1. 安全性向上3カ年計画の取組み報告
  2. 取組み状況一覧
  3. 「名神を、これからもずっと安全にご利用いただくために、もっと便利であるために。」

安全性向上を担うNEXCO中日本グループ社員

「名神を、これからもずっと安全にご利用いただくために、
もっと便利であるために。」

  • 堀内 寛之
    NEXCO中日本
    名古屋支社 保全・サービス事業部 部長池田 光次
    大規模修繕・大規模更新の実行計画立案などを担当。

名神50周年を迎えますが、ご心境をお聞かせください

-ご協力いただいたすべての方へ、ご利用いただいてきたすべてのお客さまへ、心からの感謝を-

50周年を迎え名神の歩みを振り返ると、様々な方々のご協力があったことを実感すると共に、言葉では言い表せないほどの感謝がこみ上げてきます。まず、先祖代々の土地を日本で初めての高速道路建設という未知の計画にご提供くださった皆さまなくしては、名神の存在自体がありませんでした。建設工事中、そして開通から今までご理解とご協力いただいた沿線住民の皆さまにも感謝を申し上げます。そして、これまでご利用いただいてきたすべてのお客さまにも感謝を申し上げます。開通当時は1日に3,800台ほどだった交通量も、新名神が開通した今でも最大で約5万台と多くの方々にご利用いただいています。本当に、ありがとうございます。

日本で初めての都市間高速道路である名神は、どのような特徴があるでしょうか

-決して止められない日本の大動脈として、名神には、日本初の工夫や技術が次々と導入されました-

梯団除雪の様子

まず最初に、名神は日本の東西を結び北陸へも接続する、まさに日本の物流の大動脈であるということです。当時の土木技術では鈴鹿山脈をトンネルで通過するルートは技術的に非常に困難であることが予想されたため、降雪地である関ヶ原を通過するルートとせざるをえませんでした。大雪の影響で名神が3日間全線通行止めになった際には、周辺のスーパーやコンビニから物がなくなったそうです。このため名神は、全車線に除雪車を配し一気に除雪する梯団(ていだん)除雪や道路上の凍結を防ぐ凍結防止剤の散布といった、高速道路の保全に関する様々な対策が初めて行われた高速道路でもあります。一方、通行する車の3割が大型車であり構造物に大きな負担がかかる事や、関ヶ原付近の降雪への対応といった難題も名神は抱えています。私たちはこのような名神の特徴を踏まえ、これからも24時間365日、安全かつ安心・快適に名神をご利用できるよう、点検や補修に一層の努力をしていきます。2015年に事業化した大規模更新・大規模修繕もその一つです。

大規模更新・大規模修繕とはどのようなものでしょうか

-大規模更新事業は機能維持・性能向上を、大規模修繕事業は構造物の長寿命化を目的としています-

名神は当時の日本の道路技術の粋を集めて造られた高速道路ですが、開通から50年が経過していることによる経年劣化のほかにも様々な場所に損傷が蓄積しています。健全な状態を保つために日々、点検と補修を繰り返しているのでもちろん現在も安全にご利用いただけます。しかし、50年経った名神を永続的に健全な状態で保つためには、予防的な観点も取り入れ、大規模更新事業や大規模修繕事業にできるだけ早く取り組む必要があります。そのような考えから、大規模更新事業は構造物の機能維持と性能向上を目的とし、大規模修繕事業は構造物の長寿命化を目的として実施します。

具体的には、それぞれどのような工事を予定しているのでしょうか

-取り替える「更新」と、手を入れる「修繕」-

大規模更新事業は、従来の補修では本来の機能が発揮できないほど痛みが進行してしまった部分を"取り替える"作業で、わかりやすい例としては、橋桁の上に載っていて車が走行する部分である床板を従来の鉄筋コンクリート床版からより耐久性の高いプレストレストコンクリート床版に取り替える作業が挙げられます。一方、大規模修繕事業は、構造物が取り替えを要するほど損傷する前に、劣化の早さをできるだけ遅らせ永く使い続けられるよう、新素材や新技術で"手を入れる"作業です。たとえば高性能床版防水工が挙げられます。これはその名の通り床版の防水性能を向上させる作業で、学校のプールと同じように、コンクリート表面に水の侵入を防ぐ防水層と呼ばれる材料を吹き付けます。通常補修で行う床版防水工よりも完成までに時間がかかりますが、より防水効果を発揮します。


車両の重みを橋桁や橋脚に分散させるための床版を、新しく取り替えます。

床版取替の様子

床版を劣化させる路面からの水、塩化物イオンのコンクリートへの浸透を防水層で遮断し、劣化の進行を抑制します。

床版防水層施工後の様子

どの工事も大規模な交通規制が予想されますが、その対策はどのように行われるのでしょうか

-沿線の皆さま、そしてご利用いただくお客さまへの影響を最小限に留めるために、高速道路ネットワークも視野に入れた計画を策定します-

たとえば大規模更新事業で床版取替を行う場合、場所や作業内容にもよりますが1箇所で2〜3ヶ月はかかる見込みです。沿線の皆さまやご利用いただくお客さまへの影響を最小限に留めるために、長期的な視点から、より長寿命化を図れるような新素材や新技術を採用することが重要です。そしてもうひとつ大切なのが、工期の短縮を図るとともに工期中の迂回路をどのように確保するかを計画することです。交通の迂回にはいくつかの方法があり、たとえば高速道路を対面通行していただく方法や一般道に迂回していただく方法、そして他の高速道路を利用し迂回していただく場合も想定されます。対面通行とする場合は車線が減少することで渋滞の原因となります。また一般道へ迂回していただく場合は出口となるインターチェンジで渋滞が発生することとなります。こうした状況を考慮し、できるだけ高速道路ネットワークを使った迂回ができるよう工事計画を立案してまいります。


本線上の一部を対面で交通規制させていただく場合があります。

3年後の開通を目指して現在建設中の新名神のように、名神や東名阪とダブルネットワーク化されるところでは、新名神に迂回していただくことが可能となります。

名神、そして高速道路の今後について、想いをお聞かせください。

-これまでの50年の知見を、これからの名神に、そして未来の高速道路ネットワークに活かしていきます-

名神は日本の大動脈であり、停滞してしまうと経済活動にも大きな影響が発生します。そうしたことのないように、これまで培ってきた知見を活かして、点検や補修といった維持管理を確実に行っていきます。また、50年間積み重ねてきた経験やデータと最新のIT技術を用いて、より耐久性の高い新素材の採用や、機械と人間の得意分野を最適に組み合わせ、より早く、より正確に点検・作業を行うための効率化も進めています。これは今後高速道路ネットワークが拡大し管理すべき設備や構造物が増加する上でもとても重要なことです。これまでの名神の50年の歴史が、この先の高速道路を創っていくといっても過言ではありません。わたしたちはグループ一体となって一層努力してまいりますので、今後ともご理解とご協力をいただきますようお願いいたします。

取組み状況一覧

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