NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2014年11月19日宮池社長定例会見

会見要旨

【司会】

皆さまお待たせいたしました。ただいまから第98回の定例会見をはじめさせていただきます。

【宮池社長】

本日ご用意したトピックスは5つです。

 

【事業の現況(2014年10月)】

資料1の1ページをご覧ください。

営業の状況ですが、10月の料金収入は、541億9千9百万円と対前年同月比25.1%の増加、また、通行台数は日平均185万3千台と対前年同月比4.6%の減少となりました。

料金収入については、利便増進事業による割引の終了に伴い、4月から料金割引制度を見直したこともあり、前年度と比べ増加傾向が続いており、10月においても同様の傾向でした。

通行台数については、料金制度見直し以降、前年度と比べて減少傾向が続いており、10月においても同様の傾向でした。また、昨年10月の台風による通行止めは1日だけでしたが、今年は2つの台風18号と19号により、長時間の通行止めをしたことが要因です。

 

次に建設の状況です。

圏央道寒川北インターチェンジから海老名ジャンクション4kmの建設区間については、本体工事は概ね完成し、舗装、設備などの工事を実施中で、2014年度内の完成に向けて予定どおりに進捗しています。

圏央道相模原インターチェンジについても、2014年度内の開通に向けて、予定どおりに進捗しています。

資料にはありませんが、新東名浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクション55kmの建設の状況について、ご説明します。

開通時期見直しの要因となった、切土のり面崩落対策、自然由来の黄鉄鉱・重金属を含んだ土砂の処理、橋梁基礎の沈下対策については、2つの台風18号、19号の影響もなく、予定どおりに進捗しています。

 

次にETCの状況です。

資料1の2ページをご覧ください。

10月の日平均利用率は91.0%でした。

次にSA・PAの総数ですが、177カ所で変更はありません。

 

次にサービスエリアの状況です。

10月のサービスエリアの売上高は145億4千万円で、対前年同月比3.9%の減少となりました。飲食物販部門の売上高は、対前年同月比6.4%の減少となりました。

これは、台風18号と19号の影響で通行止めとなったことなどが要因です。

ガソリン部門の売上高は、対前年同月比2.2%の増加となりました。交通量は減少しましたが、給油数量は昨年を上回っており、ガソリン単価差もプラス9円あることから前年を上回りました。

 

【2014年度雪氷期に向けた取り組み】

次に2014年度雪氷期に向けた取り組み-大雪予測時の事前情報による出控えや冬用タイヤ装着のお願い-、についてお知らせします。

資料2-6、2-7にあるように、今年2月、横浜町田ICで72cm、御殿場ICで126cm、富士吉田ICで178cmと記録的な豪雪により、東名・中央道で長時間の通行止めとなり、多くのお客さまに大変ご迷惑をおかけしました。

この時の反省を踏まえ、この冬から、早いタイミングでの雪に関する広報や情報提供に努めます。また、雪による通行止め回避および通行止め時の早期解除を図る取組みの強化、高速道路と一般道路が一体となった通行確保に向けた関係機関との更なる連携強化などの7つの取組みを実施します。

 

資料2-1をご覧ください。

今年2月の大雪時の課題に対して、2014年度の対策をまとめたもので、7項目の対策のポイントをまとめています。

 

資料2-2をご覧ください。

大雪の気象予測が出された場合に、大雪時の出控えや冬用タイヤ装着について、公式WEBサイトや高速道路上の広域情報板などを活用して、お客さまへの事前の情報提供を実施します。

 

資料2-3をご覧ください。

WEBサイトに新たなコンテンツを開設するとともに、ポスター、リーフレットなどの啓発広報ツールを活用して、安全啓発を実施します。

 

資料2-4をご覧ください。

雪による通行止めの可能性が想定される場合には、除雪車両や人員などを集中投入させるため、広域応援派遣体制を構築します。応援派遣は、気象予測を参考に、予測降雪開始1時間前程度を目安に現地に配備していく予定です。また、ロータリー除雪車を追加配備7台 、トラクターショベル20台配備し、除雪車両を増強します。

 

資料2-5には、通行止め時間を最小にするための各対策を記載しています。

高速道路をご利用されるお客さまには、冬の高速道路を安全にご利用いただくため、大雪が予想される場合には、不要、不急のお車のご利用をお控えいただくとともに、早めの冬用タイヤ装着にご協力をお願いします。

当社としても雪氷期に向けて取組みを強化してまいりますが、大雪予報の際には、事前に情報を提供させていただきます。

マスコミの皆さまにおかれましても、大雪に関する情報を報道していただくなどご協力をお願いいたします。

 

【重量オーバー等違反車両削減への重点取り組み】

次に重量オーバー等違反車両削減への重点取り組みについてお知らせします。

資料3の4から5ページにあるとおり、道路構造物の主な劣化要因と損傷メカニズムをまとめています。

道路構造物を傷め、その寿命を縮める劣化要因として主に2つがあります

  • 塩分により鋼材腐食を起こす「塩害」
  • 重量オーバーなど大型車両の通行による長年の繰返し荷重による「疲労」

これらにより道路構造物の寿命が著しく低下した場合は、大規模修繕工事が必要です。
大規模修繕工事を実施した場合、多額の工事費が必要となり、また、長期間の通行規制が伴うことで、結果として高速道路をご利用のお客さまにご迷惑をお掛けすることになります。

