1. 安全性向上3カ年計画の取組み報告
  2. 取組み状況一覧
  3. vol.05 冬期の安全な通行を確保する雪氷対策。

安全性向上3カ年計画の取組み状況

冬の高速道路走行の注意点

冬期、高速道路での降雪時は吹雪などで見通しが悪くなることに加え、積雪や凍結した路面状況では乾いた路面よりも長い停止距離が必要となり、時速50kmの走行速度では冬用タイヤを装着していても停止距離が約100m必要なため、冬になれば早めに冬用タイヤに交換し、タイヤチェーンを携行するなどの備えをお願いします。走行前には入念に車両の点検をおこない、制限速度を守って十分な車間距離をとり、余裕をもった運転で安全に走行してください。また、大雪が予想される場合には、不要不急のお出かけをお控えいただきますようお願いいたします。

路面状況によって異なる停止距離

雪道でも安心して走行していただくための雪氷対策

冬期でもお客さまに安全に高速道路をご利用いただけるよう、高速道路に設置した気象観測局や定点カメラ、雪氷巡回などによって、気象情報や高速道路の積雪、路面状況などのデータをくまなく収集します。集められた情報は、保全・サービスセンターに設置された雪氷対策の司令塔である雪氷対策本部に集約され、具体的な作業計画が立てられます。雪氷作業の最前線である雪氷基地では、その作業計画に基づいて除雪や凍結防止剤散布などの作業をおこないます。

雪道でも安心して走行していただくための雪氷対策
1:情報収集 人の目で、気象や路面の情報をリアルタイムで収集

雪氷対策は情報収集から始まります。
気象予報会社や気象観測計などから集められたデータと、現場を巡回した人の目によって、気象情報や路面状況など、対策に必要な情報を収集します。

巡回による情報収集
刻々と変化する気象や降雪、路面の状況などを、きめ細かく、リアルタイムでチェックするため、雪氷体制構築時は交通管理隊の巡回に加え、雪氷巡回班が組織されます。
雪氷巡回班は定期的に高速道路を巡回し、気象や路面の状況はもちろん、散布した凍結防止剤の濃度、積雪量や雪質、標識や情報板の上に雪が積もってそれが落雪する危険がないかなど、細部に至るまで現場で直接確認します。その結果は、雪氷対策本部に無線で報告し、作業計画を立案します。

  • 積雪量や雪質など、路面の状況を現場で直接確認します

    積雪量や雪質など、路面の状況を現場で直接確認します

  • 散布した凍結防止剤(塩)の効き目を確認するため、路面の水分を専用の測定機器にのせ、ヘッドライトにかざして塩分濃度を測定します

    散布した凍結防止剤(塩)の効き目を確認するため、路面の水分を専用の測定機器にのせ、ヘッドライトにかざして塩分濃度を測定します

気象情報の収集
NEXCO中日本では、気象予報会社から詳細な予測データを取得するとともに、高速道路の各所に気象観測局を設置し、気温、風向、風速などの気象情報データを収集しているほか、道路監視カメラの映像により気象と路面状況を把握しています。
また、2014年度の冬期に向けて、雪のために動けなくなり通行を妨げる「立ち往生車両」を早期に発見し移動するため、立ち往生車両が発生しやすい箇所(東名3カ所、中央道11カ所)に道路監視カメラを増設しました。

  • 積雪計で時間あたりの積雪量と、一日あたりの積雪量を計測

    積雪計で時間あたりの積雪量と、一日あたりの積雪量を計測

  • 気象予報会社から送られてくる情報も収集

    気象予報会社から送られてくる情報も収集

2:判断・指示 経験や知見をもとに適切な対策を導き出す

雪氷対策の要となるのが雪氷対策本部です。
雪氷対策本部は、交通管理隊や雪氷巡回班などから寄せられる情報を集約し、それをもとにその後の降雪や路面凍結のタイミングを予測。雪氷基地に対して、「2時間後に気温が0℃になる予報なので凍結防止剤を散布するように」、「1時間後に雨から雪に変わるという予報なので除雪作業の準備を」など、除雪作業や凍結防止剤散布などの対策を指示します。

