安全性向上への不断の取組み

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2012年12月2日、当社が管理する中央自動車道 笹子トンネル(上り線)における天井板落下事故により、9名もの尊い命が失われ、多くの方々が被害にあわれました。
お亡くなりになられた皆さま、ご遺族の皆さまに対しまして、深くお詫び申し上げますとともに、お亡くなりになられた皆さまのご冥福を心からお祈りいたします。また、事故によってお怪我をされた皆さまや、ご迷惑をおかけした皆さまに心からお詫び申し上げます。

NEXCO中日本グループでは、この事故を受け、安全に関する問題点を検証し、事故の再発防止に向けた「安全性向上3カ年計画」を策定・実行しました。道路構造物の安全対策については2015年度で完了しましたが、高速道路の「安全性向上」という永遠の挑戦課題に取り組むため、「安全性向上3カ年計画」を継承した『安全性向上への「5つの取組み方針」』を新たに定め、「二度とこのような事故を起こしてはならない」という深い反省と強い決意を胸に、不断の取組みを進めています。

安全性向上への「5つの取組み方針」

私たちは、2012年12月2日に引き起こした笹子トンネル天井板落下事故を決して忘れず、お客さまに安全な高速道路を提供し続けることこそ、最大の使命であるとの強い決意のもと、次の「5つの取組み方針」に基づき、安全性向上の取組みを持続的に進めます。

  1. 安全を最優先とする企業文化の醸成
    グループ内の連携・コミュニケーションの充実により、安全を最優先とする価値観が共有され、自律的な行動が展開される企業文化を醸成します。
  2. 道路構造物の経年劣化や潜在的リスクに対応した業務プロセスの継続的改善
    道路構造物の経年劣化や潜在的リスクに対応した計画・実行・評価・改善のサイクルを着実に実践し、現場に根ざした業務の継続的改善をおこないます。
  3. 安全活動の推進
    海外を含む社内外の安全に関する多様な情報の収集・共有や、最新の知見によるきめ細かな現場への支援・指導等に加え、社外の視点も採り入れ、組織横断的な安全活動を推進します。
  4. 安全を支える人財の育成
    安全を最優先し、強い責任感・意欲・誇りと、高い技術力を持って自ら考え行動する人財を育成します。
  5. 安全性向上に向けた着実かつ効率的な事業の推進
    点検・補修技術の更なる向上と、効果的な経営資源の投入により、安全性向上に向けた事業を着実かつ効率的に実施します。

「5つの取組み方針」に基づく主な取組み

安全を最優先とする企業文化の醸成

【2018年度に向けて】

  • ● 笹子トンネル天井板落下事故の尊い教訓の風化防止、安全を最優先とする経営理念等の更なる浸透、コミュニケーションの充実による価値観の共有など、風通しの良い職場づくりを通じ、グループ全体での安全文化の醸成に向けて、安全の原点に立ち返り、グループ一体となった取組みを地道に継続していきます。
  • ● 経営陣並びに各職場の所属長は、安全を最優先とする経営理念や経営方針を自らの言葉で社員に伝えて更なる浸透を図るとともに、協働するグループ会社などを含めた職場でのコミュニケーションがより円滑になるよう取り組んでいきます。
  • ● 経営陣は、グループ全体の現場の声に耳を傾け、現場の状況・課題を正確に把握するためにも、具体的な行動をとるとともに、現場の声へのフィードバックに努め、部門間・グループ内の共通認識を高めていきます。
  • ● 自律的なリスクマネジメントを推進するため、現場との対話を深め、グループ一体で再潜在化リスク防止などの更なるリスク意識の浸透に取り組んでいきます。

「安全の日」をはじめとしたグループ一体の取組み

12月2日をNEXCO中日本グループの「安全の日」とし、追悼慰霊式を執りおこなうとともに、全職場での黙とう、安全に関する職場討議などを実施しています。
追悼慰霊式では、ご遺族さまのお気持ちにお応えしつつ、グループを挙げて笹子トンネル天井板落下事故の尊い教訓の風化防止に努めるべく、事故後に入社した若手社員や第一線で現場を担う社員およびグループ社員なども参列するとともに、参列できないグループ社員に向けて追悼慰霊式の模様を中継により社内放映しています。このように、グループ一体となった取組みを地道に継続していきます。

追悼慰霊式への若手社員の参列

経営方針や経営理念の浸透

安全を最優先とする経営理念等の更なる浸透を図るため、現場事務所を対象に「安全対話」や「『育ち』の活動」(生産性向上参照)を実施しています。
「安全対話」では、経営陣がご遺族さまの思いや安全を最優先とする経営理念などを具体的なメッセージとして社員に語りかけるとともに、笹子トンネル天井板落下事故の尊い教訓の風化防止と現場の抱える課題の共有を図っています。2018年度以降についても、現場事務所だけでなく、支社やグループ会社など実施対象を拡大します。

