1. 安全性向上3カ年計画の取組み報告
  2. 取組み状況一覧
  3. 「冬でも、安全な通行を確保する。そのための雪氷対策と私たちの思い」

安全性向上を担うNEXCO中日本グループ社員

「冬でも、安全な通行を確保する。
そのための雪氷対策と私たちの思い。」

  • 堀内 寛之
    NEXCO中日本
    金沢支社 富山保全・サービスセンター 保全担当課長堀内 寛之
    NEXCO中日本金沢支社の富山保全・サービスセンターで、北陸道および東海北陸道の道路保全を担当。

富山保全・サービスセンターが管理する地域の特性と、雪氷対策の体制を教えてください

堀内:富山県は全国で4番目に降雪量が多く、年間降雪量は3.8mにも及びます。五箇山など国内有数の豪雪地帯もあり、冬期の雪氷対策は欠かせません。当管内には、富山保全・サービスセンターの雪氷対策本部のもと、北陸道に4基地、東海北陸道に3基地の合計7カ所の雪氷基地があります。7基地合計で35台の除雪トラックをはじめ全70台の雪氷対策車両を駆使し、北陸道160名、東海北陸道70名、合計230名の体制で雪氷対策に取り組んでいます。

富山保全・サービスセンターの管内図
富山保全・サービスセンターの管内図
35台の除雪トラックを保有
35台の除雪トラックを保有

情報収集で重要なポイントを教えてください

堀内:当管内でこれだけの体制を整えているのには、理由があります。たとえば気象情報ひとつを取っても、測定機器を使ったデータだけでなく、現場にいる人の目で集める天候の変化や路面状況の情報が、重要な役割を果たしています。局地的な降雪や、急激な気温の変化など、巡回することでしか得られない情報も多いのです。天気予報より早く雨から雪に変わるような場合は、直接ピンポイントで集めた気象情報をもとに、臨機応変に対策を講じます。これまで培ってきた経験や知見があるからこそ、路面状況の予測やきめ細かい雪氷対策の検討などさまざまな対応が可能です。

除雪作業で苦労する点をお話しください

梯団除雪による除雪作業
梯団除雪による除雪作業

堀内:北陸に降る雪は水蒸気を多く含むため、とても重く、除雪しにくくなっています。これらの雪を、前面にスノープラウを取り付けた除雪トラックで編成された梯団で除雪します。雪が降っていると路面が見えにくくなるため、オペレーターには高い運転技術が求められます。
また、上り坂などでは、登坂不能車両が立ち往生することもあり、除雪作業自体がストップしてしまうことがあります。当管内で冬期に発生するトラブルは登坂不能車両が原因であることが多いので、このような事象が起こりやすい場所の近くには、雪により立ち往生した車両を救出したり、移動したりするためにトラクターショベルを配備し、除雪作業が滞らないように備えています。

梯団除雪による除雪作業
梯団除雪による除雪作業

凍結防止剤散布で難しいのはどんなことでしょうか

堀内:雪が降っていなくても、路面の温度が0℃を下回って凍結してしまうと、車がスリップしてしまう危険があります。このような状態になってから凍結防止剤を散布しても遅いので、散布車がルートを1周するのに要する時間と凍結防止剤の積み込みにかかる時間を考慮して準備をしています。たとえばルートを1周するのに1時間かかるのであれば、凍結防止剤を積み込むための作業時間30分程度を加味して、路面が0℃になる1時間30分前に始動できれば最も効率的といえます。つまり、凍結防止剤を散布するタイミングが重要なのです。特に白川郷周辺などは夜間の路面温度が氷点下10℃まで下がり、路面の塩分濃度も高く保つ必要があり、凍結防止剤の散布量やタイミングを見極めることも重要です。

また、路面の塩分濃度が低下してしまうと必要な効果が発揮されないので、濃度を確認することも大切です。昨年度までは雪氷巡回の際に停車して塩分濃度を測定していましたが、今年度から走行しながら常時、塩分濃度や気温などを確認し、本部に情報を送信できるシステムを試験的に導入しました。道路からの水しぶきで濃度を感知するので、常時観測できることでより綿密な計画を立案できることに加え、巡回車両から降りる必要がないことから、巡回員の安全が保たれるというメリットもあります。

凍結防止剤の積込み作業。2階で開封し、下で待機している車両に積込みます凍結防止剤の積込み作業。2階で開封し、下で待機している車両に積込みます
凍結防止剤の積込み作業。2階で開封し、下で待機している車両に積込みます
凍結防止剤の積込み作業。2階で開封し、下で待機している車両に積込みます
凍結防止剤の積込み作業。2階で開封し、下で待機している車両に積込みます
凍結防止剤の積込み作業。2階で開封し、下で待機している車両に積込みます
道路からはね上げられる水しぶきで、路面の塩分濃度を測定する機器も試験的に導入しています
道路からはね上げられる水しぶきで、路面の塩分濃度を測定する機器も試験的に導入しています

最後に、雪氷対策への思いをお話しください。

堀内:雪氷対策は自然との闘いです。予報が外れることもありますし、局所的な事象も発生し戸惑うことがしばしばあります。富山は日本有数の豪雪地域ですから、冬の高速道路の通行を確保し、お客さまに安全にご利用いただくことが私たちの使命と考え、迅速かつ的確な雪氷対策に取り組んでまいります。

取組み状況一覧

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