NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2011年08月26日金子会長兼社長定例会見

会見要旨

【司会】

皆さまお待たせいたしました。ただいまから第70回の定例記者会見を始めさせていただきます。

 

【金子会長兼社長】

 

お忙しいところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

本日は6つのトピックスを準備しております。

まず、初めは7月の事業の現況です。

7月の料金収入は、415億5千5百万円と、対前年同月比8.5%増でした。

内訳は、高速が378億6百万円、6.0%増、一有は37億5千万円、43.4%増となっています。

一方、7月の通行台数は、日平均184万台と、対前年同月比6.7%減でした。

内訳は、高速が日平均146万台、1.7%減、一有は38万台、21.9%減です。

通行台数については、昨年と比べ6.7%の減となり、料金収入については、昨年と比べ8.5%の増となりました。

これらの理由は6月19日をもって無料化社会実験が凍結され、また、休日特別割引の地方部上限1,000円が終了したことによるものです。

なお、今月のETC割引額は276億円で、前年同月の304億円に比べ、9.1%割引額が減少しています。割引率としては、約40.0%となります。

お盆時期8月10日(水)~8月16日(火)の7日間における交通状況は、8月17日に既にお知らせしているところですが、交通量はNEXCO中日本平均で昨年に比べて102%、10km以上の渋滞回数は昨年に比べて159%となりました。昨年は、休日上限1,000円割引が適用されたため、お盆期間の前後の土日に帰省などの交通量が分散されていました。

一方、今年は交通量が8月10日(水)~8月16日(火)の7日間に集中し、事故も増加したことにより、この期間中の渋滞回数が多くなりました。ちなみに、前後の土日を含めた昨年との比較では、渋滞回数はほぼ昨年並みの回数となっております。

次に建設の状況ですが、新東名の完成見通しについて、後ほど詳しくご説明します。

次にETCの利用状況です。

直近の8月12日~8月18日は、7月15日~7月21日と比較して、日平均利用台数は8.7%増加しましたが、日平均利用率は87.8%から86.0%と1.8%減となっています。

平日、土日休日別に見ると、平日平均利用率は88.4%から86.2%と2.2%減、土日休日平均利用率は87.1%から85.6%と1.5%減となっています。

7月末の車載器取付け累計台数は、6月末と比較して0.8%増、台数にして28万台増加し、約3,520万台です。

続きまして、サービスエリアの状況です。

7月のサービスエリアの売上高は131億9千6百万円と、対前年比100.1%でした。道路別に見ると、東名阪道が147.5%と好調でした。

東名阪道では、『EXPASA(エクスパーサ)御在所』が、夏休みに入ってからもお客さまにご好評いただいております。

売上を部門別に分けると、「飲食・物販部門」は、対前年比97.0%で2億9千8百万円減でした。

「飲食・物販部門」の更なる内訳は、「飲食部門」が対前年比98.5%で5千4百万円減、「物販部門」が対前年比96.2%で2億4千5百万円減となっております。

続いて、「サービス部門(レストイン、風呂)」では、対前年比95.0%で2百万円減でした。

最後に「GS部門」では、給油数量が対前年比102.2%と昨年度を上回り、単価差もプラス5円あることから、売上高は対前年比110.5%で3億3千8百万円増となっています。

以上が7月の事業の現況です。

 

続いて海外事業です。

8月19日から23日までベトナムに出張してまいりましたので、その時の状況を報告させていただきます。

今回の出張の目的は2点あります。1点目は20日、21日にダナンで開催された第5回ベトナム高速道路セミナーに参加する事。2点目は新しく就任されたタン交通運輸大臣をはじめベトナム関係高官へのトップセールスをおこなう事であります。

高速道路セミナーですが、これは日本の国土交通省とベトナム交通運輸省が道路分野に関する協力協定を2009年に締結しており、この協定に基づき毎年開催しているもので、今回はベトナムでの開催となりました。日本側からは、国交省の佐藤技監をはじめJICAなどの関係者や当社を含む民間事業者が、また、ベトナムからは交通運輸省のドゥック副大臣など関係者の方が参加し、今後の日本企業のベトナム道路事業への参入可能性を含め、専門的・技術的支援に関する意見交換をおこなってまいりました。

