NEXCO 中日本 中日本高速道路株式会社




2017年06月22日宮池社長定例会見

会見要旨

司会

皆さまお待たせいたしました。ただいまから第126回の定例会見をはじめさせていただきます。

【はじめに】

社長

本日もお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
会見を始める前に、一言申し上げます。
6月10日午前7時ごろ、東名高速道路の新城パーキングエリア(PA)付近において、下り線走行中の乗用車が中央分離帯を越え、上り線走行中の観光バスに衝突する事故が発生しました。
この事故で、乗用車の運転手1名がお亡くなりになり、観光バスの乗客・乗員45名が負傷されました。
お亡くなりになった方にお悔やみ申し上げるとともに、お怪我をされたお客さまの一日も早い回復を心よりお祈りしつつ、お見舞い申し上げます。
事故につきましては現在、警察で捜査中でありますが、国土交通大臣から「発生状況の把握や、そのための現地調査を警察と協力して適切に進める」よう指示を受けています。
当社としましては、引き続き警察の捜査に協力し、発生状況の把握に努めていく所存です。

【事業の現況(2017年5月)】

次に事業の現況ですが、その前に、この春実施しました名神・中央道の集中工事と東名阪・名二環のリフレッシュ工事が予定どおり完了しましたのでご報告します。
工事期間中は、高速道路をご利用のお客さまや周辺地域の皆さまに、大変ご迷惑とご不便をおかけしましたが、ご協力をいただきありがとうございました。

資料1-1をご覧ください。
営業の状況ですが、5月の料金収入は578億2000万円で対前年同月比4.5%の増加、また、通行台数は日平均192万5000台で対前年同月比1.8%の増加となりました。
5月は、中央道などの集中工事の時期変更による減少要因があったものの、今年のゴールデンウィークは5月3日から5連休となり、天候にも恵まれたことで、料金収入・通行台数ともに増加となりました。

続いて建設の状況ですが、2017年度に開通を予定している区間の工事概況についてご説明します。

新東名 海老名南ジャンクション(JCT)から厚木南インターチェンジ(IC)間2kmにつきましては、厚木南IC部の土工、橋梁上部工などの道路本体工事を実施中です。
また、今月から、舗装工事や標識工事、料金所の建物など設備工事に着手しました。
道路本体工事が完了したところから、これらの工事を順次展開する予定です。
東海環状道 養老JCTから養老IC間3kmにつきましては、共同事業者である国土交通省中部地方整備局から道路本体の引継ぎを受け、舗装工事や標識工事、設備工事を展開中です。
両区間とも、できるだけ早期の開通を目指し、鋭意工事を進めていきます。

東海北陸道白鳥IC~飛騨清見IC間の4車線化事業につきましては、来年度の完成を目指し鋭意工事を進めています。
昨年11月に、報道関係の皆さまに鷲見橋の現場をご覧いただきましたが、橋脚の高さが日本一となったことを記念して、7月9日に「橋脚高日本一達成式」を開催する予定です。
当日は、郡上市長をはじめ地元の方々にご参加いただくとともに、地元の小中学生が、将来の自分に向けてのメッセージをタイムカプセルとして橋桁内に保存するなどのイベントを予定しています。
詳細につきましては、決まり次第、あらためてお知らせします。ぜひご取材いただきますようよろしくお願いします。

次にサービスエリア(SA)・PAの状況です。
5月のSA・PAの売上高は176億3000万円で対前年同月比7.9%の増加、飲食・物販部門の売上高は対前年同月比2.2%の増加となりました。
今年のゴールデンウィークが5月3日からの5連休となったことに加え、天候にも恵まれたことから、5月の売上高は対前年比102.2%となりました。
ガソリン部門の売上高は、昨年に対し販売価格が上昇したことと、軽油の販売数量が増加したことにより、対前年同月比24.5%の増加となりました。

資料1-2をご覧ください。
当社のSA・PAでは、施設の老朽化対策など、お客さまに安全・安心・快適にご利用いただけるように施設のリニューアル工事を進めています。
本日は、本格的な夏の行楽シーズンに向けて、続々リニューアルオープンしますSA、PAについて、お知らせします。
資料1-2の表にありますように7カ所、EXPASA海老名上り線、談合坂SA上り線を始めとして、7月から順次リニューアルオープンする予定です。
市中でも人気のお店や、長く地元で愛されているお店など、話題性のあるお店がオープンします。
お近くにお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。
なお、各SA・PAのオープン日時などの詳細は、別途あらためてお知らせします。

