NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2010年06月23日矢野会長定例記者会見

会見要旨

(司会)

みなさまお待たせいたしました。ただいまから第56回の定例記者会見を始めさせていただきます。


(会長)

NEXCO中日本代表取締役会長CEO・矢野弘典

みなさんこんにちは。
それでは最初に事業の現況から始まりまして5つのトピックスについて冒頭ご説明させていただきたいと思います。
まず、高速道路の状況でありますが、5月の料金収入は、前年同月比1.2%減であります。通行台数はプラス3.8%。大掛かりな料金割引が始まって一年以上経ちまして、前年度との対比では大きな差が生じなくなっております。料金収入は低いなりに横ばい。通行台数も高いなりに横ばいということであります。料金と通行台数の関係はこれまでと同じ原因によるものでございます。それからETCの割引額は10.1%割引額が増えています。これによってETCの割引率は約47.3%となっております。ETC割引が無かった場合の料金収入はプラス3.8%となっております。

毎回報告しています車種別交通量ですが、今年度(2010年度)と2009年度と比較いたしまして、軽が109.2%、普通が101.5%、中型103.6%、大型107.4%、特大115.7%、合計103.0%です。2008年度との対比でみますと、軽が114.5%、普通104.1%、中型87.9%、大型86.7%、特大89.8%、合計101.5%ということです。一昨年との対比では先月は中型以上が90%を越えていたのですが、また90%を割るという状態になっています。それから、走行台キロは、2009年度との比較では軽が110.0%、普通が100.5%、中型105.1%、大型107.5%、特大117.7%、合計102.8%です。2008年度との対比では軽が128.7%、普通が119.9%、中型89.6%、大型90.7%、特大98.0%、合計111.9%ということになっています。

次に建設の状況は前回と変わっておりません。

ETCの状況ですけども、日平均利用台数は108.2%で利用率は86.2%でありました。直近のところでは6月11日~17日、86.5%。5月7日~13日86.4%ということでほぼ横ばい。平日が86.4%から86.6%、土日休日が86.2%から86.3%ということで横ばいということです。車載器の取り付け台数は3,111万台ということで、再セットアップ込みですと、3,796万台ということになってきます。

サービスエリアの状況ですけれども、売上高は対前年同月比105.1%、内訳を見ますと飲食・物販部門は101.4%。飲食が99.1%、物販が102.7%となっています。大規模改良が始まっていますために飲食部門が100%を切っているという状況です。サービス部門は80.1%、これも大規模改良の影響がでています。ガソリンですが、118.3%ということであります。数量は昨年と同じでしたが単価差が22円ありまして、売り上げで18.3%増ということになっています。広告部門は234.8%これも絶対数が小さい部門でありまして、こういう結果になっております。
以上が恒例の事業の概況です。

次に東名牧之原地区地震災害の復旧工事完了報告。盛土本体の復旧工事が終わりましたのでその状況につきまして担当役員の吉川より報告させていただきます。

 


(吉川常務)

お手もとの資料に基づきまして、東名高速道路牧之原地区地震災害の復旧完了報告についてご説明いたします。平成21年8月11日5時7分頃発生した駿河湾を震源とする地震により東名高速道路の牧之原SA近くの盛土のり面が崩壊し、通行止めとなりましたけれども、このたび盛土本体の復旧工事が完了いたしましたのでお知らせいたします。資料にございますように、6月7日、8日に昼夜連続走行一車線規制を行いまして、舗装、防護柵の工事を行い、その完成をもちまして、盛土本体の工事が完了いたしました。これにより、約10ヵ月実施していました本線の50km/hの速度規制を解除し、従前の速度80km/hになりました。
なお本線外の付帯工事もありますので、引き続き7月の完了を目指し、それをもって全工事が終了となる予定です。
2ページには対策工断面図、盛土工完了と本線舗装工事完了の状況写真、3ページには工事の概要写真を載せております。
また、類似個所の調査ですが、前回もご報告したとおり緊急を要して対策を講じる個所はありませんが、現在も継続して調査を実施しております。以上です。

 


(会長)

次のテーマは、第2回接客コンテストの開催についてのご案内です。これは本日の発表案件です。現在SA・PAは7,000名にものぼるスタッフが勤務して毎日仕事をしていただいているのですが、その中から接客スキルナンバーワンを選ぼうという第2回接客コンテストをやるという計画です。7月14日に行う予定であります。2百数十名の参加者がありそのうち24人を本選に招きまして入賞者を決めるというものでして、審査員には外部から専門家をお招きしまして好感度とかコミュニケーション力、販売力などの接客スキルを競うということになっています。コンテストはこれまで飲食・物販と2部門だけだったんですが、今回は専門店も入れまして3部門で競うということになりました。これが本日の発表資料です。

