開通20周年を記念し、キャンペーンを開催します】

次に、伊勢湾岸道路全線開通20周年キャンペーンについてご紹介します。
資料3をご覧ください。
来年の3月30日に伊勢湾岸道路(東海ICから飛島IC間約6km)が全線開通から20周年を迎えることを記念し、これまでご利用いただいた多くのお客さまと沿線の皆さまに感謝の気持ちをお伝えするキャンペーンを開催します。
伊勢湾岸自動車道は、その開通によって、それまでの東名・名神ルートから伊勢湾岸・新名神ルートへの交通の転換が図られるなど、東京~名古屋~大阪を結ぶ我が国の物流の大動脈を担っています。
また、東名・名神ルートが通行止めになった時には、代替機能も確保され、移動の定時性が向上しています。
伊勢湾岸道路のストック効果の詳細につきましては、資料3をご確認ください。
本日は、20周年キャンペーンで実施する内容をお知らせします。
一つ目は、伊勢湾岸自動車道の休憩施設や周辺の大型商業施設で実施する、パネル展示やお客さま感謝イベントです。
二つ目は、応募された方の中から抽選で名港東大橋の海面から約125mの塔頂に登れる現地見学会です。
なお、これらの実施時期や会場などの詳細につきましては、決まり次第、当社WEBサイトなどでご案内します。
三つ目は、名港トリトンのライトアップです。
例年ですと、クリスマスバージョンのライトアップは12月24日の1日限定で実施していますが、今年は全線開通20周年を記念して、2017年12月20日(水)から24日(日)の5日間で実施します。
ビューポイントとしましては、名港中央ICまたはあおなみ線金城ふ頭駅から南に徒歩5分にある金城埠頭地区緑地がお奨めです。
なお、12月24日は名古屋港で花火大会も予定されていますので、花火とクリスマスバージョンにライトアップした名港トリトンをあわせてお楽しみいただけます。ぜひご覧ください。

【プロピオン酸ナトリウムを活用した新たな凍結防止剤の開発】

次に、技術開発に関するトピックです。
資料4をご覧ください。
今回は、プロピオン酸ナトリウムを活用した新たな凍結防止剤の開発状況についてご報告します。
高速道路では冬期走行時の安全性を確保するため、これまで主に塩化ナトリウム(塩)を凍結防止剤として使用してきました。
しかし、1993年頃にスパイクタイヤが使用されなくなって以降、塩の使用量が順次増加し、それに伴い、橋梁などで塩害による劣化の事例が多く見受けられるようになってきました。
そのため、塩害による劣化を抑制する凍結防止剤の開発が求められてきました。
そこで当社では、「プロピオン酸ナトリウム」(プロナト)に着目し、富山県立大学および札幌の寒地土木研究所と共同で2015年度から現場への適用性を検討してきました。
プロナトは白い粒状の固体で、菌の増殖を抑制する効果があるため、主に食品保存料として使用されています。
このたび、性能や作業性などの試験で一定の成果が出ましたので、ご報告します。
まず性能についてです。
プロナト単体のコストが高いため、経済性を考慮して塩とプロナトの混合使用を前提として検討してきましたが、金属腐食性試験では、塩の1割から2割をプロナトに置き換えることで蒸留水と同等の結果が得られ、金属腐食の進行を大幅に抑えられることがわかりました。
作業性の面では、通常、雪氷作業基地では塩化ナトリウム水溶液を作製する作業がありますが、粉末状のプロナトを使用して水溶液を作製したところ、プロナトが全体に飛散し、著しく作業性が悪くなりました。
そこで、プロナトの形状を粉末状から顆粒状に改善したところ、材料飛散の課題が解決しました。
これらの検討結果から、塩の一部をプロナトに置き換えることによって、橋梁などの塩害が抑制され、その結果、構造物の長寿命化が図られ、ライフサイクルコストの低減が期待されます。
今後は高速道路本線で試行的に散布し、現場での課題への対応や効果の検証をおこなう予定です。
試行散布の具体的な時期、場所、検証方法などが決定しましたら、あらためてお知らせします。
構造物の劣化抑制につながる新たな凍結防止剤として、一日でも早く現場で実用できるよう、引き続き検討を進めます。
当社は今後も、安全を最優先に、高い耐久性やライフサイクルコストの低減につながる技術開発を進めていきます。

【現場作業における職場環境改善のための多機能車両「サクラ」の開発】

引き続き、技術開発に関するトピックです。資料5をご覧ください。 女性技術者が働きやすい現場環境を目指した多機能車両「サクラ」についてご紹介します。
これは、当社のグループ会社である中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社(エンジニアリング名古屋)が開発した製品です。
この開発の背景は、2014年8月に国土交通省の呼びかけで「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」が官民共同で策定されたことです。
この行動計画を受けてエンジニアリング名古屋の社内で女性技術者の意見を聞いたところ、現場で作業する際には「トイレ」「休憩スペース」「パウダースペース」の3つの機能が望まれていることがわかりました。本日ご紹介しますのは、この3つの機能を搭載し、高速道路の点検業務や集中工事の監督業務など、高速道路の交通規制内での作業で女性が働きやすい環境を提供する多機能車両です。
本日は、この多機能車両「サクラ」を地下駐車場に展示しています。
会見終了後にそちらで担当者から機能などを詳しくご説明しますので、ぜひご取材ください。