【中央道 「高速道路リニューアルプロジェクト」 橋の床版防水工とトンネルの補強工事を公開します】

資料2をご覧ください。
『高速道路リニューアルプロジェクト』は、劣化の進んだ橋梁やトンネルなどを修理して末永く使うための工事で、昨年度から本格的にスタートしています。
今回は、5月末から実施しています、中央道の岡谷JCTから伊北IC間の床版(しょうばん)防水工事およびトンネル補強工事の現場を報道関係の皆さまに公開しますので、お知らせします。
日時は、7月4日(火)の13時から16時30分までを予定しています。
今回ご覧いただける「高速道路リニューアル工事」は、中央道 天竜川橋(上り線)の床版防水工事と辰野トンネル(下り線)の補強工事です。
なお、お手元に今回の工事現場をご紹介するDVDをお配りしていますので、リニューアル工事をご理解していただく参考資料としてご活用ください。
また、当社で実施するリニューアル工事では、初めてのトンネル補強工事の現場公開となりますので、ぜひこの機会にご参加いただきますようお願いします。

【交通安全施策に脳機能NIRSを活用した瞬時の判断にかかわる脳評価手法を開発しました】

次に資料3をご覧ください。交通事故対策に関する新たな取組みです。
高速道路では、交通事故防止のために、注意喚起標識や路面標示、視線誘導標などを設置していますが、これらの効果を評価する新たな手法を開発しました。
今までは安全対策の効果の評価はアンケートやドライビング・シミュレータなどによりおこなっていました。しかし、アンケートでは記憶の誤りや思い込みが避けられないなどの課題がありました。
また、ドライビング・シミュレータと実際の高速道路では、見え方などに相違があるため正確な評価が得られないことがありました。
当社はこれらの課題を解決するため、東京大学生産技術研究所と、株式会社脳の学校と共同で、実走行環境とドライビング・シミュレータ環境下の対象物の輝度の比率を合わせることなどにより、よりリアルな画面のドライビング・シミュレータに改良しました。
一方、脳機能近赤外線分析測定装置(脳機能ニルス)を車両に載せて、運転者の脳活動を計測する技術を開発し、アンケートという記憶に頼らずに、脳活動を定量的に把握して評価する手法を開発しました。
これらより、開通前の高速道路での実道実験とドライビング・シミュレータを使用した実験をおこない、両実験の結果に相関を導き出し、ドライビング・シミュレータと脳機能ニルスを使用することで、実道実験と同様の評価を得ることが可能となりました。
今後は、今回開発した脳活動を計測する技術を応用して、例えば、JCT部の複雑な構造箇所の情報提供や標識設計の交通安全対策の検証などに活用し、より効果的な交通事故対策の立案と施策の構築に役立てていきます。

【地域環境への配慮(エコロードづくり)の取組みについて】

資料4をご覧ください。
当社は、世界の持続可能な発展に貢献するため環境方針を定め、「地球温暖化の抑制」、「資源の3Rの推進」、「地域環境への配慮」の3つを重点施策に掲げています。
その中の「地域環境への配慮」に係る取組みは、エコロード(自然環境に配慮した道)づくりとして先進的に進めてきました。
高速道路の建設は、周辺の動植物の生息・生育環境の消失や動物の移動経路の分断をもたらす恐れがあることから、当社では、次の目的で、高速道路全域でエコロードづくりに取り組んでいます。

≪エコロードの目的≫
●マイナスの軽減
1.生息・生育環境の消失・縮小を少なくする
2.移動経路の分断を防ぐ
3.生息・生育環境の質的変化を少なくする
●プラスの付加
4.道路空間を活用して生息・生育環境を創出する