経営陣との安全対話

部門間・グループ内の共通認識の醸成

「グループ内の共通認識」が重要課題のひとつと考え、従前から実施している「建設・保全合同会議」、「構造物リスクに関する検討会」などの安全に関するコミュニケーションの場に加え、経営層による直接的な情報・課題共有のための「安全に関するグループ連絡会」を発足させ、2018年度から本格始動します。このような活動を通じて、部門間・グループ内の共通認識を醸成し、安全に関する意識を高めていきます。

安全に関するグループ連絡会

自律的なリスクマネジメントの実施

階層別研修や講演会などを通じて、リスク意識の更なる浸透を図るとともに、現場組織を含む各部署での自律的なリスクマネジメントを実施し、経営陣を中心とした全社的な視点でのモニタリングを継続していきます。

道路構造物の経年劣化や潜在的リスクに対応した業務プロセスの継続的改善

【2018年度に向けて】

  • ● 整備したルールや仕組みを現場における日常的な業務に組み込み定着させるとともに、更にこれらを改善して、業務の質をスパイラルアップさせていきます。また、部門間を跨ぐ取組みについては、双方で課題認識を共有し、全体最適を図ります。
  • ● 道路構造物のリスクに起因する事象の未然防止に向けて、社外で起きているインシデントを含め、潜在的リスクの洗い出し、評価・検討並びに顕在リスクへの対策に継続して取り組んでいきます。
  • ● 安全に関する情報や最新の知見などを要領等へ反映するとともに、要領改訂の主旨を現場へ分かりやすく伝えていきます。
  • ● 「点検・補修業務支援システム」を継続的に改善するとともに、高度で効率的な点検・診断・補修技術などに資する技術開発を推進し、その実用化を図ります。

業務プロセスの定着とPDCAサイクルの実践

構造物の経年劣化や潜在的リスクへ対応するため、建設段階から管理段階までの業務プロセスを現場の業務に定着させ、PDCAサイクルを着実に実践し、継続的な改善を図ります。

道路構造物のリスクに起因する事象の未然防止

「構造物のリスクに関する調査検討会」で潜在リスクを洗い出し、具体的な対応を図るとともに、社外情報からも未認識リスクの洗い出しに努めています。今後も、社外で起きているインシデント情報も含め積極的に活用し、道路構造物のリスクに起因する事象の未然防止に努めます。

社外情報に基づく点検の実施

安全に関する情報や最新の知見などを要領等へ反映

安全に関する情報や最新の知見などを要領等へ反映させ、安全性向上につなげていきます。

「点検・補修業務支援システム」の継続的な改善および点検技術の高度化・効率化

  • ・着実な点検・補修の実施に向けて、現地での使用状況やユーザーの意見などから、「点検・補修業務支援システム」の更なる改善を図ります。
  • ・高度で効率的な点検・診断・補修などに資する技術開発を進めます。(技術開発参照

3.安全活動の推進

【2018年度に向けて】

  • ● 経営陣が先頭に立ち、全社的視点から積極的に情報発信するなど安全性向上の取組みをフォローアップするとともに、引き続き、安全性向上有識者会議のご意見を採り入れて取組みの改善を図ります。
  • ● 安全に関する情報の収集・共有・活用の促進を図るため、研修や各種会議などの場を通じて安全掲示板の意義・活用方法を周知するとともに、海外を含む社内外の情報収集活動を効果的に展開し、情報の整理・分析・体系化を一層図ります。
  • ● 定期的な現場組織巡回により、安全に関する情報から得られた教訓、最新の知見による現場の支援を実施していきます。
  • ● 高速道路の老朽化状況などを最新データに基づき、お客さま視点でわかりやすく情報発信します。

安全性向上の取組みのフォローアップ

「5つの取組み方針」に基づく取組み状況について、安全性向上委員会(委員長:社長)で全社的な視点から継続的にチェック・フォローアップしていきます。また、取組みの状況と成果、安全文化の醸成や未然防止に向けた方策などについて、有識者からのご意見や助言を頂くため、社外の有識者で構成する「安全性向上有識者会議」を開催し、取組み状況を報告するとともに、取組みの改善に努めます。

安全性向上有識者会議

安全に関する情報の収集・共有・活用の促進

グループ内ポータルサイト「安全掲示板」を活用し、社員からの提案やお客さまの声など、安全に関する情報を幅広く収集し、グループ全体で共有しています。
また、得られた情報から教訓を導き出し、現場への支援にも、より一層活用していきます。

「安全掲示板」の概要

現場支援の実施

定期的な現場組織巡回により、現場組織との安全に関するコミュニケーションの充実を図るとともに、「安全を最優先とする企業文化の醸成」における課題や好事例を収集しています。
2018年度は、収集した課題や好事例を踏まえ、関係部署・関係グループ会社と連携しながら課題解決に努めるとともに、好事例についてはグループ内で水平展開を図ります。また、組織巡回の対象範囲を拡大するとともに、安全性の確保の面からも取組みの支援を実施します。

