NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




ニュースリリース

  • 本社 安全への取り組み プレスリリース

橋梁の伸縮装置を点検する日常点検車「ROAD CAT」を開発しました。 ~点検員の安全性向上や省力化、点検結果の定量化が図られます~

中日本高速道路株式会社
中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社

NEXCO中日本のグループ会社である中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社は、点検員が高速道路の路肩に降りて、橋梁の伸縮装置(橋梁のつなぎ目)を点検している作業の安全性向上と省力化を目的に、車両を走行するだけで伸縮装置の変状を検知する日常点検車両「ROAD CAT※1」(写真-1)を開発しましたのでお知らせいたします。

※1 もの音や振動に敏感な猫のようなセンサを搭載し点検する車両で「ROAD CAT」の愛称で呼んでいます。(商標登録出願中)
日常点検車「ROAD CAT」
写真- 1日常点検車「ROAD CAT」

開発の背景と目的

当社管内には、約4,000橋に約11,000基の橋梁の伸縮装置が設置されています。
伸縮装置は、鋼製や硬質なゴム製でできているため、疲労亀裂や劣化の進行に伴い破損や段差などが発生し、走行中のお客さまに支障を与え、交通事故の原因につながる可能性もあります。
当社では、お客さまに安全で快適に走行していただくために、橋梁の伸縮装置に異常が無いかを、車上から目視などによる車上点検(4日以上/2週)や、高速道路の路肩に降りての異常音などを確認する降車点検(2回以上/年)をおこなっています。
降車点検は、路肩からの目視点検と車両通過時の異常音などの確認をするため、点検員の安全性確保に加えて、聴覚や体感などに頼る定性的な点検となっていることが課題となっていました。
そこで、「降車することなく安全な点検の実施」と「定量的な点検結果の取得」および「路上規制の削減」を目的として、日常点検車「ROAD CAT」を開発しました。

伸縮装置の変状状況
写真-2 伸縮装置の変状状況
降車点検の状況
写真-3 降車点検の状況

日常点検車「ROAD CAT」の概要・特徴

日常点検車「ROAD CAT」は、車両が伸縮装置を通過するときに発生する音から伸縮装置の健全性を計測するシステムと、変状部位を特定するためのシステム(J-DAnswerシステム※2)で構成する「JIシステム(Joint Inspectionシステム)」を搭載しています。(図-1)
伸縮装置の健全性を計測するシステムは、後輪のタイヤ付近に配置した小型マイクロホン(写真-4)と振動センサ(写真-5)により伸縮装置を通過する音と車両の振動加速度を計測します。計測したデータを健全時のデータと比較し変化(差分)を分析することで健全度を評価できます。(図-2)
JIシステムは、レ-ザ変位計(写真-6)を複数配置することにより、時速約80㎞/hで走行しながら、1万分の1秒オーダで路面の段差量を計測し、異常な音や振動が発生したタイミングと照合することで伸縮装置の変状部位を正確に計測できます。

※2 NEXCO東日本、中日本、西日本、NEXCO総研および(株)構造計画研究所により共同開発されたシステムの総称。
日常点検車「ROAD CAT」の構造
図- 1 日常点検車「ROAD CAT」の構造
周波数別の音の強さの比較例
図-2 周波数別の音の強さの比較例

日常点検車「ROAD CAT」の概要・特徴

期待される効果と今後の展開

日常点検車「ROAD CAT」は、隙間が一定以上あり音や振動が発生しやすい伸縮装置を対象としており、当社管内の約半数の伸縮装置に適用が可能と想定しています。これらの適用可能箇所を対象に日常点検車「ROAD CAT」を導入することで、点検員の路上作業削減による安全性向上や省力化、点検結果の定量化が図られます。
今後、愛知県、岐阜県、三重県内の路線で試行導入し、点検結果の蓄積や評価の検証をおこない本格展開をおこなう予定です。

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