具体的な取組みとして、昨年2月に開通した新東名 愛知県区間の建設時に、希少性の高い動植物の移植や巣箱の設置などをおこない、生息環境を創出しました。
これらにつきまして、開通1年後に事後調査をおこない、外部有識者を含めた委員会で評価した結果、一定の効果が確認できましたので、具体的な取組み内容と調査結果をご紹介します。
希少植物の移植につきましては、愛知県の準絶滅危惧種に指定されているキンランなどが、代替地へ移植した後も9割以上が生育していることが確認されました。
希少動物につきましても、国の絶滅危惧種ⅠBであるトウカイナガレホトケドジョウが、移殖した代替地で個体数を維持していることが確認されました。また、愛知県の準絶滅危惧種である水生昆虫ヒメタイコウチも個体数維持が確認され、合わせて自然環境下で2年以上生息するという新たな知見も得られました。
その他、高速道路の近接地などに設置した巣箱では、鳥類のほか、愛知県の準絶滅危惧種である哺乳類のムササビが利用している様子も確認されました。
当社では、新東名静岡県区間、新名神、圏央道など各地でエコロードづくりを進めてきました。
今回、新東名愛知県区間でおこなった取組みによって得られた知見は、新東名神奈川県区間の建設などに活かし、地域環境に配慮した道路建設・維持管理を引き続きおこなっていきます。

【女性が働きやすい職場づくりの取組み】

様々な企業で女性社員の活躍を推進する取組みが進められているところですが、当社でも「女性が働きやすい職場づくりの取組み」を進めています。
資料5-1をご覧ください。
当社では女性の活躍推進を重要課題の一つと位置づけ、女性基幹職の積極的な採用に取組んでいます。その結果、当社の女性基幹職数は2012年度から2017年度の5年間で約1.6倍に増加しており、2017年4月1日現在で183名となっています。
出産や育児などのライフイベントを経ても女性社員が活躍しつづけられる職場環境づくりを目指し、当社でも様々な取組みを進めています。
本日はその取組みの一つである「女性が働きやすい職場推進会議」での検討結果のうち、女性用作業服の一部リニューアルと「育児のための制度ブック」の作成についてご紹介します。
当社の作業服は、女性用のサイズはあるものの、基本的には男性用のものを女性用に小さくした仕様となっていました。この度、女性社員自らが意見を出し合い、女性の体型にあった安全で機能的な作業服へと一部リニューアルをしました。
また、出産・育児に係る当社の諸制度を一冊にまとめた「育児のための制度ブック」を作成し、女性社員だけでなく男性社員にも広く周知し、制度の活用促進を図っています。
なお、女性社員が新旧の作業服を着て控えていますので、簡単に「女性が働きやすい職場推進会議」の担当者からご説明します。

社員

女性の働きやすい職場づくりの取り組みにつきまして、2点ご紹介します。
一つ目は、女性用作業服のリニューアルです。資料5-2もあわせてご覧ください。
こちらが従前のもの、こちらが新しいものになります。全体的にご覧いただくとお分かりになるかと思いますが、従前のものは女性の体型に合っておらず、だぶつきが目立ちます。このだぶつきを改善するために、胴や袖のサイズを見直して体型にあった細身のシルエットに変更しました。また、従前の作業服のポケットには、このような手帳などが入りませんでした。そこでポケットのサイズを大きくするとともに、ズボンにもポケットを追加しました。また、ポケットの留め具をボタンから、ファスナーへと変更しています。
二つ目は「育児のための制度ブック」の作成です。これまで妊娠・出産・育児に関する当社の制度や手続きをわかりやすくまとめたものがなかったことから、それらの制度や手続きについて、分かりやすく一冊にまとめた「制度ブック」を作成しました。
女性だけでなく男性社員も利用できる制度も記載しており、社員へ周知しています。
会見終了後に、あらためて詳しくご説明しますので、ご興味のある方は、会場後方にお集まりください。

司会

以上が本日ご用意したトピックです。それでは、これから皆さまからのご質問をお受けします。

記者

女性の働きやすい職場作りの件で、女性の社員の方が10%くらいであると言われていましたが、例えば、近年では増えているのでしょうか、民営化以降の推移が分かれば教えてください。

社長

先ほどご説明したとおり10%くらいまで増えてきています。2017年現在で女性基幹職は183名となっており5年間で1.6倍になっています。全社員が2,000名程度ですので、約1割というところです。また、採用にあたっても約30%を目標に女性を採用しており、将来的には、技術系社員、事務系社員合わせまして概ね1/3程度が女性社員というところまで、いくのではないかと思っています。

記者

国土交通省では、工事を発注する側だけではなくて、工事を請ける側でも、女性活躍を促していこうという取組みがなされています。例えば、女性が働きやすい現場、あるいは女性が働きやすい企業に対しては優遇するという措置をとっています。NEXCO中日本としてこういった取組みは実施しているのでしょうか、あるいは今後、取組んでいかれるのでしょうか。

