鳥居 正夫:写真家 / 青山 佳世:フリーアナウンサー / 宮池 克人:NEXCO中日本 社長 (順不同・敬称略)
鳥居 正夫:写真家
当フォトコンテストも、今年度で第9回を迎える事となりました。回を重ねるごとに応募数も増加している中、今回は昨年の倍以上の554作品の応募をいただきました。
審査会場を埋め尽くした数多くの応募作品の中から2016年度<最優秀賞>に輝いたのが、福田尚人氏の「宙(そら)に架ける」です。新名神高速道路の架橋工事現場を夜間の満天の星空を背景に長時間露光を駆使することにより躍動感のある作品になっています。長時間露光自体は古典的なテクニックではありますが、超広角レンズの画角を含め、緻密に計算された結果であり、単にテクニックに終止しがちな作品が多い中、壮大な宇宙ステーションを連想させる仕上がりは見事なものです。
<優秀賞>に選出された中村昭夫氏の「つかまえたよ!」は、高速道路開通前の地元との交流セレモニーの中、社員と子供の自然なやりとりをうまく捉えている微笑ましい一枚です。同<優秀賞>早野由香氏の「沿道の建御柱」は、7年に一度の諏訪地方の御柱祭の中、各地域でおこなわれている1こまを中央自動車道を背景に上手く捉えた写真であり、まさに日常の風景の中の高速道路といった作品になっています。同<優秀賞>星野郁男氏の「果樹畑を横断」は、まさにタイトル通りであり、秋そのものです。同<優秀賞>髙津秀俊氏の「霧氷光る」は、冬の中央自動車道の凍てつく感じがよく表現されていて、墨絵を思わせる無彩色なトーンも然ることながら雲の隙間から差し込む一瞬の間の逆行の光を上手く捉えている作品であり構図等も含め、永年のキャリアを感じさせるものがあります。
その他<特別賞>として佐々木保氏の「富士につづく道」は富士山の勇姿も見事ながら夜景の街並みが宝石を散りばめたような美しさで捉えられています。同<特別賞>桑原秀樹氏の「みんなのサービスエリア」は不思議なトーンの写真であり人物の配置が模型のジオラマの一場面を切り取ったようで面白いです。同<特別賞>中沢力男氏の「田植の候」は、水が引かれ田に夜景の新東名高速道路の橋脚が映り込み、静寂な中にも力強さを感じる作品に仕上がっています。
当フォトコンテストは比較的キャリアを積んだ高年齢層の方の応募が多い中、今回特筆すべきは最年少9歳の少年から応募をいただいたことです。年齢層が広がることにより個性的なバラエティに富んだ作品が多くなることを期待いたします。
高度な技術を駆使した作品はもとより、肩の力を抜いて撮影された作品等、応募総数554作品を前にして最後まで気の抜けない審査会でした。