NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2007年10月02日創立2周年 矢野会長訓示

会見要旨

1 はじめに

NEXCO中日本代表取締役会長CEO・矢野弘典みなさんこんにちは。
NEXCO中日本の設立2周年に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。

2年前の10月1日、旧日本道路公団が分割民営化され、当社は民間会社として新たなスタートを切りました。そしてこの2年間、全社で力を合わせ、民営化による業務内容、業務方法の大変革を進めてまいりました。社員の皆さんには、この急激な変革に戸惑うこともあったかと思いますが、これを見事に乗り越えて、本当に良くやっていただいたことを感謝申し上げます。


2 これまでの歩み

さて、振り返ってみますと、設立当初から半年間は、民間会社としての自主性を発揮して国と協議を行い、当社が建設主体となる路線・区間が確定し、高速道路事業の根幹をなす保有機構との協定締結に至りました。また時を同じくして、2006年4月、『チャレンジV〜みちの明日へ〜』を策定し、当社は真の意味で民間会社としてスタートしました。
2006年度は、この経営計画に基づき、高速道路事業・関連事業を着実に進めてまいりました。関連事業分野では、当社初の子会社であるエクシスを設立し、サービスエリア事業を中心に本格的に事業を展開しました。さらに、維持管理四業務のグループ化を推し進め、10月にはエクストールの2社が設立されました。そしてこの間、当社は初めての決算、初めての連結決算を経験してまいりました。
こうしてみますと、設立1年目は前例のないビジネス・モデルの仕組みや制度を確立しながら、民間会社としての礎(いしずえ)を築いてきた年であったと思います。
そして、2年目はその礎に立って本格的に事業を展開し始めた年であります。私は会長就任以来、皆さんに、当社を「良い会社」で「強い会社」にしていこうと呼びかけてきました。また、そのためには、5つの基本姿勢——

お客様を第一にする。
衆知を集める。
現場に立って考え行動する。
変革を続ける。
約束を守る。

——この5つを継続しなければならない、と繰り返し申しました。
私は、これまで各支社、工事事務所、保全・サービスセンターに伺い、意見交換会を行いましたが、皆さんから率直で真摯な意見を聴く中で、「良い会社で強い会社」、「5つの基本姿勢」という経営理念が浸透しつつあると感じることができ、大変心強く思いました。
そして、その成果は、少しずつではありますがいろいろな場面で現実のものとなり始めています。


3 最近の事業等の状況

まず、当初のチャレンジⅤについて、1年間の実績を踏まえ、新たな施策を追加するなど、まさにPDCAサイクルを回して計画の全面見直しを行い、今年4月には『2007新経営計画チャレンジV』を策定しました。
高速道路事業では、昨年12月の中部横断道(増穂〜南アルプス間)に続き、今年6月には圏央道(八王子〜あきる野間)が開通しました。増穂〜南アルプス間では、完成予定時期を3カ月前倒しすることができ、また八王子〜あきる野間でも、国土交通省からの引き渡し時期の遅れを挽回して開通式を迎えることができました。これは、皆さんが地域の協力を得ながら「早期開通」、そして「コスト縮減」に努められた結果です。
また、渋滞解消など利用者の利便性向上につながる料金社会実験が始まり、当社独自の施策としても東名・中央道でのTDMや観光のための企画割引が定着してきました。
地域との連係という面では、スマートICが整備されてきており、現在6カ所で営業していますが、ほかにもこれから社会実験に取り組む予定があり、今後の進展に期待しているところです。
災害復旧では、当社が持つ「現場力」を十分に発揮できたと思います。昨年7月の長野県の集中豪雨では中央道が、また先月の台風9号による高波の影響で西湘バイパスが、それぞれ大規模な被害を受けましたが、いずれの災害現場においても、グループ会社や地元企業体とともに知恵を結集し、献身的な努力とチームワークによって早期復旧を実現してきました。私は、このことに改めて現場での問題解決能力、すなわち現場力の高さ・強さを実感いたしました。関係者の労を多とします。
また、お客様に喜ばれるサービスエリアとしていくため、コンビニエンス・ストア、カフェショップなどの展開、さらには既存営業施設の改良に向けた施策を着実に進めてきました。
さらに、第二東名の建設に当たり、「第二東名リーディングプロジェクト」を立ち上げました。最先端技術を活用した道路交通システム、先進的なサービス・メンテナンスの導入検討や、新たな休憩施設の展開、周辺地域を含めた開発プロジェクトなどの検討を行うため、現在、社を挙げて議論を行っており、今年度中には大きな方向付けをする考えです。
それから、この1年の大きな話題に「速弁」がありました。
地域の旬の味覚を満載した「速弁」は、関係者の努力もあってお客様から大変な好評をいただきました。お客様のニーズを掘り起こしたヒット商品として、新聞、雑誌、テレビとマスコミにも数多く採り上げられ、民間企業になったからこそ生まれたアイデアという印象を、多くの方々に持っていただけたと思います。
資金調達の観点からは、年度末にAAA(トリプルA・格付投資情報センター)の格付けを取得し、民営化後初となる政府保証のない社債を250億円発行しました。また今年度においては、今月早々にも500億円を発行する予定であり、政府保証に依存しない資金の自主調達を大幅に進めています。
新たな施策としては、「海外事業への進出」が挙げられます。
当社は、海外の道路事業を通じて、国際社会への協力・貢献を目指すこととし、現在、そのための仕組みづくりや、情報収集を行っているところです。まだ手探り状態ではありますが、ベトナムの高速道路建設事業の調査設計業務への参画など、少しずつ成果も現れてきています。
内部統制の観点からは、本社コーポレート部門への本部制の導入により5本部体制を確立しました。またリスクマネジメントシステムを構築し、リスク対策の充実・強化を図るとともに、コンプライアンスの徹底のための教育や研修などにも力を入れてきています。
この限られた時間では、すべての成果を紹介することはとてもできませんが、『2007新経営計画チャレンジV』に基づいて、様々な施策が順調に進められてきています。これは、ひとえに皆さんの日頃の努力の賜物であり、民営化の成果の表れと評価しております。