社員

優遇するといった制度はありませんが、国土交通省が進めている「快適トイレ」などの導入につきましては、当社も仕様書に記載しており、受注者の方でそういった設備を導入しているところです。

記者

東名の事故について、事故発生から10日ほど経過しています。調査を警察と協力して進めているのは分かりますが、一方では、現在も道路が通行できる状態となっているので、何か具体的な対策とか、特殊な事故であると思いますが、今後の予防に向けた動きがありましたら教えてください。

社長

現在警察が捜査しているところであり、当社としましては、引き続き警察の捜査に協力し、発生状況の把握に努めていきたいと考えています。その捜査の結果がまとまり次第、当社としても必要であれば、今後の取組みを進めていきたいと考えています。

記者

各報道でも出ているように、盛土を駆け上がっていったのではないかという事が言われていますが、今後、盛土をどうしていくのか、何かお考えがあれば教えてください。

社長

盛土が原因だったというような説もいろいろと飛び交っていますが、今、警察で捜査していますので、その捜査結果をしっかりと踏まえた上で、対策を進めていきたいと考えています。

記者

6月24日(土)から、ETC利用車が新城ICから出て、道の駅に寄って1時間以内に戻れれば無料、という実験が開始されると思いますが、あらためてその狙いについて教えてください。

社長

SA・PA間の距離が概ね25km以上あるような区間で、道の駅を使っていただければ、お客さまの利便性が上がるのではないかということです。ETC2.0をご利用のお客さまにつきましては、そこを出入りしても料金的には高速道路を降りずに通行したことと同じになるというものです。また、当社の経営方針の1つである地域の活性化に役立つものと考えていますので、これからご利用いただきたいと思います。

記者

SA・PAを新しく造るのではなく、既存の道の駅を利用するというのは、先ほど話された地域の活性化というところに焦点を当てているということでしょうか。

社長

新しく造るのではなく、既存の道の駅を利用しながら地域の活性化にもつながりますので、皆さんのためになればと思っています。

記者

東名の事故について、警察の捜査に協力していくということは、重々良く分かりますが、警察は基本的に個別の現場の事についてだけ捜査するので、愛知県のように県の状況を自主的に調べるというように、御社管内の高速道路での類似箇所がどれくらいあるとか、どのような条件下であればこんな状況になるなど、再現実験のように、色々と主体的にやる余地はあるような気がしますが、これについて如何なものか教えてください。

社長

今警察で捜査されていますので、どういう状況であのような事故が起きたのかとか、条件が一体何であったのかなどがある程度判明しないと、なかなか難しい問題だと思います。今後、そのようなことが警察によって詳らかにされていくと思いますので、それを踏まえた上で、当社としても取組みをしっかりと進めていきたいと思います。

記者

御社に直接関係するわけではないのですが、NEXCO西日本の新名神の工事現場で事故が相次いでいます。数日前もありましたが、これについてのコメントというか、あらためてこの先、点検をやっていくとか、なにかあれば教えてください。

社長

当社も同じような工事をしていますので、事故が起きれば、事故の原因や対策を明確にして、その都度他の現場へ水平展開しています。従って、今回の事故につきましても、今後、事故の詳細が分かってきた段階で、現場に注意喚起を促すなどの取組みをおこなっていきます。

記者

先日御社の決算を発表されていましたが、その中で関連事業の収入が順調に増えていると思います。今回もSA・PAのリニューアルについて発表されていますが、御社は収益の中でとりわけ関連事業の収入というのはある意味自らの努力や工夫によって収益を伸ばせる部分だと思うのですが、先日の決算における関連事業の現状認識と今後について少しコメントいただければと思います。

社長

今後、新名神の鈴鹿PAや新東名神奈川県区間の中で2箇所ほどSA・PAが新設されます。それらにつきましては今後さらに投資が進んでくると思います。先程ご紹介しましたリニューアルにつきましては、老朽化が進んでいるSA・PAもありますので、お客さまのニーズに合わせる形でリニューアルを進め、今夏にはまとまってオープンします。また、今回ご紹介していませんが、新東名が開通し、お客さまの利用形態も東名・新東名の両方に別れている状況もありますので、それに合わせて色々とリニュ-アルを進めています。例えば、トラックドライバ-の方々が使いやすいような構造にするなどの工事を進めています。お客さまにできるだけ気持ち良く使っていただけるSA・PAになるように、投資を進めていきたいと思っています。

司会

ご質問が途切れたようですので、これで定例会見を終了させていただきます。