1. 安全性向上3カ年計画の取組み報告
  2. 取組み状況一覧
  3. vol.08 この瞬間も高速道路を見守る、道路管制センター

安全性向上3カ年計画の取組み状況

1日に約187万台が行き交うNEXCO中日本管内の高速道路。その道路状況は刻一刻と変化します。たとえば、故障車の発生件数は約100件/日、落下物の処理件数は約200件/日にも及びます。このように、目まぐるしく変わる高速道路の状況を常に把握し、お客さまに情報を伝え、各関係機関に指示・要請を出す、その中枢となるのが、道路管制センターです。

道路管制センターを動かす2つの機能。道路管制と施設制御
日本の中央部に広がる高速道路網を見守るNEXCO 中日本の道路管制センターは、道路状況を把握し対応する道路管制と、トンネルや情報板など道路の安全に欠かせない各種設備を監視し制御する施設制御の2つに分かれています。CCTVカメラの映像、交通管理隊からの無線通報、道路緊急ダイヤル「#9910」によるお客さまからの情報など、高速道路に関するすべての情報は一度道路管制センターに集まります。例えば、落下物の通報が入った際には、情報板に「落下物注意」の情報を表示させ、同時に交通管理隊へ回収の指示を出します。また、トンネル内で異常が発生した場合は、施設制御がトンネル内外の情報板を通じて危険を知らせ、必要に応じてトンネル非常用設備などを稼動させます。
絶えず車が走行し続ける高速道路では、いつ、どこで、どんなことが発生するか予測することが難しく、お客さまにいつでも安全で、安心・快適に高速道路をご利用いただくためには、24時間365日途切れることなく見守り続けることが重要なのです。

迅速かつ正確に道路状況を把握するために、人の目とITを組み合わせています

道路状況の把握に役立っているお客さまからの通報
事故や故障車、落下物はさまざまな場所で発生します。それらを把握するために、お客さまからの通報が特に役立っており、携帯電話の普及とともにその傾向は特に顕著となっています。また、本線上の1km毎(トンネル内は200m毎)に設置されている非常電話からの情報もとても重要です。非常電話の受話器を上げると自動的に道路管制センターに繋がります。高速道路上の異常をお見かけになった際には、110番、非常電話もしくは道路緊急ダイヤル(#9910)からご連絡いただき、担当者に負傷者の有無などの現場の状況をお伝えいただきますようよろしくお願いいたします。

  • 非常電話はトンネル内やインターチェンジ、SA・PAにも設置されています。

    非常電話はトンネル内やインターチェンジ、SA・PAにも設置されています。

  • 受話器をとるだけで、24時間体制の道路管制センターにつながります。また、会話の不自由な方のために発信ボタンが設置されています。

    受話器をとるだけで、24時間体制の道路管制センターにつながります。また、会話の不自由な方のために発信ボタンが設置されています。

  • 携帯電話からもご利用いただける道路緊急ダイヤル(#9910)は、24時間通話無料で受付対応しています。

    携帯電話からもご利用いただける道路緊急ダイヤル(#9910)は、24時間通話無料で受付対応しています。

道路緊急ダイヤルのご案内 https://www.c-nexco.co.jp/safety/9910/
非常電話のご案内 https://www.c-nexco.co.jp/safety/emergency_phone/

自動的に交通量を検知するトラフィックカウンター
お客さまへ正確な渋滞情報をお知らせするために、高速道路のさまざまな場所に設置されているのがトラフィックカウンターです。道路に埋め込まれたコイルによって車両の通行状況を把握するループコイル式や、CCTVカメラによる画像処理方式、超音波パルスによって渋滞を計測する超音波方式など、場所によって最適な方法を採用しています。計測した交通量のデータは道路管制センターに送られます。

  • ループコイル方式では、道路に埋設されたコイル(磁気センサー)に電流を流し、通過車による磁気の変化によって速度を測定します。

    ループコイル方式では、道路に埋設されたコイル(磁気センサー)に電流を流し、通過車による磁気の変化によって速度を測定します。

  • 画像処理方式では、画像認識技術により車間距離や移動速度などを計測し渋滞の有無を自動的に検出します。

    画像処理方式では、画像認識技術により車間距離や移動速度などを計測し渋滞の有無を自動的に検出します。

  • 超音波式では、ラッパのようなヘッドから超音波を一定周期で発射させ、その反射波から交通量を計測します。

    超音波式では、ラッパのようなヘッドから超音波を一定周期で発射させ、その反射波から交通量を計測します。

道路状況と交通量を同時に把握するCCTVカメラ
高速道路上に設置されているCCTVカメラが映す映像はリアルタイムで道路管制センターへ送信され、担当者が常に確認し、落下物や故障車、事故などの早期発見に役立っています。

