

第1回 新たなネットワークが生む地域の活力
地域の活性化と暮らしの向上、日本の社会・経済の成長などさまざまな価値を創出する高速道路ネットワーク。
その機能強化と進化に取り組んだ20年の振り返りを中日本高速道路株式会社取締役会長水野明久氏と、俳優・タレントの遼河はるひ氏が語り合いました。

俳優・タレント
遼河 はるひ氏
愛知県名古屋市出身。
宝塚歌劇団・月組の男役
スターとして活躍。2009年の退団後は、テレビドラマや舞台、バラエティ番組など多方面で活動。

中日本高速道路株式会社
取締役会長
水野 明久氏
愛知県名古屋市出身。
1978年に中部電力に入社。現在は中日本高速道路株式会社の取締役会長として、インフラ整備や地域発展に貢献。
新東名・新名神開通が変えた中京圏の暮らし
水野:遼河さんは名古屋のご出身ということですが、この地域の変化をどのように感じていらっしゃいますか。
遼河:名古屋市内から高速道路でどこへ行くにも近くなり、すごく便利になりました。ロケが多いので、道路がスムーズだと本当に助かります。
水野:新東名や新名神などの整備によって新たに約560キロの高速道路が開通し、高速道路ネットワークが拡大したことで利便性が大きく向上しました。この20年で当社が管理する高速道路の交通量は約3割増加しましたが、渋滞が激しかった東名阪道の四日市JCTから亀山JCTでは約8割、東名の音羽蒲郡IC付近では約9割の渋滞が減少しています。

遼河:東海環状道の新たな区間も次々と開通していますよね。8月には東海環状道西回り区間(新四日市JCTから関広見IC)の北側(養老JCTから美濃関JCT)が全線開通したことで、ますます便利になったと思います。西回り区間が全線つながることが待ち遠しいです。
水野:まさにそうです。北側の全線開通により、関西から東京方面へ行く際も、従来の名神一宮経由のルートに加えて、東海環状道を経由する迂回ルートも選択できるようになりました。同じ通行料金で状況に応じたルートが選べるのは大きな利点です。今後、養老ICからいなべICがつながり西回り区間が全線開通することで、中京圏の高速道路環状ネットワークが完成しますので、物流の面などで更なる効果が期待できます。
遼河:インターネットで注文した商品が翌日届くのも、こうした道路網の充実があってこそですね。産業面での効果も大きいのではないでしょうか。
水野:東海環状道西回りの開通が進んだ平成24年以降、沿線市町では工場団地の数が約3倍に増加し、雇用創出や税収増加といった形で地域経済の活性化につながりました。高速道路は、地域の経済発展を牽引する重要なインフラであることを実感しています。
親しみやすさと利便性の向上・活性化にもつながるSA(サービスエリア)
遼河:SAも本当にきれいになりましたね。一日遊べるところもありますし、お昼を食べたり、お土産を買いに行ったりします。
水野:ありがとうございます。さまざまなサービスの充実を図り、単なる休憩施設から地域の魅力を発信する拠点へと進化させてきました。一般道側からの入退出を可能にすることで、地域の皆さまにもご利用いただけるようになり、地域コミュニティの一部として機能しています。トイレの整備にも力を入れており、お客さまから「こんなにきれいで便利になったのね」とお声をいただくなど、私どもの取り組みが評価されていることを嬉しく思います。
遼河:授乳室など、子育て世代にとっても配慮が行き届いていると思います。車での移動では小さなお子さんはストレスを感じがちですが、こうしたSAがあると本当にありがたいと思います。
水野:地域のニーズを聞き、地域経済発展の一助となりながら、これからも人々の生活を豊かにする高速道路を目指していきます。
第2回 次世代へ繋がる新たな価値を創出
地域の活性化と暮らしの向上、日本の社会・経済の成長などさまざまな価値を創出する高速道路ネットワーク。
その未来への展望を中日本高速道路株式会社取締役会長水野明久氏と、俳優・タレントの遼河はるひ氏が語り合いました。
安全・安心・快適へつながる道路整備新しい技術の導入も
遼河:高速道路の更なる機能強化に向けた今後の課題はなんでしょうか。
水野:東名高速や名神高速は開通から約50年が経過しているため、道路インフラの老朽化対策の必要性が増しています。
遼河:普段使っていると老朽化には気づかないものですね。

水野:リニューアル工事を行うには、交通規制が必要となり渋滞が発生することもありますが、社会的影響を最小限にする工夫やリアルタイムの渋滞情報も提供しています。代替(迂回)ルートが複数あることで、状況に応じて選択していただけるのも改善の一つです。皆さまに丁寧に説明しながら進め、安全・安心を次の世代へ確実につないでいきたいと考えています。
遼河:日本では道路が安全に使えて当たり前という感覚がありますが、それは皆さんの努力があってこそなんですね。新しい技術への取り組みはいかがですか。
水野:自動運転時代に向け関係省庁などと連携し、新東名で自動運転トラックの実証実験を行っています。人口減少が進むなか、人手不足などの社会課題の解決の一つの手段となり、特に、物流の効率化に大きく寄与するものと考えています。
遼河:物流の自動化は本当に重要ですね。大型トラックの長距離運転による交通事故や長時間労働といった課題解決にもなりますね。
水野:東京外環道などの環状道路や、新東名 新秦野ICから新御殿場IC間も建設が進んでおり、これらの完成は、さらなる利便性の向上、道路を活用した技術革新に欠かすことができないと考えています。
遼河:リニア中央新幹線との相乗効果も期待できますね。
水野:そうですね。リニア中央新幹線とともに、高速道路は日本中央回廊として三大都市圏を結ぶ、極めて重要な役割を担うことになります。リニアが点と点を結ぶ高速交通であるのに対し、道路は面的な交通ネットワークも提供します。引き続き、各リニア中間駅と高速道路のアクセスを確保すべく関係機関とも密に連携し、今後の街づくりへつなげていきます。
期待を確信に変えるため未来に向けてさらなる進化を
遼河:私は犬山の観光特使ですので、歴史や文化等、愛知県の良さを他県の方にもっと知ってもらいたいと思っています。
水野:中京圏は今後ますます発展していく重要な地域であり、そのベースとなるのが高速道路をはじめ、リニアや幹線国道といったネットワークです。このエリアは産業集積地として強みがありますが、遼河さんのお話のように歴史や文化の面でも注目すべき資源がたくさんあります。それらをもっと光らせて、魅力あるエリアに変えていくことも重要な役割です。
遼河:お話を伺って、道路インフラの重要性を改めて感じました。
水野:ありがとうございます。これからは、高速道路の健全性維持と自動運転などの最新技術の導入に重点を置きながら、経済の活性化、国際競争力の強化に向けて、高速道路を進化させる必要があります。そしてお客さまの「便利になったらいいよね」という期待を「もっと楽しみになった」という確信に変えてもらえるよう、未来に向けた歩みを 着実に進めていきます。