  • 本部に寄せられたさまざまな情報をもとに、どのような対策を講じるか検討します

    本部に寄せられたさまざまな情報をもとに、どのような対策を講じるか検討します

  • 除雪作業、凍結防止剤散布などをおこなった場所や時間をダイヤグラムに記録し、次の対策の参考にします

    除雪作業、凍結防止剤散布などをおこなった場所や時間をダイヤグラムに記録し、次の対策の参考にします

  • 連絡員は除雪作業車両、巡回車両と連絡を取り合い、各車両の位置や気象状況を逐一把握します

    連絡員は除雪作業車両、巡回車両と連絡を取り合い、各車両の位置や気象状況を逐一把握します

  • 雪氷対策本部から雪氷基地へ、電話や無線で除雪作業や凍結防止剤散布の指示が出されます

    雪氷対策本部から雪氷基地へ、電話や無線で除雪作業や凍結防止剤散布の指示が出されます

3:作業 雪質や路面状況に合わせて迅速かつ丁寧に

梯団(ていだん)除雪
除雪トラック2~3台で編成を組み、中央分離帯側から路肩側へ順番に雪を押し出していく除雪作業を梯団除雪といいます。最後尾には標識車が走行し、お客さまへ除雪作業中であることをお知らせし、追越禁止を呼びかけます。

  • 梯団除雪

    梯団除雪

  • 追越禁止を呼びかける最後尾の標識車

    追越禁止を呼びかける最後尾の標識車
    ※雪氷作業中は追越しをしないようご協力をお願いいたします。

除雪トラックの先頭部分には、雪を押し出すための「スノープラウ」が設置されています。スノープラウは除雪幅が3.0~4.5mあり、積雪量や雪質などに応じて角度を変えられるようになっています。また、スノープラウが路面と接する部分は雪を削り取りつつ、路面を傷めないよう高硬度のウレタンゴムを使用。摩耗したら交換します。
車両の通行などによって固まった雪を除去する際に活躍するのが、除雪トラック下部に取り付けられている「グレーダー」です。角度を変えられる金属製のプレートを路面に押しつけ、スノープラウでは取れない固まった雪も削り取りながら走行することができます。

橋の下や高速道路のわきに一般道や民家がある場合、高速道路の下に雪が落ちないように配慮する必要があります。そのような区間には右のような標識が設置されており、速度を落として除雪を行っています。

夜間や降雪時は視界が悪く、路面が見えにくくなるため、運転は非常に困難です。また、夜間の作業は体力的、精神的にも負担がかかります。そのような状況下でも、オペレーターは高い運転技術と長年の経験をもとにスノープラウやグレーダーの調整を行い、除雪作業にあたっています。

  • 除雪トラック前方のスノープラウ

    除雪トラック前方のスノープラウ

  • 車体下部に取り付けられたグレーダー

    車体下部に取り付けられた
    グレーダー

  • 路肩の外に雪を落とせない区間を示す標示板(手前が投雪禁止・奥が投雪可能)

    路肩の外に雪を落とせない区間を示す標示板(手前が投雪禁止・奥が投雪可能)

凍結防止剤散布作業
路面が凍結するとスリップの原因となるなど、安全に走行できなくなるおそれがあるため、凍結防止剤を散布路面が凍結するとスリップの原因となるなど、安全に走行できなくなるおそれがあるため、凍結防止剤を散布して、路面の凍結を防ぐ必要があります。凍結防止剤には塩化ナトリウム(塩)を使用しています。水は通常0℃で凍結しますが、塩分を含むと氷点が下がり凍りにくくなります。そのため、路面に塩を散布することで凍結を防止します。凍結防止剤は散布車によって散布され、作業中は後部の標識で作業中であることを表示します。散布車に近づきすぎると、凍結防止剤がお客さまの車にあたることがありますので、車間距離を十分にとって走行してください。また、凍結防止剤が散布された路面や、散布車の後ろを走行したときには、お客さまの車に塩分が付着することがありますので、高速道路のご利用後は、洗車することをおすすめします。

  • 凍結温度と塩化ナトリウム濃度との相関

    凍結温度と塩化ナトリウム濃度との相関

  • 凍結防止剤の散布作業

    凍結防止剤の散布作業

ロータリー除雪車、トラクターショベルによる排雪
除雪トラックによって路肩に寄せられた雪は、ロータリー除雪車が高速道路脇の斜面に投雪します。投雪できない場所では、ロータリー除雪車で集めた雪をダンプトラックに積んで、雪捨て場まで運搬します。
NEXCO中日本では2014年度の冬期に向けて、ロータリー除雪車を7台、トラクターショベルを20台追加配備するなど、除雪体制を強化しています。