  • 迅速かつ的確な対応を行うため、 CCTVカメラによってリアルタイムで現地の情報収集に努めています。

    迅速かつ的確な対応を行うため、 CCTVカメラによってリアルタイムで現地の情報収集に努めています。

  • 道路管制センターでは、CCTVカメラの映像により、事故や故障車が発生した現地の状況を詳細に把握する事ができます。

    道路管制センターでは、CCTVカメラの映像により、事故や故障車が発生した現地の状況を詳細に把握する事ができます。

雨雪、風、気温、霧。1台で4役もこなす気象観測機器
気象状況は、お客さまの運転に大きく影響を及ぼします。たとえば、雨や雪が降ればスリップの注意喚起を行い、風が吹けば横転の注意喚起をし、そして霧が発生すればライトの点灯と減速を促します。そのために、気象観測機器により計測された気象情報は、リアルタイムで道路管制センターに送られます。また、そうした情報をピンポイントで把握するため、気象観測機器は高速道路上のさまざまな場所に設置されています。
さらに、火山列島の日本においては地震の計測も非常に重要です。高速道路の主要な料金所内には地震計も設置されており、揺れが生じた場合は、揺れ方や規模を計測、道路管制センターへ送信され、通行止めなどの対応を行います。

  • 気象観測機器では、高速道路を走行するお客さまに必要な、様々な気象情報を収集しています。

    気象観測機器では、高速道路を走行するお客さまに必要な、様々な気象情報を収集しています。

24時間365日体制で高速道路を巡回する交通管理隊
皆さまもきっと一度は目にしたことがある黄色いパトロールカー。それが交通管理隊です。24時間365日体制で高速道路の巡回を行い、道路状況や交通状況を道路管制センターに報告するほか、落下物の排除など異常事態の処理を行っています。

Vol.06 24時間体制で巡回する「交通管理隊」 https://www.c-nexco.co.jp/corporate/safety/torikumi/torikumi/vol06/

  • 1日の巡回距離は交通管理隊全体で約3万6千km。これは地球1周分とほぼ同じ距離です 。

    1日の巡回距離は交通管理隊全体で約3万6千km。これは地球1周分とほぼ同じ距離です 。

  • 高速道路を知り尽くしたプロの隊員たちが、道路上の異常をいちはやく察知し報告します。

    高速道路を知り尽くしたプロの隊員たちが、道路上の異常をいちはやく察知し報告します。

もし万が一、高速道路で車が故障した場合は...

日本の東西を結ぶ大動脈として、高速道路と新幹線はこれまでに多くの人と物を運んできました。また、高速道路の交通量の上昇と同じように、新幹線の輸送量も右肩上がりで増え続けてきました。日本経済の目覚ましい発展は、この二本の大動脈があってこそのものでした。

  • ①すぐにハザードランプを点灯し、後続車に異常をお知らせください。

    ①すぐにハザードランプを点灯し、後続車に異常をお知らせください。
  • ②路肩や非常駐車帯に停車後、発炎筒や停止表示板で後続車に異常をお知らせください。

    ②路肩や非常駐車帯に停車後、発炎筒や停止表示板で後続車に異常をお知らせください。
  • ③車両から降車する際、後続車両には十分ご注意いただき、ガードレールの外など安全な場所に速やかに避難してください。

    ③車両から降車する際、後続車両には十分ご注意いただき、ガードレールの外など安全な場所に速やかに避難してください。
  • ④安全が確保できたら、110番、非常電話または道路緊急ダイヤル(#9910)へ通報してください。

    ④安全が確保できたら、110番、非常電話または道路緊急ダイヤル(#9910)へ通報してください。
  • ⑤道路緊急ダイヤル(♯9910)にかけると、ガイダンスにより高速道路名が案内されるので該当の番号を選択してください。非常電話の場合は直接道路管制センターに繋がります。