4 今後の経営方針

さて、3年目を迎えるに当たり、私は、「良い会社で強い会社」と「5つの基本姿勢」については、経営環境が変わっても変えるつもりはありません。これは経営のプリンシプルであり、これを貫き通していくことが会社の持続的発展のために何よりも大切だと思うからです。
この経営理念を基本としながら、3年目の事業遂行に当たり、皆さんに「課題」として特に留意していただきたいことが5点あります。
まず1点目は、「スピードアップ」です。
これも、機会あるごとに繰り返し申し上げていますが、あらゆる分野で機動性、柔軟性を発揮して、各施策をスピードアップで実行していくことです。そのためには、PDCAサイクルや「品質・コスト・納期」を念頭において行動することが大切です。
2点目は、「グループ経営」です。
ちょうど本日も、「中日本ハイウエイ・パトロール名古屋」が新たに設立され、当社グループの一員となります。また、その他の維持管理会社についても、鋭意グループ化を進めており、年度内には維持管理四業務のグループ体制が確立する予定です。このようにグループ会社が増えていく中で、グループ経営の重要性はより一層増してきています。人事交流やグループ会議などを通じて、情報の共有化・連携の強化を図り、グループ全体としての総合力を高めていく必要があります。
3点目は、「組織の一体運営」です。
最近になって、支社の皆さんがSA事業やカード事業などの関連事業に対して積極的に取り組んで頂いていることは、大変心強いことであり、感謝しています。7月に支社に関連事業を担当する組織を設けましたが、形とともに魂が入り始めた証拠であります。前線を支えている皆さんの力によって、関連事業を会社の収益事業として発展させたいと考えます。「組織の一体運営」のためには、まだまだ多くの課題が残されています。組織を横断するいくつかのプロジェクトもその一つです。これを成功させるかどうか、民営化された会社がダイナミックに発展していく鍵がここにあるのです。皆さんに組織を超えた協力をお願いします。
4点目は、「環境への取り組み」です。
環境保全に向けた取り組みは、今や多くの企業にとって企業活動における最優先課題となっています。当社においても、8月に初めて環境報告書をまとめ、公表しました。これを好機として、社員の皆さんも、今一度環境に対する意識を高め、あらゆる分野で行動に移していただきたいと思います。「環境への取り組み」は、企業の社会的責任(CSR)の一環として、鋭意取り組んでいく考えです。
最後の5点目は、「人材の育成」です。
NEXCO中日本は人材が最大の宝であり、人材によって発展する会社です。昨年から新入社員を採用できるようになりましたし、教育研修制度も民営化会社に相応しく、社員のキャリア形成に役立つよう大幅な改正をいたしました。会社の元々の強みである仕事を通じて人を育てるOJTを基本としながら、OffJTも充実していく考えです。改めて申すまでもありませんが、OJTを成功させるのは、部下の育成に対する管理者の熱意であります。しかし、一番の鍵は本人の意欲であることを忘れてはなりません。論語にも、「憤せずんば啓せず、?せずんば発せず」とありますが、年齢・性別・立場に関係なく、本人が発奮することが何より大切です。会社の将来のために、時間をかけて人材の育成に取り組んでまいりたいと思います


5 終わりに

以上、3年目に向けた当社の姿勢についてお話ししました。社員の皆さん、またグループ会社の皆さんが、それぞれの職場でこれらのことを念頭に置き、実践していただくことをお願いしまして、私の挨拶に代えさせていただきます。