NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2010年06月28日金子新会長就任記者会見

会見要旨

(司会)

みなさまお待たせいたしました。本日、第88回取締役会で新体制が選任されました。社長兼会長に選任されました金子より就任のご挨拶をさせていただきます。


(会長)

NEXCO中日本代表取締役会長兼社長CEO・金子剛一(かねこ・たけかず)

みなさんはじめまして。金子でございます。それでは早速本日の取締役会で中日本高速道路株式会社の役員に選任された新体制をご紹介させていただきます。本日の当社の第5回定時株主総会におきまして取締役および監査役が選任され、その後の取締役会、監査役会でお手元の資料のとおり、中日本高速道路株式会社の代表取締役および常勤監査役が選任されましたのでご紹介いたします。まず、私、金子剛一ですが、代表取締役会長兼社長に就任しました。どうぞよろしくお願いいたします。取締役には吉川良一と原田裕が引き続き選任され、また、常勤監査役として高橋達治が引き続き選任されました。なお、本日所用があり、会見には同席しておりませんが、非常勤監査役として、川口文夫と石塚博司の2名が引き続き選任されました。
それでは私から簡単にご挨拶を申し上げます。矢野前会長から引き継いで本日から私が全責任を負って経営にあたるわけですが、高速道路事業は非常に公共性の高い事業でありまして、日本の大動脈であるインフラを支えていくことの社会的使命と責任の重さに身の引き締まる思いがいたします。私は住友スリーエム株式会社に在籍し、国内外の現場で多くの経験を積んで、製造業の視点から日本の経済・社会の激動期を見てきました。今日から経営に携わる高速道路株式会社は事業の分野は違えど、企業経営に欠かせない視点は同じでありまして、お客さま第一、安全・安心・快適を最優先に当社グループの経験や技術を結集し、現場主義に徹し、たゆまぬ変革を推し進めていきたいと思います。社会・経済情勢など高速道路にかかわる経営環境は大きく変化しておりますが、常に中長期的な観点に立ち、いかなる情勢にあっても柔軟かつ迅速な対応により日本の経済、社会に貢献する企業、世界一の高速道路会社を目指す考えであります。私自身、微力ではありますが、矢野前会長が築かれた企業文化、企業風土を引き継ぎながらより良い会社で、より強い会社を目指し、役員、幹部社員、それから現場の最前線の社員、みんなで一体となって、ステークホルダーの皆さんのために取り組んでまいる所存でございます。皆さまにおかれましてもご支援とご理解を賜れば大変ありがたく存じます。

 


(司会)

それでは、ご質問をお受けしたいと思います。


(記者)

会長兼社長というお立場ですが、就任を打診されたのはいつ頃で、お決めになったのはいつ頃でしょうか?


(会長)

打診を頂いたのが5月の中頃だと思います。正式な日付は覚えていませんが、そのすぐ後、大臣に会いました。


(記者)

先ほどの社員への挨拶にもございましたが、今までの経歴は道路とはかけ離れていると思います。それに際してお受けになったきっかけと、社長自身は何を求められてこのお話があったと感じていらっしゃるでしょうか?


(会長)

何を求められてかはよく分かりません。おそらく、前の会社の代表取締役を退任してからは特別顧問でしたが、社内の活動というよりは、社外の活動をこの一年半ほどしてまいりました。そういった点があるのではないかと思っております。
最初の質問については、高速道路会社は、特に中日本につきましては日本の人・物が動く大動脈を持っている、そのインフラ作りをしている。現に今日も、毎日まだまだ新しい道路を建設しているというところがあると思います。私自身はそういった大きく言えば、ものづくり、そしてそれが今の日本がおかれている状況ともすれば閉塞感のただよう状況に、道路事業を通して、特に地域・地方と中央との連絡とか、色々なサービスを提供することによる地域の活性化とかに少なからず貢献できる。そういったところにもう一度、私は会社の皆さんとともに貢献していきたい、というのが一番の理由でございます。


(記者)

社外の活動を一年半余りなさっておられたとの事ですが、具体的にはどういった活動をなさっていましたか?


(会長)

CSRの活動をずっとやっておりました。特に経済同友会とかそういったところのCSR委員会の副委員長としてこの2年とか3年やってまいりました。


(記者)

先ほどの質問にありました、大臣と会われて打診されたときに、大臣からどういうふうに言われて要請されたのかが一点と、世界一の高速道路会社を目指すとおっしゃられていますが、例えば売り上げとか色々な側面があると思いますが、もう少し詳しく教えていただけますか?