一方、トップセールスという観点では、タン新大臣にお会いすることが出来ましたし、ドゥック副大臣、ドン副大臣をはじめとする高官とも会談が出来ました。

今回のベトナム高官との会談を通じ、ベトナム側の高速道路建設への熱意や当社の支援に対する強い期待が感じられ、当社の将来のベトナム道路事業進出に関し大変有意義でありました。これまで以上の良い関係が構築出来たと感じております。

 

次のトピックは、次世代を担う橋梁点検技術者の育成、技術の継承、研究を目的として設置する橋梁点検技術の研さん・研究施設『ニュー・ブリッジ』についてお知らせします。

当社は、名古屋大学、グループ会社の中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋と共に、名古屋大学構内に名古屋大学の学生やNEXCO中日本グループの技術者だけではなく官公庁や民間企業の技術者も対象とした、橋梁点検技術の研さん・研究施設『ニュー・ブリッジ』を設置しました。

このニュー・ブリッジは、日本各地の高速道路、国道、県道などで使用され、更新に伴い撤去された橋梁を活用し、再利用した施設です。愛知県内では昨年4月に清須市で県道の拡幅工事に伴い撤去された、国内最古とされる歩道橋を譲り受け再利用しております。このような撤去された橋梁を用いた実物大の橋梁で教育や研修などが行える施設は、日本はもとより世界でも初めてです。

ニュー・ブリッジの概要は、お手元の資料のとおりです。

当社では、CSR活動の重点領域である「地域連携の強化、地域社会・経済への貢献」の一環として、中部地域の学生や官公庁・民間企業の皆さまにニュー・ブリッジを有効活用して頂くことで、点検技術の研さんに寄与するとともに、長寿命化の研究のお役に立てればと考えております。

お手元の資料に記載されていますように、9月13日(火)の13時から、名古屋大学において完成除幕式をおこないますので、ぜひご取材いただけますようお願い申し上げます。

 

次のトピックは、ご好評をいただいている「ペコリアーノ・デリ」第二弾の販売開始についてです。

7月1日から発売した第一弾のヘルシー系「ペコリアーノ・デリ」につづき、9月1日から9箇所のサービスエリア・パーキングエリアで第二弾の販売を開始します。既に会見の前に御試食をいただいていると思います。

今回は、たっぷりのお肉を味がはっきりしたソースで味付けした『ボリューム』をキーワードとした10種類を取りそろえています。

第一弾の「ヘルシー系」6種類、第二弾の「ボリューム系」10種類とラインナップが充実し、「ペコリアーノ・デリ」が家族やカップルなど、どなたにでも満足し楽しんでいただけるようになります。

今後も多くのお客さまに「ペコリアーノ・デリ」をご支持していただけるようシリーズ化してまいりますので、ぜひご期待ください。

 

次のトピックは、マイレージキャンペーンについてです。

8月12日に、既に名古屋支社から発表させていただいておりますが、改めてお知らせいたします。

三重県南部の観光振興、平日の伊勢道などの利用促進のために、三重県観光連盟とタイアップをして「平日限定 伊勢志摩・南三重マイレージキャンペーン」を8月22日から実施しています。

当社の公式WEBサイトから、観光施設などの優待券をご提供するとともに、ETC車で三重県南部の指定インターを平日にご利用し、インターネットでご応募いただくと、抽選でマイレージポイント1,000ポイント、高速道路のご走行8,000円分が当たるキャンペーンです。

特にこの夏の節電対策として、業務の休日が土日から平日になっている方がいらっしゃるかと思いますが、そのようなお客さまのご旅行を少しでも後押しできればと考えておりますので、是非ご活用ください。

 

本日最後のトピックです。

新東名の御殿場JCTから三ヶ日JCT間(162km)の開通見通しについてです。

お手元にお配りしました記者発表資料をご覧ください。

前回の定例会見時に、開通の目途については、「静岡~三ヶ日間の地すべり箇所において、追加対策工事を検討・実施することとし、現在、詳細な検討を行っているため、報告できる状況でない」と説明させていただきました。

