NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2017年11月28日宮池社長定例会見

会見要旨

司会

皆さまお待たせいたしました。ただいまから第130回の定例会見をはじめさせていただきます。

【はじめに】

本日もお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。会見を始める前に、一言申し上げます。
報道関係の皆さまには、11月21日にお知らせしたところですが、2012年12月2日の中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故からまもなく5年になります。
この事故によりお亡くなりになられた9名の方のご冥福をあらためてお祈りするとともに、今後も「安全」という永遠の挑戦課題に取組んでいくことと、この事故の教訓をNEXCO中日本グループ全体で次世代へ承継し決して風化させないことをお誓いするため、追悼慰霊式を執りおこないます。
概要を少しお話します。今回の追悼慰霊式では、ご遺族さまのお気持ちにお応えしつつ、グループを挙げて事故の教訓が風化することを防ぐために、事故後に入社した若手社員や第一線で現場を担う社員およびグループ社員などおよそ30名が式典に参列するとともに、参列できない社員に対しては一斉同報メ-ルを送信して、事故発生時刻に各自が黙とうをおこなう予定です。
また、12月2日を当社グループの「安全の日」と定めています。12月4日の週に全職場で追悼慰霊式の模様を視聴し、安全に関する職場討議をおこなう予定です。
さらに、この「安全の日」の前に、役員がすべての支社(4支社)と現場事務所(34事務所)を訪問し、社員との直接的な対話を通じて、事故の教訓を決して風化させず、「二度とこのような事故を起こさない」との強い決意をあらためて心に刻み込むための「安全対話」を実施しています。
追悼慰霊式には、ご遺族さまをはじめ、国土交通省関係者や行政機関の関係者などが参列される予定です。
ご参列者の中には、プライバシーの十分な配慮を求めておられる方もいらっしゃいます。
追悼慰霊式のご取材にあたりましては、取材場所や時間の制限など、ご協力をいただきたい点もありますので、ご理解とご協力をお願いします。

【事業の現況(2017年10月)】

資料1をご覧ください。 営業の状況ですが、10月の料金収入は560億2900万円で対前年同月比1.5%の減少、また、通行台数は日平均190万2000台で対前年同月比4.1%の減少となりました。
10月は、台風21号をはじめ全般的に天候に恵まれなかったことや、昨年は9月から10月にかけて実施した東名集中工事を、今年は10月に実施したことにより、料金収入・通行台数ともに減少となりました。

続いて建設の状況です。2017年度に開通を予定している新東名 海老名南ジャンクション(JCT)から厚木南インターチェンジ(IC)間2kmにつきましては、現在、厚木南IC部の土工、橋梁上部工などの道路本体工事が概ね完了し、舗装工事や標識工事、料金所の建物などの設備工事を展開しています。

次にサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の状況です。
資料1の裏面をご覧ください。
10月のSA・PAの売上高は161億3000万円で対前年同月比1.1%の増加、飲食・物販部門の売上高は対前年同月比6.9%の減少となりました。
10月は、台風や長雨による天候不順に加え、東名集中工事が10月に実施されたことなどにより、飲食・物販部門は前年を下回る結果となりました。
ガソリン部門の売上高は、昨年に対し販売価格が上昇したことと、軽油の販売数量が増加したことにより、対前年同月比19.9%の増加となりました。

【年末年始の渋滞予測と冬の交通安全啓発】

年末年始(12月28日(木)~1月4日(木))の渋滞予測につきまして、お知らせいたします。
資料2-2をご覧ください。
当社管内の渋滞のピークは、下り線が12月29日(金)と1月3日(水)、上り線が1月2日(火)です。また、期間中の10km以上の渋滞は73回、うち30㎞以上の渋滞は4回の発生を予測しています。
最近の交通動向ですが、お盆の交通混雑期間では特定の日に交通が集中する傾向がありましたので、年末年始期間は、渋滞予測をご活用いただき、ご利用日やご利用時間をずらしていただくなど、分散利用にご協力をお願いします。
この度、SA・PA、料金所などでお配りする『渋滞予測ガイド』が出来上がりましたのでお手元にお配りしました。年末年始に帰省などで高速道路をご利用の際には、ぜひご活用いただきたいと思います。
また、今年の年末年始につきましても、ゴールデンウィーク・お盆に引き続き、東京・八王子・名古屋・金沢の各支社の渋滞予測のプロ「高速道路ドライブアドバイザー」から、地域ごとの渋滞予測や渋滞を回避するためのポイントなどを、当社WEBサイトで動画などを使ってわかりやすく情報発信します。
「高速道路ドライブアドバイザー」につきましては、これまでもテレビ、新聞、ラジオなど多くの報道機関の皆さまに取り上げていただき、ありがとうございます。
年末年始につきましても、より多くのお客さまに「渋滞回避ポイント」を知っていただきたいと思っていますので、ぜひご取材していただきたいと思います。
「高速道路ドライブアドバイザー」へのご取材やテレビ・ラジオへの出演などをご希望の際は、お手数をおかけしますが、各支社の広報・CSチームまでご連絡をお願いします。
なお、本日定例会見終了後に別室で名古屋支社の「高速道路ドライブアドバイザー」が、年末年始の東海エリアの渋滞予測について詳しくご説明しますので、お時間のある方はぜひお集まりください。
続いて、資料2-3をご覧ください。
最近、いわゆる「あおり運転」などによる事故の報道がありますが、こうした危険な運転、その他事故や故障などにより、高速道路上で停止した車両や車の外に出ていた人に衝突する形態の死亡事故が、今年は10月末までに14件発生しています。
今年発生した死亡事故31件の半数近くをこのような事故が占めており、昨年(9件)のおよそ1.5倍と、多発している状況にあります。
こうした状況や、例年は年末にかけて事故が増加する傾向にあることを踏まえ、当社では12月1日から22日までの間を「冬の交通安全キャンペーン」期間とし、重点的な広報をおこないます。
期間中は、「高速道路上の停止車両や人への衝突事故防止」、「落下物への注意」、そして「冬の高速道路への備え」の3つを主なテーマとしてキャンペーンを展開します。特に「停止車両や人への衝突事故防止」につきましては、死亡事故が多発していることから、「ながらスマホ」の防止や、「故障などで万が一停止してしまった場合の対処法」などを呼び掛けていきます。
また、期間中は、警察などと連携したイベントを、新東名(上り)の駿河湾沼津SAや名神高速(下り)の養老SAなど、合計28箇所で開催します。
報道関係の皆さまには、イベントのご取材にお越しいただくとともに、年末年始の交通安全について報道していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