現場組織巡回でのヒアリングの様子

道路構造物等の点検計画および点検結果などの公表はこちら

4.安全を支える人財の育成

【2018年度に向けて】

  • ● 人財が会社の基盤であるとの認識のもと、それぞれの取組みのPDCAサイクルを着実に回してスパイラルアップさせながら、中長期的視点に立った人財育成を継続します。
     グループ会社との人事交流を含む現場経験を重視したジョブローテーション等の人事に係る施策と、「人財育成マスタープラン」等との連携により、組織能力強化などとともに、グループ一体感の更なる醸成を図ります。
     また、技術戦略に基づく技術者の育成を進めながら、課題検証をおこない、必要な改善につなげていきます。
  • ● グループ全体の共通した安全教育として、「安全啓発研修」を計画どおり2018年度末までに一巡させます。また、これまでの研修について検証し、次期「安全啓発研修」の計画を策定します。
  • ● 各部門が連携した好事例の水平展開などにより「褒める文化」を根づかせ、社員のモチベーションを高めていきます。

「人財育成マスタープラン」に基づく各種研修の計画的な実施

蓄積してきた技術・ノウハウを活用し、工事方法の提案、現場における技術的改善や工夫のほか、課題を把握し、課題の解決を着実に図れる技術者の育成を目指していきます。

安全啓発研修

「安全啓発研修」では、笹子トンネル天井板落下事故でお亡くなりになられた皆さまのご冥福をお祈りするとともに、事故に関する記録・資料から学び、事故を決して忘れず、安全を最優先とする一人ひとりの意識の徹底に努めています。2018年度末で、受講対象者の研修が一巡しますが、2巡目の研修を実施すべく、次期研修内容の計画を策定し、継続的に実施していきます。

安全啓発研修の様子

社員のモチベーションを高めるための「褒める文化」の醸成(生産性向上参照

グループ社員のモチベーション向上をめざし、グループ会社の模範となる「お客さま起点」での取組みや行動を表彰しています。また、2018年度以降は、組織での取組みに対する安全大賞の実施や、各職場で行われている「褒める文化」に関する好事例の水平展開を図っていきます。

5.安全性向上に向けた着実かつ効率的な事業の推進

【2018年度に向けて】

  • ● 対応方針を策定した顕在リスクへの対策を計画的に実施するために、あらゆる対策を着実に進めていき ます。
  • ● 以下の点を踏まえ道路構造物の老朽化対策などを計画的かつ効率的に実施します。
    • ・近接目視を基本とした点検を5カ年点検計画に基づき、着実に実施。
    • ・点検結果を踏まえた維持修繕計画の見直しをおこない、維持修繕工事を着実に実施。
    • ・高速道路リニューアルプロジェクトおよび耐震補強対策については、一体的な事業管理を図り確実な進捗管理のもと事業を推進。
    • ・高速道路リニューアルプロジェクトや維持修繕工事への理解及び認知度を向上。
    • ・営業施設については、設備の計画的な更新並びに確実な点検および保守により、適切な管理を実施。
  • ● 点検結果に基づく補修費用や業務量の増加に対応した経営資源の確保・配分に向け、更なる改善を図っていきます。また、事業を計画的かつ効率的に実施していくため、入札不調対策に取り組みます。

顕在化した構造物のリスク事象への確実な対応

潜在的リスクの洗い出しにより顕在化されたリスクについて、最新の知見や技術などを採り入れて計画的な対策を実施します。

点検計画の着実な実施と補修工事の計画的な実施

道路構造物の老朽化対策として、近接目視を基本とした5カ年点検計画を着実に実施するとともに、道路構造物の健全性の診断結果に基づく維持修繕工事や、高速道路リニューアルプロジェクトを計画的に進めます。

  • ・法令で定められた6種類の構造物の近接目視を基本とした点検を着実に実施します。
    (橋梁、トンネル、シェッド、大型カルバート、歩道橋、門型標識など)メンテナンスサイクルの着実な実施参照
  • ・道路構造物の変状などに対する計画的な補修を行います。
  • ・高速道路リニューアルプロジェクトなどの推進により、道路構造物の老朽化対策などを進めます。高速道路リニューアルプロジェクト参照
  • ・耐震補強対策の促進を図ります。耐震補強対策の推進参照
  • ・高速道路リニューアルプロジェクトや維持修繕工事の理解および認知度の向上に努めます。
  • ・適切な補修により営業施設の延命化を図りつつ、合理的な営業施設の更新を実施します。

事業を確実に執行するための施策

  • ・生産性向上への取組みと適切な経営資源の確保・配分に努めます。
  • ・点検技術の高度化(技術開発参照)を図ります。
  • ・入札公告資料に対するアンケートの実施や関係団体との意見交換などを行い、入札不調対策を実施していきます。

私たちは、「安全を何よりも優先」とする経営理念のもと、『安全性向上への「5つの取組み方針」』に基づく道路構造物の安全性を高める取組みとともに、事故多発箇所の安全対策やネットワーク整備による渋滞の低減・解消など、お客さまが高速道路を安全に走行いただくために、次に示す取組みを一体的かつ計画的に推進します。