(会長)

大臣とお会いして、お引き受けさせていただくと話をしたときに、大臣から言われましたのは、「民間の活力をもって、この会社をますます元気な会社にして欲しい」とこのような要請がございました。それが第一点でございます。
世界一というのは、二つあると思います。一つは定量的なものでありますけど、例えば運営している高速道路の総延長とか、場合によっては売り上げとかでありますけど、なかなか売り上げにつきましても、この会社だけでは道路の料金を決めるとかそういったことができません。そういった定量的なものでは世界一をなかなか測れないかと思いますが、そういった規模もある意味では一つだと思います。
もう一つ大事なのは質であります。定性的なものであります。例えばサービスの質、会社そのものの質、これはCSR経営とかなり符合するところがあろうと思います。あるいは我々社員の質、こういったものにおいて、世界のどの高速道路会社にも負けないように、そういう会社にしていきたいと思っております。


(記者)

以前、お勤めの会社が、東京ICの近くということであえてこの質問をさせていただきますが、一つは東京からご利用になられたときの高速道路の印象と、こういったアイデアがあれば良いなという社長自身の思いがあれば教えてください。二つ目は就任早々大変恐縮ですが、高速道路の無料化社会実験が今日から開始されていますが、ご所見があればお願いします。


(会長)

ご存知のように、私の元会社の場所が東名高速の起点でありました。従いまして通勤には毎日使っておりました。最初の印象でありますが、従来と比べまして特にサービスの面ではかなり良くなっているのではないかと思います。私の近くに海老名のサービスエリアがございますが、いつ立ち寄ってもかなり多くの方が来られています。今後はよりサービスの充実を図っていきたいと思います。私どもは高速道路会社であり、遊園地等ではございませんが、また行きたいというリピートの感覚をもって来ていただけるようなSAにしていきたいと思います。
多少不満があるのは渋滞であります。どのように渋滞が起こるのか、まだまだ勉強不足でわかりませんが、確かに私自身、一利用者として困ったことがあります。今後どのようにしていこうかと思っています。
本日の0時からスタートした、いわゆる無料化の社会実験でございますが、第一報が私の手元に届いております。当社管内では9つの区間で188kmです。これまでのところ当社管内の料金所や本線での混雑やトラブルは特に起きておらず、順調にスタートできたものと考えております。交通量の速報につきましては先ほど国土交通省から発表されておりますが、当社管内では中部横断道の増穂IC~南アルプスICの開始後交通量、0~9時までの9時間の交通量は対前週比で275%と大きく増加いたしました。そのほか8つの区間につきましても平均しまして約3割前後の交通量が増加しているところでございます。担当に聞きますと想定した量ではないかということでありましたので、私自身無事にスタートできてホッとしております。


(記者)

前の会社でイノベーションに取り組んできたというお言葉があったと思いますが、具体的にどのようなことをされたのでしょうか。また民間の手法としてやってきた事を、どう具体的に道路会社に生かそうとお思いなのか、お聞かせ下さい。


(会長)

元の会社ではございますけども、キーワードとしてあるいはビジョンとしてイノベーションをうたっております。もともと技術の会社ですので、こういったイノベーション・改革をしていかないと会社としては立ち行かないわけでございますけども、何も技術部門だけではなく会社全体としてイノベーション・改革をしていこうとやってまいりました。よく言われるファーブルの昆虫記でありますけど、動物というのは、強い動物が生き残るわけではなく、賢い頭の良い動物が生き残るわけではなく、変化に対応できる動物がずっと生き残っていくんだ、これはまさにイノベーション・改革の考え方あるいは生き方そのものではないかと思います。私どもの高速道路会社においても、やはり今までにない新しいビジネスというものを、まず基本は安全・安心・快適ということではありますけど、そしてしっかりした道路を建設するということではありますけど、やはりこの空間を生かした新しいビジネスの展開、場合によっては海外への展開をこれからどんどん推し進めていく必要があろうと思います。また、社内においても、より活性化、より効率化ということに関してはイノベーションが必要だと考えております。


(記者)

先ほどの無料化の話ですが、期待することと課題をお聞かせください。


(会長)

今日から3月31日までの無料化の社会実験をスタートしたわけでして、高速道路の変化、交通量や渋滞について継続的に変化をとり、データとして国の方に報告するつもりでありますが、その後は国とともにどのようにしていったら良いのか、一緒に考えていきたいと思います。
今日までの課題はまず導入できるかという足元の課題であり、システムが無事導入できました。これからの課題はまだスタートしたばかりですので、定期的なデータを取って国とともにその後の方向を一緒に考えていきたいと思います。


(記者)

二点伺います。CSR経営について、この会社に来られてから特にどういった点、環境とかサービスエリアとか、考える点について教えてください。
また、高速道路料金制度について2,000円上限制度は継続審議になっていますが、これに対しての取り組みや方針、お考えについて教えてください。


(会長)