4番目が、名神高速道路全線開通から45周年を迎えるわけですが、全線開通45周年を記念しまして多賀SAの下りと養老SAの下りでイベントをやります。本件につきましては6月18日に名古屋支社から発表したものですが、良い機会と思いましたので、本日ご説明するものです。1965年に全線開通してから交通量が11.1倍になっている。中長距離貨物車両のうち36%が名神高速道路を利用しているということで、たいへん大きな人流・物流の大動脈として活躍してもらっているわけです。言ってみれば大幹線道路のうちでもっとも古い道路であり老朽化問題が出ているので、百年道路計画を推進して百年たっても元気な道路を目指してやっていきたいと思っております。

最後に、毎回ご紹介しております環境施策の事例でございますが、2件ございます。1件目が、COP10の広報支援活動ということで、資料にもありますようにチェーンソーアートを愛知県内の休憩施設に設置しまして皆さんにご覧いただくということをやっています。チェーンソーアートとは5月の末に世界大会が行われたものでございまして、それをきっかに作り始めたということであります。写真にもありますように新東名で発生した木材を利用しようというものであります。オリジナルポスターも作りましてCOP10の成功のために少しお役に立ちたいと思っております。ロゴマークも名刺やパンフレットに使っていこうと思っておりまして10月に開催される会議が成功するように微力を尽くしたいと思っております。
もう1件は、ギフチョウというチョウですけども、これの生息環境創出ということでありまして、これは絶滅危惧種2種とレッドブックで指定されているチョウでありまして、東海北陸道の城端SAで平成12年の建設段階で近くに生息するギフチョウがSAの中にも飛来するようにと生息環境をつくりあげたというものです。雑木林のもとになる樹木、あるいはギフチョウのえさになるヒメカンアオイといったものをSA内に植栽し、ギフチョウを呼び込もうということでありますが、植栽から約10年たちまして、ヒメカンアオイの順調な生育が確認されましたので、今年の4月に地元の城端小学校の生徒やギフチョウの里作りの会の皆さまと一緒になって放蝶会を実施いたしました。前年に採取された卵から蝶になるまで飼育されたギフチョウでありまして、SA内でも飛んでいる状況が確認されております。これからもこの活動を継続していきたいと思っております。

本日の発表資料は以上でございますが、皆さんもすでにご承知のとおり今度の28日の月曜日に退任することになりました。4年間大変お世話になりまして本当にありがとうございました。会社の発展のためにどうぞ皆さまのご協力をお願いしたいと思います。私と一緒に社長の高橋と専務の西山も退任することになりましたのであわせてご紹介いたします。

 


(社長)

どうも長い間ありがとうございました。みなさんと4年半有意義な時間を共有できたこと本当に幸せであります。今後とも当社にご支援いただきますようよろしくお願いいたします。

 


(司会)

それでは、ご質問をお受けしたいと思います。


(記者)

今の時期に退任されるということの率直な感想と、在任期間色々ご苦労されたこともあったと思うんですが、一番思い出に残っている仕事とか出来事がございましたら教えてください。


(会長)

