NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2013年12月24日金子社長定例会見

会見要旨

【司会】

皆さまお待たせいたしました。ただいまから第90回の定例会見を始めさせていただきます。

 

【金子社長】

 

トピックスのご紹介の前に、ひとこと申し上げます。

笹子トンネル天井板落下事故が起きてから、今月2日で1年がたち、追悼慰霊式を執りおこないました。 当日は、ご遺族やお怪我をされた方、国や県の関係者などにご出席をいただき、事故発生時刻の午前8時3分に、事故現場に近い笹子トンネルの東坑口で、亡くなられた9名の方に対して黙とうをささげ、献花をおこないました。

追悼慰霊式では、改めてお亡くなりになられた皆さまにご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆さまに対してお詫びを申し上げました。そして、ご遺族の皆さまや被害に遭われた方への引き続き真摯な対応と、再発防止と安全性向上に向けた取組みを徹底的に進めてまいることをお誓い申し上げました。

ご遺族の方からも追悼のお言葉を頂戴いたしましたが、お言葉で触れられたお気持ちや思いについて、一人ひとりがしっかり受け止め、深く胸に刻み込み、「安全性向上3カ年計画」を着実に実行し、グループを挙げて再発防止と安全性向上に徹底的に取り組んでまいります。

 

この『安全性向上3カ年計画』における取組みの1つとして、点検技術の高度化を目指した共同研究を2件公募し、ご協力いただく共同研究の各社と契約の締結する運びとなりましたので報告させていただきます。資料1をご覧ください。

この共同研究では、点検技術の更なる信頼性向上と客観性確保を目指し、点検技術を高度化することを目的としています。具体的には、構造物や道路付属物の挙動等を数値化したデータから点検対象物の信頼性を客観的に判断することを目的とした研究をおこなってまいります。

これまでの歩みとして、今年5月にRFI(Request For Informationの略で、「情報提供依頼書」という意味)を公開し、寄せられた情報を精査した後、まずは優先的に技術開発を推し進めたい2件について、共同研究を開始しました。

 

1件目は、『近接目視、打音点検に資する高精度あるいは高効率なセンサーの研究』です。
これは、道路付属物を固定する「あと施工アンカー」の性能を数値化し、その信頼性を客観的に評価・判断できるような技術を開発するものです。

この研究では、劣化を想定したテストピースを作製し、公募で集まった共同研究者のセンサーを用いた測定を実施し、最終的に破壊検査をおこなった結果と比較することにより、健全度評価の指標値を制定することを目指します。
公募に応募された7社と共同研究を実施する計画です。期間は、来年9月までの予定です。

2件目は、『高速で走行しながら変状等の異常を測定する技術』です。
トンネルの壁面やトンネル内に設置された機器の変位や変状を検出するために、レーザーやカメラを搭載した車両を走行させながら計測する技術『車載型レーザースキャナ』の研究です。

3次元測量と画像処理技術の組合せにより、トンネル内空の微小な変状などをセンサーを搭載した車両が日常点検走行中に検出することを目指します。実際のトンネルを使って測定をおこない、計測精度や1日で計測できる能力、コスト、ソフトウェア処理時間などを検証します。
公募に応募された1社と共同研究を実施する計画です。期間は来年6月までです。

なお、いずれの共同研究においても、契約上のこともありますから、ご協力いただく共同研究各社の公表は、現時点では控えさせていただきます。一定の研究成果が出たときに、改めて発表させていただきます。

 

【事業の現況(2013年11月)】
資料2をご覧ください。

11月の料金収入は、441億9千6百万円と、対前年同月比4.4%の増、また、通行台数は日平均205万7千台と、対前年同月比5.9%の増でした。
圏央道一部区間の開通や、休日を中心に好天に恵まれたことによる効果に加え、中型車以上のいわゆる産業交通の利用が好調であったことから、収入・台数ともにプラスとなりました。

次に建設の状況です。
相模原愛川IC~高尾山IC 15㎞については、共同事業者である国土交通省からまだ引き継ぎを受けていない区間があるものの、2013年度の開通を目指し、関係機関との調整を含め事業を進めているところです。
2014年度は、新東名高速道路の愛知県区間である浜松いなさJCT~豊田東JCT 55km、舞鶴若狭自動車道の小浜IC~敦賀JCT 39km、圏央道の寒川北IC~海老名JCT 4kmの開通を目指し、鋭意工事を進めています。