その後、5箇所の地すべりのうち、変位(動き)が収束しない状況や新たな変状が確認された3箇所において追加対策工事の詳細検討をおこない、改めて外部有識者に意見をお聞きしました。その結果、すべての箇所において、『現状としては、これまで実施された対策工及び今後実施される追加対策工事により、のり面の安定性は当面確保でき、道路へ直接影響するようなのり面崩壊等の危険性は少ないと想定される』とのご意見をいただきました。

これを踏まえ、当社としましては、2012年の初夏の開通を目指して工事や関係機関との調整を進めることとしました。

追加対策工事は、2~4ヶ月間要することもあり、正式な開通日は、こうした工事の進捗状況や対策工事の効果を踏まえ、お客さまに安全・安心にご利用いただけることを確認したうえで、決定したいと考えております。

また、お配りした資料の裏面にありますように、開通後の道路名称とインターチェンジなどの施設名称も決定しましたので、あわせてお知らせします。

なお、静岡県や関係市町において、新東名の開通に向けてさまざまな関連イベントを計画していただいています。当社としても、こうしたイベントに協力させていただくとともに、地元の皆さまのご期待に応えられるよう、鋭意工事を進めていく所存であり、引き続きご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

   

以上が本日ご用意したトピックスでございます。

 

【司会】

それでは、これから皆さまのご質問をお受けしたいと思います。

 

【記者】

新東名の開通時期を初夏とおっしゃいましたが、どのくらいの目途になりそうですか?

 

【金子会長兼社長】

本来ならば正確な開通日を申し上げたいところですが、3箇所の追加地すべり対策工事に2~4ヶ月ほど要します。したがって、安全面を確認してから正式に開通日を申し上げたいと思っております。初夏と申し上げるのは、春が終わってから梅雨の前ということです。3月に春は終わり、6月に梅雨がはじまるので、その辺りの時期の開通ということで、現段階ではご勘弁いただきたいと思います。

 

【記者】 

新東名の、残る愛知県内の区間は前倒しをするのですか?

 

【金子会長兼社長】

この区間についても、前倒しができるように鋭意工事を進めております。ただし、どの程度の前倒しができるかは、まだお話ができる段階ではありません。大変厳しい状況ではありますが、平成26年度内にできる限り前倒しする方向で取り組みます。

 

【記者】 

新東名の役割のひとつが大動脈のダブルネットワーク化ということですが、東日本大震災を受けて、時期の前倒しや計画のピッチを早めたことはありますか?

 

【金子会長兼社長】

今回開通する新東名につきましては、日本の高速道路会社が持っている新しい技術を駆使してできた高速道路だと思っております。今まで日本では大きな地震がたびたびありましたが、今回の東日本大震災の前の大きな地震と申しますと、阪神・淡路大震災です。これまで耐震基準が改善されてきていますが、現在は阪神・淡路大震災の基準がベースになっています。阪神・淡路大震災を受け、高速道路をはじめとする設計基準を見直し耐震補強工事を終えていたことから、今回の東日本大震災の地震でも、ほとんどの高速道路でそれほど大きな損傷がありませんでした。今回の東日本大震災については、専門家の方々が色々な分野で分析をされています。その結果、設計基準等の見直しがあれば、当社もそれに合わせて補強などをおこなっていく必要があると考えています。

 

【記者】

新東名の開通時期ですが、社長がおっしゃるとおりですと4月~6月の間かと思いますが、GWには間に合うのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

当社としてもぜひGWには間に合わせたいですが、地すべり対策工事の効果が分かるのは2~4ヶ月です。年内くらいには開通日をお話しできるのではないかと思います。

 

【記者】

新東名の開通時期を1年弱くらい前倒しする理由として、災害など緊急時の代替性の確保とありますが、東日本大震災がかなり要素として強く入っているのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