  • ⑥道路管制センターにつながると、担当者が事象の内容や進行方向、目印など詳細の場所を特定するための質問をさせていただきますので、落ち着いてご回答ください。

    ⑥道路管制センターにつながると、担当者が事象の内容や進行方向、目印など詳細の場所を特定するための質問をさせていただきますので、落ち着いてご回答ください。

NEXCO 中日本では、故障車の他にも、落下物が発生した場合や地震が起きた場合など、高速道路上で起こりうるさまざまなトラブルの対処法についてご紹介しています。ぜひ一度、ご確認ください。

高速道路トラブル対処法 https://www.c-nexco.co.jp/safety/justincase/

異常事態が発生した時に備えて、トンネル内にもお客さまがご使用いただける非常用設備を設置しています。

  • ■非常電話
    火災や事故の発生を交通管制室に通報する設備です。トンネル内に200m(一部150m)間隔で設置しています。

    ①すぐにハザードランプを点灯し、後続車に異常をお知らせください。
  • ■消火栓・消火器
    火災時の迅速な初期消火および火災の拡大を防ぐ設備です。消火器はトンネル内に50m間隔で設置しています。

    ②路肩や非常駐車帯に停車後、発炎筒や停止表示板で後続車に異常をお知らせください。
  • ■誘導表示板
    トンネル内で火災が発生した場合、避難するお客さまを非常口へ誘導する設備です。トンネル内の壁面と非常口に設置しています。

    ③車両から降車する際、後続車両には十分ご注意いただき、ガードレールの外など安全な場所に速やかに避難してください。
  • ■押ボタン式通報装置
    トンネル内に50m間隔で設置されており、火災や事故が発生した場合にボタンを押すと、異常が生じたことが道路管制センターに通報されます。

    ④安全が確保できたら、110番、非常電話または道路緊急ダイヤル(#9910)へ通報してください。

どのようなケースにも、臨機応変に最適な判断を行うために

お客さまに高速道路を安全にご利用いただくため、道路管制センターでは収集された気象情報や道路状況の情報をもとに、状況を把握し、交通規制の必要性や交通管理隊の派遣など、様々な判断を行います。迅速かつ的確な判断を行うため、各担当間でノウハウや事例などの情報共有を定期的に行っています。

  • NEXCO中日本
    金沢支社 保全・サービス部 道路管制センター統括司令
  • 嘉指 登志也
  • 北陸自動車道・東海北陸自動車道・舞鶴若狭自動車道の3路線において、事故やトラブルが発生した場合の初動対応を担当。
24時間高速道路を見守るため、統括司令は日勤・夜勤の交代制で、5人でシフトを組んでいます。
24時間高速道路を見守るため、統括司令は日勤・夜勤の交代制で、5人でシフトを組んでいます。

-冷静な"判断力"と迅速で的確な"初動指示"が要です-

私たちの使命は、お客さまに安全で安心・快適な高速道路環境を提供していくことです。もし万が一、事故や故障車、落下物、または自然災害が発生した場合には、現場や当事者の安全を最優先にしながらも、なるべく通行を妨げない対処をしなければなりません。そこで重要となるのが、冷静な"判断力"と迅速で的確な"初動対応"です。

24時間高速道路を見守るため、統括司令は日勤・夜勤の交代制で、5人でシフトを組んでいます。
24時間高速道路を見守るため、統括司令は日勤・夜勤の交代制で、5人でシフトを組んでいます。
いつトラブルが起こるかもしれないという緊張感の中、どんな些細な変化も見逃さない集中力と、万が一の場合は冷静かつ迅速な対応が取れる判断力が求められます。
いつトラブルが起こるかもしれないという緊張感の中、どんな些細な変化も見逃さない集中力と、万が一の場合は冷静かつ迅速な対応が取れる判断力が求められます。

-現場・当事者の安全を最優先に、"止めない"最善策を-

たとえば、事故や故障で車が高速道路の車線上に止まってしまった場合。とにかくまずは事故が発生したことを他のお客さまに知らせます。次に交通規制、場合によっては通行止めを実施しますが、その影響は小さくありません。東日本大震災の際は、北陸道が東北への緊急支援ルートに指定されたこともあります。だからこそ、お客さまの安全確保及び二次被害防止が最優先という条件は大前提として、どうにかして通行止めや交通規制を回避するための"判断力"と"初動指示"が必要なのです。事故や故障車が道路をふさいでいる場合は、まず車両を移動させ一車線でも通行可能にできないかを考えます。もし万が一通行止めをせざるを得ない場合においても、事故車両の移動のためのレッカー車を要請するなど、道路を止める時間を最小限にする努力をします。
私が担当している北陸地方の高速道路の場合、年間の事故・故障車発生数の約7割が11月~4月の冬季に集中しており、一晩で40件を超えることもあります。そのような時は、交通管理隊からの無線や道路緊急ダイヤルが鳴り続け、休憩も食事もなかなか取れません。それでも、当事者の方の安全確保とスムーズな通行を維持するために、迅速かつ的確に判断し、対応しなければならないのです。

