NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2006年10月02日創立1周年 矢野会長訓示 あらゆる分野でスピードアップを ―2年目の課題

会見要旨

(会長)

矢野会長訓示

皆さんおはようございます。NEXCO中日本の設立一周年にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。
「一周年記念キャンペーン」は9月に始まり、特に一昨日と昨日の土・日にはお天気が悪い中、各所で記念イベントが行われました。休日返上で働かれました各地の保全・サービスセンターや中日本エクシスの皆さん、工事事務所の皆さん、本社・支社の皆さん、本当にご苦労様でした。また、ご協力いただいたご関係の方々に心からお礼申し上げたいと思います。
皆さんの知恵を集めた手作りのイベントは、道路に対する多くの人たちの理解を深めていただける良い機会になったと思います。私もほんの一部だけですが参加いたしました。東名の海老名SAではにぎやかなイベントを見、そこで国旗と並んで初めて掲げられた社旗を仰ぎ、沼津市と富士市をまたぐ第二東名の工事現場ではウォーキングラリーを子供たちと一緒に体験し、草刈りできれいになったインターチェンジを嬉しく思い、北陸道では尼御前SA、有磯海SAなど5カ所のSA・PAを歩き、また昨日、正式に開通した入善スマートインターの地元の町長さんにもお会いし、力強い感想をお聞きすることができました。

振り返ってみますと、昨年10月に会社が設立されてからの半年は、民営会社として暫定的に走り始めた時期でしたが、この間の皆さんのご尽力により立派な中期計画「チャレンジⅤ」ができ上がり、一方では日本高速道路保有・債務返済機構との協定の協議を進め、それぞれ4月1日から実施されました。同時にNEXCO中日本のロゴマークも決まり、民営会社として本格的な出発をして、ちょうど半年が経ったところです。
私自身は就任してから3カ月間はできるだけ会社の実態を知りたいと考え、現場に出ることに徹してまいりました。主要な道路はほとんど走り、道路建設や維持管理、さらにはSA・PAを見学し、災害復旧の現場にも入りました。まだ少し残っておりますが、大方の保全・サービスセンター、工事事務所、研究所に参りまして、私の考えをお話し、また意見を直に聞くことができたことは、大変有益だったと思います。
1回りを終えた次回からは、皆さんの意見を聞く機会をもっと増やしたいと考えております。
7月の集中豪雨で長野県の生々しい災害現場に入り、その時、当社社員はもちろんですが、関係会社や地元企業の方々がチームワーク良く復旧作業に携わっておられる姿を目の当たりにして、当社の持っている底力を実感いたしました。急場、非常事態に証明される現場力、その強さであります。技術力と経験に裏付けられた、現場での問題解決能力の高さ・強さとして当社が誇り得る財産だと思います。

さて本日は、これからの経営方針についてお話しいたします。私自身が先頭に立って取り組むつもりですので、どうぞ皆さんもご協力をお願いいたします。
まず、NEXCO中日本をどのような会社にしたいかという、私の考えを述べます。
それは「良い会社」で「強い会社」にすることです。「良い会社」とは社会との約束を守り、社会に貢献し、信頼され、喜ばれる会社です。そして社員はもとより家族が胸を張って誇りに思える会社、それが「良い会社」です。
「強い会社」とは黒字を続ける会社です。公団と株式会社の一番の大きな違いは、赤字では会社がもたないという点です。
そこで絶対に間違えてはいけない視点について、お話しします。「良い会社」にすれば「強い会社」になるというこの順序が大切です。世の中には順序を逆にして、「強い会社」にしたいあまり目先の利益に目がくらんで「悪い会社」になって、会社をだめにした例がたくさんあります。絶対に真似をしてはいけません。
皆さんが迷ったら「良い会社」にするということをまず考えて、自らの行動を判断していただきたいと思います。
当社の事業は社会のインフラ形成という高い公益性を基本とし、国の経済社会に対する大きな使命を持っております。しかも、先ほど申し上げましたように技術力に支えられた強い現場力を持つ底力のある会社です。したがって、当社は「良い会社」であろうとすれば、おのずから「強い会社」になれる十分な素地があると私は信じております。

「良い会社」で「強い会社」にするために、就任時に申し上げました「5つの基本姿勢」を継続実行いたします。どれも当たり前のことばかりで、「チャレンジⅤ」の精神にも共通するものです。内容は説明済みなので詳しくは繰り返しませんが、もう一度確認いたしますと――
1つは、お客様を第一にする。
2つ目は、衆知を集める
3つ目は、現場に立つ。経営の基本は現場主義であると私は思っております。
4つ目は、改革を続ける。
5つ目は、約束を守る
――ということです。
約束を守る一番の基本は、法令順守と不正を絶対に許さない基本精神があり、その上に立って、より積極的な社会貢献をしていくことが大事です。大きい約束も小さい約束もしっかり守る。これが私たちの出発点だと思います。

さて、2年目に入るにあたり、私は会社のあらゆる分野において、特に「スピードアップ」を強調し、各施策を実行していく所存です。
まず「チャレンジⅤ」の実行は全社共通の目標として着実に実行してまいります。2つ目に各部門、組織単位ごとに与えられたミッションの「スピードアップ」に取り組んでいただきたいと思います。
3つ目に、共通課題として「スピードアップ」すべきものについて例示的に申し上げます。
1つは安全対策。最近、中央道では死傷者も出る大きな交通事故が起こりました。またETCレーンでの事故もあります。安全対策は永遠の課題ですが、私たちは常に前進する姿勢でこの問題に取り組む必要があります。
2つ目はグループ経営体制の構築です。
3つ目は組織の一体運営です。3事業部門、本社と前線との連携を強める。そして一つの会社としての組織の一体運営を強めることが必要だと思います。
4つ目は人材育成の仕組みづくり。
そして5つ目が、各種委員会のテーマや、いろいろ課題となっておりますプロジェクトの実行ということです。
こうしたそれぞれのテーマについて「スピードアップ」を図る必要があります。こうした施策の実行にあたってあらゆる部門に共通することでありますが、特に留意すべき事項、物差を申し上げたいと思います。
1つは「PDCA」を回して個別計画を実行し、高度化することであります。改めて申し上げるまでもありませんが、PDCAとは「Plan」、「Do」、「Check」、「Action」ということであります。そういうサイクルを続けていくことによって計画自体も変化し、より高度化していくということであります。
2つ目は「品質・コスト・納期」を尺度として行動することであります。このようにして私はこれから、「スピードアップ」を念頭において仕事に取り組みたいと思います。