会社というものはですね、リレーをやっているようなものでして、会社はずっと発展していくことが大事なことですが、そこのプレーヤーというのは時とともに変わっていくわけであります。私はちょうどこの時期になって、政府の方針もあって替わることになったわけですが、我々が事業としてやってきたことが継続して本当に世の中のお役に立つような会社になるように一層努力していかなければならないと思っております。
思い出というのはたくさんございまして、やはり一番うれしい出来事といえば、毎年のように新しい路線といいますか、道路が開通できたことだと思います。その一番の極め付けが一昨年の7月の東海北陸自動車道の全通、185km全通ですね。飛騨トンネルを貫いてよくぞここまで来たもんだと、本当に感慨深いものがありました。新名神も同じ年の2月に開通しました。その後毎年のようにどこかが開通してですね、新しいものを作る喜びというのをその都度実感しまして、また地元の方々のご協力があっての賜物でありますから、地元の皆さんと一緒に喜べたということが嬉しかったですね。
それから災害復旧ですね。やはり自然災害というのは避けられないんですね。当社の自慢をするのも変ですが、やはり大変現場力の強い会社でございまして、日ごろの実力というのがなかなか表に出ないのですが、こういう大災害のところに発揮されるということです。直近では先ほど吉川からご説明しましたが、東名牧之原の盛土の崩落ですね。これも本当に短期間で仮復旧ができまして、皆さんに喜んでいただいたので本当に嬉しかったと思います。他にも去年の5月に、中央道の大月のインターチェンジで切土が崩落したこともありました。最近では東名阪の事がありますし、自然災害というのはいつ来るか分からないという事があります。ですから私は、天災はしょうがないけど人災は良くない。二次災害を起こしてはいけない、ということを念願としてやってまいりまして、何とかそれが今日までこられたのではないかと思っています。
それから当社の将来の事業の柱として海外事業というのを考えているのですが、その手掛かりがベトナムで得られたということがあります。覚書を結び、一昨年事務所を開設し、具体的な案件も受注できるようになりまして、本当にこれからなんですけれども、少し芽が出始めたということを喜んでおります。また、マレーシアとも覚書を結んで、一緒にやろうということで、研修生を受け入れたりもしているわけですね。やはり将来を考えると大事な布石が打てたのではないかなと思っております。


(記者)

二点目になるのですがそれに関連して、会長の在任期間に色々な事業を展開してきたと思いますが、やり残しと言いますか、思い残しといいますか、そういったものが何かあるのでしょうか?


(会長)

みんな、全部ですね。私は自分の在任期間中に私ができたことはあまり無かったんですね。ただひたすら種まきをしてきたと思います。経営理念を作って、やはり世の中に本当に喜ばれる会社にしよう、それを基にCSR経営をやろう、グループの一体化を進めて、親会社だけでなしにグループ全体として仕事をしよう。将来の事業として考えれば新東名を世界をリードする道路にするんだ。百年道路計画で今ある道路を国民の財産ですから大事にして百年経っても元気な道路にしようとか、海外事業とか旅行業とか色々なことに一生懸命種を蒔きましたが、少しやっと芽が出始めたくらいでございまして、後に残る人はそういう点ではご苦労が多いかと思いますけど、みんなでここまで持ってきましたのでぜひそれを実らせて欲しいなと、心から思っております。


(記者)

三点目はそれに関連するかと思うのですが、新社長にアドバイスというか、バトンタッチに際して何らかの言葉をかけられたのか、ここで声をかけられるとするなら、どんなアドバイスになるでしょうか?


(会長)

もう引継ぎは終わりまして、今皆さんに申し上げたことと同じ事をお伝えしてあります。後任の方はCSR経営についても造詣が深いですし、色々な意味で意欲的な方ですから期待をしております。


(記者)

ご退任の件で伺いたいのですが、今回のご退任では相談役に残られるとかそういうことも無いと伺っているのですが、社長と専務もご退任なされるとの事で、トップの方皆さんが退任されてしまうとの事で、今後の事業の引継ぎとか継続性とかそのあたりに課題は無いのでしょうか?


(会長)

たくさん後に残っておりますし、みんな同じ気持ちでずっとやってきましたから、志とかはみな共有できたと思いますから、新会長兼社長を支えていってもらったら大丈夫だと思っています。あまり心配しておりません。


(記者)

いま思い出に残っている仕事としてあげられた海外事業について、総理大臣が変わって、これまでのインフラ輸出政策について、総理が変わったことによる影響とか懸念されていることはありますか?


(会長)

特に今、実感するものはありません。アジアでの事業展開ということが今の政府の成長戦略に入っていますので、これを是非積極的に進めていただきたいと思っています。とりわけコモディティを売るという商売ではなくて、インフラを建設して運営していくという事業は、本当に息が長いんですね。一つの会社だけではなかなかできないし、もっと大事なことはやはり国と一緒になってやっていくということではないかと思います。インフラ事業はそういうものだと思います。政府間の関係がすごく大事ですし、我々は技術とか資金を持って実際の事業をやっていくわけですけど、その仕事をやる上での大事な背景事情は政府間で作っていくことになると思いますので、そういう意味では一体になってやっていくということが大事だと思っておりまして、その環境自体が変わってきたとは思っておりません。ですからむしろそこに力を入れていただいたら良いなと思っています。


(記者)

今回の退任されるという人事もそうですけども、在任期間中に高速道路1,000円ですとか、無料化ですとか、政府の方針に色々翻弄されたかと思うのですが、この辺についてご感想をお願いします。


(会長)