いつトラブルが起こるかもしれないという緊張感の中、どんな些細な変化も見逃さない集中力と、万が一の場合は冷静かつ迅速な対応が取れる判断力が求められます。
いつトラブルが起こるかもしれないという緊張感の中、どんな些細な変化も見逃さない集中力と、万が一の場合は冷静かつ迅速な対応が取れる判断力が求められます。
統括司令が集まる会議では、各自の経験した事例やノウハウを共有しています。
統括司令が集まる意見交換会では、各自の経験した事例やノウハウを共有しています。

-経験・情報を共有し、判断力と初動の精度とスピードの向上を図っています-

このように、道路管制センターにおいては"判断力"と"初動対応"がとても重要です。そのためには基本となるマニュアルの精緻化はもちろん、各担当者や各支社の間で経験・事例を共有することで精度やスピードを大きく向上できます。たとえば、事故発生の一報を受けると、収集された情報を確認しつつ早急に現場に交通管理隊を派遣しますが、交通管理隊が到着するまでの間に自身の経験や共有された事案を参考にし、現場での対応をシミュレーションします。そうすることで、より的確に、より早く判断・指示を行うことができます。
そこで私たちは、統括司令が集まる意見交換会を月に一度開催したり、日勤と夜勤の交代時に、当日起きた事象の内容や道路状況などを正確に引き継ぐなど、事例やノウハウを共有できる仕組みを設けています。こうした取り組みを積極的に推進していくことで、判断や対応方法をより適確なものにしていく努力を今後も続けてまいります。

統括司令が集まる会議では、各自の経験した事例やノウハウを共有しています。
統括司令が集まる会議では、各自の経験した事例やノウハウを共有しています。

必要な情報や対応を、必要な場所へ、少しでも早く

道路管制センターにとって、初動対応は最も重要な役割といっても過言ではありません。たとえば、故障車の情報をいち早く提供することで、走行車両に注意を促すことができ、二次事故を防止することができます。道路管制センターでは、収集した情報をもとに迅速な情報提供と現場への指示を行っています。

情報は、瞬時に必要な場所へ表示
道路管制センターでは、集められたさまざまな情報に対して、少しでも早く、正確に情報を提供するよう努めています。たとえば、事故や渋滞などが発生した場合は提供する情報の内容と場所を迅速に判断し、素早く正確に入力操作を行い、情報を提供します。収集した情報は、以下に示す様々なツールで提供しています。

  • 迅速な情報提供が、事故やトラブルを未然に防ぐことにつながります。

    迅速な情報提供が、事故やトラブルを未然に防ぐことにつながります。

・インターチェンジへ接続する一般道で高速道路の交通情報や気象情報を確認できるインター入口の情報板

  • ・インターチェンジへ接続する一般道で高速道路の交通情報や気象情報を確認できるインター入口の情報板

・トンネル内の事故や工事などの状況を表示するトンネル入口の情報板
 

  • ・トンネル内の事故や工事などの状況を表示するトンネル入口の情報板

・混雑状況に応じてルート選択ができるようジャンクション手前で表示する図形情報板
 

  • ・混雑状況に応じてルート選択ができるようジャンクション手前で表示する図形情報板

・休憩施設の駐車場の混雑状況を画像認識処理で把握し、駐車場の混雑状況を自動的に表示する休憩施設混雑情報板

  • ・休憩施設の駐車場の混雑状況を画像認識処理で把握し、駐車場の混雑状況を自動的に表示する休憩施設混雑情報板

・心理的な疲労を軽減し、ドライブプランの参考になる所要時間情報板

  • ・心理的な疲労を軽減し、ドライブプランの参考になる所要時間情報板

・本線の様々な状況をお知らせする、インターチェンジ出口手前に設置される本線情報板

  • ・本線の様々な状況をお知らせする、インターチェンジ出口手前に設置される本線情報板

・いつでもどこでも道路状況が確認できるようPCやスマートフォンでチェックできるアイハイウェイ(iHighway)

iHighway 中日本 http://c-ihighway.jp/

  • ・いつでもどこでも道路状況が確認できるようPCやスマートフォンでチェックできるアイハイウェイ(iHighway)