一点目のCSRの件でありますけども、最近では色々CSRが変わってきていますが、私としては、CSRは本業の中に取り込んでいくもので本業そのものと思います。その中において、やることは多々あるのではないかと思います。例えば新しい高速道路の建設、その際に如何にして自然環境を守っていくかはCSRのテーマだろうと思っております。あるいは、人・仕事の仕方の問題、まだ私はこの会社に女性社員が何人いるか詳しくは分かりませんが、女性社員の活性化ですとか、会社の外・内と色々あると思います。いずれにしましても私自身は、CSRは例えば砂漠の乾いたところに木を植えようとか大層な事は思っておりません。私どもがやっている本業の中でいかに、今申し上げたような1つ2つの事例でございますけど、そういったものをきちっとやっていくかということだと思います。世の中、特にヨーロッパは少し先に動いておりますのでその辺を見ながらこれから進めていきたいと思っております。
料金のお話でありますけども、今回継続審議になったことは十分承知しておりますが、今後も国会での審議を踏まえて国土交通省において総合的に判断をされると聞いております。したがって私はその推移を見守っていきたいと思っております。そして新たな料金制度の内容ですとかそういったものが確定次第、私どもは速やかに対応できるようにしていきたいと思っております。


(記者)

矢野前会長は海外事業に非常にご熱心でしたが、金子社長も海外を担当してきた中で、印象に残っていることと、矢野さんを引き継いでいくうえで、どう生かしていくのかについて教えてください。


(会長)

大変な経験をしました。1997年、場所はタイのバンコク、7月1日、アジアの為替危機が発生し、その後1年半、日本も危機の大波をかぶり、経済がゼロ成長に陥ったというのはみなさんもご記憶にあろうかと思います。当時私はアジアパシフィック担当の財務の責任者としておりました。簡単に申し上げますと、アジアの国は米国からかなりの量を輸入しておりました。今までタイのバーツとの関係で、現地では100で買ってきて170~180で売っていたものが、一挙に買値が200~250になり170~180ではとても売れない、そんな状況でした。その危機をどのように乗り切るかが使命でありました。おかげさまで私どもは国際チームを作りまして、結果として1年半で収束しまして、私がアジアパシフィックの財務担当から離れるときには、危機が始まる以前の体質に、量的にも復旧できました。大変な思いでしたが、私の貴重な経験ではなかったかと思います。当社はベトナムに事務所を開設しまして駐在員を出しております。また、マレーシアとも協定を結んでおります。私自身の強みとしては、ベトナムにしてもマレーシアについても中国についてもシンガポールについても何回も行っております。現地が、道路の状況がどうなっているのか、他の交通機関がどうなっているのか分かっておりますので、早く順応できると思っておりますし、また、海外とのビジネスにつきましてはコミュニケーションについても経験を生かしていきたいと思っております。


(記者)

一般的な質問で恐縮ですが、趣味とか座右の銘とかお願いします。


(会長)

趣味はスポーツですが、もう年をとりましたので。かつては野球をやっておりましたけども、今はとても走ったりできませんので、今はゴルフをやっています。座右の銘は格別なものは持っていませんが、やればできる、成せば成ると思っているのが常に私の信条と思っております。


(記者)

今回、矢野会長、高橋社長の2人体制から1人体制に、まさにトップから民営化というのが正しい表現だと思いますが、このことに関してどのようにお考えですか?


(会長)

これはお決めになったのは大臣でして、私が口を挟むことではないので、それをお受けするということになります。率直には、今までお二人で分担されていたことを一人でやるのは大変だと今思っておりますが、ただ、取締役やスタッフそれぞれが力をつけておりますし、今までやってきたことに自信を持っておりますので、私自身はいろいろ大変と思いますけども何の心配もありません。それぞれスタッフに任せてやればと思っております。


(記者)

中日本高速道路という会社に対してどのような印象を持っていますか?


(会長)

いい点と、これから改善していかないといけない点があります。いい点は皆さんは専門家であり、技術的なものに関してはおそらくもう既に世界一ではないかと思います。2点目は使命感を強く持っているという点です。課題としてあるのはより積極的になってもらいたいと思います。これはまだ私が数日しか会っていないので間違っているかもしれませんが、あるいは私が外部から来たばかりで遠慮しているのかもしれませんが、もっともっと積極的にいろんな提案をしていただきたい。イノベーションというのは上から決めるのではなくて、一人ひとりが自分たちがこうしたいということが自由に出せる。そういったことが少ないのではないかということです。これが課題です。


(記者)

今回の無料化での影響はプラス面マイナス面どう見ておられるか、お聞かせください。


(会長)

感じで話して申し訳ありませんが、一つは無料ですのでお客さまが増えてくるだろう、先ほど申し上げたように3割、最初の9時間で増えています。この分の高速道路料金はゼロになりますけど、それだけ交通量が増えることでのサービスの面、収益が増えるとか、もう一つの大きな目的である地域の活性化ということがあります。これをどうやってメジャーするかは難しいかもしれませんが、そういった両面があるのではないかと思います。今回、国がなぜこういったことをやったかと同じようなことだと思います。ただ、まだ実験段階でありますので、どう出るかは実験が終わった段階、調査に基づいてどうするかという事になろうかと思います。


(記者)

今回異例の異動となりましたけれども、依頼を受けて即決したのか、意外だったのか、教えてください


(会長)

話をいただいたときになぜ私かということは思いました。当然ですけど少し考えさせていただきました。すぐその場ではなくて一日置いてご返事を申し上げたということでございます。


(司会)

これをもちまして就任記者会見を終わりといたします。ありがとうございました。