【2017年度雪氷期に向けた取組み】

今年も本格的な雪氷シーズンが到来しました。
今年1月の伊勢湾岸道や2月の新東名の御殿場JCT付近での通行止めをはじめ、降雪による通行止めによりお客さまには大変ご迷惑をお掛けしました。
雪道でのノーマルタイヤでの走行は、登り坂などで走行不能となったり、交通事故を誘発したりするなど、通行止めに繋がる場合があります。
たとえば、今年1月15日に伊勢湾岸道で実施した通行止めの際も、ノーマルタイヤ車両による交通事故が2件(2台)、自力走行不能車両が8台みられました。
お客さまには、早めの冬用タイヤの装着やタイヤチェーンの携行をお願いします。また、お出かけ前には天気予報や交通状況をご確認のうえ、雪道での安全運転に心掛けていただきますようお願いします。
資料3をご覧ください。
当社での今冬期における取組みをご紹介します。

(1)旅行計画の参考にしていただくため、気象予測をもとに降雪3日前頃から大雪に関する情報を提供します。
・報道機関各社への記者発表
・当社WEBサイトによる情報の提供
・情報板やSA・PAでの情報の提供

(2)お出かけ前や旅行中に高速道路の降雪状況をご確認いただけるよう、iHighwayやSA・PAで降雪状況のリアルタイム映像を配信します。
・iHighwayによるライブ映像の提供⇒1箇所追加(合計56箇所)
・SA・PAでのライブ映像の提供⇒1箇所追加(合計71エリア)
また、iHighwayは、今冬期から天候や降雪の予想および雪氷作業状況もご確認いただけるようリニューアルしましたので、ご活用ください。

(3)冬用タイヤ未装着などによる立ち往生車両を速やかに発見し救援するため、監視設備や救援機械を追加配置します。
・監視設備を追加設置⇒41基追加(合計1,788基)
・立ち往生車両救援機械の追加配置⇒17台追加(合計165台)

(4)今年2月に発生した新東名御殿場JCTでの降雪による通行止め事象を踏まえ、当該箇所に監視設備や雪氷補助機械を設置します。
・路温計の設置⇒2基
・路面監視用照明⇒35灯
・凍結防止剤散布装置⇒7基

この他、GPSを活用して雪氷作業中の車両の位置や作業内容を「見える化」し、雪氷作業の効率化を支援する『車両位置情報システム(VPIS)ビーピス』を、全ての除雪車両と凍結防止剤散布車に搭載しています。
また、雪道を安全に走行していただくため、当社WEBサイトに「雪道ドライブガイド」を掲載するとともに、リーフレット「冬道走行に気をつけガイド」を配布し、冬期の高速道路走行に関する安全啓発をおこないます。
報道関係の皆さまへのお願いです。大雪予報の際には、当社から報道機関の皆さまに随時情報を提供しますので、お客さまへの周知にご協力をお願いします。