・サービスエリアなどに設置している、休憩中にこれからのドライブプランが立てられるハイウェイ情報ターミナル
 
 

  • ・サービスエリアなどに設置している、休憩中にこれからのドライブプランが立てられるハイウェイ情報ターミナル

現場への指示は正確に、できるだけ早く
事故や落下物に関する情報が道路管制センターに入った際には、迅速に状況を把握・判断し、お客さまに情報を提供するとともに、交通管理隊への指示や警察・消防への出動要請など、的確な初動対応を行います。交通管理隊が少しでも早くお客さまの安全を確保し、高速道路を安全に走行できる状態に復旧できるよう、道路管制センターとの連携訓練を定期的に行っています。

  • NEXCO中日本金沢支社の場合、道路管制センターと現場は1日平均で約540件、年間では約19万5千件の無線交信を行っています。

    NEXCO中日本金沢支社の場合、道路管制センターと現場は1日平均で約540件、年間では約19万5千件の無線交信を行っています。

  • 道路管制センターと交通管理隊、そして警察を含めた合同訓練を行い、連携強化を図っています。

    道路管制センターと交通管理隊、そして警察を含めた合同訓練を行い、連携強化を図っています。

「最先端テクノロジーと、これまで培ってきた経験を活かし、
より安全に、安心・快適にご利用いただける高速道路を目指します。」
  • NEXCO中日本
    金沢支社 保全・サービス事業部 施設チーム チームリーダー
  • 森 英治
  • 金沢支社新道路管制センターの設計を担当。

NEXCO中日本管内の道路管制センターについて教えてください

日本の中央部を通る高速道路を見守るNEXCO中日本の道路管制センター。金沢支社道路管制センターの担当エリアは、雪に関する事案・対応の多いことが特徴です。

日本の中央部を通る高速道路を見守るNEXCO中日本の道路管制センター。金沢支社道路管制センターの担当エリアは、雪に関する事案・対応の多いことが特徴です。

-広大なエリアを4つに分割し監視しています-

東は東京から西は滋賀県まで、NEXCO中日本の管轄エリアはとても広く、総距離は約2,007km、SA・PAは177箇所、1日の交通量は約187万台にも及びます。素早く正確に高速道路の状況を把握し最適な判断を行っていくために、管轄エリアを4つに分けそれぞれ道路管制センターを展開しています。金沢支社道路管制センターは、舞鶴若狭自動車道の開通などの管理エリア拡大に伴いリニューアルしました。現在、北陸3県を中心に約300kmを担当しています。

日本の中央部を通る高速道路を見守るNEXCO中日本の道路管制センター。金沢支社道路管制センターの担当エリアは、雪に関する事案・対応の多いことが特徴です。
日本の中央部を通る高速道路を見守るNEXCO中日本の道路管制センター。金沢支社道路管制センターの担当エリアは、雪に関する事案・対応の多いことが特徴です。

金沢支社道路管制センターにはどういった特徴があるのでしょうか

-処理能力を向上させる大型ディスプレイ、円滑なコミュニケーションが期待できる円形レイアウト-

金沢支社道路管制センターは、従来よりも多くの情報を扱い、より素早く的確に対応できるよう設計されています。その特徴のひとつが、円形レイアウトです。こうすることで、席から多くのモニタを見ることができるようになるのと同時に、各担当者間の距離が近くなり、より密な連携が図れるようになりました。次に人間工学に基づいたディスプレイ配置です。座った人間の視野角である上方20度に収まる範囲にディスプレイの高さを合わせたり、前の人の頭でモニタが隠れることが無いよう、フロアの段差の高さを調整するなどしています。また、レイアウト以外にも、ディスプレイの枚数をこれまでの道路管制センターの2倍に増加。55インチパネル156枚に映し出される情報量は、およそ従来の5倍まで扱えるようになり、より複合的な判断を、より早く行えるようになりました。さらに、各情報の表示場所やレイアウトは自由自在に変更出来るようになっており、高速道路の状況や災害などの異常事態に臨機応変に対応する事が可能になっています。

