NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2018年05月24日宮池社長定例会見

会見要旨

司会

皆さまお待たせいたしました。ただいまから第136回の定例会見をはじめさせていただきます。

【事業の現況(2018年4月)】
資料1-1をご覧ください。
まず、営業の状況ですが、4月の料金収入は562億4200万円で対前年同月比3.3%の増加、また、通行台数は日平均196万2000台で対前年同月比2.8%の増加となりました。
4月は、引き続き好調な大型車のご利用に加え、ゴールデンウィークの前半が3連休となり天候にも恵まれたことから、小型車を含め全般的にご利用が好調で、料金収入・通行台数ともに前年同月と比べて増加しました。

続いて建設の状況です。
資料1-1に記載のとおり、2018年度には5つの区間で新規開通や4車線化の完成を予定しています。
各区間とも、現在、土工や橋梁上部工などの道路本体工事を全面展開中で、これらの本体工事が完了したところから順次、舗装工事や標識工事、情報板などの設備工事に着手しているところです。
このうち、東海北陸道の4車線化工事に伴いまして、6月18日から夜間通行止めをおこない、車線の切替工事を実施します。
この工事につきましては、すでに5月18日に発表していますが、通行止めの区間や時間帯は、資料1-2のとおりです。
工事後は、11ページに記載のとおり、一部の区間で走行していただく車線を新設した車線に切り替えますので、標識などに十分ご注意いただき、安全に走行していただくようお願いします。
なお、この車線切替工事に伴いまして、今年の秋にも通行止めをおこなう予定です。具体の実施日が決まりましたら、あらためてお知らせします。
続いてスマートインターチェンジ(スマートIC)の開通予定についてお知らせします。資料1-3、1-4をご覧ください。
当社は、高速道路の有効利用や地域の活性化を推進するため、スマートICの整備を着実かつ効率的に進めています。
今年度に入り、4月15日に中央道・富士吉田西桂スマートICの東京方面出入り口が開通したのに続いて、名神・養老サービスエリア(SA)スマートICが6月24日に開通することになりました。
これにより、高速道路の利便性が一層高まるものと期待していますので、ぜひご利用いただきたいと思います。

次にSA・パーキングエリア(PA)の状況です。
資料1-1の裏面をご覧ください。
4月のSA・PAの売上高は169億400万円で対前年同月比9.9%の増加、飲食・物販部門の売上高は対前年同月比6.1%の増加となりました。
4月は、先ほどお話ししたとおり、ゴールデンウィークの前半が3連休となり、天候にも恵まれたことから、売上高は前年を上回る結果となりました。
ガソリン部門の売上高は、昨年に対し販売価格が上昇したことと、軽油の販売数量が増加したことにより、対前年同月比17.2%の増加となりました。

【高速道路会社初!農地所有適格法人を設立します】
資料2をご覧ください。
近年、日本の農業は、農業従事者の高齢化、次世代の担い手の減少、そして耕作放棄地の増加などが課題となっています。
当社では、それらの課題解決の一助として、農業法人株式会社鈴生(すずなり)と連携して、高速道路会社として初めて農地所有適格法人を設立することになりました。
対象となる地域は静岡県浜松市などで、米や野菜などの休閑期に農家の皆さまからお借りする農地や耕作放棄地を農場として活用して、レタスや枝豆などを栽培します。 栽培時期は、レタスが9月から翌年5月、枝豆が3月から7月で、事業の開始は今年7月を予定しています。
なお、新会社の所在地、資本金、耕作地規模などの概要は、資料2に記載のとおりです。
今回、新会社を設立して農業に参入することで、
(1)高速道路沿線地域の課題解決による地域の活性化や、人と物の交流を図る。
(2)耕作放棄地で新たな耕作をおこなうことで、土地の有効活用や地域景観の維持に繋げる。
(3)国産野菜の安定供給の一助となる。
ことができると考えています。
当社では、この事業を日本の農業を支える取り組みの1つとして捉え、今後も高速道路沿線地域の価値向上を積極的に支援していきます。