【暫定二車線区間の長大橋およびトンネル区間における「車線区分柵(仮称)」の技術開発の公募~検証技術の選定~】

次に、技術開発に関するトピックです。
NEXCO3社では、暫定二車線区間での反対車線への飛び出し事故防止対策として、今年の春から一部の土工区間の道路中央部にワイヤロープを試行的に設置し、その効果の検証をおこなっています。
検証状況は、昨日(11月27日)国土交通省で開催された有識者委員会で中間報告として報告されています。
正面のTVモニターをご覧ください。
今、映している動画は、ワイヤロープ設置区間での事故をとらえたものです。
映像からは、反対車線への飛び出しを防止するなど、正面衝突という重大事故を回避していることが確認され、安全対策として効果が発揮されていると考えられます。
引き続き、事故の発生状況や走行状況、さらに維持管理の観点での試行検証を継続していきます。
また、橋長50m未満の中小橋梁区間につきましても、ワイヤロープの改良版が開発されたことと試行設置を進めていくことが報告されました。
一方、橋長50m以上の長大橋とトンネル区間につきましては、資料4に記載しているとおり、今年の4月25日から7月24日まで技術開発の公募をおこなったところ、全部で28件(18社)の応募があり、その中から5件の提案を選定しましたので、本日皆さまにお知らせします。
なお、この選定結果は昨日開催された有識者委員会でも報告されています。
選定された5件の提案技術は、いずれも現在のラバーポールと同じく20㎝前後の狭小幅に設置でき、前方や側方を見通しやすく、簡易な工具は必要であるものの、任意の場所で人力で開口部を設置できるような構造となっています。
今後は、選定された5件の提案技術について、応募者と共同開発契約を締結し、概ね1年間で実験などによる性能の検証をおこなっていきます。
その結果、効果が認められたものは、高速道路の暫定二車線区間の現場に試行的に設置していく予定です。

司会

以上が本日ご用意したトピックです。それでは、これから皆さまからのご質問をお受けします。

記者

冒頭お話がありました笹子トンネルの天井板の事故の関係でお尋ねします。まず一つは、事故があってから5年間でさまざまな取組みをおこなわれてきたと思いますが、そういった取組みを通じた会社の変化、風土の変化など、何か思いがあればお聞かせください。次に、安全とは永遠の課題だというお話をされていましたが、それをどのように進めていきたいかという決意の部分をお聞かせください。

社長

当社では、事故が発生してすぐに「安全性向上3ヵ年計画」を策定して取組んできました。これにつきましては、すでにご承知のとおり、安全文化の醸成や人財育成、さらにほかのトンネルに設置されている天井板など、事故を起こすリスクの高いものについては全て撤去するなどのハード対策が含まれますが、ハード対策につきましては、3年間で一通りのものが完了しました。ただし、これで終わりではなくて、私どもがやらなくてはいけないことは、さらに安全性を向上させていかなくてはならないということで、新たに「安全性向上への『5つの取組み方針』」を設定し、昨年度からこの取組みを進めています。その結果として、グループ内には、常に安全を第一にする文化といったものが形成されてきていると思います。また、経営方針にも、「高速道路の安全性向上と機能強化の不断の取組み」を最上位に掲げて取組みを進めているところです。2つ目の今後の安全の取組みにつきましては、「5つの取組み方針」に基づいて進めており、具体的には、人財育成、安全文化の醸成、社内の仕事のやり方など、PDCAサイクルを回しながら、より向上させていくという改善運動、さらに大規模更新などのリニュ-アル工事や点検などに関する技術開発を中心に進めているところです。

記者

概念的な話で恐縮ですが、永遠の課題としての安全という部分について、例えばこれから10年、15年と経った時に、人口が減少する中で、安全や品質を保たなければならないと思いますが、それに関してどのように取組んでいくのかも含めてお聞かせください。

社長

私は、安全という問題は永遠の挑戦課題と言っています。設備というのは老朽化が進んできているわけで、それをいち早く把握して、安全に維持するためにどうすれば良いか、また、それを点検する技術、そして修繕する技術、そういった技術開発が非常に大事であると思います。少子高齢化、生産性向上ということは、国を挙げて言われていますが、それに対応するためには、ITを使ったセンサーやロボット化など、そういったものをこれからも鋭意開発していくことが、一番大事ではないかと思っています。

記者

笹子トンネルの事故に関して、金子前社長などの送検が検討されていると報道されていますが、それに対しての所見をお聞かせください。

社長

報道でそのようなことが伝えられていることは承知しています。いずれにしましても、これまでどおり、捜査には全面的に協力していきます。

記者

同じく笹子トンネル事故に関してですが、これまでもご遺族への対応というのを八王子支社や保全・サービスセンターなどを通じてやってこられたと思いますが、今後、どのようにご遺族や負傷者の方に関わっていかれるか、ご所感をお願いします。

社長

社内の組織として「被害者ご相談室」がありますので、今までと対応が変わるということはありません。私どもは、ご遺族の皆さまの苦しみや悲しみが少しでも癒えるよう、皆さまのお話しを受け止めつつ、誠心誠意、会社としてできる限りのことをさせていただきたいと考えています。また、追悼慰霊式などをどのように実施していくかにつきましてもご遺族の方と話し合いをしながら進めていきます。新しい話題としましては、慰霊碑の設置を初狩PAの下り線と笹子トンネルの坑口の付近に、来年度中の完成を目標に進めていきたいと思っています。いずれにしましても、私どもとしてやらなければいけないことは、お亡くなりになられた方へのご冥福をお祈りすることは勿論ですが、ご遺族の方にしっかりと寄り添うことと、今回の事故の教訓を決して風化させないことが一番大事であると思っていますので、これからもしっかりと進めていきたいと思っています。

司会

ご質問が途切れたようですので、これで定例会見を終了させていただきます。