「塩害」は、雪氷期の高速道路を安全に走行していただくために路面に散布する凍結防止剤などが要因で発生する損傷で、劣化が進行するとコンクリートのはく落や鉄筋露出などが生じ、更に進行すると鉄筋が破断に至る危険性があります。

「疲労」は、重量オーバーなど大型車両の通行による繰り返し荷重により疲労が蓄積され、コンクリート床版であればひび割れを生じ、更に進展すると床版の抜け落ちが生じます。また、鋼製の橋梁部材を接合する個所に亀裂が生じ、損傷が進展すると部材が破断に至る危険性があります。

このような背景から、疲労による損傷要因の一つである重量オーバーなどの違反車両の取締りを重点的に実施することとしました。

 

資料3の1ページをご覧ください

重点取組期間は、12/5(金)から23日(火)の19日間です。

重点期間中は、主要なサービスエリアで違反削減キャンペーンを計画しています。また、高速道路と並行する国道などの道路管理者と合同での取締りを関東地区と中部地区で一斉に実施する予定です。実施場所などは12月上旬に当社WEBサイトでお知らせします。また、当日の取締りの現地取材をお受けします。詳細は、後日、各支社からご案内します。

資料3の2ページでは、重量オーバー違反車両が道路橋に与える影響や重大事故につながることを説明しています。

具体的には、大型車両1台が、軸重10トンの基準より2トン重量オーバーした場合は、床版に対しては軸重10トンの大型車9台分の影響があります。

車両の重量による床版への影響度は、大阪大学の松井教授の実験で、約12乗に比例する、という報告もあり、少しの重量オーバーでも大きな影響を与える要因となります。

資料3の3ページをご覧ください。

当社の取締り状況ですが、2013年度は、取締り約1,000回、検問台数約14,200台、Uターンなどの措置命令は約2,200台でしたが、2014年度においても、前年度以上の取締りを予定しています。また、繰返し違反行為をおこなう違反者には、一定の違反点数以上に達した場合に講習会の受講や改善指導、違反を繰り返す場合には、大口・多頻度割引制度に基づく割引停止などの措置を実施しています。

今後も、Uターンなどに加え積載物の減載等の取締りの拡充や、講習会受講対象者の拡大など違反者の指導の強化などの方策を、他の高速道路会社などと連携し検討を進めていきます。

今後とも、重量オーバーなどの違反車両の削減への取り組みにご理解とご協力をお願いします。

 

【不調特命見積協議方式の状況】

次に2014年度上半期における工事の入札不調対策として導入した不調特命見積協議方式の状況についてお知らせします。

資料4をご覧ください。

2014年度上半期の入札状況をとりまとめました。

昨今の工事発注における入札不調の増加により、事業執行に支障をきたす事態も懸念されることから、円滑な事業執行を図ることを目的として、今年3月に「不調特命見積協議方式」を導入しました。

2014年度上半期に入札を実施した250万円以上の工事の入札不調の発生件数は19件、発生率は11.2%と昨年度に比べて入札不調発生率が大幅に改善しました。

入札不調の多い工種は、昨年度に引き続き、土木工事や道路補修工事です。

特に土木工事においては、土工工事や橋梁下部工工事などの大規模な新設工事においても、入札不調が発生しています。

入札不調による工事の遅れが開通予定など事業計画に影響を及ぼす場合には、大規模工事に対しても、入札不調対策として契約制限価格を上回っても契約できる不調特命見積協議方式を今後も適用し、円滑な事業執行に努めます。

 

【笹子トンネル天井板落下事故追悼慰霊式について】

次は最後のトピックスです。

来月12月2日で、中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故から2年になります。

この事故により亡くなられた9名の方のご冥福を改めてお祈りするとともに、「二度とこのような事故を起こしてはならない」という深い反省と強い決意のもと、ご遺族の皆さま、被害に遭われた皆さまに真摯に対応するとともに、再発防止に取り組んでいくことをお誓いするため、追悼慰霊式を実施いたします。

 

お手元にお配りした資料5をご覧ください。

  • 事故現場付近での黙とう、献花
    12月2日は、事故が発生した午前8時3分に、事故現場付近の笹子トンネル東坑口付近で、ご冥福をお祈りし、黙とうと献花をいたします。
  • 追悼慰霊式
    午前9時45分から、都留市内にある「シティホール都留」において、追悼慰霊式を実施いたします。
  • 一般献花
    追悼慰霊式終了後、同会場において11時から16時の間、一般献花をお受けいたします。

当日は、ご遺族をはじめ、国土交通省関係者の方、行政機関の関係者の方などが参加する予定です。

 

「事故現場付近での黙とう・献花」、「追悼慰霊式」については、プライバシーの十分な配慮を求めているご遺族をはじめ、ご出席者がいらっしゃるため、取材場所、人数を制限したうえで、取材をお受けいたします。