【地域連携の新たな仕組み、地域のパートナーと協働した人財育成の取リ組みが、「KAIKA(カイカ)Awards(アワード)2017」KAIKA大賞を受賞しました】

資料6をご覧ください。
当社は、”オーダーメイドのきめ細やかな対応による地域づくり・地域支援”を行うため、地域連携と人財育成の観点から、高速道路会社で初めて地域のパートナーと協働したプロジェクトを立上げ、クラウドファンディングを活用した新たな人財育成プログラムを構築し、2016年度から取り組んでいます。
このたび、一般社団法人日本能率協会が主催する「KAIKAAwards2017」でこの取り組みが高く評価され、「KAIKA大賞」を受賞しましたので、ご報告します。
この取り組みは、地域のNPOや地方公共団体、地元中小企業などとの繋がりや地域連携の強化・構築を期待したもので、あわせて当社としましては、ソーシャルビジネスの知識や事業化ノウハウの習得、チャレンジ(起業家)精神の醸成、新たなビジネスモデルを創造できる社員の育成を目指しているものです。
詳しくは、資料6をご覧ください。
当社では、「KAIKA大賞」の受賞を契機に、今後もこの取り組みを継続するとともに、社会・経済の変化も見据えて地域の活性化に貢献し、社会の要請に応え続けることで、経営基盤の強化により一層努めていきます。

司会

以上が本日ご用意したトピックです。それでは、これから皆さまからのご質問をお受けします。

記者

資料4・資料5でそれぞれご紹介いただいている新たな凍結防止剤やトイレ付の多機能車両については、NEXCO中日本の関係会社で開発されているわけですが、NEXCO中日本の関連の工事や現場で作業する以外に、NEXCO中日本以外の高速道路会社に何らかの形で提供または販売していく、若しくはほかの工事現場に活用するなど、今後このように広めていくという考えがあれば教えてください。

社長

これまでも色々と技術開発を進めており、その成果につきましては、お互いにほかの高速道路会社とも共有しています。例えばNEXCO東日本やNEXCO西日本から購入したり、あるいは逆に販売したりと、お互いに協力しながら進めています。

記者

現時点で具体的な計画があるわけではないが、今後、東日本や西日本とそれぞれ共有していく可能性はあるということですね。

社長

そういうことです。

記者

報道でご存知かと思いますが、JR東海のリニア工事に関して、大手ゼネコンの談合が疑われるという事態になっています。どこまで波及するか分からない状況かと思いますが、NEXCO中日本としても道路工事などインフラ整備に対する今回の事件の影響など、現時点でどのように見ているかということについて、お話しできる範囲で教えてください。

社長

談合疑惑の内容につきましては、当社はコメントする立場にないと思いますので、コメントは差し控えますが、一般論として申し上げれば、不正行為が明らかになった場合には、当社の基準に従い、資格登録停止などの措置を講じていくことになると思います。

記者

仮定の質問で恐縮ですが、スーパーゼネコンであるとか、場合によっては準大手のゼネコンが、何らかの不正行為が認められるケースもあり得るかと思います。その場合、現在進んでいるような工事や、今後の入札などに影響が出てくると思いますが、そのあたりを教えてください。

社長

仮定のご質問なので、お答えしかねます。

記者

本日は年内最後の会見になると思いますが、2017年の振り返りと2018年の抱負について教えてください。

社長

私どもは、5年間の「経営計画チャレンジⅤ」を策定して業務を進めています。今年はチャレンジⅤの2年目で、初年度から継続して高速道路の新規建設や大規模更新事業、スマートICの建設などを計画通り進めてきたと思っています。今年の話題としましては、皆さまご承知のとおり、東名で観光バスと乗用車が衝突した事故や、中央道の瑞浪地区で産業廃棄物が高速道路に流出した事故、最近では、東名でのあおり運転による悲惨な事故など、色々と高速道路上での事故がありました。私どもとしましては、今後さらに高速道路を安全に通行していただけるように、お客さまへの告知も含めて取り組んでいかなければならないと思っています。また話題としましては、ベトナムで新たに道路事業に参画できるようになり、現在、鋭意事業を進めています。海外で高速道路事業に参画できるようになったことが大きな話題であったかと思います。

記者

財政投融資の関係で、東海環状道の一部区間が前倒しの方向が出ていますが、これに関しての受け止めとご対応についてお聞かせください。

社長

先日、国土交通大臣からもそのような話が発表されたところですが、当社関係で具体的に対象になっているのが、東海環状道の未開通区間で完成時期が明確にされていない区間の整備を加速させるという件と、橋梁の耐震強化対策を加速させるという2つの案件です。これから具体的に進め方を検討していきたいと思っていますが、この地域にとって非常に大事なことだと思っていますので、積極的に進めていきたいと思っています。

司会

ご質問が途切れたようですので、これで定例会見を終了させていただきます。