前々から、特に地元の関係者の方々から、「開通の前倒しを」という強い要望がありました。これは、東日本大震災の前からの要望です。高速道路の役割ということを考えると、要望にお応えしたいという気持ちがありました。また、東日本大震災を受け、代替性・リダンダンシーの必要性を多くの方にもご理解頂いていることと思います。そういったことを両方合わせた結果と言えます。

 

【記者】

東日本大震災の際に、津波警報などによる東名高速道路の長期間通行止めがありましたが、今回こういった不安は解消されるのでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

新東名高速道路は現東名高速道路とほぼ並行して走っておりますが、約10kmほど山側を走っております。したがって、新東名高速道路では津波による被害はおそらくないと思います。現東名高速道路の由比地区においては、つい先日も台風の高波で通行止めをしました。ここでは、現在、お客さまが避難する場合にどうすればよいかについて、対策を検討中です。

 

【記者】

制限速度は、通常どおり100km/hということでよろしいでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

設計速度は120km/hです。しかし、制限速度を決めるのは会社ではなく、静岡県の公安委員会が決めます。したがって、そちらから答えが出ると思います。

 

【記者】

制限速度は静岡県公安委員会が決められるということですが、法改正が必要だと思いますが、120km/hの方向で調整しているということですか?

 

【金子会長兼社長】

我々は120km/hの設計速度というお話をしています。現東名高速道路と比較して、勾配の上限も2%で、R(カーブの曲率半径)も緩やかで、線形としてはほとんど真っ直ぐ平らです。このようなお話をさせていただいて、最終的な判断は公安委員会がされると思います。

 

【記者】

今回の開通区間の清水や三ヶ日の連絡路も、新東名高速道路という言い方でよろしいでしょうか?

 

【金子会長兼社長】

そのとおりです。今回の開通延長162kmは連絡路を含めた延長です。

 

【記者】

新東名高速道路の持つ意義を、社長としてどういうように捉えているか、改めて教えて下さい。

 

【金子会長兼社長】

3点あると思います。1点目は新東名高速道路ができることによって、抜本的なサービスの改善につながっていくと思います。今回開通する区間の現東名高速道路の交通量は1日平均で75,000台です。設計交通量は1日48,000台ですので56%も増えています。設計時に比べて交通量が増えていることが、渋滞を引き起こす原因になっています。つまり定時性を守れないということが現東名高速道路で起きています。これを解消することが、利用されるお客さまへの良好なサービスの提供につながると思います。

2点目はダブルネットワークによる信頼性の確保と思います。今回の東日本大震災のような災害時・緊急時の代替性の確保や、避難路・緊急輸送路としての機能や、場合によっては地域住民の避難場所ということが考えられます。特に東京~名古屋~大阪を結ぶ日本の大動脈ですので、止めてはならないと考えています。そのようなことが信頼性の確保につながると思います。

3点目は、三大都市圏の連携強化により、人・物の流れがスムーズに早くなるということです。東京(海老名南JCT)~名古屋(豊田JCT)は、270kmから258kmに12kmほど短縮されます。短縮された分だけ早く移動でき、物の流れがよりスムーズになるというところが大きなメリットです。

 

【記者】

本日午後、菅相が正式に退陣を表明され、民主党の代表選を経て新しい首相が選出されます。菅政権に対する評価と、新しい首相と今後の民主党政権に期待するものを教えて下さい。

 

【金子会長兼社長】

日本の政治全体をコメントする立場にないので、政権に関するコメントは差し控えたいと思います。

現在、国土交通省主催による高速道路あり方検討有識者委員会が開かれております。先日、東日本大震災に対して、高速道路がどうあるべきかという第1次の提言を政府にして、今は第2フェーズに入っています。NEXCO中日本だけでなく高速道路会社全体で、高速道路あり方検討有識者委員会に、いくつか要望を申し上げています。例えば、「高速道路料金をお客さまにとってもう少しシンプルで分かりやすくすべきである」「民間会社となった高速道路会社の運営について、自主性の発揮が必要」等々のことを申し上げています。我々が申し上げたことを、高速道路あり方検討有識者委員会を通して、取り入れていただきたいと考えています。

 

【司会】

以上で定例記者会見を終了いたします。