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    直線距離にすると50mを超える大型ディスプレイを円形にすることで、限られたスペースに多数のモニターを納めています。また円形レイアウトにすることで、担当同士の情報共有もスムーズに図れるようになりました。

金沢支社道路管制センターに採用された新しい機能はどういったものがあるのでしょうか

スマートICに設置されているインターホンで、道路管制センターと連絡をとることができます。
スマートICに設置されているインターホンで、道路管制センターと連絡をとることができます。

-高速道路初となるスマートICの一括管理と、ディザスタ・リカバリを実現-

管内のスマートICについては、新しくなった金沢支社道路管制センターで集約して遠隔対応を行っています。この取り組みにより、管理コストの削減や効率性を追求しています。
もうひとつの新しい機能は、ディザスタ・リカバリです。これは、高速道路の各データを処理するシステムを、金沢支社含め数カ所に分散配置させることができる機能です。このシステムを導入することにより、たとえば万が一、名古屋支社の道路管制センターが被災した場合でも、名古屋支社が管理する高速道路約840kmを新しくなった金沢支社道路管制センターで管理することが可能です。地震や台風など自然災害が頻発する日本では、今後とても重要な機能となっていくと考えています。

スマートICに設置されているインターホンで、道路管制センターと連絡をとることができます。
スマートICに設置されているインターホンで、道路管制センターと連絡をとることができます。

近年日本ではこれまで以上に地震への対策が重要視されていますが、どういった防災対策を行っているのでしょうか

景勝地である金沢の土地柄に配慮し、北陸地方特有の黒瓦や茶屋街特有のベンガラ色を採用するなど、外観のデザインも重視しています。
景勝地である金沢の土地柄に配慮し、北陸地方特有の黒瓦や茶屋街特有のベンガラ色を採用するなど、外観のデザインも重視しています。

-震度6強にも耐えうる最新の耐震構造-

金沢支社道路管制センターは、万が一の大規模災害には、防災拠点として機能する役割を担っています。そのため、ハザードマップ外となる海岸から3km離れたところに存在し、建物としても震度6強にも耐えうる最新の耐震構造を採用しています。また、断水になっても飲料水を供給できるよう井戸水を浄化して飲料にできる設備や、72時間以上発電可能な自家発電設備を備え、ガスはパイプ損傷による供給停止がないプロパンガスを採用、燃料も72時間以上運用可能な量を備蓄しています。浸水対策としては、通常1階に置かれる中央システムや電気室などを上位階に設置しています。さらに、他の道路管制センターが被災した場合、その道路管制センターからの人員を受け入れることが可能な執務スペースも確保。まさに、NEXCO中日本の道路管制センターの要として、どのような災害時にも機能し続けられるよう、さまざまな設備と工夫を備えた施設となっています。

景勝地である金沢の土地柄に配慮し、北陸地方特有の黒瓦や茶屋街特有のベンガラ色を採用するなど、外観のデザインも重視しています。
景勝地である金沢の土地柄に配慮し、北陸地方特有の黒瓦や茶屋街特有のベンガラ色を採用するなど、外観のデザインも重視しています。

最新の道路管制センターとして、金沢支社道路管制センターは今後どのように機能していくのでしょうか。

-金沢支社道路管制センターは、NEXCO中日本の、安全な未来とバックアップ機能を担っていく-

金沢支社道路管制センターは管内の道路管制センターのどこよりも地震リスクが低い場所を選びました。たとえば、そう遠くない将来に発生するかもしれないと言われている南海・東海地震が起きた場合、数々の防災対策とディザスタリカバリ機能を備えた金沢支社道路管制センターは、NEXCO中日本全体のバックアップサイトとしての役割を担うことになるでしょう。
さらにもうひとつ、道路管制センターとして非常に重要な機能を計画しています。それは、構造物の遠隔集中モニタリングです。現在、構造物の劣化や損傷などは一カ所ずつ検査機器で確認していますが、今後は最先端技術を駆使したセンサーなどにより、センターで一括して監視することを目指しています。このシステムが完成すれば、管理コストや効率が改善することはもちろん、リアルタイムで劣化や損傷の進行具合が把握できるので万が一のトラブルを未然に防ぐことができるようになります。
金沢支社道路管制センターはNEXCO中日本全体の、施設・設備の安全管理の未来と、万が一のバックアップという、とても重要な機能を担っている道路管制センターと言えるのです。