取材にあたっては、皆さまには、ご理解とご協力をお願いいたします。

 

以上が、本日ご用意したトピックです。

 

【司会】

それでは、これから皆さまからのご質問をお受けいたします。

 

【記者】

雪氷期に向けた取組みについて、今年2月の大雪をどのように分析して、どのような対策を立てたのか、また、対策に要した費用、雪氷対策の期間を教えてください。

【社長】

今年2月の降雪は、従来の雪とは違い、まれにみる積雪量と非常に早く積もってしまったこともあり、立ち往生して動かなくなった車両の移動や除雪に時間を要したことが、大きな特徴でした。今後、同程度の降雪の可能性を想定して、高速道路の安全を確保していくための方策について検討しました。

具体的には、除雪車両の強化、早期の通行止め解除のための体制強化、早期に気象情報を把握して準備に入るということで、万全を期して、冬の高速道路の安全を確保します。

【社員】

対策に要した費用ですが、ロータリー車の購入に1台約4000万円、7台購入し合計約2億8千万円です。

また、GPSや携帯電話回線を活用し、車両の位置を把握する車両位置情報システムの導入とランニングコストに年間1億円ぐらいかかります。

雪氷対策の期間については、概ね11月の中旬ぐらいから4月中旬ぐらいまでです。

【記者】

除雪車両の増強について、ロータリー除雪車の7台を追加配備して合計何台になったのか、またトラクターショベルと監視カメラについても、同様に教えてください。

【社員】

ロータリー除雪車は7台追加配備して40台、トラクターショベルは追加で20台リースして44台、監視カメラは14台追加設置して350台になります。

【記者】

除雪車は、全体で何台ぐらいありますか。

【社員】

除雪関係の車両は全部で約650台あります。それ以外にもパトロールカーや維持管理車両がありまして、全部で約1300台。さらに子会社の車両も使い、増強している状況です。

【記者】

今回の車両の増強台数だけうかがうとそれほど多いようには感じませんが、2月の大雪の反省から、これぐらいの増強で大丈夫とお考えでしょうか。

【社長】

雪氷台数の増強だけでなく、地域間の連携を強化しました。高速道路をご利用のお客さまには、降雪が予想されるときには不要不急の出控えをお願いします。

また、高速道路をご利用いただく際には、十分な冬装備をお願いします。上り勾配で立ち往生してしまい、それが渋滞の原因になり、通行不能となってしまうことがあります。マスコミの皆さま方にも事前広報のご協力をお願いしたいと思います。

【記者】

追悼慰霊式は、去年と同様の内容ですか。

【社長】

去年も実施しており、今回も昨年と同様の内容です。

【記者】

今後、毎年実施する予定でしょうか。

【社長】

今後どうするかは、ご遺族のご意向に沿って検討してまいります。

【記者】

不調特命見積協議方式ついて、先ほど不調が発生しやすい工種として橋梁下部工が多いというお話がありましたが、なぜ橋梁下部工で多いのか、背景を分析しているものがあれば教えてください。また、今回特命見積協議を導入したことで不調の発生は大きく下がっていますが、入札不調となった件数を教えてください。

【社員】

下部工工事を具体例で挙げましたが、特に多いということではありません。コンクリート補修工事なども多くなっています。次に不調特命の対象となった件数についてですが、工事入札執行件数169件のうち入札不調件数は61件、36%となります。

【記者】

大雪対策に関して、今回の追加した各対策によって、今年2月と同程度の大雪程度が発生した場合、どの程度の混乱が解消される見込みなのでしょうか。

【社長】

雪の降り方、積雪量、滞留車などの状況にもよりますが、体制をしっかりと強化しましたので、機動力が向上します。また、地域との連携も強化しますので、効果があるものと期待しています。

【記者】

改正された災害対策基本法に基づく取り組みとは、立ち往生車両や放置車両の移動ということですか。

【社長】

そのとおりです。当社としてもできるだけ早く、高速道路の通行を確保したいと思っています。

【記者】

高速道路上で立ち往生などがあった場合、持ち主の了解を取らなくても道路脇に移動するとか、あるいは高速道路会社で車両の保管をされるということでしょうか。

【社長】

路肩に移動する、あるいはサービスエリアやパーキングエリアまで移動するなどの方法があると思いますが、具体的には今後検討していきたいと考えています。

【記者】

JRなどの鉄道各社は、雪や台風の場合にあらかじめ運休を決めるなどの対応をして利用者になかなか好評のようですが、今回のお客さまに出控えをお願いするというのは、「大雪が予想されるので、明日4時から通行止めにします」というところまで踏み込んだものを想定されていますか。

【社長】

そこまでは考えておりません。雪の降り方、量、あるいは交通の状況、さまざまな要素がありますので、あらかじめ通行止めを判断することは難しいのではないかと思います。当社としては、できるだけ交通を確保して、冬の高速道路の安全に努めたいと考えています。

 

【司会】

ご質問が途切れたようですので、これで定例記者会見を終了いたします。