次にETCの利用状況です。11月の日平均利用率は91.3%でした。

次にサービスエリアの状況です。
11月のサービスエリアの売上高は163億1千3百万円と、対前年同月比8.5%の増でした。
「飲食・物販部門」の売上は、対前年同月比3.5%の増でした。これは売上高が大きい「休日」が昨年に比べ1日多かったことに加え、平日の売上も良かったことが大きな要因と考えています。
「ガソリン部門」の売上は、対前年同月比23.4%と、先月と同様に大幅に増えました。給油量が増加したことに加え、ガソリン単価が1リットルあたり約13円プラスになっていることが要因と考えています。



【年末年始期間の高速道路における渋滞予測】
資料3をご覧ください。

今年の年末年始時期の渋滞のピークは、下り線が12月28日(土曜日)と29日(日曜日)、上り線が1月2日(木曜日)~4日(土曜日)です。また、年末年始期間中、10km以上の渋滞回数は87回、うち30㎞以上は9回と予測しています。

当社では、お手元にお配りした渋滞予測ガイド、公式WEBサイトやスマートフォンでも分かりやすくご覧いただける「アイハイウェイ中日本」などで、渋滞予測情報や道路交通情報を提供しております。出発前にご活用いただき、渋滞を避けたご利用をお願いします。
高速道路上では、事故で路肩停止していた車両に後続の貨物が追突し、停止車両から降りていた運転手の方が巻き込まれたり、ガードレールに衝突し横転した際に後部座席の方が車外放出されたりするなど、11月だけでも当社管内で7名の方が亡くなっています。

10月には、中国道で有名タレントが乗った車両が単独の事故を起こした後、後続車両に接触して亡くなられるという、痛ましい事故が発生いたしました。こうした高速道路上で後続車両に接触して亡くなる事故は、近年増加しています。当社も、ポスターや交通安全啓発グッズなどを通じ啓発活動を続けていますが、事故を減らすためには高速道路をご利用いただく皆さま一人ひとりのご理解を深めていただくのが重要ではないかと考えております。事故を起こしたり巻き込まれた場合には、「ハザードランプ、発炎筒、停止表示器などで後続車に合図する」「ガードレールの外側に退避する」など、自らの身を守る行動が重要であることを知っていただきたいと思います。

これから年末年始を迎えるに当たり、運転をされる際にはすべての席でシートベルトを着用し、冬道走行への備えを万全にして、安全で快適なハイウェイドライブをお楽しみください。
以上が、本日ご用意したトピックスになります。

 

【司会】

それでは、これから皆さまからのご質問をお受けいたします。

 

【記者】

今年の振り返りと来年の抱負・取り組みをお願いします。

 

【金子社長】

今年を振り返りますと、昨年12月2日に起きました笹子トンネル天井板落下事故によって亡くなられた9名の方のご遺族の皆さまやお怪我をされた方、車そのものが損害を受けた方などに対して、至らない点があったかと思いますが、誠心誠意対応させていただきました。ご遺族への対応は、会社として最重要事項として取り組んできました。事故直後には、日本の基幹道路である中央道を一刻も早く開通させるべく取り組みました。また、事故原因の究明も全社を挙げて協力しました。

次に、二度とこのような事故を起こしてはならないという深い反省と強い決意のもと、「安全性向上3カ年計画」の策定作業をおこない、7月に公表しました。この計画を着実に実行するため、社員の安全に対する意識改革、業務プロセスの改革、そして組織の改革をおこなっています。組織改革は、いわゆる事業本部制から現場に近い支社を中心にした執行体制に変えるということで、来年度の第一四半期を目途に事業執行体制を見直します。

これらを実施することにより、二度とこのような事故を起こさない会社にし、そして国民の皆さま・高速道路をご利用のお客さまから失った信頼を一刻も早く回復しなければなりません。そのための施策であり、実行のスタートの年でした。

来年の抱負ですが、第一に挙げるべき目標は、安全性向上です。そして、2015年までの3年間で安全性向上3カ年計画を着実に実行し、できる限り透明性を確保し、計画と実績をお知らせし、信頼回復に努めたいと思っています。

 

【記者】

公募型共同研究について、相手の会社はどんな関係の会社なのか、共同研究にはいくらをかけてどちらが出しているのか、他の高速道路会社の参画はどうなっているのか教えてください。

 

【金子社長】

パートナーとなる企業は、センサーを扱う研究ですので、それに関連するメーカー・企業と想像いただければと思います。共同研究は、パートナー企業が持っている技術を提案していただき、そういった技術を当社が求めている点検技術に活用できるかということを共同で研究します。当社は例えばテストピースを製作して学識経験者と一緒に知見を検証していくという役割分担しており、お互いに持ち分の費用を負担していくことになっています。また、この共同研究は当社独自の取り組みであり、他の高速道路会社は参画していません。これらの研究の成果がまとまり次第、改めてお知らせします。

 

【司会】

ご質問が途切れたようですので、これで定例記者会見を終了いたします。