【NEXCO中日本のi-Constructionの取り組み】
次に、舗装補修工事でのICT技術の活用に関するトピックです。
資料3をご覧ください。
国土交通省や高速道路会社では、安全性向上と生産性向上を目的としてi-Constructionを推進しているところですが、このたびNEXCO3社では初めて、ICT技術を全面的に活用した舗装補修工事を試行しましたので、ご紹介します。
試行の対象とした工事は、昨年度に実施した東名高速道路(特定更新等)富士管内舗装補修工事で、工事の施工にICT技術を導入し、事前測量、3次元設計データの作成、3次元データによる施工および検査(出来形管理)の全ての工程で適用性の検証をおこないました。
今回試行した具体的なICT技術は、次の4つです。
(1)光波を用いた測量機器およびレーザースキャナによる事前測量
(2)事前測量データを活用した3次元設計データの作成
(3)3次元設計データを活用した、舗装切削機やアスファルトフィニッシャなどの施工機械の自動制御
(4)光波を用いた測量機器およびレーザースキャナによる施工後の検査(出来形管理)
試行結果は、2ページの比較表のとおり、これまでと同等の品質を確保できるとともに、施工機械の自動制御での作業の安全性が確保されていることも確認することができました。
今後は、ICT技術を活用した舗装補修工事をさらに展開し、そこで得られたデータをもとに、従来工法に対する生産効率を評価したうえで、測量精度や施工精度を踏まえた管理基準の見直しなどを進め、舗装補修工事の安全性と生産性の向上を推進します。

【スピーカーを用いた『音声』による注意喚起システムの導入】
次に、技術開発に関するトピックです。資料4をご覧ください。
交通死亡事故につきましては、今年1月の定例会見でもお話ししましたが、当社管内では昨年1年間で40件の死亡事故が発生し、そのうち渋滞末尾での追突事故が7件発生しています。
また、これ以外にも死亡事故に至らない渋滞末尾での追突事故が多数発生している状況です。
そこで、本日ご紹介するのは、渋滞末尾での注意喚起に有効なシステムです。
このシステムは、リニューアル工事などの交通規制区間手前のトンネル内に複数のスピーカーを並べ、前方に工事による交通規制区間があることを『音声』で走行中のお客さまにお知らせするものです。
このシステムの概要は、2ページに記載していますが、正面のTVモニターをご覧ください。
現在は、本線上の渋滞情報などを、高速道路をご利用のお客さまに情報板や標識および標識車などで視覚的にお知らせして、注意喚起をおこなっていますが、前方の視界に注意が向いていない場合には、これらの情報が認知されないことがあります。
これに対して、新たに音声による聴覚情報を加えることで、より効果的にお客さまに直接注意喚起をおこなうことが可能となり、追突事故の防止に繋がるものと考えています。
スピーカーによる注意喚起は、これまで「警告音」によるものはありましたが、「音声」によるものは高速道路会社で初めての取り組みです。
このシステムは、すでに小田原厚木道路のリニューアル工事区間で運用を開始しています。
今回は音の拡散が少ないトンネル内に限定した取り組みですが、今後はトンネル以外の区間でも活用できるように技術開発を進めていきます。
このシステムを活用して、居眠り運転による追突事故を防止するとともに、渋滞の発生などをより効果的にお客さまに提供し、高速道路をより安全・安心にご利用いただけるよう交通事故防止対策に役立てていきます。

司会

以上が本日ご用意したトピックです。それでは、これから皆さまからのご質問をお受けします。

記者

農業への参入に関して、資本金7,000万円とありますが、出資比率を教えてください。

社長

当社が4,000万円、鈴生が3,000万円の出資を予定しています。

記者

「今後5か年で順次耕作地を拡大していく」とありますが、例えばどの地域で、当初の耕作地面積13haをどれ位まで拡大したいのか教えてください。

社長

今後5年で23ha程度を目指したいと考えています。地域としては、資料2ページの図1の範囲(浜松市周辺)を考えています。

記者

この事業はどういった形で御社の収益に貢献するのか教えてください。

社長

当社の事業には高速道路事業と関連事業がありますが、関連事業としての収益となります。

記者

農作物の売り上げが、そのまま収益となるイメージですか。

社長

新会社は当社の関連会社となるため、持分に応じた収益が計上されることとなります。

記者

音声による注意喚起システムについて、今後管内のすべての工事で使用する予定なのか教えてください。

社長

まだすべてとは言えませんが、試行的に小田原厚木道路の工事で使用しており、効果を見ながら他の工事などに展開していきます。また現在は、音が拡散しないトンネル内での使用ですが、トンネル以外の区間でも使用できるように技術開発を進めていかなければならないと考えています。いずれにしても、渋滞末尾での悲惨な事故の減少に向けて、効果が得られるよう期待しています。