先ほどのご質問にも関係するのですけども、心に残っているのに料金問題はありましたね。これは、やはり国の方針ですから、どうせやるならちゃんとやろうということで、あらゆる準備をやりました。一番時間がかかり気を使うのはシステムの改造なんですね。これについて去年の3月以来何とか間に合わせてきましたので、結果としてはスムーズにいけたのではないかと思っています。今度の無料化も6月28日から始まりますけど、それについても同じように準備万端整えて、その日を待つという状況にやっております。一種の公共料金といいましょうか、そういったものについては公的な関与は当然ありうるわけでして、問題はそれを実行できるかどうか、できない事をできるとは言えないわけですけど、決まったらやるという前提で、いつからだったらできるという検討をすべきだと思います。そういう意味ではグループを挙げて協力をしてもらいまして、何とかここまではスムーズにできた、これからもそうしたいと思っています。


(記者)

今度、民間からトップがいらっしゃるという事で、民間からトップになる方にエールを送るとすればどんなことでしょうか?


(会長)

そうですね。現場力の強い、非常に良い気風を持った会社で、社会的な使命も本当に大きいと思いますので、世の中の期待にこたえるような事業展開をしていただきたいと思います。


(記者)

高速道路会社も民営化から5年目に入り、今後の高速道路会社の民営化の形、例えば今株式も国が持っている形でありまして、今後の民営化の形について思われることはありますか?


(会長)

これまでの5年間は民間会社らしい経営実態を作る、つまり経営基盤を固めるという時期だったと思いますね。ようやくそれがある程度出来てきたという段階だと思います。それで私どもの会社でも、この4月から始まる5年間の5カ年計画をつくりまして、将来の構図を描いたわけですね。ですから、私は中日本の皆さんにはそれに基づいて仕事やっていただければ良いと思っています。民営化するときに将来上場しようということも国会で論議されておりまして、そのこと自体は消えているわけではないと思いますが、やはり民間会社としての実態を作って実力をつけることがほんとに大事だと思っております。


(記者)

会長は東芝からこられて、インフラ事業だとか大分違うと思いますが、純粋な民間企業からこられてまだ改善すべき点とかここを解決したらもっと強い会社になると任期中で思われたことはありますか?


(会長)

道路会社とは大きな製造会社みたいなものだと思うんですね。私も何にも知らないできたんですがね、東芝の経験から言うと原子力発電所を造るのに良く似ているなというのが印象で感じましたね。社会インフラを造るという意味で、半導体とか家庭電化製品とは様子が違いますけどね。電機会社だと重電というんですが、気風が良く似ていますね。チームワークが良くて使命感があって技術力があって。ですから私自身は違和感はなかったですね。私が来てしばらくたって感じたことはやっぱりちょっとスピードが遅いなということですね、民間に比べると。慎重に100点主義をとると遅くなっちゃうんですね。60点でもいいぞ、どんどんやろうということにして。スピードアップってことをずっと言っていましたが最近あまり言わなくなりました。
それから組織の縦割りですね。横の協力がちょっと薄いと思ったので委員会を作ったり組織横断的な活動をしたり、プロジェクトチームを作ったりしてやってきました。5年前に比べるとずいぶん民間に近づいてきたと思います。一番大事なのは、意識といいますかね。お客さま第一を心から思えるようにならないと意識改革ができたとは思えないんですよね。そういう意味で手ごたえを感じられるようになったなぁと思います。着任以来4年になりますが、いつも同じことばかり言ってうるさい親父だなと思われたと思いますけど、あっという間に4年がたったという感じですね。私も出先を4巡しまして5巡目に入りました。一人ひとりの意見を聞いて、私の意見も言いながらお互いに考え方がわかるようになったんじゃないかと思います。私も勉強になりました。東芝から日本経団連にいきまして、経済団体で仕事をしていた時期が7年あるのですが、物を作るような実働ではなくて、シンクタンクみたいなところなんですね。でも会員企業のなかでいい企業もあれば悪い企業もあるということが分かりましたね。そういう意味で視野を広げることができたので、それが役に立ったなぁと思います。


(記者)

今後について何か決められていることはありますか?


(会長)

話が急だったものですから、ちょっと落ち着いて考えようと思いますけど。私も前から本業とは別に社会奉仕活動をやってきましたが、そっちに力を入れようと思っています。ちょっと落ち着いて考えてみたいと思います。


(司会)

これをもちまして定例記者会見を終わりといたします。ありがとうございました。