  • 高速道路脇の斜面に投雪するロータリー除雪車

    高速道路脇の斜面に投雪するロータリー除雪車

  • 投雪できない場所では、ロータリー除雪車で集めた雪をダンプトラックに積んで運びます

    投雪できない場所では、ロータリー除雪車で集めた雪をダンプトラックに積んで運びます

サービスエリア、パーキングエリアの除雪作業
多くのお客さまにご利用いただくサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)でも除雪作業をおこないます。とくに歩道部はお客さまが足を滑らせないよう、小型除雪機やスコップを使ってこまめに除雪をします。駐車場の除雪で集めた雪は駐車場の空きスペースに運び、まとまったところで雪捨て場まで運搬します。

  • 駐車場はトラクターショベルで除雪

    駐車場はトラクターショベルで除雪

  • 歩道部を手作業で除雪

    歩道部は手作業で除雪

積雪寒冷地における雪氷対策のための設備
北陸自動車道や東海北陸自動車道(飛騨地方)などの大雪が降る積雪寒冷地では、雪氷対策に効果を発揮するさまざまな設備を設置しています。

■定置式溶液散布装置
路面の凍結を防止する溶液を散布する設備です。路面凍結により登坂不能車両が出る可能性のある、縦断勾配のきつい区間などに設置しています。雪の降り始めや凍結が予想されるときなどに作動します。

  • 定置式溶液散布装置

    定置式溶液散布装置

■定置式散水融雪設備
道路脇に設置された配管から水を噴出させ、雪を溶かしたり、流し落とす装置です。水温10℃前後の地下水やトンネル湧水を利用します。

  • 定置式散水融雪設備

    定置式散水融雪設備

■ロードヒーティング
道路下に埋め込んだヒーターで、路面を温めて凍結を防止する装置です。走行車がトンネル内に雪を持ち込むトンネル入口部や、風が吹き込むことによって路温が下がり凍結しやすいトンネルの出入り口付近、登坂不能車両が出やすい勾配のきつい区間などに設置します。

  • ロードヒーティング

    ロードヒーティング

安全・快適のための情報提供

道路情報提供サイト「iHighway 中日本」でのリアルタイムな情報提供
気になる道路情報は、まず「iHighway 中日本」をご覧ください。主要インターチェンジ(IC)のピンポイント情報や降雪予測をチェックできるほか、道路周辺に設置したライブカメラの映像から降雪状況や作業状況をご確認いただけます。なお、スマートフォンでもご利用いただけます。また、よく利用するルートをマイルートとして設定しておくと、そのルート上で発生する交通規制の開始や解除の状況などをメールで受け取るサービスもあります。

iHighway 中日本 http://c-ihighway.jp/

  • iHighway 中日本

    iHighway 中日本

公式WEBサイトなどでの事前情報提供の取組み
NEXCO中日本では、事前情報提供の充実に向けた取組みを進めています。大雪の気象予報が出された場合、降雪のおよそ3日前から公式WEBサイト、SA・PAの電子情報板や広域情報板などで情報を提供します。また、特設サイト「冬の雪道ドライブガイド」、SA・PAで配布しているリーフレットやポスターで、冬用タイヤやタイヤチェーンの必要性、普通タイヤでの立ち往生の危険性などをお伝えしています。

NEXCO中日本 公式WEBサイト https://www.c-nexco.co.jp/
冬の雪道ドライブガイド https://www.c-nexco.co.jp/special/snow/

  • 大雪情報など重大な情報は公式サイトにも掲載します

    大雪情報など重大な情報は公式サイトにも掲載します

  • 冬の雪道ドライブガイド

    冬の雪道ドライブガイド

高速道路上の情報版
IC入口情報板や料金所情報板・本線情報板で道路状況をご案内しています。また、冬期は降雪に伴う規制情報を提供する簡易情報板を設置しています。また、事故・渋滞・工事・気象まで必要な情報をリアルタイムでお知らせするハイウェイラジオもご利用ください。

  • 高速道路に入る前には、料金所情報板などで道路・交通情報をご確認ください

    高速道路に入る前には、料金所情報板などで道路・交通情報をご確認ください

  • 本線情報板は本線上のICの手前にあり、そこから先の情報を表示します

    本線情報板は本線上のICの手前にあり、そこから先の情報を表示します

  • 簡易情報板は冬期、特別に設置されます

    簡易情報板は冬期、特別に設置されます