記者

農業への参入の件で、鈴生とは業務提携ということになるのでしょうか。

社長

当社と鈴生の両社が出資して会社を設立するかたちです。

記者

農地所有適格法人ということですが、農地は所有しないで、借地をするということですか。

社長

将来的には農地を所有する可能性もありますので、農地を所有することができる資格のある会社という意味です。

記者

実際に農作業をされるのはどのような方か教えてください。

社長

新会社へは、鈴生と当社のそれぞれから社員の出向を予定しており、新会社のメンバーで農作業をおこなう予定です。

記者

収穫されたレタスや枝豆などは、JAなどを通じて販売されるのでしょうか。

社長

鈴生が外食産業や中食産業に卸している流通ルートを活用することを考えていますが、将来的には小売りや、当社のSAでの販売もあり得ると考えています。

記者

生産量の目標があれば教えてください。

社員

初年度は、レタスとロメインレタスで約220t、枝豆で約35tを計画しています。将来的には、面積がおよそ2倍になる計画ですので、そうなると生産量も2倍になります。

記者

浜松市以外の他地域への展開も考えられているのか教えてください。

社長

当社は経営方針のひとつに「地域活性化への貢献」を掲げています。その一環として、農業への参入はチャンスがあれば広く展開していきたいと考えていますが、現時点では具体的な計画はありません。

記者

農地所有適格法人を設立することになったきっかけは何か教えてください。

社長

冒頭に申し上げましたように、日本の農業が抱えている課題があり、一方で、当社が地域の活性化に貢献しようという取り組みを進める中で、鈴生は静岡県内で広く農場を経営しているため、相互に連携することで、このようなビジネスモデルになったということです。

記者

音声による注意喚起システムについて、期間は7月末まで試行するとのことですが、それ以降の活用の目途を教えてください。

社長

小田原厚木道路のリニューアル工事での試行として、工事がおこなわれている7月末までとしています。

社員

今後の計画はまだ決まっていませんが、効果があれば、他の工事にも活用しようと考えています。

記者

「渋滞情報の提供にも使用する」とありますが、工事以外の渋滞が発生したときに、何kmの渋滞の際に活用するなど、何らかの目安があれば教えてください。

社員

今のところ、そのような運用面については決めていませんので、今後決めていきたいと考えています。

社長

先ほど申し上げましたように、現在はトンネル内だけで使用していますが、今後はトンネル以外の区間など、どこでも使用できるように技術開発を進め、効果があれば広く展開していきたいと考えています。

記者

農業への参入の件ですが、当初の13haというのは、耕作放棄地を活用されるということでしょうか。

社長

一部耕作放棄地が含まれていますが、ほとんどが水田の裏作でのレタス栽培や、ブロッコリーを作っている畑の裏作での枝豆栽培という、裏作での展開となります。

記者

鈴生との役割分担ですが、基本的に野菜を育てるのは鈴生の役割で、御社が販売をおこなうなど、具体的な関わり方や役割などを教えてください。

社長

当社からも役員や社員を派遣して、実際に管理・運営もします。将来的には、そこでのノウハウを生かしながら、事業を広く展開したいと考えています。

記者

音声による注意喚起システムの件について、トンネルから何km以内の渋滞をお知らせするのかということと、最近はレンタカーを利用したインバウンドの方も増えていますが、将来的に外国語の対応も考えられているのか、その2点について教えてください。

社長

スピーカーはどんな言語でも対応可能ですから、すぐに実現できる話かと思います。

社員

今回はリニューアル工事の交通規制区間で使用していますので、渋滞が発生したら「渋滞 この先走行注意」と放送するようにしています。したがいまして、トンネルから何km以内ということではなくて、渋滞を検知したら放送するということになります。

司会

ご質問が途切れたようですので、これで定例会見を終了させていただきます。

以上